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破産法編 第1章 破産法の役割さて,今回から破産法です。そもそも,破産法の役割って何でしょうか。債務者(=お金を借りた人)の借金をチャラにするのが役割ですか?まあ,事実上そういう役割を果たしていることは否定できません。実際,破産手続開始決定の申立をすれば,免責許可(=借金をチャラにすること)の申立をしたものとみなされます。(免責許可の申立て) 第二百四十八条 個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては、破産者。第四項を除き、以下この節において同じ。)は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に、破産裁判所に対し、免責許可の申立てをすることができる。 (中略)4 債務者が破産手続開始の申立てをした場合には、当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなす。ただし、当該債務者が破産手続開始の申立ての際に反対の意思を表示しているときは、この限りでない。 ですが,前回,「倒産法が無いと債権者(=お金を貸した人)が困る」と申し上げましたとおり,破産法のもともとの主旨は,債権者保護のためにあります。もちろん,債権者としてはお金を満額返してくれるのが一番ですが,どうしても返せなくなったら,早く破産してくれる方がマシな場合もあります。破産せずにいたら,変な業者に強制執行されていて,取り立てようが無くなったなんて場合もありますし,破産すると公的に支払えないことが認定されて,債権者としても損金処理が出来,返ってこない分は税金が少し安くなるらしいです。ということで,破産は債権者のためにもあるということをご理解いただきたいと思います。以前何か不祥事を起こした会社の社長が自己破産をしたというニュースが流れた時,「無責任だ」という声があがりましたが,必ずしも無責任ではなく,破産しない方がむしろ無責任な場合もありうるのです。ということで,破産法の役割は以上です。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】倒産法第2版この本は、倒産法の体系マスターとでも言うべき本です。伊藤塾の本らしく、語り口がやわらかくてとっつき易い本です。
2007年11月29日

第0章 倒産法なんて怖くない!今日から,倒産法に入ります。まず,そもそも倒産法とは何かと言うところからご説明します。倒産とは,会社が潰れるという状態をさしますが,実は,倒産法という法典はありません。一般には,破産法・民事再生法・会社更生法等の倒産にまつわる法律を総称して,「倒産法」と言います。ちなみに、例の英会話学校の場合は、はじめ会社更生手続に入りましたが、後に破産手続に移行しました。このように、複数の倒産法が用いられる場合もあります。ですから,「会社が倒産した」という場合,会社が「破産手続開始決定を受けた」「民事再生手続開始決定を受けた」「会社更生手続開始決定を受けた」などとあらゆる可能性があります(なお,私的整理をして会社をたたむことや,何の手続も無く経営者が夜逃げすることも「倒産」と呼ぶことが多いようです)。必ずしも,倒産=破産ではないことにご注意ください。さて,そもそも一体何故倒産法が必要なのでしょうか。倒産法が無くても以前お話した民事執行法・民事保全法によってお金を取り立てることは可能なので別に倒産法が無くても余り困らないような気がするかも知れません。しかし,民事執行法・民事保全法はあくまで個人的な取立て方法なのです。いつ,どの財産に民事執行をかけるかは自由です。自由ということは,逆に言うと,早い者勝ちの要素が出てしまうということです。もちろん,配当要求などである程度は公平が図られますが,それでも限界があります。また,いくら早い者勝ちだからといって,例えば給料が遅配になったときに(給料遅配は倒産の前兆です),直ちに民事執行手続に出る人はほとんど居ないでしょうし,仮に民事執行したいと思っても,手続が面倒臭く,個人でやるには時間も費用もかかります。ですから,民事執行法・民事保全法も万全ではないのです。これに対し,倒産法に基づく手続ならば,管財人と言う,債務者の財産を管理し倒産手続を公平に進めてくれる人がついてくれますので,民事執行・民事保全によらなくても,管財人の言うことに従っていれば,ある程度配当が受けられます。つまり,管財人が債権者全ての代表として債務者から取り立ててくれるのが倒産法による手続です。これで,少し倒産法の存在意義を感じていただけましたでしょうか。そして,私は破産法・民事再生法を少しかじりましたので,破産法と民事再生法についてお話したいと思います。では,破産法と民事再生法の違いは何でしょうか。大まかにいうと,破産法は清算型手続,民事再生法は再建型手続を定めた法律とされています。清算型というのは,債務者(お金を借りた人)の財産をすべて(厳密には「すべて」ではないのですが,今のところは「すべて」だと思ってください)清算して,債権者(お金を貸した人)に返す手続です。イメージとしては,ゲームの「いただきストリート」での「破産」は,法律上の破産に近いです。「いただきストリートDS」 再建型というのは,債務者に事業を継続させ,継続した事業の利益から債権者にお金を返す手続です。民事再生を再現したゲームは見たことがありませんが,強いて言えば,何百億の借金を背負ってもゲームが続けられ,収益から借金を返し続ける「桃太郎電鉄」は民事再生に近いかも知れませんね。【PS2】 桃太郎電鉄16ですから,倒産=事業の終わりと言うわけではなく,倒産しても事業は続くこともありえることにご注意ください。ちなみに、例の英会話学校が用いた会社更生手続も再建型です。さて,お金を貸した人からすれば,破産も民事再生でも何でも良いからお金を返して欲しいわけで,破産手続だけあれば十分な気がします。何のために,民事再生手続があるのでしょうか。それは,民事再生手続による方が返ってくるお金が多い場合があるからです。一般に倒産した企業というのは,扱う事業が不人気産業だとか,不祥事を起こした等で信用を失ったとか言うイメージがあるかも知れませんが,必ずしもそうではありません。たまたま必要な時に資金繰りに失敗して倒産してしまうこともあります。ですから,事業自体には信用性がある場合も決して珍しくありません。そういう場合,破産させて全てを清算するよりも,そのまま債務者に経営させて借金をすこしずつ返していく方が,より多額の金が返済される可能性があるのです。このような場合を想定して,民事再生法があります。ですから,会社の経営が行き詰った時,「破産するのはいやだから,多少無理してでもお金を借りて会社を延命させよう」と思い,金利の高いところでお金を借りてしまう経営者の方がおられると聞きますが,民事再生手続によって,破産せずに復活する可能性はあります。なので,金利の高いところでお金を借りる前に,弁護士の先生に相談するべきです。ということで,破産法にも民事再生法にもそれぞれのメリットがあるということはご理解いただけたと思います。さて,次回からは破産法編と民事再生法編に分けてお話します。まずは,破産法からです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】倒産処理法入門第2版補訂版この本は、倒産法をはじめて学ぶ方に最適の本です。量も少なく、とっつき易いです。
2007年11月28日

第6章 特別決議株主総会は普通は過半数の賛成で可決となりますが(これを普通決議と言います)、特別決議というのは3分の2の賛成が無いと可決しない決議であり,逆に言うと3分の1の反対で可決を阻止できます。ですから,いつもはあんまり株主総会に興味がないとしても,以下の特別決議が必要な議案が記載されていたら,できれば株主総会に出るべきでしょう。(株主総会の決議) 第三百九条 2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。 一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会 二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。) 三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会 四 第百八十条第二項の株主総会 五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号及び第二百四条第二項の株主総会 六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号及び第二百四十三条第二項の株主総会 七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。) 八 第四百二十五条第一項の株主総会 九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。) イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。) 十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会 十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会 条文番号だけで分かりづらいですね。代表的な事項だけでも挙げておきます(これら以外でも特別決議が要求される事案はあります)。株式の併合(180条)監査役の解任(339条1項)役員等の責任一部免除(425条1項)資本金の額の減少(447条1項)現物配当(454条4項)定款の変更事業譲渡解散合併会社分割株式交換・株式移転こうやってみると,解散など会社にとって重要なのに,わずか3分の2の賛成で成立してしまう議案もありますね。ですから,せめて特別決議が要求される議案については注目を向けて欲しいです。ちなみに、株主総会は普通決議・特別決議だけでなく特殊決議・特別特殊決議・全員一致がありますが、特殊決議・特別特殊決議は譲渡制限が絡む場合に必要となるので、普通に証券会社で株式を買っている場合にはあまり気にしなくて良いでしょう。また、証券会社で株式を売っている会社において、全員一致の議決が出来ることはまずありませんからこれも気にしなくて良いでしょう。気になる方は、下記の【参考本】の108ページをご参照ください。さて,これで株主として最低限知っておきたい条文のご説明は終わります。次回はからは、倒産法をやってみましょう。会社法編にお付き合いいただき、ありがとうございました。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法マスター115講座この本は、会社法で分かりにくい部分を適確に解説してくれる本です。また、会社法の条文を頭から読んでも分かりづらい分野(少数株主権や会社再編や株主総会議決要件)を表にしてくれて分かりやすくまとめてくれています。会社法の勉強がある程度進んだ方にオススメしたい本です。
2007年11月27日

第5章 計算2 剰余金配当おそらく,剰余金配当(利益配当)を目的に株式を買う方も多いでしょう。そこで,剰余金配当の条文についても少しご覧下さい。剰余金の配当は,株主総会決議によって決定されます。ですから,株主総会の招集通知におそらく剰余金配当についての説明が書かれていますので,今度招集通知が届いたらチェックしてみてください。(株主に対する剰余金の配当) 第四百五十三条 株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。 (剰余金の配当に関する事項の決定) 第四百五十四条 株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額 二 株主に対する配当財産の割当てに関する事項 三 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日 ちなみに,会社法制定前には認められていた日割配当は禁止されました。では,剰余金の配当額はどうなっているでしょうか。前回は,会社の資産から資本金の額を引いた額等が剰余金配当額だと申し上げましたが,正確にはいろんな規制があります。(配当等の制限) 第四百六十一条 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。 (中略)八 剰余金の配当 2 前項に規定する「分配可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう(以下この節において同じ。)。 一 剰余金の額 二 臨時計算書類につき第四百四十一条第四項の承認(同項ただし書に規定する場合にあっては、同条第三項の承認)を受けた場合における次に掲げる額 イ 第四百四十一条第一項第二号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額ロ 第四百四十一条第一項第二号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額三 自己株式の帳簿価額 四 最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額 五 第二号に規定する場合における第四百四十一条第一項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額 六 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額 それと,どんなに利益があろうと,資産額が300万円以下の会社は配当できません。(適用除外) 第四百五十八条 第四百五十三条から前条までの規定は、株式会社の純資産額が三百万円を下回る場合には、適用しない。 また,配当可能な額のうち,10%を準備金として積み立てなければなりません。(資本金の額及び準備金の額) 第四百四十五条 4 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。 これらの規制に反した剰余金の配当は違法なので,剰余金を受け取った株主は会社に返還しなければなりません。(剰余金の配当等に関する責任) 第四百六十二条 前条第一項の規定に違反して株式会社が同項各号に掲げる行為をした場合には、当該行為により金銭等の交付を受けた者…(中略)…は、当該株式会社に対し、連帯して、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログと並行して、この本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月26日

第5章 計算1 資本金今回から会社の「計算」についてお話します。計算といっても,財務処理についての話なので日常用語で言えば「会計」とでも言えば良いかも知れません。さて,今回は資本金のお話です。株式会社は,株主有限責任の原則が採られていますから,誰も責任を取らない仕組みになっています。例えば,清水君が設立した(株)清水工業という会社に,草薙銀行が1億円を貸したとします。さて,このとき,草薙銀行は誰に1億円の返済を求めるのでしょうか。はじめの方でご説明したとおり,会社は法人であり、清水君とは法律上別人ですから,清水君に返済を求めることは出来ません。そして,株主有限責任の原則により,(株)清水工業の株主にも返済を求めることは出来ません。つまり,法人としての(株)清水工業にしか請求できないのです。そこで,株式会社がいつでも返済できるよう,株式会社に一定のお金が存在する仕組みが必要となります。それが資本金制度です。大雑把に言うと,資本金の額を超えた額等の資産が会社に無い限り,剰余金配当(株主に対する利益配当)が出来ないという仕組みを作ることによって,出来るだけ資本金の額の資産だけは会社に資産が残るようにして,会社にお金を貸した人(=会社債権者)が保護されるようにしています。ここで資本金の「額」という言い方でちょっと引っかかったと思います。実は,「資本金」と言うお金が会社の金庫に保管されているわけではなく,会社の資産のうちの一部を帳簿上「資本金」と呼んでいるだけなのです。しかも,会社の資産が資本金の額を下回っても罰則があるわけではないし,会社解散理由になるわけでもありません(大昔は解散理由だったそうです)。例えば,「資本金1円の会社と,資本金1億円の会社,現在どちらが金持ちですか?」と聞かれても,「他の書類を見ないとわからない」としか言えません。資本金1億円の会社であっても,今は無一文かもしれないし,資本金1円の会社でも今では急成長して年間の利益が10億円の会社になっているかもしれないのです。じゃあ,「資本金制度なんて無意味じゃないの?」とお考えの方もおられるでしょう。実は私もそう思います。ただ,資本金1億円の会社と言うのは,少なくとも設立時に1億円を集められる信用性があったことを示すので,資本金制度は会社の潜在能力を示す意味があるとおっしゃる先生もおられます。いずれにせよ,資本金制度は必ずしも会社の現在の体力を示すものではないので,ご注意ください。例えば,「資本金1億円の会社の未公開株を買わないか?」なんて言われてもすぐに信用してはいけません。他の計算書類も見せてもらって判断してください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法第9版この本は、いわゆる「基本書」に属するものですが、基本書としては薄く、大変読みやすい仕上がりになっています。会社法を学ぶ際には是非持っておきたい本です。
2007年11月25日

第4章 機関7 役員の第三者に対する損害賠償責任また,役員が会社でなく第三者に損害を与えた場合も,もちろん損害賠償責任を負います。(役員等の第三者に対する損害賠償責任) 第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。 ここで注意していただきたいのは,損害賠償の要件が「悪意又は重過失」となっていて,民法709条の要件より厳格化されているように見えます。(不法行為による損害賠償) 民法第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 しかし,民法709条は権利侵害について故意又は過失が必要なのに対し,会社法429条は任務懈怠に対する故意又は重過失となります。例えば,ある食品会社が食中毒を起こしたとします。このとき,この会社の取締役に民法709条に基づく損害賠償請求をするには,故意に細菌を混ぜたか,過失で細菌を混入させてしまったことを立証する必要があります。しかし,会社法429条に基づく損害賠償請求をするには,従業員の衛生管理体制とか製品のチェック体制を,故意に設置しなかったり,過失で設置しなかったりしたことを立証するだけで十分な場合もありえることになります。食品会社で衛生管理体制や製品チェック体制を整備することは任務と考えられるからです。どちらの立証が簡単かといえば,会社法429条の方だと思います。ですから,会社法429条は損害賠償請求要件を厳格にしたのではなく,緩和したのだと読むべきでしょう。ところで,昔は取締役が3人いないと会社が作れなかったので,「名目だけでいいから取締役になってくれ」と言われて,ついつい名前だけ貸したという場合もあるそうです。こういう取締役を「名目的取締役」と言います(名目的といっても,選任決議などの手続は行います)。しかし,外から見れば誰が名目的取締役で,誰が実質的取締役かなんてわかりません。従って,名目的取締役も,当然責任を負う場合があるということになります。また,ここで仮に名目的取締役を免責させると,働かない取締役ほど免責されることになって不都合だからと言うのも理由の一つです。あと,取締役を辞任したのに,「登記だけでも残しておいてくれ」なんていわれて登記を残すことに同意してしまうと,やはり,責任を負う場合があります(ちゃんと辞任手続をしているので選任手続は無いという点が,名目的取締役と少し違います)。ですから、安易に取締役としての名義を貸さない方が安全ですね。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログと並行して、この本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月24日

第4章 機関6 役員の会社に対する損害賠償責任まず,役員が任務を怠った結果,会社に損害を与えた場合は,役員は会社に損害賠償をしなてくはなりません。(役員等の株式会社に対する損害賠償責任) 第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 そして,競業行為や利益相反取引をした場合には,推定される事項が定められており,立証が容易になっています。第四百二十三条2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。 3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。 一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役 二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役 三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(委員会設置会社においては、当該取引が委員会設置会社と取締役との間の取引又は委員会設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。) ただ,会社が取締役に損害賠償請求できるといっても,実際に会社を動かしているのは取締役ですから,会社は損害賠償請求しない恐れがあります。そこで,会社が損害賠償請求しない場合には,株主は会社に代わって訴訟を起こすことが出来ます。これが,ニュースでたまに聞く「株主代表訴訟(責任追及の訴え)」です。(責任追及等の訴え) 第八百四十七条 六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。以下この条において同じ。)若しくは清算人の責任を追及する訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。 (中略)3 株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。 (中略)7 株主が責任追及等の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該株主に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。 条文を見ていただければ,お分かりいただけるように、担保提供など,意外と面倒臭いです。ですから,代表訴訟を提起する場合は,弁護士の先生に相談した方が良いかも知れませんね。あと,株主は損害発生後のみに動けると言うわけではなく,事前に差止をすることも出来ます。(株主による取締役の行為の差止め) 第三百六十条 六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。 2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。 3 監査役設置会社又は委員会設置会社における第一項の規定の適用については、同項中「著しい損害」とあるのは、「回復することができない損害」とする。 株主には,意外と出来ることがありますので,何かあったときには頑張ってみてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログと並行して、この本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月23日

第4章 機関5 役員の法的義務前回は,役員の負う,抽象的な善管注意義務についてお話しました。ですが,役員の負う義務は善管注意義務だけではありません。ちゃんと条文に記載された義務もあります。まず,競業避止義務があります。(競業及び利益相反取引の制限) 第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。 取締役は会社の業務に精通していますから,もし取締役自身が会社を離れて直接に業務をした場合,会社のノウハウが使え顧客を横取りできますので,会社に損害を与えかねません。ですから,株主総会の承認が無い限り,競業をしてはならないのです。イメージとしては,ある予備校で取締役に就任している講師が,独立した場合を想像してもらえると良いでしょう。独立した講師は生徒を奪えますし,予備校の経営ノウハウも頭に入っていますので,独立元に損害を与えるのは容易に想像できます。次に,利益相反取引があります。第三百五十六条二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。 三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。 取締役が個人として会社と契約する場合を言います。会社と契約するといっても,実際に会社を動かすのは取締役ですから,自分の都合の良いように契約を締結され,会社に損害を与えるおそれがあるので,利益相反取引も株主総会決議が無いと出来ません。あと,会社法で明文化され,注目が集まっているのは,大会社における内部統制システム(リスク管理体制)構築義務です。第三百六十二条4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。 (中略)六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備 5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。 「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制」と言うのが,内部統制システム(リスク管理体制)です。大会社で取締役会設置会社では,内部統制システムの構築が義務となっています。内部統制システムとは,抽象的に言うと損害発生を未然に防ぐ体制です。例えば,内部通報制度があるといわれています。昔から,そして、今でも何か不祥事があるとトップは一応謝罪しますが,「知らなかった。下が勝手にやったことだ」と言う態度を取り,法的責任を免れようとすることが多かったですね。事実,本当にトップが知らなければ(あるいは知っていることを立証できなければ),トップに法的責任は無いとされてきました。しかし,内部統制システムを法的義務にすれば,「内部通報制度のような,下が勝手にやったことが上に伝わるようなシステムを作らないのは法的義務違反だ」と主張でき,たとえ下が勝手にやったことをトップが知らなくても,法的責任を追及できるようになります。 ですから,今後は内部統制システムの構築が注目されてくるかも知れませんし,大会社が不祥事を起こしたら,内部統制システム構築義務違反を理由に責任追及が可能になるかも知れません。不祥事が発覚したら,大会社の株主は「トップが不祥事を知っていたかどうかなんて立証できない」と諦めないで,責任追及が出来る法律構成を考えてみてください。次回は,損害賠償責任についてお話しましょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログと並行して、この本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月22日

第4章 機関4 役員の責任前回は,取締役などの役員の選任解任についてお話しました。今回は,選任された役員がどのような責任を負うかお話します。条文は,会社法330条です。(株式会社と役員等との関係) 会社法第三百三十条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。 ここで,「委任に関する規定」と言うのは,民法644条を言います。(受任者の注意義務) 民法第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。 つまり,役員は,「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と言うわけです。これを短く「善管注意義務」と言います。役員は,善管注意義務を負うというわけです。この善管注意義務に違反すると,任務懈怠(にんむけたい)として,役員は会社に対し損害賠償責任を負います。(役員等の株式会社に対する損害賠償責任) 第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 ただ,勘違いしていただきたくないのは,民法の過失とは少し違うと言うことです。と言うのは,民法上の過失では,損害を予見して,その損害に回避可能性があれば過失が認定されます。しかし,これを会社に当てはめると,会社に損害が発生すれば直ちに任務懈怠となりかねません。例えば,ある取締役が進めた融資が焦げ付いて,回収不能になったとしましょう。この場合,普通の取締役であれば常に融資が焦げ付くことは予見していますし,融資しなければ回収不能にもならなかったという意味で回避可能性があったといえるからです。別に良いではないかという考えもあるでしょうが,これでは誰も取締役になりたがらず,会社の活動が停滞し,ひいては経済の停滞を招きます。そこで,会社法では,通常の企業人の判断を基準として,事実の収集・認識に不注意が無かったか,収集・認識した事情に基づく行為の選択決定に誤りがなかったかという観点から,選択した行為をすることが著しく不合理と評価された場合には任務懈怠があるとされています。ですから,先ほどの融資の例において,融資の相手方の状況が破産寸前だったとしましょう。このとき,同じ知らなかった場合でも状況によって変わります。例えば,融資をしようとした取締役が,徹底的に調査をしたけれども融資の相手方が上手く情報隠しをしていて知らなかった場合には,事実の収集・認識に不注意があるとは言えず,任務懈怠とはいえません。しかし,特に調べなかったので知らなかったと言う場合には,事実の収集・認識に不注意があるといえ,任務懈怠となります。このように,取締役の任務懈怠は,ちょっと特殊なものとなっています。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法第9版この本は、いわゆる「基本書」に属するものですが、基本書としては薄く、大変読みやすい仕上がりになっています。会社法を学ぶ際には是非持っておきたい本です。
2007年11月21日

第4章 機関3 役員の選任・解任前回は株主総会のお話をしました。株主総会では取締役などの,会社の役員の選任・解任が出来ますので,お話します。まず,役員の選任は株主総会の普通決議で出来ます。(選任) 第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。 普通決議と言うのは過半数の賛成で出来るということです。世間一般で言う多数決というやつです。選任が普通決議なら,解任も普通決議で出来ると考えるのが普通でしょうし,原則はその通りです。(解任) 第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。 ただし,監査役だけは特別決議と言って,3分の2の賛成が無いと解任できません。監査役は,会社を監視するという役目を負っているので,地位を安定させる必要があるからです。(株主総会の決議) 第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。 2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。 (中略) 七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。) (以下省略)また,会社にふさわしくない取締役が,多数派工作を仕掛けて解任を免れると言う場合があります。その場合,株主総会ではもはやどうしようもありませんので,裁判所に訴え出ることが出来る場合があります。ただし,どの株主でも出来るというわけではなく,一定の条件を満たす必要があります。これは,訴訟を乱発して取締役を圧迫しないためのようです。(株式会社の役員の解任の訴え) 第八百五十四条 役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。 一 総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)(以下省略)応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログと並行して、この本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月20日

第4章 機関2 株主総会株主総会は,出資者たる株主の総会ですから,本来は万能の機関です。(株主総会の権限) 第二百九十五条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。 しかし,取締役会設置会社では,業務執行を取締役会に委任しているわけですから,株主総会では基本的なことを決定するにとどまります。第二百九十五条2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。さて,株主総会では,一株1議決権です。つまり,出資額に応じて議決権の量が変わります。(議決権の数) 第三百八条 株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。 ただし書を見ていただければお分かりいただけるように,「単元株式数」が定款で定められている場合は1単元無いと議決権がありません。例えば,1単元を100株と定められている場合には,たとえ1株を持っていても一切議決権がありません。これは,株主管理コストを下げるためと言われています。わずかしか出資していないのに,株主総会の招集通知を発して,わずかな出資額の株主までもが入れるような会場を設営すると,意外とコストがかかり,会社によっては1人3000円かかると言います。これでは,1株1000円で出資してもらっても赤字であり,出資してもらっても嬉しくありません。そのため,単元株式制度制度があります。そして,議決権は原則としては株主総会の会場で行使します。しかし,株主総会の日にたまたま用事があった場合などは,会場にいけないこともあります。そこで,議決権を代理行使できるとされています。(議決権の代理行使) 第三百十条 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。 ただし,ほとんどの会社で,代理人は会社の株主か弁護士に限定されています。誰でも代理人になれるわけではありません。これは別に株主に嫌がらせをしているわけではなく,総会屋対策と言われています。また,代理人すら用いず,書面投票・電子投票できる場合もあります。(株主総会の招集の決定) 第二百九十八条 取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 株主総会の日時及び場所 二 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項 三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨 四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨 五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項 (以下省略)なお,決議に瑕疵があれば,決議取消の訴え・決議無効確認の訴えが出来ます。(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え) 第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。 2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。 (株主総会等の決議の取消しの訴え) 第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより取締役、監査役又は清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。 一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。 二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。 三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。 2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログと並行して、この本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月19日

第4章 機関1 機関設計会社法で複雑になったのは機関です。昔は,全ての会社はほぼ一律の機関を置くこととされてきましたが,今では会社によって様々な機関を設置することが自由になったり,設置する義務が課されています。まず,全ての株式会社には株主総会がおかれます。出資者たる株主の声をまとめる機関が必要だからです。つぎに,全ての株式会社には取締役を置かねばなりません。これは以前申し上げた所有と経営の分離の現れでしょう。株主総会と取締役さえあれば株式会社としては十分で,あとはどんな機関を置くかは自由なのが原則です。(株主総会以外の機関の設置) 第三百二十六条 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。 2 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。 とりあえず,機関については以下の大雑把なイメージで十分です。取締役=業務執行をする人(厳密に言うと、取締役会設置会社とそうでない会社では違いますが、イメージとしてはこれでいいでしょう)取締役会=取締役の会議会計参与=経理部の人と共に会計書類を作る人(税理士の先生など)監査役=監視する人監査役会=監査役の会議体会計監査人=公認会計士の先生又は監査法人委員会=指名委員会・監査委員会・報酬委員会…しかし,難しいのはここからです。327条以降は,「○○と言う会社は,××と言う機関を置かねばならない(置いてはならない)」とされているので,難しいです。まず,取締役会を置いた会社は,監査役か委員会を設置しなくてはなりません。これは取締役会を監査役か監査委員会に監視させる意味があります。会社法三百二十七条2 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。次に,公開会社(全部譲渡制限株式ではない会社)では、取締役会が必要です。これは,株式を公開する以上,取締役の独断で会社を動かすことは許されないという意味だと思います。(取締役会等の設置義務等) 第三百二十七条 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。 一 公開会社 二 監査役会設置会社 三 委員会設置会社 さて,ここで問題です。公開会社は、監査役又は委員会の設置が義務と言えるでしょうか。言えますね。327条1項1号によると,公開会社には取締役会を置かねばなりません。そして,327条2項によると,取締役会設置会社には監査役か委員会を設置しなくてはなりません。ということは,公開会社には監査役か委員会を設置する必要があるということになります。(公開会社→取締役会設置会社→監査役か委員会の設置)このように,会社法は,ドミノ式に設置すべき機関が決まるので難しいのです。逆に,取締役会設置会社は必ず公開会社でしょうか。違いますね。そんな条文はどこにもありません。このように,論理問題と同じく,逆は必ずしも真でないところにご注意ください。これだけで嫌になってきたと思います。あとは簡単なところだけやりましょう。まず大会社(資本金5億円以上か,負債200億円以上)では会計監査人が必要です。大きい会社は,専門家に監査してもらうべきということでしょう。(大会社における監査役会等の設置義務) 第三百二十八条 大会社(公開会社でないもの及び委員会設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。 2 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。 あと,監査役と監査委員会の職務は重複するので,監査役と委員会両方を設置することは出来ません。第三百二十七条4 委員会設置会社は、監査役を置いてはならない。それと、どんな機関を置いても、会計参与を設置禁止する規定は存在しないことも覚えて置いてください。とりあえずは,以上のことだけ覚えておいていただければ十分です。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法第9版この本は、いわゆる「基本書」に属するものですが、基本書としては薄く、大変読みやすい仕上がりになっています。会社法を学ぶ際には是非持っておきたい本です。
2007年11月18日

第3章 資金調達1 募集株式の発行会社は基本的には商売をして儲けて大きくなっていくものです。しかし,時にはまとまったお金が必要となるときがあります。そこで,まとまったお金を調達する手段が必要です。まず,考えられるのは株式を発行して資金を調達する方法が考えられます。銀行から借りると,儲けようと儲けまいと利息を支払う必要がありますが,株式の発行は儲けた時に剰余金配当として利益配当すればいいので,安上がりなのです。株式の発行は,会社法では「募集株式の発行」といいます。耳慣れない言葉ですが,昔で言う新株発行です。会社法では新株発行のことを募集株式の発行と呼びます。(募集事項の決定) 第百九十九条 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。 (以下省略)募集株式の発行は会社にとって有利な制度であって、誰も困らないように思えますが,一つ問題があります。それは,もともとの株主の持分比率を下げると言う効果を伴う点です。例えば,清水君200株・三島さん100株の会社では,清水君が67%(200/300)の持分比率を持っており,事実上,清水君は会社を自由に動かすことが出来ます。このときに,1700株の募集株式の発行をすると,清水君の持分比率は一気に10%(200/2000)になって,清水君の発言力は大幅に下落してしまいます。そこで,株式は定款で定められた発行可能株式数までしか発行できないことにされています。これを授権資本制度といいます。イメージ的には,授権株式制度と呼ぶべきかも知れません。「授権」された限度までのみ「株式」を発行できる「制度」と言うわけです。(発行可能株式総数の定め等) 第三十七条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。 2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。 3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。 これによって,いきなり多くの募集株式発行をされて,持分比率が大幅に下落する恐れがなくなると言うわけです。また,例に挙げたとおり,募集株式の発行は既存の株主の持分比率を下げる効果を持ちます。だからと言って,特定の人の発言力を落とすことを主要な目的としてに募集株式の発行をすると,不公正発行として募集株式の発行が差し止められます。第二百十条 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。 一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合 二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合 募集株式の発行はあくまで資金調達のためにあるのです。また,募集株式の発行において著しい瑕疵がある場合は,募集株式発行無効の訴えが出来る場合があります。(会社の組織に関する行為の無効の訴え) 第八百二十八条 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。 (中略)二 株式会社の成立後における株式の発行 株式の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、株式の発行の効力が生じた日から一年以内) 応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2007年11月17日

第2章 株式4 株券株式は,細分化され,均一化した割合的単位の形をとる社員の地位であって,目に見えないものです。この株式を目に見えるようにしたのが,株券です。(株券を発行する旨の定款の定め) 第二百十四条 株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。 条文をよく読むと,「できる」とありますね。と言うことは,株券を発行しなくても良いのでしょうか。実はその通りです。会社法になって,株券を発行しなくてもいいことになりました。恐らく,将来の株券電子化に備えているものと思われます。テレビで「株券が電子化されます」等とCMしていますね。ただし,株券を発行すると定款に定めた以上は株券を遅滞無く発行しなければなりません。(株券の発行) 第二百十五条 株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。 2 株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。 3 株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。 4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。 ところで、株式はどうやって譲渡するのでしょうか。株券発行をしていれば,株券を譲渡すれば株式を譲渡したことになります。株券は,株式を目に見える形(=有価証券)にしたものだからです。(株券発行会社の株式の譲渡) 第百二十八条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。 2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。 では,株券を発行していない会社はどうしましょうか。実は,条文のどこにも書いていません。しかし,目に見えない以上,意思表示だけで譲渡が成立すると考えるしかないでしょう。つまり契約さえ成立すれば株式の譲渡完了です。ただし,株主名簿に登録しないと,会社に対して自分が株主であることを主張できません。(これは,株券発行会社でも同じです)(株式の譲渡の対抗要件) 第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。 2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。会社の知らないところで株式を譲渡することが認められる以上,会社に譲渡した旨を登録しないと会社は譲渡されたことを知りようがないからです。つまり,株主名簿に登録しないと,配当や株主総会の案内が届かないということになります。気をつけてくださいね!応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【オススメ本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、まずこの本からお読みになるといいでしょう。
2007年11月16日

第2章 株式3株主平等の原則薄々感じておられるとは思いますが,株主はその持株数に応じて平等の取り扱いを受けます。清水君が100株の株主,三島さんも100株の株主だったら,清水君も三島さんも,株主としての資格に基づく法律関係については,会社からは同じように扱われます。三島さんが女性だからと言って配当金が2倍になると言うことは原則としてありません。これを株主平等の原則と言います。(株主の平等) 第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。 ですが,例外もあります。大雑把に言うと,定款に定めてあれば不平等な取り扱いも認められます。(株主の平等) 第百九条 2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。 3 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。 また,株式の種類自体が異なれば配当などで差をつけてもかまいません。(異なる種類の株式) 第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。 (以下省略)と言っても,上場企業については他の法律や上場基準などで厳しい制約がありますので,証券会社を通じて株式を買う場合には,いちいち定款を見なくても大きな損害を受けることはないでしょう。気をつけなければならないのは,上場していないベンチャー企業に出資する場合や,仲間内で会社を立ち上げる時などです。会社法は,株主平等の原則に広汎な例外を認めていますから,知らず知らずのうちに不利な状況におかれてしまうかも知れません。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】新司法試験短答条文・判例本(4)この本は、いわゆる短答六法です。会社法の短答六法については、伊藤塾の短答六法も捨てがたいのですが、伊藤塾のは分厚すぎますので、日ごろ持ち歩いて利用するには不向きです。予備校本なので社会人の方には不要でしょうが、新司法試験受験生・ロースクール受験生は持っていて損は無い本です。
2007年11月15日

第2章 株式2株主の義務と権利前々回は,株式についてのお話でした。今回は株式の所有者,つまり株主のお話をします。まず,株主について正確なイメージを持ってください。前々回,株主は出資者だと申し上げました。つまり,株主とは会社をお金で買った人なのです。と言うことは,「会社は誰のものか?」と聞かれたら,法的には「株主のもの」と答えるのが正解です。決して社長や取締役のものではありません。社長や取締役は会社に雇われている人間に過ぎません。では,株主は会社においてどのような義務を負うのでしょうか。実は,出資義務しか負いません。(株主の責任) 第百四条 株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。そうは言っても,株主は出資しないと株主になれないのが普通ですから,出資した時点で責任は果たしています。つまり,株主となった時点で,もうそれ以上何もする必要はありません。「会社は株主のものだ」と申し上げましたが,会社がどんな悪いことをしようと株主は責任を負う必要がありません。株価下落で損害を受けるだけで十分であり,会社の替わりに賠償する必要はないのです。だからこそ,みんな安心して出資が出来ます。もし,「会社が何か悪いことをしたら,株主が賠償する」なんていう制度になっていたら,安心して出資できませんよね。以上申し上げたことは,今では当たり前すぎて,気に留める方は少ないですが,一応覚えておいてください。では,株主の権利は何でしょうか,何度も申し上げますとおり,会社は株主のものですから,会社に出た利益は株主のものです。ですから,株主には配当(剰余金配当)を受ける権利がありますし(105条1項1号),会社が解散される時には,残った財産を山分けする権利(残余財産分配請求権)があります(105条1項2号)。また,株主は会社の所有者ですから,会社の経営方針について口を出す権利(議決権)があります(105条1項3号)。(株主の権利) 第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。 一 剰余金の配当を受ける権利 二 残余財産の分配を受ける権利 三 株主総会における議決権 2 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。 現在,配当は会社側が恩恵的に決めているように見えますが,本当は株主の権利であって,利益が出たら株主に還元するのが原則なのです。ですから,もし配当額に疑問があれば,株主総会で質問するのもいいかも知れません。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法判例百選この本は、会社法の重要判例を厳選して掲載してあります(旧商法時代の判例が大半ですが)。会社法は条文が細かいので、憲法などと比べて判例解釈の重要性が目立ちませんが、取締役の責任など抽象的な条文については、判例が重要です。学生・受験生だけでなく、取締役の方々にも是非目を通していただきたい本です。
2007年11月14日

今枝弁護士がブログで、橋下弁護士との裁判での陳述書を公開しておられます。もちろん、これはあくまで今枝弁護士の主張であって、裁判所で採用されたわけではありませんが、これを見れば、懲戒請求がいかに重いものかお分かりになると思います。特に、今枝弁護士から求釈明書が送られたくらいで「脅迫だ」と思った方には是非ご覧頂きたいと思います。何度も書いていますが、求釈明書や民事訴訟が脅迫になるのなら、懲戒請求だって脅迫なのです。懲戒請求をするのなら、求釈明書や民事訴訟にもビクビクせず、堂々と反論できるくらいの準備と覚悟が必要でしょうね。それと、懲戒請求テンプレートによる懲戒請求にも反論を加えておられますので、もし懲戒請求テンプレで懲戒請求した方がおられたら、一度目を通しておくと良いでしょう。もし、将来、今枝弁護士が懲戒請求者に民事訴訟を提起したら、多分このように主張してくるでしょうから、この主張に反論できないと懲戒請求者が敗訴する恐れがあるからです。しかも、先ほどの陳述書に書いてあるような、法科大学院の実務家教員就任話が頓挫したとか業務に支障が出ていることと、懲戒請求との因果関係が立証できれば、損害賠償請求額は結構な額になることが予想されますので、それなりの準備をした方がいいかも知れません。訴えられてからでは遅いかも知れませんね。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2007年11月13日

第2章 株式1株式とは株式というのは,学問的に言うと,細分化され,均一化した割合的単位の形をとる社員の地位を言います。ここでいう「社員」とは「従業員」と言う意味ではなく,「出資者」と言う意味です。会社法で「社員」と言えば出資者を言うので,従業員と混同しないで下さい。つまり,大雑把にいうと,株式は出資の証ですね。ただ,単に出資の証だったら,出資してくれた人一人一人に契約書を発行すると言うのでもかまわないように思えます。しかし,出資額は一人一人異なりますから,配当などの事務処理が大変ですし,譲渡も困難です。そこで,「1株」と言う割合的単位をとることによって事務処理や譲渡を容易にします。「1株ごとに○円配当します」とすれば配当の処理は楽になりますし,出資の証をいきなり全部譲渡するのではなく,1株ごとに譲渡するならば買い手も見つかりやすいです。さて,株式を発行すると,原則として資本金が増えます。(資本金の額及び準備金の額) 第四百四十五条 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。 2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。 3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。 (以下省略)原則としては株式を発行すると,株主が払い込んでくれた額つまり株式の発行価格全額は資本金に加わります(445条1項)。しかし,445条2項をご覧いただければお分かりいただけるように,払込額の半分までは資本金に加えなくてもかまいません。聞いたところによると,445条2項のようにしている会社が多いらしいです。以上が株式についてのお話です。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法マスター115講座この本は、会社法で分かりにくい部分を適確に解説してくれる本です。また、会社法の条文を頭から読んでも分かりづらい分野(少数株主権や会社再編)を表にしてくれて分かりやすくまとめてくれています。会社法の勉強がある程度進んだ方にオススメしたい本です。
2007年11月12日

第1章 設立3設立の瑕疵前回は設立の基本的なお話をしました。今回は,設立の過程に問題(=瑕疵)があった場合をお話します。まず,出資するといったのに,結局出資しなかった場合はどうでしょう。発起人が出資しなかった場合は,株主としての権利失わせる失権手続を採ります。(設立時発行株式の株主となる権利の喪失) 第三十六条 発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。 2 前項の規定による通知は、同項に規定する期日の二週間前までにしなければならない。 3 第一項の規定による通知を受けた発起人は、同項に規定する期日までに出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。発起人以外の人が出資しなかった場合は,特に手続も無く失権します。(設立時募集株式の払込金額の払込み) 第六十三条 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。 2 前項の規定による払込みをすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。 3 設立時募集株式の引受人は、第一項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。 逆に言うと,原則としては失権するだけで会社の設立まで無効になるわけではありません。ただし,失権の額が多くなって,定款に定めた「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」を下回ると,新たに株式引受人を見つけてこなければいけないことになります。また,もし払込が仮装の場合は払込として無効とされます。仮装払込として特に悪質なのは,預合(あずけあい)であり,犯罪です。預合とは,同一銀行の帳簿上のみで借入→払込→返済としてしまうことです。(なんのこっちゃ?と言う方はきっと,預合なんてしない方でしょうから,分からなくてもかまいません)(預合いの罪) 第九百六十五条 第九百六十条第一項第一号から第七号までに掲げる者が、株式の発行に係る払込みを仮装するため預合いを行ったときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。預合いに応じた者も、同様とする。 そこで,預合は犯罪になるからといって,別の銀行から借金して,払込をし,すぐに引き出して返済に充てるという手法があります。これを「見せ金」と言います。この手段も,実質的には払込がなされていないので,犯罪になりそうですが,会社というのは,借金して設立されることも多いですから,一律に犯罪とするわけにはいきません。ということで,一定の要件においては判例上無効とされるにすぎません(最判昭和38年12月6日)。また,変態設立事項については,問題が無いか検査役が検査する必要があります。(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任) 第三十三条 発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。 (以下省略)もし調査して不足額があったら,発起人らが責任を負います。(出資された財産等の価額が不足する場合の責任) 第五十二条 株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。 以上のような問題をクリアして,設立登記をすれば晴れて会社成立です。(株式会社の設立の登記) 第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。 一 第四十六条第一項の規定による調査が終了した日(設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合にあっては、設立時代表執行役が同条第三項の規定による通知を受けた日) 二 発起人が定めた日 もし,登記まで行かなかった場合は発起人が会社設立費用を負担します。(株式会社不成立の場合の責任) 第五十六条 株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。 ただし,登記がされても,設立手続に違法があれば,設立無効の訴えを提起されてしまうかも知れません。(会社の組織に関する行為の無効の訴え) 第八百二十八条 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。 一 会社の設立 会社の成立の日から二年以内 (以下省略)応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】一問一答新・会社法この本は、新会社法の改正点について、一問一答形式で解説してくれる本です。旧商法との違い・改正の趣旨を解説してくれるため、旧商法を知っている方は是非持っておきたい本です。
2007年11月11日

第1章 設立2 出資定款を定めたあとは,株式を引き受けてもらいます。つまり,出資してもらいます。発起設立なら発起人が全て株式を引受けます。(出資の履行) 第三十四条 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。 (以下省略)(株式の引受人の権利) 第五十条 発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。 2 前項の規定により株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。 募集設立ならば,発起人と募集に応じた引受人が株式を引き受けます。(設立時発行株式を引き受ける者の募集) 第五十七条 発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。 2 発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。 (設立時募集株式の引受け) 第六十二条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める設立時募集株式の数について設立時募集株式の引受人となる。 一 申込者 発起人の割り当てた設立時募集株式の数 二 前条の契約により設立時募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた設立時募集株式の数 (設立時募集株式の払込金額の払込み) 第六十三条 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。 これで,定款と出資がなされました。次に出資されたお金を定款に基づいて運用する人,つまり設立時取締役など,設立時の役員を決めます。その決め方は,一株1議決権です。まだご説明していませんが,株主総会と一緒ですね。(設立時役員等の選任) 第三十八条 発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。 これで,定款・出資(株式)・役員が決まりましたので,会社の最低限の形は出来ました。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】新・会社法100問第2版この本は、旧司法試験・新司法試験(+若干の公認会計士試験)の会社法過去問の解説を掲載しています。ただし、説明重視なので、単なる答案集より量が多いです。いわば、答案解説の講義実況中継本だと思った方がいいでしょう。ロースクール入試・新旧司法試験・公認会計士試験など、会社法が試験科目になる試験には重宝します。また、索引が充実しているので、会社法の辞書代わりに使うのもアリかも知れません。
2007年11月10日

第1章 設立1定款今回は,会社の設立についてお話します。会社の設立方法には2種類あって,会社設立の企画者(発起人)だけで会社を設立する発起設立(25条1項1号)と,発起人のみならず設立当時からの株主を募集して設立する募集設立(25条1項2号)があります。第二十五条 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。 一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法 二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法 どちらを選んでもかまいませんが,大雑把に言うと,募集設立の方が手続があって面倒臭いらしいです。しかも,発起設立してすぐに募集株式の発行をすれば,募集設立とほとんど同じ効果が得られるので,わざわざ募集設立を選ぶメリットは少ないと言われています。ところで,会社法施行に伴い,最低資本金制度が廃止されました。昔は,最低資本金が1000万円とされてきましたが,今は,資本金はいくらでもかまいません。1円でもいいのです。「新会社法になって1円会社が認められた」と言われているのは,ここから来ています。ただし,設立費用は20万円程度かかるといわれていますので,1円で会社が出来るというわけではないことにご注意ください。そして,設立の第一歩は発起人による定款作成です。定款とは会社の決まりごとです。定款が決まっていない会社は。一体何をするのかさっぱり分からず,出資しようがありません。そこで,まず第一に定款を定める必要があります。(定款の作成) 第二十六条 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。 定款に記載しなければならない事項は,27条に書いてあります。登記事項とは違うのでご注意ください。(定款の記載又は記録事項) 第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。 一 目的 二 商号 三 本店の所在地 四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 五 発起人の氏名又は名称及び住所 また,設立において,会社の財産評価を誤らせかねない一定の行為を伴う場合には,その旨も定款に記載しなければなりません。これを「変態設立事項」と言います。第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。 一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。) 二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称 三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称 四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。) また,法律違反で無い限り,自由に定款に記載できますが,一度定款に記載すると,内容を変更するには定款変更手続が必要なので,注意が必要です。第二十九条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】会社法第9版この本は、いわゆる「基本書」に属するものですが、基本書としては薄く、大変読みやすい仕上がりになっています。「初心者お断り」的な雰囲気は感じさせません。会社法を学ぶ際には是非持っておきたい本です。
2007年11月09日

第0章 会社法なんて怖くない!今日から会社法についてお話します。会社法のブログと言えば,「会社法であそぼ」が有名なのに,会社法について書くのは気が引けますが,どうぞお付き合いください。皆さんは,株主になることが多いと思うので,株主として知っておきたい条文のご説明をまずさっとしたいと思います。もし余裕があれば会社を作る場合に知っておきたい条文の説明をしようと思います。会社法は,合名会社・合資会社・合同会社・株式会社について定めた法律ですが,とりあえず一番メジャーな株式会社をベースにお話したいと思います。ちなみに,有限会社は会社法施行と共に廃止され,今は新しく作ることは出来ません。(会社法施行前に設立された有限会社は「有限会社」と言う名前を使用し続けることが認められています)さて,そもそも何で株式会社が必要なのでしょうか。まずは,株式会社に限らず,会社は法人となります。これは,個人商店と違い,一個の独立した権利主体となるので,権利関係が分かりやすくなります。(法人格) 第三条 会社は、法人とする。 また,株式会社は出資者が有限責任しか負いません。つまり、会社がどんなに借金をしようと、株主は払込金を諦める以上の責任は負わないのです。(株主の責任) 第百四条 株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。 個人商店や,合名会社合資会社では出資者のうち無限責任を負う人があるので,広く資金を募ることは難しいですが,株式会社はどんな出資者も有限責任しか負わないので,広く資金を募ることが比較的容易になります。それと,株式会社では出資した権利を他人に譲渡することが認められています。会社に愛想を尽かしたら,いつでも他人に出資した権利を譲り,出資金を回収できるのです。これも広く資金を募りやすくするためとされています。(株式の譲渡) 第百二十七条 株主は、その有する株式を譲渡することができる。 また,株式会社では出資者と業務執行者が分離されています(これを「所有と経営の分離」と言います)。(取締役の資格等) 第三百三十一条 2 株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。出資者=株主,業務執行者=取締役ですから,取締役を株主限定にすることは許されないということです。これは,多数の出資者が予定されている株式会社においては,出資者がいちいち業務に関わるわけには行きません。そこで,業務執行の専門家たる取締役に業務を任せるのを原則としています。以上が株式会社の特徴です。次回から,会社の設立についてお話します。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】伊藤真の商法入門第3版この本は、商法・会社法・手形小切手法を1から説明してくれる本です。語り口調が口語体で柔らかく、量も少なめで程よい量です商法・会社法・手形小切手法に全く触れたことが無い方は、私のブログとこの本を併用してお読みになるといいでしょう。
2007年11月08日

第6章 民事執行における不服申立2続き前回は不服申立の基本的な部分をお話しましたちなみに,担保権実行の場合でも類似の制度があります。厳密にはいろんな差や理論上の問題がりますが,まあ,今回はいいでしょう。(不動産担保権の実行の手続の停止) 第百八十三条 不動産担保権の実行の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。 一 担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本 二 第百八十一条第一項第一号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第三号に掲げる登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本 三 担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本 四 担保権の登記の抹消に関する登記事項証明書 五 不動産担保権の実行の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本 六 不動産担保権の実行の手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本 七 担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本 2 前項第一号から第五号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。 3 第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。 また,配当額について異議がある場合も,訴えることが出来ます。これを,配当に文句をつけると言う意味で,配当異議(の訴え)と言います。(配当異議の申出) 第八十九条 配当表に記載された各債権者の債権又は配当の額について不服のある債権者及び債務者は、配当期日において、異議の申出(以下「配当異議の申出」という。)をすることができる。 2 執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。 (配当異議の訴え等) 第九十条 配当異議の申出をした債権者及び執行力のある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。 (以下省略)以上で,民事執行保全法のお話を終了いたします。民事執行保全の分野は全体的に迅速性が求められますので,いざという時は大至急弁護士の先生にご相談ください。私も記事のミス・疑問点についてはお答えできますが,実際の事件についてはお答えできませんし,仮にお答えできるとしても,お答えした時には既に財産隠しされているでしょう。お付き合いくださり、ありがとうございました。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月07日

第6章 1民事執行における不服申立民事執行も一種の裁判ですから,普通の裁判と同じく,不服申立が出来ます。まずは,執行抗告・執行異議があります。これらは難しく,読み飛ばしていただいて結構です。(執行抗告) 第十条 民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。 (以下省略)(執行異議) 第十一条 執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。 (以下省略)次に,請求異議の訴えがあります。民法・民訴を勉強していると,たまに出てきますね。(請求異議の訴え) 第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。 2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。 3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。 例としては,裁判で負けたから観念してお金を支払ったのに強制執行を受けた場合に,請求異議の訴えを提起して強制執行を止めます。例えば,あなたは清水君にお金を返して欲しいと思って,清水君を訴え,勝訴したとします。つまり,あなたは債務名義を手に入れられるわけです。そうなると,たとえあなたが裁判後,清水君からお金を返してもらっても,債務名義がある以上,あなたは強制執行できてしまうのです。これでは清水君はたまったものではありません。そこで,「もう請求される筋合いは無いはずだ」と言う意味で請求異議の訴えを提起する必要があるのです。次に,何かの間違いで無関係の人の物に強制執行される場合がないとは言えません。そういう場合は,「この物は,強制執行手続からすれば第三者の物だから,手を出すな」と言う意味で,第三者異議の訴えを提起することが出来ます。(第三者異議の訴え) 第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。 ところで,これらの条文を見るだけでは,訴えただけでは強制執行は止まりませんし,止まるとしたらそれはそれで問題です。なぜなら,訴えさえすれば強制執行が止まるとすると,強制執行の妨害する目的だけで訴えてくる可能性があるからです。かといって,絶対止まらないとすると,また問題です。請求異議の訴え・第三者異議の訴えをしているうちに強制執行手続が進み,強制執行が完成されてしまうからです。そこで,こんな複雑な問題を処理するために以下の条文があります。(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判) 第三十六条 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。(第三者異議の訴え) 民事執行法第三十八条 4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。 早い話,一定の条件があれば強制執行が停止するということです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月06日

第5章 1民事執行法上の保全手続実は,民事執行法にも保全手続があります。といっても,民事保全法とは異なり,執行をするために限定された保全手続であって,民事執行法の保全手続さえあれば,民事保全法に基づく保全が不要と言うわけではありませんのでご注意ください。(売却のための保全処分等) 第五十五条 執行裁判所は、債務者又は不動産の占有者が価格減少行為(不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をいう。以下この項において同じ。)をするときは、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、次に掲げる保全処分又は公示保全処分(執行官に、当該保全処分の内容を、不動産の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により公示させることを内容とする保全処分をいう。以下同じ。)を命ずることができる。ただし、当該価格減少行為による不動産の価格の減少又はそのおそれの程度が軽微であるときは、この限りでない。 (以下略)(占有移転禁止の保全処分等の効力) 第八十三条の二 強制競売の手続において、第五十五条第一項第三号又は第七十七条第一項第三号に掲げる保全処分及び公示保全処分を命ずる決定の執行がされ、かつ、買受人の申立てにより当該決定の被申立人に対して引渡命令が発せられたときは、買受人は、当該引渡命令に基づき、次に掲げる者に対し、不動産の引渡しの強制執行をすることができる。 一 当該決定の執行がされたことを知つて当該不動産を占有した者 二 当該決定の執行後に当該執行がされたことを知らないで当該決定の被申立人の占有を承継した者 2 前項の決定の執行後に同項の不動産を占有した者は、その執行がされたことを知つて占有したものと推定する。 3 第一項の引渡命令について同項の決定の被申立人以外の者に対する執行文が付与されたときは、その者は、執行文の付与に対する異議の申立てにおいて、買受人に対抗することができる権原により不動産を占有していること、又は自己が同項各号のいずれにも該当しないことを理由とすることができる。 イメージ的には,強制執行に入るまでは何の問題もなかったのに,いざ執行しようとしたら,抵抗にあった場合に民事執行法上の保全手続が意味を持ちます。しかも,誰を相手方にして良いか分からない場合(例えば,占有屋がころころ変わっている場合など)でも,保全できる場合があります。(相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等) 第五十五条の二 前条第一項第二号又は第三号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずる決定については、当該決定の執行前に相手方を特定することを困難とする特別の事情があるときは、執行裁判所は、相手方を特定しないで、これを発することができる。 このように,段々と法律が執行妨害に対抗できるようになってきています。執行妨害を受けたら,諦めず,弁護士の先生に相談してみてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月05日

第4章 民事保全手続2解放金不動産について仮差押を受けた人が,裁判で争うことは諦めるが,仮差押をはずしたいと思う場合があります。例えば,突然,不動産を市価の数倍で買いたいという人が現れた場合です。この場合,誰も困る人は居ませんから,法律によるまでもありません。仮処分を受けた人が,買主から代金を受け取って,仮処分をした人にお金を支払って,仮処分を解いてもらえばいいわけです。では,裁判で争いたいし,仮差押をはずしたい場合はどうでしょうか。これだけ見ると,わがままを言っているように見えるかも知れませんが,裁判をしていない以上,仮差押を受けた人が正しいかも知れません。正しいかも知れない人の権利を完全に封じることは出来ないのです。そこで,差押解放金というお金を積んで差押を解いてもらいます。(仮差押解放金) 第二十二条 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。 2 前項の金銭の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。 (仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し) 第五十一条 債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。 2 前項の規定による決定は、第四十六条において準用する民事執行法第十二条第二項 の規定にかかわらず、即時にその効力を生ずる。 イメージ的には,前回申し上げた担保の裏返しみたいなものだと思っていただければ良いでしょう。そんなに自信が有るなら,仮差押のついたままで売って,負けた時に買主に対し責任を取れば良いではないかと思うかもしれません。しかし,仮差押がついているというだけで,買主は嫌がることが多く,値が下がってしまうので,たとえ裁判で勝つ自信があっても仮差押を解いておきたいのです。ちなみに,仮処分の場合でも仮処分解放金を積めば,仮処分を解ける場合があります。(仮処分解放金) 第二十五条 裁判所は、保全すべき権利が金銭の支払を受けることをもってその行使の目的を達することができるものであるときに限り、債権者の意見を聴いて、仮処分の執行の停止を得るため、又は既にした仮処分の執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を仮処分命令において定めることができる。 2 第二十二条第二項の規定は、前項の金銭の供託について準用する。 (仮処分解放金の供託による仮処分の執行の取消し) 第五十七条 債務者が第二十五条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮処分の執行を取り消さなければならない。 2 第五十一条第二項の規定は、前項の規定による決定について準用する。 そして,もし仮差押などが解かれた場合,積まれた解放金について仮差押がなされることになります。普通,仮差押は将来お金を受け取るために行うのですから,仮差押の対象が不動産からお金に変わっても特に困らないので,これでいいのです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月04日

第4章 1民事保全手続1担保今までは,「民事保全が必要だ」とだけ申し上げてきて,結局どんな手続があるのかを申し上げてきませんでした。そこで,今回から民事保全手続についてお話します。民事保全は条文だけ見ると,申立さえあれば良いように見えます。(申立て及び疎明) 第十三条 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。 2 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。 しかし,この「疎明」と言うのが問題です。疎明というのは「一応確からしい」と言う状況をいい,裁判で勝つための「証明(合理的疑いを差し挟まない程度)」よりも低い程度で足りるとされています。これは,民事保全には迅速性が要求されるので,証明を求めると,迅速性を阻害するからなのです。ですが,程度が低くて良いということは,逆に言うと間違いも発生しやすいということです。そこで,間違いがあった時に被害者に賠償できるように,担保を積む必要があります。(保全命令の担保) 第十四条 保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。 2 前項の担保を立てる場合において、遅滞なく第四条第一項の供託所に供託することが困難な事由があるときは、裁判所の許可を得て、債権者の住所地又は事務所の所在地その他裁判所が相当と認める地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。 条文上は「できる」となっていますが,ほとんどの場合,担保提供を求められるそうです。ですから,たとえ自分が裁判で勝つ自信があっても,とりあえず担保を積まなければならないということです。例えば,あなたが弁護士の先生に仮差押を求めた場合には,直ちにまとまったお金を要求されてびっくりするかも知れませんが,必要なお金なので,落ち着いて先生のご説明を聞いてください。ちなみに,担保の積み方は民事保全法4条にあります。(担保の提供) 第四条 この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券(社債等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第百二十九条第一項 に規定する振替社債等を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。 金銭か,有価証券か,金融機関の保証によるのであって,担保と言っても不動産を提供することは出来ません。そして,積まれた担保は損害があった場合,支払に充てられます。民事保全法第四条2 民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第七十七条 、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。(担保物に対する被告の権利) 民事訴訟法第七十七条 被告は、訴訟費用に関し、前条の規定により供託した金銭又は有価証券について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。 そして,担保はいつまで積んでおかねばならないかというと,担保は損害が発生した場合に積むのですから,損害が発生しないことがはっきりするときまで積んでおく必要があります。(担保の取消し) 第七十九条 担保を立てた者が担保の事由が消滅したことを証明したときは、裁判所は、申立てにより、担保の取消しの決定をしなければならない。 (以下省略)応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月03日

第3章 執行文等 3典型的な仮処分前回の最後に,民事保全法に基づく保全が必要だと申し上げました。そこで,どんな保全方法があるか,メジャーなものをご説明いたします。まず,不動産を誰かに譲渡して強制執行を免れると言う,典型的な財産隠しに対応するのが,建物処分禁止仮処分です。(建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の執行) 第五十五条 建物の収去及びその敷地の明渡しの請求権を保全するため、その建物の処分禁止の仮処分命令が発せられたときは、その仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。 2 第四十七条第二項及び第三項並びに民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び第五十四条の規定は、前項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。 (建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力) 第六十四条 第五十五条第一項の処分禁止の登記がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、その登記がされた後に建物を譲り受けた者に対し、建物の収去及びその敷地の明渡しの強制執行をすることができる。建物を譲渡するのではなく,建物を占拠してしまうのも,強制執行の妨害になりえます。占拠者がいると言うだけで,占拠者排除のための手続が必要になりますし,費用もかかるので,売却代金が下がってしまうからです。そこで,占有移転禁止の仮処分というのがあります。占有とは占拠と同じと考えていただいてかまいません。(占有移転禁止の仮処分命令の効力) 第六十二条 占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたときは、債権者は、本案の債務名義に基づき、次に掲げる者に対し、係争物の引渡し又は明渡しの強制執行をすることができる。 一 当該占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたことを知って当該係争物を占有した者 二 当該占有移転禁止の仮処分命令の執行後にその執行がされたことを知らないで当該係争物について債務者の占有を承継した者 2 占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。 また,不動産は登記しないと極めて不利になりますので,登記を勝手に移されるだけでも困ります。そこで,登記請求権保全の処分禁止仮処分があります。(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行) 第五十三条 不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。 2 不動産に関する所有権以外の権利の保存、設定又は変更についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、前項の処分禁止の登記とともに、仮処分による仮登記(以下「保全仮登記」という。)をする方法により行う。 3 第四十七条第二項及び第三項並びに民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び第五十四条の規定は、前二項の処分禁止の仮処分の執行について準用する。 (不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力) 第五十八条 第五十三条第一項の処分禁止の登記の後にされた登記に係る権利の取得又は処分の制限は、同項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をする場合には、その登記に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において、その債権者に対抗することができない。 2 前項の場合においては、第五十三条第一項の仮処分の債権者(同条第二項の仮処分の債権者を除く。)は、同条第一項の処分禁止の登記に後れる登記を抹消することができる。 3 第五十三条第二項の仮処分の債権者が保全すべき登記請求権に係る登記をするには、保全仮登記に基づく本登記をする方法による。 4 第五十三条第二項の仮処分の債権者は、前項の規定により登記をする場合において、その仮処分により保全すべき登記請求権に係る権利が不動産の使用又は収益をするものであるときは、不動産の使用若しくは収益をする権利(所有権を除く。)又はその権利を目的とする権利の取得に関する登記で、同条第一項の処分禁止の登記に後れるものを抹消することができる。 典型的なのは以上のものです。こういう保全手続を駆使しないと,仮に裁判に勝っても目的が達成できないことがあるので,頭の隅にとどめておいてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月02日

第3章 執行文等2執行文の続き前回は執行文のお話でした。執行文を付与というのは,裁判所書記官することであって,一種の裁判みたいなものですから,普通の裁判と同じく,不服申立手続が準備されています。それが執行文付与異議です。(執行文の付与等に関する異議の申立て) 第三十二条 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。 また,執行文は民事執行法27条1項2項に定められた証明文書を提出する必要がありますが,何らかの理由で提出できない場合があります。そんな場合でも執行文を付与して欲しい場合はありうるので,そんな場合の手続があります。それが執行文付与の訴えです。(執行文付与の訴え) 第三十三条 第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。 (以下省略)さて,承継執行文の制度が完備されているのなら,民事保全なんて必要は無いではないかとお考えかもしれません。しかし,前回もちらっと申し上げましたが,承継執行文はあくまで裁判後の問題なのです。裁判中に他人の物になった場合には,承継執行文を付与してくれません。では,裁判中に他人の物になった場合にはどうすればいいのでしょうか。裁判中に他人の物になったことに気づいたら,直ちに,民事訴訟法に基づく訴訟承継をしてその他人相手に債務名義を取得しなければなりません。(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の中断等) 民事訴訟法第四十九条 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。 (義務承継人の訴訟引受け) 民事訴訟法第五十条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。 2 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。 3 第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。 (義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け) 民事訴訟法第五十一条 第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。 では,気づかなかった場合はどうなるかと言うと,どうしようもありません。もう1回はじめから,物を持っている人相手に裁判をしなくてはなりません。なので,民事保全法で保全手続をする必要があるのです。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】民事手続法入門第2版この本は、民事執行保全法以外にも、民事訴訟法や倒産法等の民事手続全般を分かりやすく書いています。ちなみに、この本と同じ会社が、「民事執行・保全法」と言う本を出していますが、大変内容が高度で難しいため、まずは上の本を読むことをオススメします。
2007年11月01日
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