PR
Comments
Free Space
これがニホンフラッシュの銘柄紹介の1つ目です。
ここから順に読んで下さい。
第一弾から第五弾の銘柄紹介を読んで頂いていない読者は、先にそちらを順に読んで下さい。(お手数おかけして申し訳ありません)過去に紹介した内容を理解されていることを前提として、今回の銘柄紹介を始めます。
銘柄紹介 第一弾 7509アイエー
銘柄紹介 第二弾 9866マルキョウ
銘柄紹介 第三弾 6060こころネット
銘柄紹介 第四弾 7865ピープル
銘柄紹介 第五弾 9994やまや
※皆さんご存知の通りですが、この銘柄紹介は買いを推奨しているものではありません。
それぞれ毎回テーマがあり、そのテーマに適した銘柄を紹介しています。
キャッシュフローを重要視する投資家は数多くいます。
キャッシュフローが悪い企業は見送るべきだ、という主張をします。
キャッシュフローが悪いとはどういう事でしょうか。
一つは、資金繰りが悪いと言う事です。
もう一つは、利益の質が悪いという事です。
さらに、将来の特損の可能性があるという事です。
これらの要因が複雑に絡み合った結果が、キャッシュフロー計算書という単純なお金の出入りを表す表になって現れます。
キャッシュフローを重要視する投資家でも、個々の要因をどのように重要視するかを具体的に示す事が出来る投資家は多くありません。
例えば、継続して高い利益を出し、増加する自己資本と共に有利子負債を増やしながら高ROEを続けている企業があるとします。
その企業では、キャッシュフローに注意する必要があります。
何故か?それは今まさに成長しているからであり、今後も成長しようという意欲のある企業だからです。
そして、成長には今までより多くの資金を必要とするからであり、売上の増加と共に売掛金が増加するからであり、そしてその売掛金が満期を迎える前に今すぐにでも資金が必要になる可能性があるからです。
また企業規模に比べて大きな法人税を支払う必要があります。その法人税の支払いの為の現金確保を常にしている企業ばかりではない事にも注意が必要です。
色々な要因があり、急成長を遂げつつある企業はバランスシートに比べて多くの資金を必要とします。またそうであるからこそ、思ったほど売上が伸びなかった場合にあっという間に資金繰りに窮してしまうということもあります。
今回はそのキャッシュフローの話。
僕はあまり好きな考えではありませんが、重要だと思いますので今回のテーマにします。
キャッシュフローについて云々言うのは今回が最初で最後かもしれません。
繰り返しますが、成長企業、特に設立間もない若い成長企業が業績を拡大していく過程では、キャッシュフローが重要になります。できることなら常に十分な現金預金を確保しつつ、安定的な収入を得られるシステムを構築するべきです。
増収増益を続けていても、手元に残るのが売掛金や受取手形などでの回収しなければならない債権ばかりだと不渡りを出す恐れがあります。
まずは、安定的な収入を確保するシステムの構築が重要になります。
つまり何が言いたいかというと、安定的な収入源を確保している企業では、キャッシュフローの重要性はそれ程高くない、という事です。安定した収入源を確保しているかどうかの確認として、キャッシュフローを見る。本来はその程度で十分でしょう。
安定的な収入源があって現金預金が潤沢にある自己資本比率の高い万年低PERのいわゆるバリュー株では、キャッシュフローなんて重要視しなくても良いのです。そのような企業でキャッシュフローについて必要以上に重要視しているのは、馬鹿みたいだ、と僕は思うのです。
さて、それではニホンフラッシュ(7820)を見てみましょう。
業種はマンション向け内装ドアです。国内45%、海外55%。ここで言う『海外』は中国です。
主力が中国相手の商売ですから、中国企業の売掛金が多い事になります。
成長企業で、どんどん売上を増加させている。
その売上増加により、売掛金や受取手形が多くなってきています。前期で11億円増加し、現在63億円。当然といえば当然ですが、これらの債権は中国企業相手のものが中心です。
現金預金は直近の決算報告書の時点で16億円。
対して、今期売上予想は160億円です。
当然、この売上を実現するためには企業活動を行う資金が必要になります。その資金は現金預金では足りません。売掛金や受取手形といった債権を現金化する必要があります。
160億円の売り上げを上げる為に、どれだけのお金が必要になるでしょうか。その債権は不渡りにはならないでしょうか。手形の満期まで待てずに、割引料を差し引いた額で銀行に買い取ってもらう手形割引調達をする必要に迫られないでしょうか。
(ちなみに、銀行に買い取ってもらった手形が不渡りになった場合は、銀行から買戻しの要求がきます。買戻しできない場合は、銀行と協議しながら分割して支払う必要があります)
重要なことですが、資金繰りの問題点の有無を確認する為の手段はファンダメンタル分析になります。ファンダメンタル分析を主とする投資家であれば、企業の資金の流れをイメージしなければなりません。
この企業のこれからの資金繰りを、過去のキャッシュフローでイメージできるでしょうか?
難しいですが頑張ってやってみましょう。
まずは、ここ数年のキャッシュフローを見てみます。
2010年3月期
営業キャッシュフロー 178百万円
キャッシュフロー -635百万円
2011年3月期
営業キャッシュフロー 309百万円
キャッシュフロー 118百万円
2012年3月期
営業キャッシュフロー 239百万円
キャッシュフロー -27百万円
2013年3月期
営業キャッシュフロー -165百万円
キャッシュフロー -228百万円
投資キャッシュフローと財務キャッシュフローは割愛します。割愛してはいけないのですが、長くなるので割愛します。
ここでのポイントは、2013年3月期の営業キャッシュフローです。
マイナスに転じています。敢えて簡略化して乱暴に言わせてもらうなら、資金繰りが悪化しています。
しかし、成長企業では資金繰りを悪化させながら成長するのは良くあることです。良いか悪いかは別にして、大して珍しい事ではありません。
キャッシュフローを確認してみても、今期以降の営業キャッシュフローがどうなっていくのかの予測はできません。
しかし、ニホンフラッシュのような企業では将来のキャッシュフローがとても重要になります。
何故でしょうか。それは、今まさに現在進行形で多額の設備投資をしながら急成長している企業だからです。繰り返しますが、投資キャッシュフローは割愛します。
それでは、まずは経常利益にキャッシュフローを重ねて見ましょう。
2010年3月期
経常利益 478百万円営業キャッシュフロー 178百万円
キャッシュフロー -635百万円
2011年3月期
経常利益 174百万円営業キャッシュフロー 309百万円
キャッシュフロー 118百万円
2012年3月期
経常利益 760百万円営業キャッシュフロー 239百万円
キャッシュフロー -27百万円
2013年3月期
経常利益 1,973百万円営業キャッシュフロー -165百万円
キャッシュフロー -228百万円
これだけでも随分イメージが変わって見えます。
投資家にとって大切なのは、「何故そうなったか」「これからどうなるか」です。
何故2013年3月期の営業キャッシュフローがマイナスになったのかの理由が重要です。
というより、何故2013年3月期は営業キャッシュフローが経常利益の推移と大きく掛け離れているのかの理由が重要です。
このような企業で重要視しなければならない項目。
支払利息と割引料です。
ここから先は長くなるので巻いていきます。
2010年3月期から2013年3月期までを矢印で表します。
6→10→17→58(百万円)
今のところ問題ありません。
しかし、2次曲線を描くように急増しています。(支払利息は有利子負債変動と金利変動を御確認下さい)
ここでいう割引料とは、一定の支払期間を与えた売掛金その他債権について相手方が支払期日前に代金を支払った時に、その期間に応じて値引きする料金です。受取手形の割引料ではありませんので注意して下さい。
受取手形の割引料は、上記の中に含まれておらず、財務諸表の枠外に受取手形割引高という表記で表されます。本当はもう一通り表記方法がありますが、現在は一般的でないので割愛します。
直近の受取手形割引高は、第3四半期連結決算で下記となっています。
2013年3月期355百万円
2013年9月1,330百万円
2013年12月1,832百万円
これは売上増加によるものと、中国での住宅バブルが弾ける前兆という、2つの影響です。
それでは売上推移はどうかというと、
7,122→6,622→9,100→12,729(百万円)
となっています。
何故売上推移を見たかというと、売上と売掛金は密接に影響しているからです。短時間で企業分析する際は、売上と売掛金はセットで考えて下さい。
ここでは売掛金の推移は省略します。専用ツール或いは専門サイトで調べれば30秒もかからずに分かりますので、各自調べてみて下さい。
確認のため、当期利益推移も見てみましょう。
-83(※)→87→555→1305(百万円)
※2010年3月期は特損計上の影響
この比較は僕はあまり好きではないのですが、経常利益或いは当期利益に対する支払利息と割引料の割合推移を算出してみましょう。
経常利益:1.3→5.7→2.2→2.9(%)当期利益:-7.2→11.5→3.1%→4.4(%)
この値が2014年3月期にどうなるか。まだ現時点では2014年3月期の決算報告は公表されていません。知ろうとするのは2014年3月期の業績予想の範疇になります。今回のテーマと離れますので割愛します。今回はガンガン割愛します。割愛できない人は置いてきます。
同じ要領で、受取手形の割引料を算出してみると良いと思います。
しかし、2013年3月期までは殆ど面白味のない値ですので割愛します。
2014年3月期の決算が出たら、2013年3月期までと比較してみて下さい。多分驚きの結果が出ます。
もうちょっと続く…