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公開前からずっと、これは観てみたいと思っていたのが「フィリップ」です。原作となった小説は、母国ポーランドでは長らく発禁処分となっていたとか。この日なぜか観客は私ひとりでした…なぜだ!ユダヤ人であるフィリップは、ナチスによって両親や兄弟、婚約者を一度に惨殺されてしまいます。ここまで体感1分。あっという間に彼がどん底に突き落とされます。その後彼はフランス人と偽り、なんとフランクフルトのホテルで働き始めました。なぜ彼がそんなことをしているのかというと…その美貌と肉体をもって、ナチス将校の妻たちを次々と誘惑し、寝取るため。そして寝取った後は、「お前の夫は戦場で死ぬ」とか、「その老いた身体を抱いてくれるやつなどもういない」とか、呪いのような言葉を吐いて彼女たちを捨て去ります。愛など微塵もないセックスシーンが強烈です。当時のドイツは、ドイツ人女性は外国人と交わることを禁じられていたそうです。そのため、フィリップとの関係を公に口にできない彼女たちは、黙り込むしかないわけです。そうやって、間接的に復讐を果たそうとしているのが、彼なのです。あまりにも孤独。そんな中で彼はリザというドイツ人女性と出会います。彼女は今までに出会った女性とは違い、純粋で、真っ直ぐで、彼の凍り付いた心を溶かしていくのですが……。フィリップを演じたエリック・クルム・ジュニアの狂気は、圧巻でした。激情を解放するかのように、夜中にホテルのホールで走り回ったり転げまわったり、まるで前衛芸術のように踊る彼の姿は、言葉こそなくても、こちらに強く訴えかけてくるものがありました。特に、親友を無残にもナチスに殺された後のシーンは、彼の慟哭が痛すぎて、直視できないほどでした。その前にも、同僚を目の前で絞首刑にされていて、彼だけは目を閉じることなくそれを見ているんです。もちろん、家族と婚約者が次々と射殺されていく様子も見ているわけですから、彼の精神が崩壊しない方が無理という話です。ぱっと見はそこまで美男子に見えないんですが、内側から匂い立つ何かが、彼を凄まじい美しさに仕立て上げています。おそらくそれは彼の背負う孤独や狂気なのでしょうが、くらくらするほど美しい。ナチスに殴られて、顔に傷を負ってからの方が、さらに美しいのです。結局、彼はリザとの愛を選ぶ直前で親友の死に直面し、復讐の鬼と化してしまいます。ナチス関係者のパーティーで、ダンスに興じる彼らを、密かに手に入れた拳銃でまるでスナイパーのごとく射殺していくときのあの横顔!そしてそこから身を翻し、人波に紛れてパリ行きの列車に乗り込む彼の背中が漂わせる孤独と言ったら…その後、彼はどうなったのでしょうか。リザが彼に「あなたには幸せになって欲しい」みたいな感じのことを言うシーンがあるのですが、彼は幸せになれたのでしょうか。心を引き裂かれた彼がどこに行きついたのか、その魂が平穏を迎えられることを願ってやみません。
2024.06.30
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Suedeがソウルでライヴやりますよ。行ってきます!たぶん大丈夫。だと思う。
2024.06.24
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いまさらのいまさらのいまさらで、いまさら何言ってんだというところですが、私の初めてのBlack Keysです。Black Keysという名前はずっと知っていたけれど、なぜか耳に入れることもなく通り過ぎてきていたのはなぜなのか、いまだにわかりません。何が私を避けさせていたのかも、全然わかりません。そしてなぜこれをリアルタイムで聴かなかったのか、当時の自分をちょっと叱りたい。ただ、これをディスクユニオンの棚でなんとなく手に取ったこないだの自分をほめたい。「El Camino」は彼らの7枚目のアルバムです。徹頭徹尾、ロックです。歪んだギターと乾いたドラムスの竜巻のようなグルーヴで押し切るこの熱量。だけどメロディのそこかしこに感じる歌心というか、哀愁めいたものが、ブルースなのでしょうか。私にはそれを語れるほどの知識がありませんが、なんだか単なるロックという言葉で片付けられないものがあるように感じます。ヴォーカル&ギターとドラムスの2人組というと、White Stripesを思い出しますが、私はちょっと声が苦手で…。その点、Black Keysの声は私の耳に何の違和感もなく馴染みます。だから余計に気に入ったのかもしれません。これを大音量で聴きながら車をかっ飛ばすと、非常に爽快です。
2024.06.22
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「マッドマックス:フュリオサ」は、2時間半の長尺をまったく感じさせず、超弩級のアクションと、フュリオサがなぜああいうキャラクターになったのかをストーリーに詰め込んでいました。お腹いっぱいになるけれど、前作とのつながりを発見して理解するごとに、どんどん面白くなっていきましたね。なぜフュリオサが義手なのか。どうして彼女が警護隊長になれたのか。彼女が生まれた緑の地とは、なんだったのか。アニャ・テイラー・ジョイの細さが、もうおばちゃん目線で「大丈夫なの!?そんなにか細いのに…涙」みたいな感じで見てしまいましたが。多くの悲劇を目を見開いたまま見てきた彼女だから持つ、強さと絶望と果てしない怒りと憎しみが、少ないセリフと仕草にあふれています。しかしそれにしても、アクションがカッコいい。スナイパーっぷり(ママ譲り)を発揮するシーンとか、「いけ!やれ!」と拳を握りしめるくらいには、興奮しました。ディメンタスがクリス・ヘムズワースなので、なんか勝手にいい人になるんじゃないかと思ってしまう(笑)。でもいい人じゃなかったです。そしてその最期は……ああ、そういうやり方もあるんですか!とね。そしてジャック(トム・バーク)…いい男すぎる!そしていい男の宿命は…(涙)…でした。怒りのデス・ロードを観た人はみんな観に行くとは思いますが、ぜひ、観て!と宣伝して歩きたい。
2024.06.18
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Suedeの「love and poison」です。1993年のブリクストン・アカデミーでのライヴ盤。昔はこれ、VHSしかなかったはず…と思うのですが、アルバムのデラックスエディションに丸ごと入ってるし、レコードも出てるし。希少価値は薄れましたが、こうした音源に気軽にアクセスできるようになったことは、ファンとしてはやはり嬉しい限りです。レコードストアデイ限定のアナログだと、クリアヴァイナル仕様になってます。いきなり最初が「The Next Life」で来るのでびっくりしますが、やはりこの曲は美しい。そしてブレ兄さんのファルセットがこのころは最強です。透明感ありすぎて本当にあの世に行きそうです。当然なのですが、Suedeの1st期の曲しか入ってません。バニ信者は全員悶え死ぬこと請けあいです。好き勝手するギターが炸裂しています。少し粗い感じなのも若さダダ洩れでいいと思います。ずーっと強いタッチのまま弾き続けるThe Next Lifeも好き。このライヴは1993年のものだけれど、音をリマスターしていることもあってか、この頃の彼らの勢いがハイクオリティな音で迫って来るので、本当に恐ろしいほどぞくぞくします。MovingとNitrateの流れ最高。Movingとかライヴで聴きたいなあ…。そして、Painted Peopleがこんなにライヴ映えすると思わなかったです。再発見でした。Suedeは韓国でのライヴが決定したとのこと。いいなあ。
2024.06.17
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今日は、栃木県交響楽団の定期演奏会に行ってきました。ふだんの私ならまず行かない類のコンサートではありますが、行けなくなった叔母の代理ということで。一度だけ、子供のころ観に行ったことはあるんですけれどね。でも、私は中・高と吹奏楽部にいたので、割とこういう演奏会、興味があったんです。今日の演目は、ガーシュウィン:パリのアメリカ人チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23シューマン:交響曲第2番ハ長調作品61いちおう、何となく知っている曲なので、ハードル下がりました。久しぶりに生で聴くクラシック・コンサートはとても楽しかったです。弦楽器の響き、管楽器の突き抜けた音。私はチューバを6年やっていたので、どうしても中音・低音にばかり聴き入ってしまいました。でもチューバはパリのアメリカ人しかいなかった…。トロンボーンの方のソロが良かった!ああいうの聴くと、なんかちょっと吹いてみたくなる。ピアノは栃木県出身のピアニスト・阿久澤政行さんでした。月並みな感想ですが、プロってすごい。私、最初の音で涙ぐんでしまいました。なんでだかよくわからないけれど、こみ上げてきてしまって。来てよかったなと思いましたよ。ロックなライヴも楽しいんですが、たまにはこういうのも、違う方面からの心の栄養です。
2024.06.16
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ソロ名義で25年ぶりのアルバムですよ。Bernard Butlerがやっと自分で歌う気になった「Good Relief」。本国では5月31日リリースで、1週間ほど遅れて私の元にもやって来ました。オフィシャルストアからオーダーすれば、500枚限定のゴールド・ヴァイナルでバニのサイン入りシートが付きますよ。ということで私はもちろんプレオーダーしました。音源は以前からネットに小出しにしていたんですが、それで聴いたときよりも、一枚通して聴く方がずっといい。言っておきたいけれど、SuedeのBernard Butlerはここにいません。そして、ロックも、エロいギターも唸るギターもありません。枯れ渋なフォークを訥々と歌い上げる彼が、そこにいます。プラス、彼お得意の流麗なストリングスのアレンジ。これはたまらん。リード・トラックとなる「Camber Sands」を聴いたときから、今度のアルバムはこういう路線になるのだろうなと思っていました。郷愁を漂わせる、大人のフォーク。でね、一回さらっと聴いただけじゃ、ハマらない人、多いと思います。でも、じっくりと腰を据えて、すべての雑音をシャットアウトして、歌詞とにらめっこしながら聴くと、じわじわと「来る」んですよ。本当に、歌詞も含めて「郷愁」としか言いようのないサウンド。私が勝手に解釈した感じなので、正確な意味はわかりかねますが、ある程度の年を重ねた「I」が過去を振り返り、そこに帰ろうと呼びかけたり、失った大事な人にもう一度なんとか触れようとしてみたり(でも無理)、急に人生全部クリーンにしてやる!って開き直ってみたり。私は「Pretty D」という曲が大好きなんですが、これ、何の予備知識もなく歌詞だけ見てたら、「え?これバニ自身のこと?」と思っちゃいそう。Well, it’s been 20 years since you broke my heartOh 20 years We’ve been falling apartAm I losing my touch, baby? Why don’t we start it again?またブレットとなんかあったの!?と私は一瞬誤解しましたよ(苦笑)。でも、メディアのインタビューを読んでいたら、彼が「The League of Gentlemen」というドラマに登場するバンドのメンバー同士の関係性(仲違いしてるみたい)に言及してて、そういうことですかと納得。ただ同時に、Pretty Dは自分自身でもあるとも言っているので、まあ、いろんなイメージを詰め込んだ上でのキャラクターなのかなとも思いました。バニに対して失礼かもしれませんが、ホントにキュートなオジさまになったなと。アルバムリリースが決まるあたりからずっと彼のSNS見ていますが、やることなすこと可愛いんですよ。犬と登場したり、寝起きだったり(たいてい寝癖大爆発してる)、移動中だったり。で、「Hello, it's a lovely day!」なんて言われた日には、悶絶します。本国ではインストアイベントを精力的にこなしているようで、羨ましい限りです。日本のことも、忘れないでね…!
2024.06.15
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ちょっと待って、そんなの聞いてないよ!というのが第一感想です。ホントに、聞いてないですよ。Shed Sevenの新譜がここまでいいなんて、聞いてない!facebookの関連投稿に出てきたので、Shed Seven再結成してから頑張ってるんだなーと思ってたら、今年の頭に出た新譜「a matter of time」が、良すぎます。しかも、バンド初の英国チャート1位。イギリスってなんなの。羨ましい。結成30年経っても1位になるって。日本じゃ考えられない。プロデューサーはKilling JokeのYouth。それだけでなんか期待しちゃいますが、本当に、それ以上の出来だと思います。聴いた途端に頭をぶっ飛ばされるような興奮に包まれる、「Let's Go」の破壊力に勝る曲を、今年はまだ聴いたことがありません。このPV。オーディエンスもバンドも、なんでみんなこんなに楽しそうなの。羨ましすぎるよ。しかもこのアルバム、Let’s Goだけじゃありません。どう控えめに言っても、全部がキラーチューン。爽快感で突っ走るロックナンバーがたまらない。50過ぎでなんでこんなに青臭いメロディを何の衒いもなく繰り出せるのでしょうか。しかもそれがそこいらの若者よりもカッコいいのですから、始末に負えない。その上、聞かせるミディアムスローなナンバー、なんだかぐっときて涙ぐんでしまうバラードの数々。ちなみにゲストとしてReverend and the MakersのLaura McClure、Happy MondaysのRowetta(in Ecstasyのロック感はたまらん)、そしてLibertinesのピート!私、ピートがゲストやってるなんて知らずに買ったので、あの特徴的な声がラストナンバーに聞こえてきて本当に驚きましたよ。で、ピートが一緒に歌っているThrowawaysが、噛めば噛むほど味が出てくる、心に染み入るバラードなんです。「使い捨てになんかされない、絶対に消されない、雨の中に放り出されたって、俺たちはやり方を変えない」って。「勢いに乗っていたって、捨てられてしまうだろうけど。それは時間の問題なんだろう。でも、自分たちのやり方を変えるつもりなんかない」って。30年のキャリアの中で、アップダウンもあって、どん底からの復活を果たした彼らだから言える決意表明じゃないですか。これで泣くなという方が無理です。というふうに私は解釈しました。個人的に唯一残念なのはジャケです。ガラの悪さこの上ない感じですが、妙にギラついた感が、だんだん見ているとハマる(笑)。
2024.06.12
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私は断然「coming up」以降のSuede派なので、この「dog man star」というアルバムを異常に持ち上げる流れって苦手なんです。とはいえ、バーニー在籍時ラストのアルバムということで、その存在感はおそらくずば抜けています。そして、バンドに入った大きな亀裂をそのままアルバムにぶち込んだ感が、かえって歪な美しさを醸し出していると思うんですね。今はもう、昔ほどの苦手感はありません。彼らの音を何十年も聴いてきて、ようやく全部いいじゃんと思えるようになりました(遅い)。We are the Pigsのような不穏極まりない音もあれば、the Wild Onesのようにバンド史上に輝く珠玉のバラードもあり。私はHeroineの美しくちょっと歪んだ音が一番好きです。Daddy's Speedingのねじれたラストも、the Powerの野心的な力も、New Generationのキャッチーなのにどこか血の匂いさえ感じる部分も、全部好き。This Hollywood Lifeの破滅的なリリックも、まるでブレバニの別れのアンセムみたいなthe 2 of Usも、陶酔感に満ちたBlack or Blueも、これぞブレの描く女たち、みたいなAsphalt Worldも、あまりにも美しい。そしてラストのStill Life。絶望しかないのになんでこんなに美しいエンディングなのか。そして、バニがこの後プロデュース業でめっちゃ生かしているストリングスが、このアルバムからは随所に匂います。ロックのアプローチというよりもむしろクラシックなのでは?と思ってしまうほど。ブレットとバーニーの間の亀裂はもういかんともしがたく、作業もずっと別々だったようです。バニはエドにプロデュースのやり方も教わりながら、ひとりで曲を仕上げていたようで。あまりにもストイックで厳しい注文に、サイモンと衝突したり。まあね、兄さんがパーティーとかドラッグとかやったりしてる横で、バニは真面目一辺倒な印象ですからね…。ちなみに、デラックスバージョンにはB-sidesやライヴ音源、ブレバニインタビューも入っています。本当にバーナード・バトラーと言う人の才能はすごい。B-sidesこそ聴くべきだと私は思います。様々な角度からの音楽的な表現が詰め込まれていて、それをちゃんとSuedeの音に仕立てている。その上であの唯我独尊のギター。おかしい。インタビュー映像は実に和やかです。バンド最大の危機を招いたこの一枚を、ブレバニ二人が時に笑いながら語っている姿は、心の底から嬉しくなりますよ。youtubeでも見られたと思うけど、もちろん字幕はないです。
2024.06.09
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何で今更、2005年リリースのアルバムなんだ、と。Editorsの1st「The Back Room」です。私はこれを買った記憶があるんです。でも棚にないんです。ということはつまり、売った…?やはり、音楽のテイストというものは常に変動しつづけるものなのだと痛感。先日「EBM」を激賞したおかげで、もう一度このアルバムを手に入れてみようと思い、再購入しました。本当にすみませんでしたとしか言えない。この暗く美しい闇を、どうして当時の私は放り出してしまったのかと後悔しています。アルバムを彩る11曲すべてがこんなにも美しく聞こえるとは。lights~munich~blood~fallの出だしのインパクトは計り知れないほどです。イメージとしてはモノトーンの世界ですが、時に冷たく、時に熱く響く彼らのサウンドは、圧倒的なエナジーを感じさせます。とはいっても、大音量だとか音の洪水だとか、そういう類のものではなくて、何か一本、確固たる芯の通った音が持つ力。たぶんこのギターが多分にポストパンクな色合いだからなのでしょうか。そして、それに重なるトム・スミスの声。この人の声ってけっこう低いと思うんですが、他のバンドのヴォーカルとは一線を画す存在感を放っています。ジョイ・ディヴィジョンを引き合いに出されることが多い彼らですが、ホントそう。イアン・カーティスを連想しますよね、この声は。で、歌詞が本当につかめない感じがまた、良いのです。愛だ恋だ言わないのが、本当にいい。私に考えることを強いてくれる歌詞は、とても魅力的です。「blood」の「blood runs through your (our) veins, that's where our similarity ends」というフレーズが、、なんだか頭から抜けないんです。ゴス寄りに分類されることもあるという彼ら。実にアーティスティックかつインテリな雰囲気が、たまりません。やだもう、アルバム全部追わないといけないじゃないですか。
2024.06.08
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レコードを集めるならそりゃあSuedeからでしょ!ということで買い集めているところですが、最近とみにお気に入りなのが「the Blue Hour」。なんで今頃…?なのですが、これは絶対にレコードで聴いた方がいいと妙な確信を持って探していたら、なんかデラックスなボックスセットが出てる。ということで買いました。内容としては、Blue Hourのアナログ2枚組、CD、インスト盤(CD)、メンバーとプロデューサーなんかがそれぞれ全曲コメントつけてる長大なコメンタリーCD、歌詞シート、アルバムの曲それぞれのクレジットとか細々と載せてるカード、このセットのみの7インチ「manipulation」…と、めちゃくちゃ豪華です。歌詞がちゃんと大きく載ってるのが嬉しい。CDの歌詞、ちょっと読みにくいんですよね。コメンタリーは興味深いのですが、何せ音声のみなので集中力めっちゃ使うし、なかなかすべて聞き取るのは難しいです。でもとりあえず、このアルバムのもう一人のプロデューサーだと個人的は思ってるニールのやつは全部聴きました(ひとりで50分強喋ってる)。これはとても興味深かったです。どんなふうにストリングスとかピアノを入れたかとか、コーラスの入れ方とか。いつごろ曲の原型ができてたかとか、どんな取っ掛かりがあって曲が出来上がっていったかとか。この人がここまでデキる人だとは…と感心しきりでした。そして、ニールの声はすごくジェントルで聴きやすい。(追記)インスト盤を聴いてみましたが、これはコメンタリー聞いた後の方が絶対いいです。私はまだニールと兄さんの一部しか聞けてないですが、ニールが言ってたストリングスの部分などがすごくすっと入ってきました。こういう音にすることでこんな風に聞こえるのか!と、このアルバムの新しい一面を観ることができたように思います。あと、私がこれを買った最大の理由は、未発表曲の「manipulation」です。これは兄さん&リッチの黄金コンビの作品ですが、めちゃくちゃロック!Suedeらしからぬくらいにロック。イントロのギュイーン(語彙が乏しくてすみません)というギターで一気にテンション上がります。疾走感もあるけど歌詞はちゃんとSuedeっぽく毒やら華やらでギラギラしていて、突然ブチっと終わる。そこが未発表な理由でもあるのかな。そして、これだと、アルバムには入らないだろうな…という感じの、異端な曲だと思います。聴けば聴くほどに味わい深く、さらにこちらを引き込む。そんな魅力のある一枚です。毎日こんなのを聴かされているウチのねこさま(マオ)は、「as one」のおどろおどろしいコーラスを聴いても、もうびくともせずに寝ています。最初は逃げたのに。
2024.06.06
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アカデミーの国際長編映画賞やカンヌのグランプリ、英国アカデミーも取ってる「関心領域」を観てきました。アウシュヴィッツ収容所の隣、壁を隔てたすぐ向こう側にあるのは、所長であったルドルフ・フェルディナント・ヘス(副総統のヘスとは違う)の家。そこには妻や子供たちが幸せそうな生活を送っているのですが、彼らは全くと言っていいほど、壁の向こうに関心を払いません。美しく整えられた庭や豪勢な食事、幸せな家族…それらの営みが行われている向こうで、実に「自然に」、煙が上がり、収容者の悲鳴が聞こえ、あの列車が到着する。この対比が、ホラー映画以上に恐ろしい。身の毛がよだつとはこういうことを言うのでしょう。声を出さずに「マジか…」と思わずつぶやいてしまうくらいでした。そして、この映画のキモは「音」だと思います。冒頭から、低音で「ブーン…」って聞こえるんですよ。それが、幸せそうな家族の生活の中でも時折響くし、ラストでもしっかり聞こえる。これが怖い。それに加えて、エンドロールの音楽。警報のような音かと思いきや、聞いているうちに、悲鳴に聞こえてくるんです。それが最後まで続くんです。本当にしんどい。怖い。オッペンハイマーを観たときもけっこうズーンときましたが、関心領域はその比ではありません。後味はたぶん最悪の部類なんですが、考えさせられるところは多いし、なぜかもう一度くらい観てみたくなります。なんでだろう。あの気味悪さの意味を、もう一度考えてみたい。
2024.06.04
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先日より随時開催中の個人的Interpol祭りですが、彼らの7th「the other side of make believe」は、噛み締めるごとにその良さが毒のように身体に回っていく一枚だと思っています。AnticsやMarauderのような疾走感のある雰囲気が何より好きな私なのですが、このthe other~は、何度も聴いているうちに、また聴きたい、次もやっぱりまた聴きたいと思わされるようになっていったのです。その理由の最たるものが、アルバムの冒頭を飾る「Toni」。私はこのピアノ?の音に中毒性を感じるんですね。頭の片隅でずっと鳴り続けるようなあの音は、まるで軽やかなステップを踏んでいるようで。ついでに言えばPVのポールもガラが悪そうで好き。「Into The Night」の変則的な展開も、聴き込むほどにはまります。あくまで緩やかなのに、だんだんと奇妙なグルーヴに巻き込まれていくような感覚です。これぞシングル!的なずば抜けたキャッチーさのある曲がないのに(個人的にはGran Hotelも好き)、引き込まれてしまうのはなぜなのか。私が思うことととしては、まるでアルバム全体で一曲のように感じられるからなのかもしれません。Interpolらしいクールさの中に、熱い焔が静かに揺れている。そこから生まれる静かな高揚感が、何とも言えず私の心を滾らせるわけです。こういうロックもありなんです。ポールの特徴的な声と、まるで対岸にいるような感じで華麗にステップを踏むようなケスラー氏のギター、そこにグルーヴをぶち込んでくるサムのドラムス。最強じゃないですか。そりゃあ、カルロスがいたら…と思うこともいまだにあるけど。それにしてもどうして彼らは年を取るごとにカッコ良くなっていくのか。というか、私が好きなバンドはみんな、若いころより今の方が見てくれも音もカッコいいんです。あ、それは私も年を取ったからということなのか。でもやっぱり、Interpolは、ライヴとか見てても今がいちばんイケてます。
2024.06.03
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【輸入盤】 Good Omens 2 - Prime Video Original Series Soundtrack 【CD】私がアマプラに加入したのは、そんなに昔のことではありません。個人的に時間ができて、映画を観に行く余裕ができると、次はすでに公開の終わっている映画を観たくなったり、それに関連してドラマも…ということで、デヴィッド・テナント関係を主に見ていたのですが。ブロードチャーチとか暗いやつ。今回は、ステージド!で超仲良しを見せつけてくれるもはやお笑いコンビのようなデヴィッド・テナントとマイケル・シーンが共演している、グッド・オーメンズ。すみません、昨年から見始めました。ドラマを一気見できる集中力がないので、一話ずつ、本当にちょこちょこと見ていて、つい先日ちゃんとシーズン2まで見終えました。そして、私の想像のはるか斜め上以上を飛んでいくストーリー展開に、まさにお口あんぐりでした。これは…全世界の女子が…萌える…!内容は置いといて、デヴィッド・テナントの悪魔クロウリーは、語彙力の欠如を恐れずに言えば、超カッコいい。それ以外言えるでしょうか。赤い髪だし、たいていジャケットとスーツのセットアップを着てるんですが、それがほっそい脚を強調していてたまらない。いちいち仕草がツボ。マイケル・シーンの天使アジラフェルはとにかく可愛い。ちょっとぷくっとしてるところが可愛さを強調。三つ揃いが上品。……とはいっても二人ともいい年のオジ様ではあるんですが、なんかね、もう、母の気分で見守りたいです。主人公が天使と悪魔なので、聖書の世界観が盛り込まれているのもけっこう面白いし、回想シーンで出てくる歴史上の出来事とか、ロンドンの街並みとか、私の大好きなカテゴリーばっかりです。シーズン2のラストは、前述のとおりお口あんぐりなんですが、同時にすごく切なくなりました…。でも、続編撮影スタートするよ!のアナウンスがあったので、シーズン3を首を長くして待ちたいと思います。
2024.06.02
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