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ベルリオーズという人は音楽の革命家です。名作「幻想交響曲」や「ロメオとジュリエット」「レクイエム」「ファウストの劫罰」など、どれも斬新な作品ばかり。この人がいなかったらリストもマーラーも今日知るような作品を書いていたかどうか。 彼はまた破天荒な一生を送ったのですが、基本的に永遠の青年なのでしょう。年を取れば少しは角が取れ人生の重みを感じさせるものですが、晩年まで瑞々しさと情熱を持ち続けています。(晩年の作品が記念碑的大オペラ「トロイの人々」やオペラ・コミーク「ベアトリスとベネディクト」ですからねえ) こういう人を日本ではあまり評価しないようです。日本では「枯れる」ことが芸事の完成形と見るからでしょう。深みの無い作品や人生には「味わいがない」と。 さて、言わずと知れたシェークスピアの「ロメオとジュリエット」を題材にした交響曲です。劇的交響曲となってますが古典的な交響曲とは違います。編成はアルト、テノール、バスの独唱者とソプラノ、テノール、バス各2部の合唱団が必要な上、オケの巨大編成を要求。ベートーヴェンの第9交響曲の拡大版といえなくもないですが、オペラ的な雰囲気はありませんし、オラトリオとも明らかに違います。 そう言う意味では、ベルリオーズ自身が名付けたように、交響曲の世界に新たな地平を切り開いた「劇的交響曲」としか名付けようがなかったのかもしれません。 本日は活動再開を祝して小澤=BSO盤で。LP発売当時は欲しくて溜まりませんでした。ジャケットはロメオとジュリエットの死の場面、ジュリエットがロメオの胸にもたれ手を握っているロマンチックな絵でした。この絵のごとく叙情的で甘美な響きを持ちながら、何てドラマチックな(特に両家が和解するところから最後まで)演奏なんでしょう。第3楽章(愛のシーン)冒頭の繊細な響きと続くメロディの爽やかな歌いだしには天性の叙情家、オザワの面目躍如たるものがありました。 ホセ・ファン・ダムの重厚なロレンス神父は説得力十分で、仲違いするキャプレット家、モンタギュ家もこの迫力には圧倒されてしまうでしょう。最後の「誓います、今や永久に友であることを!」という合唱には祈りよりも、力強さを感じます。 75年録音なので小澤さん40歳、ボストン響の監督としてまさに上り調子の時期でした。また75年と言えばベトナム戦争の終結。このような年に「ロメオとジュリエット」を録音しようとした小澤さんの意図はわかりますね。 確か同時期にマゼールがクリブランド管で同曲を録音してました。当時の評価はマゼールのほうでしたが、いやいや小澤盤の叙情と情熱だって素晴らしいです。 年を取っても瑞々しい感性や若々しい情熱を持ち続ける難しさは大人になればなるほどわかるものです。世間の無理解や批判などが徐々に感性を磨耗し、情熱の炎を弱めてしまうのでしょう。 それでもベルリオーズの音楽を聴くたびに胸の奥から熱い何かがこみ上げてきませんか。 「忘れていないか、思い出してくれ」とその音楽は訴えています。ベルリオーズが好きな人はきっとそれを探し続けている人なのでしょう。ベルリオーズ / 幻想交響曲、劇的交響曲『ロメオとジュリエット』 ミュンシュ&ボストン響(2CD) 輸入盤 【CD】小澤盤はカタログから消えてます。彼の恩師ミュンシュさんの録音で。
2010年08月15日
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8月1日、食道がんで療養中だった小澤さんが復帰会見を開きました。抗がん剤の影響でしょうか、髪も短く薄くなり、全体にしょぼくれた印象でした。胃がんから復帰したアバドはもっとミイラみたいだったことを考えれば、まだまだお元気なほうであり、1ファンとしては嬉しいというか、ほっとしました。 ただ心配なのは腰痛が相当ひどいようで、5、6歩歩くともう痛くて堪らないとのこと。あのダイナミックな指揮を支えていた腰もついに支えきれなくなってしまったのでしょうか。椅子に座って指揮となると音楽が変わってしまうのは、クレンペラーやチェリビダッケの例を見るまでもありません。音楽のテンポが遅くなると同時に、躍動感が失われるといわれています。今後小澤さんの音楽にどう影響が現れるのでしょうか。 12日、サイトウキネンフェスティバルのため松本入りした小澤さんは記者会見を開きました。来年は引越し公演を行うことを発表し、意欲と情熱だけは以前と変わらない小澤さんに拍手を送るとともに、9月の指揮姿を楽しみにしています。 このまま健康を取り戻し、より高みを目指していただきたい。これからのご活躍に期待しております。 【送料無料】 CD/小澤征爾 (指揮)/ブラームス: 交響曲第1番/ハ...価格:1,800円(税込、送料込)今年の小澤さんの演目「ブラ1」(90年録音)。あれから20年、小澤さんの更なる深化を期待しましょう。
2010年08月14日
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猛暑が続きますね。夜も熱帯夜で寝苦しくて堪りません。 先日都内の某音盤屋に入りました。昼間の移動時間に合間でした。日差しが強烈で汗が止まりません。冷房の効いた店内で生き返った気がしました。 店内にはシベリウス交響曲第2番がかかっていました。暑いから北欧の音楽で涼んでもらおうというお店の配慮でしょうか? 交響曲第2番はシベリウスの作品のなかでも超有名曲で、フィンランド人のロシア圧制への抵抗と勝利、解放というイメージで語られています。 と同時に忘れてならないのはシベリウスは20世紀の作曲家なんですね。この曲も1901年に完成されました。マーラーが交響曲第5番に着手、ラヴェルが「水の戯れ」を書いてフランス印象派の幕を開け、シェーンベルクは浄夜を書き上げたばかり、後期ロマン派から新しい音楽への胎動が聞こえ始めた時期でした。 交響曲第2番はシベリウスのイタリア旅行の印象が強いそうです。第2楽章のファゴットの重苦しい歌はドンファン伝説による「死の客の訪れへの幻想」、また金管がわーっと鳴り渡ったりするところなんかはブルックナーみたい。第3楽章は激烈なスケルツォですが、トリオ部分はのんびりとした田舎のイメージ。 シベリウスもまた民族主義から自己の表現への進化(深化?)に苦しんでいたのかもしれません。様々なイメージや要素を取り込みながら、ひとつに纏め上げる作業は産みの苦しみに似ていたかもしれません。 この曲が日本で人気があるのはこの、苦しみもがきつつ何かを掴むという、RPGやスポ根アニメにも似たストーリ性にあるのかもしれませんね。 推薦したいのはやはり若き日のラトル盤です。イギリス指揮者はシベリウスを得意としていますがラトルもしかり。指揮活動のごく初期にシベリウスの全集を作るほど、相性がいい。と同時に彼特有の現代的センスでシベリウスを再構築していて、近代作曲家としての新しさをも感じさせてくれます。このときラトルはまだ29歳です。天才は時に年齢を超えてしまうのです。実に堂々たるシベリウス、素晴らしい!シベリウス / 交響曲第2番、鶴のいる情景 ラトル&バーミンガム市交響...価格:1,500円(税込、送料別) ところで店内ではシベリウスの曲が遅いテンポで高らかにクライマックスを築いていました。その暑苦しい表現にお客さんもひとりまたひとりと帰っていきます。 どうせなら第3番とか第6番とかにしとけばよかったのに。
2010年08月01日
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