仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2006.03.22
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カテゴリ: 仙台


 注目したいのは、由緒ある名前「案内」が付いていること。

 昔の塩竈街道は原町から岩切(今市橋)に通じていましたが、現在の東仙台小・中学校周辺の丘陵地を、「案内」と呼んでいたそうようです。
 「案内」の名の由来。善応寺の古い絵図によれば、旧小田原村と岩切村の村境に案内御控所と記してある。政宗が岩切城(高森城)を攻めようとした時この地の百姓が道案内をつとめて戦いを有利に導いたのでこの地を案内と呼ぶようになったという。

 またこの付近を今も御立場(おたつば)といっているのは、伊達家家法として藩主が国元にいる年は正月3日の早朝、上は一門から下は大番組に至るまで城から岩切へ行列をくり出し、藩主は案内の高台の本陣で御野初めの儀を行うが、その時標幟を立てたのが、この「案内」の「追標幟場」、転じて「おつたば」となったという。

 江戸時代に編纂された「奥州仙台名所尽(づくし)集」は、絵と文章で当時の名所がつづられた、おもしろい文献です。この中「案内」の部分が画像のとおりです。
奥州仙台名所尽より「案内」

 さらに、「奥州名所図会」巻之二には、「案内より七・八丁坂を登りて茶店多く、行く人しばらく杖をやすめ、一杯の甘酒に渇をうるほし、松が浦島の遠望には辻籠のホトトギス、しばしば馬子の昼寝の夢をやぶる...」とあります。案内から、「比丘尼坂」(比久尼坂とも)、今の市営バス東仙台営業所や燕沢小学校のあたりを上る道路でしょうが、この坂をのぼると、茶屋などの休憩どころがあった、ということです。坂の名は、その昔、平将門の妹がここで尼となり茶屋を開いたという伝えによります。政宗の植えた松並木が美しかったそうです。
 大正初期に新道ができて(国道4号バイパス山崎交差点を通る現在の利府街道でしょう)、旧道は住民の生活道路になったということです。

 塩釜街道の名物と言えば、その比丘尼坂の甘酒、今市(岩切)の「おこし」と、そして「案内」の湯豆腐だったそうです。湯豆腐屋は、今の東仙台二丁目交差点(東仙台中学校付近)のあたりで、大蓮寺の下の旧宅だったそうです。住宅地図で見ると、利府街道(新道)に面した歩道(新道の西側)が三日月湖のようにふくらんでいるのが、旧道のルートの名残りなのでしょう。


 そんな「案内」ですが、手許にある、『21世紀版みやぎ地図百科』(平成13年、河北新報社)の巻末の、昭和44年仙台市街図には、東仙台小学校、今の東仙台5丁目のあたりに「案内」と堂々表示されています。なお、旧村単位でいうと、案内は燕沢村(明治22年の合併では岩切、鶴ヶ谷、燕沢、小鶴の4カ村で岩切村となる。)に属したようで、小田原村(明治の合併では、南ノ目・苦竹・小田原の3ケ村で原ノ町となる。)が現在の宮城野図書館やNHK原町ラジオ塔付近まで、だったようで、それ以東が「案内」と呼ばれたようです。(明治時代の地図を確認できればいいのですが、未確認。)

 それにしても、踏切名にちゃんと残っていたとは、意外ですね。

 「案内」の名が残るもの、住宅地図で、もう2つ探しました。

 まず、「案内公園」です。バス停にも「案内公園前」と。旧中嶋病院の変則交差点からちょっと上に(東仙台小学校方向)ある三角公園です。(私の持っている昭和50年代の地図ではバス停名も単に「案内」です。)
 実は、私は根拠もなく「あない」と読むのだろうと思っていたのですが、市営バスに乗ってみたら、次は「あんないこうえんまえ」と、音声テープが流れました。
(先日、夜の東仙台営業所行きバスに乗りました。公式な読み方を知るにはこれしかないと思ったもので...)

 もう1つ。「旅館案内荘」(案内温泉)。利府街道を、焼き肉ひょうたん亭の交差点からちょっと鶴ヶ谷方面に入って、燕沢住宅の反対側、東仙台幼稚園の脇からさらに入ります。同幼稚園の創始者で東仙台の発展に尽力した菅野喜八郎氏が開削したもので、昭和初期には大変にぎわった、とか。

■参考 仙台市中央市民センターHPの「地域情報」から「 燕沢・小鶴
(このサイト結構勉強になります)

■以前の記事です。
仙台百景画像散歩(その2 はんだや)( 06年3月18日)
 ○ 仙台ミステリー?風景 (06年3月4日)





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最終更新日  2006.03.22 05:56:33 コメントを書く


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