仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2009.09.25
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カテゴリ: 東北
来年秋に正式デビューする山形県独自の水稲新品種「つや姫」が、18日に宮城県の奨励品種に指定された。河北新報の記事によれば、宮城県の品種審査会が7日に答申していたもので、米どころ宮城が他県の新品種を奨励品種に指定するのは珍しいそうだ。

同紙によると、概略次の通り。
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つや姫は8月15日前後に出穂する極晩生品種。同じ極晩生品種のコシヒカリに比べ草丈が短く倒れにくい。宮城県では、極晩生品種で良品質、良食味の品種を待っていたと指定の理由を説明。県南部の平たん地帯を中心に、コシヒカリの代替品種になるとみる。

宮城県の水稲奨励品種は15種目となるが、国開発品種を除くと、他県のうるち米は福井県のコシヒカリだけ(編集長注:先日TVでやっていたが、新潟県じゃないのです)。奨励品種の種子は県が生産し、農協を通して各農家に供給される。

審査会では他県の育成種を奨励品種に加えることを残念がる声も出たという。2月の審査会では名称決定前だったため、山形が前面に出た名称となった場合を考え、諮問を見送った。

「つや姫」が山形県以外で奨励品種に指定されるのは初めて。
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さて、山形新聞の記事によると、全国的な知名度アップのため他県での生産拡大を狙う山形県は、県外初の奨励品種決定を歓迎している。



更に、山形新聞によると、ブランド米を目指すには全国シェア10%を目指す必要があるが、主力品種の「はえぬき」はデビュー当時県外作付けを制限した影響もあり、現在のシェアは3%台にとどまるそうだ。


以上が報道の概要だ。

他県の開発品種を採用することについて、自県の奮起を促す気持ちも自然なことだ。しかし、行政の境界や組織のカベなど、美味しい食べ物を求める消費者にとっては関係ない。生産者にとっても、売れる米であることが第一ではないか。

むしろ、隣県の独自品種であろうが、時に連携し、時には独自の戦略で作付けや販売を工夫して、結果として一緒になってブランドを全国に広め高めるしたたかさがあって良い。

2紙に比較して読売新聞(山形)は冷静で、次のように記した(25日)(当ジャーナル要約)。
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山形県は高評価を得ながら作付けを県内に限定して知名度アップに失敗した「はえぬき」の教訓を生かし、積極的に県外へ普及させる。09年は沖縄や宮城など28府県で試験栽培を実施。

しかし県外普及には課題も多い。県内では有機栽培や農薬制限などの高いハードルを農家に課し、タンパク質含有率など独自基準も設定。しかし、県外産には縛りはかけられない実情。県外産の品質が低ければ全体の印象が悪くなり、県外産が安価となれば、高価格を目指す県内産に影響が出る可能性もある。

県外産との差別化も重要となり、「高級品」と「県外普及」の相反する目標を成し遂げられるか、ブランド戦略の成否のカギとなりそうだ。
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なるほど。いずれにしてもブランド戦略とは難しいものだ。





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最終更新日  2009.09.25 06:45:03
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