武田和命は山下さんのところにいましたから、知ってましたけど、正直なところ特別な印象はありませんでした。
でも、リンク先にあったセッションの録音は貴重で、かなり興奮。
そして、このところ、ほとんどジャズを聴いてなかったことに気づかされましたよ。
ウーム……。(~_~;)

(2007.04.27 03:21:44)

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2007.04.26
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カテゴリ: この歌が好きだ!
ジャズを知ったのは大学に入ったときだった。
バレー部の先輩にジャズが好きな人が居て、その人の影響だ。
当時はフュージョンが流行していて、ボブ・ジェームス、アール・クルーとか、日本だったらカシオペアとかネイティブ・サンなどが脚光を浴びていた。

フュージョンも聴いたけど、先輩の影響ですぐに60年代、70年代の所謂モダンジャズと言うのに没頭していった。マイルス・デイビス、ビル・エバンス、ジョン・コルトレーン、キース・ジャレットなどあのあたりだ。
当時は街のあちこちにジャズ喫茶があったし、レコードも中古でかなり安く手に入ったので、有名盤を片っ端から聞いていった。それらのレコードは実家の僕の部屋に置いてあるけど、その中身は殆どを忘れているように思う。

ジャズを聴いていて身に付いたのは、長尺物に慣れたと言うこと。そして一見ノイジーに聞こえる中にもリリカルで美しい音が潜んでいると言うのに気づくようになったこと。静と動のコントラストに気づくようになったこと、今まで気に留めていなかった、ドラムやベースの音に注意を向けるようになったことなどだ。

沢山の作品を聞いているうちに、やっぱり自分はメロディーが美しくてちょっとブルーでリリカルなサウンドが好きなんだと言うことが分かった。メジャーコードよりはマイナーコードの方が好きなのである。華麗なオスカー・ピーターソンのピアノよりは、ビル・エバンスやレイ・ブライアンとが、ソニー・ロリンズよりはスタンゲッツやジャッキー・マクリーンの方が好きだと言うことが分かった。

日本のジャズはと言えば、何の根拠もなくあれは外国のジャズの真似みたいに思っていて、ナベサダの吹くメロディーは美しいなあなどと思いながらも、どっか距離を置いていたのだった。
30歳の頃、大阪でいた頃は既にあまりジャズを聴かなくなっていたけど、偶然に見つけた明田川荘之の エアジン・ラプソディー」
明田川のお父さんが書いた墨絵がジャケットに使われていたんだよね。
エアジンラプソディー

そのアルバムはピアノの明田を中心とする西荻センチメンタルオーケストラと言う集団のアルバムで、その中の表題曲がとても哀愁のあるメロディーで一発でノックアウトを喰らってしまった。
明田の店は中央線沿線沿いにあるのだが、中央線のジャズ!って感じの熱気がアルバムの中でうねっていた。

明田の作品はかなり買い込んだ。エアジン・ラプソディーは何度も再演されていたけど、その都度新しい発見があった。
ああ、日本のジャズも素晴らしいじゃないか。
むしろ自分の琴線に合うのはこちらかも知れないと思い始めた。
そうなると、浅川マキのバックで吹いていた向井滋春のトロンボーンが素晴らしいとか、彼女が歌う 「グッバイ」 と言う曲は、ピアニストの板橋文夫の作品で元々はインストメンタルの曲であって、それは板橋のソロアルバムや、彼がピアノを弾いている森山威男(山下洋輔バンドの初代ドラマー)のコンボで演奏されているとか、その森山の復活作品である「虹の彼方に」には板橋の代表曲である「渡良瀬」が収録されていて、これも美しい曲だとか(ちなみに、板橋の「渡良瀬」と言うアルバムと、森山のアルバムに収録されている渡良瀬は同じ曲なのに全然違う演奏だ)、そんな風にどんどんと広がっていくのが嬉しかったりするのだ。

音楽はどれもそうだけど、僕が素晴らしいと思うのは、美しいメロディーとか感動的な歌詞とかはもちろんだけど、それは単なるきっかけであって、一番感動するのは歌を通して、楽器を通してミュージシャンが自己主張をしながら命を燃え上がらせる瞬間を見ることが出来ると言うことに尽きる。その意味で即興性のあるジャズはそういう瞬間に一番出会いやすい音楽かも知れない。

明田川のアルバムを追いかけているうちに出会ったサックス奏者が武田和命だ。
アケタとの共演アルバムである「アケタ・ミーツ・タケダ」と、新星堂が出した「ジェントル・ノーヴェンバー」は共に素晴らしいアルバムであった。


先日偶然だったけど、武田のDVDが出ると言うニュースをネットで見た。
そんなものがあるのか?と思ったけど、柳川のジャズ喫茶でライブをやったときの様子をそこのマスターがプライベートで録画していたものらしい。
武田のコアなファン以外は買わないのでは?と思うけど。

このDVDを世に出したのは、当時の武田のバンドでピアノを弾いていた渋谷毅さんで(今度春一番にも出るんだよ)、武田と同じく今は亡くなってしまったベースの川端民生さんの映像を残しておきたかったと言うことだ。渋谷さんの努力があって、そのDVDは当時の演奏を集めた「「Old Folks」と言うCDと共に世に出ることになった。
オールドフォークス


機材はデジタルじゃない8ミリだし、部屋の中は暗いし、カメラの前を人が横切ったりするし・・。

ジャズメンが命を燃え上がらせる瞬間が、そしてそれを見守るファンの視線がそのままに封印されているのだ。

いつも書くけど、テレビやラジオ、雑誌などでどんどんと消費される音楽。
コマーシャルやテレビドラマとタイアップしてヒットしていく音楽。
そう言う遠賀にも、もちろん素晴らしいものがある。
しかし、僕らが見過ごしてしまいがちな、こっちから近寄っていかねば決して出会うことの無い音楽にも沢山素晴らしい音楽はあるのだ。

そういうのに出会った瞬間は音楽を聴いていて嬉しいと思う瞬間である。

武田和命

このDVDと武田さんの想い出を熱く語ったブログはここ










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Last updated  2007.04.27 01:05:27
コメント(10) | コメントを書く


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もう戻れない時間  
東京タワコ  さん
池袋の映画館であったイベントに 浅川マキがきていたな。あの時は 今の夫と一緒だった・・・

ジャケットの絵は いいですね=確かにいい絵です。

レコードショップをやっていた古い友人のために 夫が店の袋のデザインをやってあげたっけ。
あの店は どうなっただろう・・・
Dr、時々タイムスリップさせてくれるね。
もう戻れない時間に。 (2007.04.27 01:19:10)

Re:武田和命のDVD(ライブat柳川ファンクール)~ジャズと出会った頃(04/26)  
aoeiu  さん

Re:武田和命のDVD(ライブat柳川ファンクール)~ジャズと出会った頃(04/26)  
のどまる。  さん

えへへ(気持ち悪)
ジャズは特には聴かないんです。
興味はあるんですが
入り口が見つからなくて。

でも、ボンボンバボン・・って感じが好きなので
ジャズに限らず何か音楽が流れてきたときに
ボンボンバボンがいいなぁ~と思うと
「ねぇねぇこれいい曲だね、ほらボンボンバボン~♪」
と訴えると、私の濁声でメロディが聴こえない息子に嫌な顔されます。
もう~このボンボンバボン、7才にはわからないかなぁ。
このおいしいところ。
裏方に見えて実は役に立ってるぅ~実は裏方なんじゃなくて味そのもの!
ってところがさ、ふんふん。
合唱でアルト時代に先生に刷り込まれたのが効いてるようなんです。

バンバンボボン♪
ボンバボンバボン♪

(2007.04.27 07:39:26)

東京タワコさん  
Dr.悠々  さん

>池袋の映画館であったイベントに 浅川マキがきていたな。あの時は 今の夫と一緒だった・・・

→タワコさん、渋い青春を送っていたのね。マキさんのライブ、一度でいいから見たいなあ。
ところで、今の夫と言う表現に引っかかったのですが、前の夫が居たのか??

>ジャケットの絵は いいですね=確かにいい絵です。

→結構多方面に才能を発揮した人みたいです。

>Dr、時々タイムスリップさせてくれるね。
>もう戻れない時間に。

→はい、もう戻れません。
(2007.04.27 17:41:13)

aoeiuさん  
Dr.悠々  さん

>武田和命は山下さんのところにいましたから、知ってましたけど、正直なところ特別な印象はありませんでした。
>でも、リンク先にあったセッションの録音は貴重で、かなり興奮。

→でしょ。この管理人もかなりの癖のある人とみた。

>そして、このところ、ほとんどジャズを聴いてなかったことに気づかされましたよ。
>ウーム……。(~_~;)

→中島みゆきの次は、ジャズメンで行きますか?
(2007.04.27 17:42:08)

のどまる。さん  
Dr.悠々  さん

>えへへ(気持ち悪)
>ジャズは特には聴かないんです。
>興味はあるんですが
>入り口が見つからなくて。

→では、このあたりを入り口にしてください。
でも、ちょっと一般的じゃないかな。

>でも、ボンボンバボン・・って感じが好きなので
>ジャズに限らず何か音楽が流れてきたときに
>ボンボンバボンがいいなぁ~と思うと
>「ねぇねぇこれいい曲だね、ほらボンボンバボン~♪」
>と訴えると、私の濁声でメロディが聴こえない息子に嫌な顔されます。
>もう~このボンボンバボン、7才にはわからないかなぁ。

→それって、ひょっとしてベースの事ですか?

>合唱でアルト時代に先生に刷り込まれたのが効いてるようなんです。

→おお、のどまるさんも合唱部だったのね。
またもや共通点。
(2007.04.27 17:43:42)

Re:武田和命のDVD(ライブat柳川ファンクール)~ジャズと出会った頃(04/26)  
渾身の文章ですね。ジャズは初めて聴いた頃とにかく長くてどの曲聴いてもおんなじように感じたものでした。いま思えば暗いメロディばっか浴びていたのかも知れません。おいら的にはジャズはスィングとビ・バッブです。

>僕らが見過ごしてしまいがちな、こっちから近寄っていかねば決して出会うことの無い音楽にも沢山素晴らしい音楽はあるのだ。

しびれますね。
日本人では本田タケヒロが当時好きだったのかな。 (2007.04.28 10:05:29)

Re:武田和命のDVD(ライブat柳川ファンクール)~ジャズと出会った頃(04/26)  
確か49歳だったと思います。
本田竹広氏も1年前に亡くなりました。
残念無念なことでございます。
僕はこういう人々の音楽でジャズにはまりましたので。
(マイルスもコルトレーンもチャーリー・パーカーも渡辺貞夫の後)
そうだ。京文センターで向井滋春氏を聞いた時のショックからだった。
中3でした。 (2007.04.28 12:25:49)

ジョンリーフッカーさん  
Dr.悠々  さん

>渾身の文章ですね。ジャズは初めて聴いた頃とにかく長くてどの曲聴いてもおんなじように感じたものでした。いま思えば暗いメロディばっか浴びていたのかも知れません。おいら的にはジャズはスィングとビ・バッブです。

→僕と好みはちょっと違いますね。

>しびれますね。
>日本人では本田タケヒロが当時好きだったのかな。

→本田さんは、武田さんの居たバンドのバンマスだったらしいです。今頃天国で仲良くセッションしてるのでは?
(2007.04.28 16:55:29)

誰やねんっ20号さん  
Dr.悠々  さん

>確か49歳だったと思います。

→4と9、やっぱり鬼門なのね、その数字は。

>本田竹広氏も1年前に亡くなりました。
>残念無念なことでございます。

→武田さんのバンドのバンマスだったらしいね。

>僕はこういう人々の音楽でジャズにはまりましたので。
>(マイルスもコルトレーンもチャーリー・パーカーも渡辺貞夫の後)
>そうだ。京文センターで向井滋春氏を聞いた時のショックからだった。
>中3でした。

→あらまあ、早い洗礼で。
そうやってごった煮の土壌は形成されたのね。
(2007.04.28 16:57:42)

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