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2008.12.25
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~講談社ノベルス、1997年~

 森博嗣さんの第一短編集です。講談社ノベルスでは、この後しばらく、本編シリーズ5作ごとに一回の割合で短編集が刊行されることになります(『四季』や、単行本ノベルス化などの頃からこの規則はやぶれましたが…)。
 とまれ、それぞれについて簡単にコメントを(書ける話については内容紹介も)。

ーーー
「虚空の黙祷者 Silent Prayer in Empty」
 [主要人物]水木ミドリ、村上和史
 [内容紹介]5年前、ミドリの夫がとつぜん失踪した。同じ夜、村上の父親は何者かに殺害される。現場からは、ミドリの夫の指紋も発見されていた。事件から5年経ち、ミドリは子供とともに引っ越しする決意をする。しかしそれを聞いた村上は、彼女にある告白をする…。

「純白の女 The Lilies of Her Cheek」
 [主要人物]功力ユリカ
 [コメント]詩のような文体で綴られる物語です。終盤にはやられました。

「彼女の迷宮 She is Lost in Mysteries」

 [コメント]どんなミステリになるのか、と思いきや…。でもこの手の話は好きです。

「真夜中の悲鳴 Acoustic Emission」
 [主要人物]阿竹スピカ、石坂トミオミ
 [内容紹介]夜遅くまで実験しているスピカ。別の場所で実験していたトミオミは、不審な振動に気付き、スピカに連絡する。ちょうど、不審者による事件が何件か起こっている頃のことであった。
 [コメント]今回再読した中では、いちばん楽しく読めたように思います。ラストが素敵でした。

「やさしい恋人へ僕から To My Lovely」
 [主要人物]僕、スバル氏
 [コメント]初読のときのインパクトが忘れられない作品の一つです。しかしそれはそれとして、ほのぼのした物語としても楽しめます。

「ミステリィ対戦の前夜 Just Before the Battle for Mysteries」
 [主要人物]西之園萌絵、岡部
 [コメント]推理小説研究会部長の岡部さんが活躍(?)する短編です。作中の、部員のミステリ作品の内容とそれへのコメントがとても楽しい一編です。

「誰もいなくなった Thirty Little Indians」
 [主要人物]西之園萌絵、浜中フカシ、牧野ヨーコ
 [内容紹介]推理小説研究会が企画したミステリィツアーに、ヨーコは先輩のフカシを誘って参加する。企画には、やはり西之園萌絵が関わっていた。参加者はまず展望台に行き、現場(?)を確認する。その後、現場周辺に見張りを残し、ヨーコたちは近くのビルの屋上へ。そこから見ると、現場では30人のインディアンたちが踊っていた。ところが現場に戻ると、敷地内には踊っていた人々はいないのだった。見張りをしていたフカシも、誰も逃げていくのを見ていなかった。
 [コメント]1996年7月(西之園さん3年生)のときのことだと思います。 『詩的私的ジャック』
 それにしても、フカシ、ヨーコがカタカナ表記になっている意図は何でしょう??

「何をするためにきたのか The Identity Crisis」
 [主要人物]甲斐田フガク、宮本ワタル
 [コメント]なんとなく、RPGを思わせる作品ですね。笑えるシーンも多々ありながら、タイトルどおり、考えさせられる部分もあります。初読のときは今よりももっと考えながら読んだだろうな、と思える作品です。

「悩める刑事 A Detective in Distress」
 [主要人物]三枝キヨノ、モリオ
 [コメント]なんとも内容紹介がしがたいですが、こちらも楽しく読みました。悩みを抱えた主人公たちですが、さわやかさもあるのが良いです。

「心の法則 Constitutive Law of Emotion」

 [コメント]こちらも内容紹介しがたいです。本書の中でもかなり難しかったです…。

「キシマ先生の静かな生活 The Silent World of Dr. Kishima」
 [主要人物]僕、キシマ先生
 [コメント]自信があり、研究熱心な学者・キシマ先生について僕が語ります(回想というべきでしょうか)。キシマ先生はものすごくかっこいい人物と思いながら読みましたが(決して真似できませんが)、きっと、これだけ純粋な人には生きにくい世の中なのでしょう。素敵な物語です。
ーーー

 いわゆるトリック重視のミステリももちろんですが、その他の、どこか静謐な物語も味わいがあります(最近はむしろそうした味わいの方が好みです)。
 短編集も素敵ですね。

 では、本書の中の好きな言葉を引いておきます(文字色反転)。

誰もが、自分がこうして生きているところを、自分のすぐ近くで誰かに見守っていてほしい。そう思うものです 」―「 虚空の黙祷者 」より

そうやって、タンタンと、ボンボンに生きているうちに、何か少しだけ、何か一時だけ、盛り上がって、笑って、面白いことを見つけて、また忘れてしまうのだ 」―「 何をするためにきたのか 」より

(2008/12/22読了)





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Last updated  2008.12.25 07:08:35
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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