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第3章 執行文等1 執行文初めの頃に,不動産の強制競売手続には債務名義と執行文が必要と申し上げましたが,債務名義についてのみお話していました。今回は,執行文についてお話します。基本的には,債務名義には執行文が付与され,特に難しいことはありません。(執行文の付与) 第二十六条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。 2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。 結局,執行文とは,債務名義の確認みたいなものです。平たい言葉で言うと,「これはちゃんとした債務名義だから,執行していいよ」と確認する文が執行文と言っていいでしょう。しかし,引換給付判決(=「○○と引換えに、××円を支払え」と言う判決)のように,一定の条件さえ満たせば執行できる場合があります。この場合は,単に債務名義を提出するだけではダメで,条件を満たしたことを立証しないと執行文を付与してくれません。これを条件成就執行文と言います。第二十七条 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。また,原則として債務名義に書かれた人の物でなければ,強制執行出来ません。あなたが,清水君に裁判して勝訴したからといって,原則として三島さんの物に強制執行できないのはご理解いただけるでしょう。ですが,民事執行法23条の場合には,強制執行できます。(強制執行をすることができる者の範囲) 第二十三条 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。 一 債務名義に表示された当事者 二 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人 三 前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては、口頭弁論終結後の承継人) 2 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。 3 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。 この辺の理論は難しいところですが,大雑把に言うと,裁判後に登場した人や裁判するまでも無い人には強制執行しても良いという考えなのです。そこで,民事執行法23条に定められている場合に当たると認められる場合には,他人の物になっていても執行文が付与されます。これを承継執行文と言います。民事執行法27条2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。今回は法律用語が多く,お疲れになったと思います。以前の記事をご覧になりつつ,お読みいただければ幸いです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年10月31日

橋下弁護士がご自身のブログで以下のようにお書きになっています(緑字部分が引用です)。皆さんがタクシーに乗って,運転手に不快な思いをさせられたらどうします?銀行の受付窓口で不快な思いをさせられたら?こりゃひでーなーという広告を見たら?食品を買って何か異物が入っていたら?まずは,そのタクシー会社や銀行,広告主,販売業者にクレームを入れるでしょ?そしてそのタクシー会社,銀行,広告主,販売業者の対応もふざけてるなって思ったら?そしたら,タクシー業界,銀行業界,広告主や販売業者が属する業界を監督する監督官庁(国・行政)に苦情を入れるでしょ?個人的に言えば、お店に苦情を入れたことはあっても、監督官庁に苦情を入れたことは無いので、「監督官庁(国・行政)に苦情を入れるでしょ?」と言われても「そうかなぁ」という気がしますが、私が個人的にそこまでしないだけかも知れないので、いいでしょう。さて、本題です。橋下弁護士は、「タクシー会社,銀行,広告主,販売業者への苦情」と「監督官庁への苦情」を同列に論じておられるのですが、ここはいかがなものかと思います。これでは、「監督官庁への苦情」は、「タクシー会社,銀行,広告主,販売業者への苦情」より地位が上の人に苦情を言うだけのような印象を読者様に与えるでしょう。しかし、「タクシー会社,銀行,広告主,販売業者への苦情」と「監督官庁への苦情」は性質が違います。「タクシー会社,銀行,広告主,販売業者への苦情」は法律に関係なく苦情を言っているので、事実行為(=法律とは無関係の行為)としての私的な処分を求めるわけですが、「監督官庁への苦情」は法律に基づく行政処分を求めて苦情を言っているわけです。行政処分と言うのは、飲食店が食中毒を出した時にニュースになる「○○法に基づく、X日間の営業停止処分」とか、英会話学校で問題になった「新規契約締結禁止処分」等の公的処分です。そして、弁護士会による懲戒処分も行政処分なのです。つまり、懲戒請求と言うのも「弁護士に懲戒処分を下してくれ」と求める行為となります。さて、お聞きしたいのですが、タクシーに限らず、監督官庁がある職業に従事されている方で、「気に食わない」程度の苦情で何らかの行政処分を受けたと言う方はおられますか?私は聞いたことが無いです。(ひょっとしたら私の調査不足かも知れませんので、もし、「気に食わない」程度の苦情で行政処分を受けた方がいらっしゃいましたら、お知らせください。直ちに謝罪訂正致します。ただ、必ずソースと共にお知らせ願います。たまに、ソース無く書き込みをされる方が居て、私が「ソースを教えてください」と返信すると、それっきりお返事をいただけなくなる方がいらっしゃいますので、よろしくお願いします。)以上で分かり頂けるとおり、事実行為としての苦情と、行政処分を求めることとはレベルも重さも違います。橋下弁護士が事実行為と行政処分を同列に論じておられる点については、首をかしげたくなります。「応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2007年10月30日

第2章 6債権執行6保全以上が債権執行です。債権執行の場合でも,やはり財産隠しはありえます。別の人に支払ってしまったり,財産隠ししたりすることはあるのです。ということは,不動産の場合と同じく,民事保全法が必要となります。では,民事保全法による仮差押をしたらどうなるでしょうか。もちろん,勝手に取り立ててはいけない,変な人に弁済してはいけないと言う効果はあります。ただ,一旦仮差押を受けた以上,誰かには支払うことになります。今までの例で言えば,あなたが,清水君の三島さんに対する800万円に仮差押をかけたら,三島さんはいずれ誰かには800万円を支払うことになるのです。いずれ誰かに支払うのなら,さっさと支払ったことにしたいはずです。そこで,仮差押を受けても供託をすることは出来ます。以上が債権執行における保全手続です。今日は短いですが、ここで終わりにします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年10月30日

第2章 債権執行5 譲渡命令・売却命令債権と言うのは,「お金等を支払え」と人に請求できる権利と申し上げました。ですから、厳密にはお金以外でも何かを請求する権利全般を債権と言います。例えば,ゴルフをさせろと請求する権利,つまりゴルフ会員権も債権なのです。そして,債権執行は,ゴルフ会員権のような,お金以外を請求する権利についても執行できます。しかし,ゴルフ会員権を根拠にしても,ゴルフ場がお金を支払ってくれるわけではありませんので,直接取立ては出来ませんし,転付命令も出来ません。(転付命令は理論上出来そうな気がしますが,ゴルフをさせろと請求する権利自体は金銭ではないので,いくらを弁済したことになるか分からず,転付命令に向いていません。)そこで,ゴルフ会員権を一旦金銭にかえる必要があります。これを,譲渡命令・売却命令と言います。あなた自身が買い取ることを譲渡命令,競売にかけることを売却命令と言います。(譲渡命令等) 第百六十一条 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。 (以下省略)今では,ゴルフ会員権のみならず,知的財産権に対する強制執行として譲渡命令・売却命令が使えるのではないかと期待されているそうです。(その他の財産権に対する強制執行) 第百六十七条 不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年10月29日

第2章 債権執行4 転付命令今まで,債権執行のお話をしてきましたが,全て債権(=人に「お金等を支払え」と言える権利)を直接取り立てる制度を前提にしてきました。」しかし,もっと他の手段は無いものでしょうか。そこで,「転付命令」と言う言葉をお聞きになったことはありませんか?実は,この「転付命令」も債権執行の一つなのです。転付命令とは,お金の替わりに債権そのものを受け取って支払を受けたことにする制度です。いわば,債権を代物弁済として受け取る制度です。(転付命令) 第百五十九条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。 (以下省略)(転付命令の効力) 第百六十条 差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。 例えば,今までの例のように,あなたが清水君に1000万円を貸していて,清水君が三島さんに800万円を貸していたとします。ここで,あなたが直接800万円を三島さんから取り立てるのが前回までの債権執行です。そうではなく,あなたが800万円の債権を,債権のまま受け取るのが転付命令です。この場合,あなたは三島さんに対して800万円を請求し,清水君には残り200万円しか請求できなくなります。万一,三島さんが破産しても,清水君に「800万円をとりはぐれたから,800万円返せ」ということは出来ません。そうなると,一体何のために転付命令があるのかとお考えでしょう。転付命令の利点は,現金のやり取りをせず,安全と言う点にあります。ただし、とりはぐれのリスクを抑える為,転付命令は銀行預金など,とりはぐれが起きにくい場合に用いられることが多いと聞きます。例えば,あなたが清水君に1000万円を貸していて,清水君が○○銀行に800万円の預金をしていたとします。この場合も,清水君は○○銀行にお金を貸しているのと同じですから,清水君は○○銀行に800万円の債権があることになります。そして,銀行が破産することなど考えにくいですから,あなたは○○銀行から直接取り立てるのではなく,転付命令を受けても良いということになります。 以上が転付命令のお話です。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年10月28日

3 早い者勝ちさて,前回は配当供給や供託のお話をしたので,不動産と同じように,公平な分配が図られるとお考えになったかもしれません。もちろん、昨日申し上げましたとおり、法律は配当要求という制度を準備して公平な分配を目指しています。(配当等を受けるべき債権者の範囲) 第百六十五条 配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者とする。 一 第三債務者が第百五十六条第一項又は第二項の規定による供託をした時 二 取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時 三 売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時 四 動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時 このように,一番初めに強制執行手続を採った人でなくても配分を受けられます。しかし,実は,公平な分配が図られるのは,強制執行手続が始まってからのお話なのです。当たり前じゃないかとお考えでしょう。何を申し上げたいかと言いますと,今までのお話は,全て強制執行手続が始まったあとの話でした。実は,債権の場合は,債権を取り立てられる側は強制執行手続によらなくても支払ってしまうことが十分ありえます。今までの例で言えば,強制執行手続に入る前に草薙氏が三島さんに直接取立てに行って,三島さんが草薙氏に支払ってしまうことはありえます。この場合,清水君の三島さんに対する債権は消滅しますから,あなたが強制執行手続を採ろうとしても,差し押さえるべき債権がありません。なので,あなたは債権執行できなくなります。これはどうしようもないとされていますので,ご注意ください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストとは思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年10月27日

第2章 債権執行2 配当要求と供託前回,債権執行の基本のところをお話しました。では,あなた以外に清水君にお金を貸している人が現れたらどうなるでしょうか。例えば,草薙氏も「実は自分も清水君にお金を貸していた」と言う場合,草薙氏はどういう手段をとるのでしょうか。これは,不動産の時と同じで,草薙氏は配当要求できます。(配当要求) 第百五十四条 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。 (以下省略)以上が,お金を貸した側から見た債権執行です。では,取立てを受ける三島さんの側から見てみましょう。三島さんからすれば,確かに清水君から800万円を借りたものの,あなたとは全く無関係なのです。三島さんは,あなたから「債権執行するから800万円支払え」と言われても,びっくりしてしまうし,不安のあまり支払をためらうかも知れません。そこで,三島さんのために,「供託」と言う制度があります。供託と言うのは,供託所という公的な機関にお金を支払えば,法的にはちゃんとした人に支払ったとみなしてくれる制度です。つまり,三島さんは,不安だったら供託所に800万円を供託すれば,ちゃんと800万を支払ったことになります。(第三債務者の供託) 第百五十六条 第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。 (以下省略)条文上も「できる」とあるとおり,三島さんは供託してもしなくてもかまいません。ただし,草薙氏が登場した場合は,どう配分していいか揉めないように,必ず供託しなくてはなりません。例えば,あなたの知らないうちに草薙氏が勝手に取り立てて,草薙氏の都合の良いように配分されたら,あなたは困りますよね。ですから,三島さんは必ず供託しなければなりません。民事執行法第百五十六条2 第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。今回はこのくらいにしましょう。応援してくださる方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストとは思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年10月26日
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第2章 債権執行1 債権取立て前回までで,不動産強制執行のお話が終わりました。次に債権執行についてお話します。債権とは,人に「お金等を支払え」といえる権利のことです。例えば,あなたは清水君に1000万円を貸したとします。その後,清水君はお金を返せなくなり,ろくな不動産もありませんでしたが,清水君は三島さんに800万円を貸していてそのままだったことが分かりました。このとき,清水君は三島さんに800万円の債権があることになります。そして,債権だって財産ですから,清水君に不動産の無い今,あなたはこの800万円の債権から取り立てたいと思うはずです。この,債権の強制執行を「債権執行」と呼びます。まず,不動産と同様に考えれば,債権を競売にかけることになります。しかし, 800万円の債権はどう頑張っても800万円の価値しかありません。不動産のように元値より上がることは稀ですし、元値より極端に下がることもあまりありません。と言うことは,競売はあまり意味が無さそうです。実際やってやれないことは無いそうですが、ほとんど債権の競売はしないそうです。そこで,別の方法を考えましょう。三島さんは,誰に払ったって変わりませんから,清水君の替わりにあなたに支払っても何も損はしません。ですから,あなたが直接取り立ててしまってもいいような気がします。そこで,法律も,直接取り立てることを認めていますし、もし支払を拒んだら訴訟提起することも認められています。(差押債権者の金銭債権の取立て) 第百五十五条 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。 2 差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。 3 差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。 (取立訴訟) 第百五十七条 差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。 2 前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。 3 取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。 4 前条第二項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。 5 強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。 これが,債権執行の基本となります。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストとは思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のバナーをクリックしてください。
2007年10月25日
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前回までは,いわば不動産強制競売申立の段階の話でした。そこで,今回は申立後のお話を致します。今回は条文だけです。不動産強制競売申立が認められると,強制競売開始決定が下されます。(開始決定等) 第四十五条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。 (以下省略)その後,不動産が差し押さえられます。これは,民事保全法の仮差押ではなく,仮で無い差押えなので,本差押と言うことも有ります。(差押えの効力) 第四十六条 差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。 2 差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。 差押後,調査が行われます。(現況調査) 第五十七条 執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。 (以下省略)調査後は,売却されます。(売却の方法及び公告) 第六十四条 不動産の売却は、裁判所書記官の定める売却の方法により行う。 ちなみに,買受人は代金を支払った時に所有権を取得します。民法と違い,代金支払が所有権取得の要件になっているのに注目です。(不動産の取得の時期) 第七十九条 買受人は、代金を納付した時に不動産を取得する。 しかも,登記は裁判所書記官の方がやってくれます。(代金納付による登記の嘱託) 第八十二条 買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、次に掲げる登記及び登記の抹消を嘱託しなければならない。 (以下省略)しかし,万一誰かが居座っていたら,さらに引渡命令という別の手続が必要になります。(引渡命令) 第八十三条 執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない。 (以下省略)このせいで,裁判所の競売物件はうかつに手を出すと怖いと言われるゆえんかも知れません。そして,売却金を配当します。(配当等を受けるべき債権者の範囲) 第八十七条 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。 一 差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。) 二 配当要求の終期までに配当要求をした債権者 三 差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者 四 差押えの登記前に登記(民事保全法第五十三条第二項 に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。) ※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストとは思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のバナーをクリックしてください。
2007年10月24日
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4 無剰余取消※今回から試しに、法律に興味を持ってくださった方が、より深い勉強が出来るような本をご紹介することにしました。私は、アフィリエイトというだけで毛嫌いしていましたが、友人に「参考となる本を紹介するくらいはいいのでは?」という助言を受けたためです。ですから、私といたしましては、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストとは思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。前回までは,債権者つまり,お金を貸した人が1人の場合を想定して来ました。では,複数居る場合はどうでしょうか。答えは単純で,差し押さえた不動産の売却して,売却金額を債権者みんなで分け合います。(配当等を受けるべき債権者の範囲) 第八十七条 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。 一 差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。) 二 配当要求の終期までに配当要求をした債権者 三 差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者 四 差押えの登記前に登記(民事保全法第五十三条第二項 に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。) つまり,債権者のうち1人でも強制執行の手続をしたら,債権者みんなが強制執行手続に巻き込まれるというわけです。厳密に言うと,配当要求が必要な場合もありますが。(配当要求) 第五十一条 第二十五条の規定により強制執行を実施することができる債務名義の正本(以下「執行力のある債務名義の正本」という。)を有する債権者、強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者及び第百八十一条第一項各号に掲げる文書により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。 2 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。 まあ,当たり前じゃないかと思われるでしょう。ですが,これだと一つ問題が出来ます。不動産の値段は変動しますので、不動産の価格が安く、今このタイミングでは強制執行したくないと考える債権者が居る場合がありえます。さてこの場合はどうすればいいでしょうか。まず,強制執行を申し立てた債権者にお金が入る場合には,強制執行を認めるべきでしょう。しかし,強制執行を申し立てた債権者にお金が入らない場合には,申し立てた債権者に何の利益も無く,ただの嫌がらせなので強制執行を認めるべきでないと言えます。これを無剰余取消といいます。ここまでご説明すると,「さっき『売却金額を債権者みんなで分け合います』って言ったのに,債権者にお金が入らない場合なんてあるの?」と疑問に思われるでしょう。これは,抵当権を持っている債権者と持っていない債権者が居る場合に起こりえます。抵当権というのは,優先的に借金を返してもらえる効果もあります。例えば,清水君の家は7千万円で,清水君に1億円を貸した三島さんは抵当権を持っていて,清水君に2億円を貸した草薙氏は抵当権を持っていないとします。この場合,三島さんは抵当権の効力で,草薙氏より優先的に売却金額を受け取れるので,家が7千万円で売れた場合,三島さんが7千万円全額を受け取り,草薙氏は1円も受け取れません。こうなると,三島さんは,本当は家が値上がりするまで待っていたいのに,7千万円を受け取っただけで抵当権を失ってしまいます(抵当権を失うだけで,残り3千万円の権利まで失うわけではありませんが,家を売られるような状況にある清水君が3千万円を支払える可能性は0に近いので三島さんは嫌がります。)なので,こういう場合,草薙氏は強制執行を申し立てることが認められないのです。(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置) 第六十三条 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。 一 差押債権者の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。 二 優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないとき。 【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のバナーをクリックしてください。
2007年10月23日
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第1章 不動産強制競売3 仮差押前回までで,不動産強制競売についての概要が終わりました。しかし,いくら不動産強制競売手続があっても,財産隠しをされたら意味がありません。一番ポピュラーなのは,ほとぼりが冷めるまで誰かに不動産を譲渡して,強制執行を免れるという方法です(これは一歩間違えると犯罪なのですが,切羽詰るとやってしまう人がいるそうです)。そこで,財産隠しを防止する手続を採りましょう。それが,民事保全法にもとづく仮差押えです。(申立て及び疎明) 民事保全法第十三条 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。 (仮差押命令の必要性) 民事保全法第二十条 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。 条文自体は単純ですね。「仮差押して」と申し立てて,裁判所が認めてくれれば「仮差押命令」が下りるという仕組みです。そして,仮差押命令が下ると,たとえ不動産が他人に渡っても,本人の物として強制執行できます。例えば,借金1000万円を背負った清水君の家に仮差押をかけると,その後に清水君が三島さんに家を譲渡しても,あなたは譲渡された家を清水君の物として強制執行できます。ところで,仮差押は弁護士の仕事の中で大変な物の一つらしいです。何せ,仮差押に失敗すれば強制執行が無意味になり,依頼者を泣かせることになります。ですから,かなりの迅速性が求められます。もし,財産隠しされるかもしれないギリギリの段階で「先生,仮差押してください」なんて弁護士事務所に飛び込んだら,その日弁護士先生は徹夜になります。ですから,仮差押する状況になりそうなら,余裕を持って弁護士に相談してくださいね。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年10月22日
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2 抵当不動産の場合 前回は,債務名義と執行文があれば不動産の強制執行が出来ると申し上げました。 ここで,ある疑問を持つ方もおられるでしょう。 「債務名義と執行文があればいいなら,『不動産を抵当に入れる』というのは何のためにするの?」「抵当権って何のためにあるの?」という疑問を持つ方がおられるのではないでしょうか。 実は,抵当権を設定し登記すると,債務名義も執行文もいらずに,強制執行できてしまいます。 (不動産担保権の実行の開始) 第百八十一条 不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。 (中略)三 担保権の登記(仮登記を除く。)に関する登記事項証明書 (以下省略)登記事項証明書というのは,昔で言う登記簿謄本であって,登記所に行けば発行してくれます。裁判する必要がありません。ですから,前回「公正証書に注意」と申し上げましたが,抵当権にも十分注意した方がいいかも知れませんね。さて,これで大体不動産強制競売がどういう条文に基づいて行われるかご理解いただけたと思います。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年10月21日
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1 債務名義強制執行というと,不動産がメジャーな気がします。 ドラマでは,「借金が返せなくて自宅が差し押さえられた」なんてシーンがありますよね。 そこで,不動産の強制競売についてお話したいと思います。 強制執行が出来ること自体は,民法にも定めがあります。(履行の強制) 民法第四百十四条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。 ですが,どういう手続かは民法に書いていません。そこで,民事執行法を見てみましょう。(強制執行の実施) 民事執行法第二十五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。(以下省略)強制執行は「執行文の付与された債務名義」が必要ということらしいです。ですが,「執行文」も「債務名義」も良く分かりません。これらは一体なんなのでしょう。まず,債務名義は民事執行法22条に定めがあります。(債務名義) 第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。 一 確定判決 (中略)五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。) (以下省略)1号がメジャーなので,1号をまずご覧下さい。「確定判決」とあります。「確定判決」をイメージ的に言うと,裁判で勝ったことの証明書です。つまり,強制執行したければ,民事訴訟法に基づいた裁判などが必要ってことです。ただし,5号にも要注意です。一定の要件を満たした公正証書も「債務名義」になりえます。 つまり,一定の要件を満たした公正証書は,裁判をやったのと同じ効果を持つということです。「公正証書なんて一生触るつもりがないよ」と思う方もおられるでしょうが,とある家庭教師派遣会社の契約書には「○○という場合には公正証書を書きます」などというとんでもない文言が入っていました。また,有名な金融漫画「ナニワ金融道」では,何も知らない客に公正証書を書かせて,裁判もせずに強制執行を迫るシーンもありました。このように,実は皆さんの身近に公正証書があります。くれぐれも注意してください。「執行文」については,ちょっと難しいのでまたの機会にします。今回は,「債務名義」が何なのかをご理解いただければ十分です。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年10月20日
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第0章 民事執行保全法の重要性突然ですが,今日から民事執行法・民事保全法の話をしたいと思います。さて,何で民事執行法・民事保全法が必要なのでしょうか。あなたが,清水君に1000万円を貸したところ,清水君は返してくれません。その場合,どうしますか?まずは,「貸したお金を返してくれ」と清水君に請求するでしょう。この請求は,法的に言うと,民法の消費貸借契約に基づく要求です。つまり,一番初めは民法の適用によって解決を図ります。 しかし,民法で出来るのは要求までです。清水君が「払わない」と言えばそれまでです。「払わない」と言われたら,どうしますか?裁判所に訴えることになります。この場合,民事訴訟法に基づいて裁判が行われます。つまり,民法で埒があかない場合,民事訴訟法の適用によって解決を図ります。ということは,民法と民事訴訟法さえあれば,あなたは貸したお金が返ってくるのでしょうか。 実は,必ずしもそうではありません。裁判によって得られるのは,「1000万円を支払え」という判決書だけです。もちろん,裁判で負ければ観念してお金を支払うのが普通ですが,裁判で負けてもなお「払わない」と言われたら,民事訴訟法の範囲ではどうしようもありません。 そこで,「払わない」と言われても,公権力によってお金を強制的に取り立てる法律が必要となります。その強制的に取り立てる法律こそが,民事執行法です。時系列的に言うと,民法→民事訴訟法→民事執行法という流れで適用するべき法律が変わります。さて,民事執行法さえあればお金が戻ってくるのでしょうか。実は,世の中にはすばしこい人がいるもので,訴えられそうになったら財産を隠してしまう人が居ます。財産を隠されたら,たとえ公権力を行使して取り立ててもらおうと思っても無意味になります。無いものは取り立てようが無いからです。例えば,民事執行法の適用によって,清水君の銀行口座を差押えることは可能ですが,その残高が0円だったら無意味ですよね。ですから,訴える前に財産隠しに対応した手段が必要です。その財産隠しに対応する手段を定めた法律が,民事保全法です。このように,民事執行法・民事保全法は,重要なのです。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年10月19日
橋下弁護士がご自身のブログで以下のようにお書きになっています。なお,懲戒請求を維持するかどうかは,本ブログでの僕の意見や今枝弁護士に訴えられている僕の裁判での答弁書などを参考にじっくりと検討の上,皆さんのご意思で判断して下さい。ある意味、至極当然なことをおっしゃっているとは思います。しかし、テレビでの発言だけを聞けば、懲戒請求は簡単に出来るという印象を与えたと思います。少なくとも、「じっくり検討」して懲戒請求をしなければならないと言う印象を持った方は少ないはずです。もし、橋下弁護士の発言によって懲戒請求する気になった方がおられた場合、その方に失礼な気がします。大体、「懲戒請求制度が全く整備されていない」とおっしゃるのもどうかと思います。橋下弁護士は、ご自分ですら「全く整備されていない」と考えている懲戒請求制度をテレビで紹介したというのでしょうか。あと、「懲戒請求者の請求が民事上違法となり,損害賠償請求の対象となり得るという最高裁の裁判例が一番悪い。」と言う部分も気になります。確か橋下弁護士は、平成19年4月24日の最高裁判決と本件とは事例が違う旨を主張されていたので、この主張からすれば、最高裁判決は何も悪くないはずです。ひょっとして、本件の懲戒請求も違法になりうることを認識されているのでしょうか。善意に解釈すれば、「本来、私(=橋下弁護士)の判例の解釈が正しいのだが、いろいろと解釈できてしまうような判決を出すのが悪い」とも読めないことは無いですが、どうでしょうね。ちなみに、懲戒請求者が、懲戒請求制度において当事者ではないと言うのは、橋下弁護士のおっしゃる通りだと思います。しかし、懲戒請求をめぐる民事訴訟においては、懲戒請求者は当事者です。つまり懲戒請求をした時点で懲戒請求者は、自分から今枝弁護士らに法的紛争を仕掛けたことになります。いわば、自分から法律の土俵に乗ったわけです。自分から法律の土俵に乗った以上、「素人だから」とか「法律を知らないから」と言う言い訳は通用しないでしょう。これらの疑問が今後解消されることを期待します。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年10月18日
光市事件の今枝弁護士が、懲戒請求した人に求釈明書を送付したそうです。求釈明と言うのは「釈明を求める」と言うことであり、平たい言葉で言うと、「もうちょっと説明してくれ」と言うことです。今枝弁護士が求釈明書を送付したことを指して「脅迫」だとおっしゃる方もおられます。確かに、表向きは求釈明書ですが、「ちゃんと説明できなければ損害賠償請求するよ」と遠まわしに表現しているとも読み取れなくはありません。しかし、前にも申し上げたとおり、懲戒請求は弁護士の職を失わせかねない強力な手段なのです。弁護士にそのような強力な手段を用いておいて、いざ自分が損害賠償請求されそうになったら、「脅迫」と言い出すのはどうかと思います。大体、ちゃんとした懲戒請求をした人にとっては、裁判所で釈明する手間が省けて好都合だと思います。第一、その気になれば、今枝弁護士は求釈明書を送付せずにいきなり訴訟提起できるのですから、求釈明書を送る方がむしろ良心的だと思います。橋下弁護士は、求釈明書について無視してかまわないとおっしゃっていますが、橋下弁護士は懲戒請求者の訴訟代理人になってくれるわけではないので、無視しない方が良いと思います。今後、橋下弁護士がブログで、無視してよい理由をお書きになるそうですが、たとえその理由が筋の通った素晴らしいものであっても、訴えられて応訴するのは懲戒請求した人本人ですからね。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年10月12日
(株式の引受人の権利) 第五十条 発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。 2 前項の規定により株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。 払込時ではない。(引受けの無効又は取消しの制限) 第五十一条 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九十三条 ただし書及び第九十四条第一項 の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。 2 発起人は、株式会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。 発起人といえども、成立前なら民法95条・96条の適用の余地がある。
2007年10月02日
(設立時役員等の選任の方法) 第四十条 設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。 過半数であって、3分の2ではない。第四十六条 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。 一 第三十三条第十項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。 二 第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。 三 出資の履行が完了していること。 四 前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。 2 設立時取締役は、前項の規定による調査により、同項各号に掲げる事項について法令若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、発起人にその旨を通知しなければならない。 通知義務を負うのは、設立時監査役だけではない。
2007年10月01日
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