おしゃれ手紙

2019.12.19
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テーマ: 歳時記(397)
カテゴリ: 里山・歳時記

「四天王寺さんの『北向きコンニャク』のことかと思いますが、私もそれほどよくは知らないのです。
串に刺したコンニャクの田楽を、北を向いて食べると頭痛が治る・・・だったか、盗みに遭わない・・・だったか、運が強くなる・・・だったか。」
「みをつくし料理帖10」
12月19日と明日20日は、飛び地境内の庚申堂にて60日に1回の「庚申まいり」がある。
古来よりの俗信で、『庚申の縁日に、お願いことを考えながら「庚申こんにゃく」を北を向いて黙って食べると、その願い事は叶う』という。
江戸時代には既に大人気だったようだ。

庚申信仰の根本には諸相があって、
大阪では拝むとお金ができるとか、どんなことでも一願を叶えてくれるという信仰を生み、庚申待ちの日に庚申さんが天降るのでお迎えするのだといってワイワイ言いながら、庚申堂の境内で庚申待ちをしたのである。
お詣りができない者はコンニャクとコンブのお土産を家庭で待っていた。
今日でも、庚申の日には境内に庚申コンニャクの出店が立ち、京都の八坂庚申堂でもコンニャクを食する風がある。
北向きになってコンニャクを食べると無病息災が叶うといい、関西の諸堂ではそのような光景を目にするのである。
 ところで、この庚申コンニャクを北向きになって食べる件につき考案者がいて、雑誌で告白されている。
辯咲美志という人で、「大阪辯」(大阪ことばの会編。昭和26年7月発行)という雑誌で「庚申こんにゃく」の題で紹介されている。
辯咲氏は戦前、東平野町1丁目で割烹料理店をやっていた竹内という家の縁者であるらしかった。
はじめ、辯咲氏が四天王寺の庚申堂に竹内の者と連れ立ってお詣りした際、冗談半分に、
「コンニャクは北を向いて食べな願が利けへんのやで」とやった。
皆が間に受けて、北を向いて食べた。
お参りする毎に、ほかの方を向いている者がいると、
「北を向かなあけへんがな」と笑いながらやる。
「ア、そや」と、その人も笑いながら北を向く。
しまいに、コンニャク屋までもが、
「北向いてお上がりやしたら願が利きますのや」というようになり、昭和になるとコンニャクは北を向いて食べるものと相場が決まった。
北野の太融寺の庚申堂が北向きであったので、辯咲さんが庚申コンニャクを食べる向きに結びつけたということである。
 その他、江戸などでは庚申の夜には夫婦の交わりを禁じ、間違ってしまうとできた子は盗賊になるという俗信までできた。
 歌舞伎の「三人吉三」はそうした俗信からストーリーが出来上がっている。
大近松の「心中宵庚申」は、嫁と姑の反目から庚申の夜に八百屋のお千代と半兵衛夫婦が生玉の大仏勧進所で心中するストーリーであるが、こちらのほうは心中と庚申信仰を絡ませたものである。 

 節分のの恵方巻の由来も案外、こんな冗談から出来たのかも知れない。

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Last updated  2019.12.19 00:04:04
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