仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2008.03.03
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カテゴリ: 仙台
東北学院大学が経済学部を改組して、新たに経営学部(定員310名)を設置する。経済学部は、経済学科(400名)に加えて、新たに共生社会経済学科(170名)を設置。現行の経済・経営両学科の夜間主コースは募集を停止する。この改組の実施は09年度。

時代の変化を先取りして変革をする姿勢と言えるのではないだろうか。この変革がどのような意義を持つのか、いま私は評論できないが、東北学院が間違いなく果たしてきた仙台と東北の人材基盤の造成に対する最大の貢献度を踏まえると、この変革は大きな意味を持つはずだ。というより、持たねばならないのだ。

私は学都仙台というとき、間違いなく東北学院が最大の貢献者だと思っている。

ところで仙台がなぜ学都と呼ばれるか。高等教育機関の数や質なら、もちろん東京はじめ他の大都市に優るとは言い切れない。しかし、百万都市という規模と東北の産業集積を背景に考えれば、高等教育機関の存在価値が飛び出ている感じは確かにある。

近代の夜明けを見れば、学都仙台の飛び抜けた様はもっとハッキリとわかる。旧制高校は東京に次いで仙台に設置され(旧制第二高等学校、1887年=明治20年)。また師範学校も東京に続いて仙台に二番目が作られ(宮城師範学校、1873年=明治6年)、その翌年には宮城外国語学校が全国に7つの外国語学校の一つとして設置。帝国大学は東京、京都に次いで東北帝国大学が置かれる(1907年=明治40年)。この頃には、官立の高等教育機関は、帝大、第二高校、仙台医専(現在の東北大学医学部)、高等工業(同工学部)。この4校体制は、東京の9校を除けば、京都(3校)をしのいで全国に例のない集積であった。

さらに私学の伝統の厚さである。中でも東北学院は明治24年、東北学院大学の創立は、私塾「仙台神学校」が開設された1886年にさかのぼる。
(以下東北学院のサイトによる説明)19世紀はキリスト教の各教派が競うようにアジア・アフリカに宣教師を派遣し、伝道活動を開始した時代。1879年にはドイツ改革派教会から日本へ最初の宣教師が派遣され、東京を中心にキリスト教の伝道が始まりました。そして1885年12月、教派三人目の宣教師としてW.E.ホーイが来日。一方、このころすでに日本にもプロテスタントのキリスト教が根を下ろし始める。横浜、熊本、札幌などに有力な伝道の拠点が形成され、日本のキリスト教伝道を担う人材が多数生み出される。その一人が、旧伊予松山藩士の押川方義。押川は1872年、キリスト教が未だ禁令のもとにある中で洗礼を受け、日本で最初のプロテスタント教会の一員に。その押川が活動の拠点を東北に移したのは1880年のこと。そして、押川が仙台を中心に熱心な伝道を続けていた時に、先述の宣教師・ホーイが来日。かねて宣教師の来援を願っていた押川は来日したばかりのホーイと出会い、協力の約束を取りつける。アメリカからやってきたホーイのもとには新しい知識を求める青年が集まる。そして1886年5月、6名の伝道者志望者を学生として、木町通りと北六番丁角の借家で私塾が開かれた。東北学院の第一歩となる「仙台神学校」の誕生である。
また、この年二人の婦人宣教師が仙台に着任し、押川やホーイらの協力によって設立されたのが、仙台で最初の女子教育機関である宮城女学院(現在の宮城学院)。

翌1887年末には、D.B.シュネーダー夫妻が来日。ここに、東北学院の「三校祖」と呼ばれる押川、ホーイ、シュネーダーの三人が顔を合わせる。1891年、仙台神学校は東北学院と改称され、伝道献身者以外にも普通・高等教育を施す。次々と教育制度を整えながら、南町通りの校地には赤れんが造りの校舎が新築。新進の詩人・島崎藤村が作文教師として着任したのもこの頃。東北伝道に力を尽くし、東北学院の礎を築いた押川とホーイが仙台を離れると、シュネーダーが第二代院長に就任し、東北学院発展の基盤をつくる学制刷新を次々と実行。



東北大学と並んでロースクールを設置した姿勢は、近未来にどう評価されるのかわからないが、学都のあり方を多様に彩るTGUの大きな存在意義を示したと私は感じている。

いま手元には、「季刊教養学部」がある。さまざまな先生方がいろんな関心をもって研究している。チョムスキーなんて懐かしいな。私なんかでも再びキャンパスで学びたいと思ってしまう。そんな地域に根の生えた大学なのだ。

私は決して東北学院の回し者ではないのですが、東北学院の発展が仙台・宮城・東北の発展につながる、とどこかで信じている。そう思う人は、同窓生や関係者以外でも、きっと多いはずだ。唯一の総合私学に対する誇りと期待は大きい。

■参考 大内順『ジミ都市 仙台の本 杜の都へのナビゲーション』しののめ出版、2007年 978-4-434-10675-0 ほか





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最終更新日  2008.03.04 01:48:18
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