仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2010.10.02
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カテゴリ: 東北
山形県立川町(現庄内町)は、町を挙げての取組により、日本初の系統連系風車による発電を開始し、我が国の先駆的な成功例として風力発電の模範とされる地域である。 (町のサイト)

立川町は太平洋と日本海を結ぶ風の通り道で、「清川だし」と格闘してきた地域だ。清川だしは岡山県那岐山麓で吹く「広戸風」、四国山地を吹きおろす愛媛県伊予三島付近の「やまじ風」と並び、「日本三大悪風」として有名である。

もともと日本は冬にはシベリア高気圧の北西季節風にさらされるが、年間平均で見るとさほど風が強いわけではない。ただ、山岳丘陵地を抱えることから、複雑な地形によって局所的に特別な風が吹く場合がある。この局地風は、日本海側で「だし」、太平洋側の内陸で「おろし」と呼ばれることが多い。
(吉野正敏氏の局地風マップによると、東北関係では、「やませ」「生保内だし」「清川だし」が記されている。)

旧立川町の場合、日本海の影響と山岳地帯を抱えることから海洋性気候と山岳性気候を示している。4月から10月ごろにかけて吹く東南東の強風「清川だし」は、しばしば農作物被害や大火を与え、人々からは恐ろしいもの、やっかいなものとして敬遠されてきた。清川だしは主に気圧配置が東高西低の時に発生し、新庄盆地にたまった冷気がおろしとなり、最上峡谷で収束、庄内平野に吹き出す。この風は春から秋にかけて吹き、4日に一度は風速10mを超え、春には早苗を押し流し、秋には稲穂をなぎ倒す。また、冬は逆に北西の季節風が強く「地吹雪」も発生する。全国的もまれな強風地帯。

気象庁の統計データによると、狩川の平均風速(1979-2000)は3.8m/sである。近年では、2007年3.7m/sで、08年と09年が3.8だ。数字をみても実感が沸かないが、年間の平均風速は、仙台が3.4(1982-2000)、盛岡2.8(1975-2000)、山形市1.6(同)、酒田4.4(1984-2000)、大間3.1(1979-2000)、男鹿2.2(同)、などとなっている。結構格差があるものだ。

しかし、人々を泣かせる強風も、エネルギーとして大きな力になる。旧立川町狩川の年間平均風速は、地上高40mで毎秒6.5mである。年による変動も通例3%程度で、風力資源としては安定していると言える。

■牛山泉『トコトンやさしい 風力発電の本』日刊工業新聞社、2010年 ほかを参考にしました。





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最終更新日  2010.10.02 17:40:39 コメントを書く


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