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2007.05.25
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39.バベル

■製作年・国:2006年、メキシコ
■上映時間:143分
■鑑賞日:5月12日、渋東シネタワー(渋谷)
■公式HP: ここをクリックして下さい
□監督・製作・原案:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
□脚本:ギジェルモ・アリアガ
□製作:ジョン・キリク、スティーヴ・ゴリン
□音楽:グスターヴォ・サンタオラヤ
キャスト

◆ブラッド・ピット(リチャード)不仲の妻をモロッコ旅行に誘ったのだったが...
◆ケイト・ブランシェット(スーザン)夫のリチャードと旅行に来たが心の葛藤は深く...
◆役所公司(ヤスジロー)聾唖の娘と都内の高層マンションで二人暮しだが妻は?
◆菊地凛子(チエコ)聾唖学校に通う高校生で何かにイライラしている
◆二階堂智(ケンジ)警視庁刑事でヤスジローの妻の死の捜査をきっかけにチエコが好意を寄せる
◆アドリアナ・バラッザ(アメリア)リチャードとスーザンの子供たちの乳母として働く
◆ガエル・ガルシア・ベルナル(サンチアゴ)アメリアの甥で彼女の息子の結婚式に運転手として迎えに来た

【この映画について】
メキシコの名匠、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が放つ世界を舞台にした衝撃のヒューマンドラマ。
アメリカとモロッコを舞台にした場面ではブラピとケイト・ブランシェットが心のすれ違う夫婦役を演じる。メキシコとアメリカでは助演女優賞候補となったアドリアナ・バラッザと「恋愛睡眠のすすめ」が公開中のガエル・ガルシア・ベルナルのいかにもラテン的なノリの演技も注目だ。日本では役所公司と菊地凛子の関係が主だが菊地のセリフの無い演技は見事だ。
モロッコ、メキシコ、アメリカ、日本を舞台に、異なる事件が一本の真実に導かれていく。第79回アカデミー賞において助演女優賞にノミネートされた菊地凛子の存在感のある演技は評価するに値する。昨年の「ブロークバック・マウンテン」に続いて 最優秀作曲賞を受賞したグスタボ・サンタオラヤ のスコアも素晴らしい。
【ストーリー】(ネタバレなし)
【モロッコ】
壊れかけた夫婦の絆を取り戻すためにモロッコを旅をしているアメリカ人夫婦のリチャードとスーザン。二人は家庭での事情から二人の子供をサンディエゴの自宅に乳母とともに預けて旅に来ていた。しかし、リチャードが積極的に誘った旅行もスーザンは気乗りしないまま来ていた。
一方モロッコの険しい山間の村で暮らすアブドゥラはライフルを購入し、自分が留守の間に家畜が狼に殺されないようにこれで見張れと2人の息子アフメッドとユセフに言い残す。
観光客を乗せたバスが山道を走行中、どこからか放たれた銃弾が、スーザンの肩を撃ち抜く。
その銃弾はユセフが試打ちで岩山の頂上から発射した弾丸だったのだが、その銃の持ち主は...。
ツアーガイドの機転で医者のいる村までたどり着くが、応急処置がやっと。彼は英語がなかなか通じない村の住人たち、対応が遅いアメリカ政府に苛立ちを露わにするが…。
【アメリカ、メキシコ】

一計を案じたアメリアは甥のサンチアゴに迎えの車に預かっている二人の子供マイクとデビー
をリチャードには内緒でメキシコへと向かった。
ところが結婚式後にサンチアゴの運転する車で直ちにアメリカへ戻るのだが、披露宴で呑んでいたサンチアゴは国境で事件を起し自分だけ車で逃走しアメリアと二人の子供は砂漠に取り残されるのだが...。
【日本】
同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコは、満たされない日々にいら立ちを感じていた…。父のヤスジローは妻が亡くなった原因が自殺であると主張するが警察は死因に疑問を持ち再三に渡って事情聴取を受けていてイライラしている。
そんな或る日、チエコとヤスジローが住む高層マンションに再び刑事が現れる。それはモロッコでのアメリカ人銃撃事件の銃の所持者がヤスジローだと言うことで捜査の手が日本まで伸びてきたのだった。
チエコはマンションを訪れてきた若い刑事に関心をもち、処女の身を捧げようとするのだったが...。
さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。
1.アブドゥラは一体どういう経緯で銃を購入することになったのか?
2.モロッコ警察の捜査が二人の息子の周辺にも及んできたが一体どう対処するのか?
3.メキシコでの結婚式から帰国する途中での事故でアメリアは一体二人の子供を無事帰宅出来るのか?
4.銃撃されたスーザンの容態は?アメリカ政府は救助に向かうのか?
5.リチャードとスーザンが不仲になったきっかけとは?
6.ヤスジローの銃が何故モロッコでの事件で使われたのか?
7.チエコとヤスジローのお互いの心の葛藤とは?

などを中心に是非映画館でご覧下さい、アカデミー賞を授賞した音楽も素晴らしいのでエンドロール中でも帰らないで最後まで鑑賞しましょう。
【鑑賞後の感想】
長い間公開が待たれて遂に公開され様々な意味で話題を提供した作品だ。まずはキャストの豪華さもあるが、日本が舞台の一部になっており菊地凛子が聾唖者の高校生という難しい役柄を見事に演じた事でアカデミー賞候補になったことが大きな話題を呼んだ。
菊地はセリフが無く(聾唖者だからね)筆談や表情で訴える演技は難しかったと思うが、女子高校生役と言うのはチョッと年齢的に無理があるようだが外国人が見れば違和感ないのかな?
性に関心があるチエコ役では同年代の男性を誘惑したり、真っ暗な自室で全裸になって若い刑事を誘惑するシーンもある。この全裸のシーンは作品の流れとしては、言葉を失っているチエコがその思いを裸になることでコミュニケーションを図ったのだが呆気なく却下されてしまい涙する。
一発の銃弾が世界を駆け巡り、その捜査の過程で日本に波及し留守宅を預かっていたはずの乳母は子供達をその勝手な行動で危機に陥れてしまう。一寸したコミュニケーションの行き違いが、事件にならないはずなのに国家を巻き込んでの事件へと発展してしまう。
「コミュニケーションの難しさ」 を訴えている。タイトルの「バベル」は聖書によると人間が神に近付こうとした罰として言語をバラバラにしたと言うことから、この映画のテーマに相応しいということからこの題になったのだと思う。
そこには 民族、性別、国家、男女、親子のコミュニケーションって何だろう? と投げかけているのがこの映画を観終わった後に感じたことだった。
【自己採点】(100点満点)
81点。 採点が難しい映画だった。全体的に重い空気が漂う映像やストーリーだが、最後まで眠くなる事無く観終える事が出来た。映像と音楽の融合は見事でした。

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Last updated  2007.09.30 21:32:08
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