2022年12月07日
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カテゴリ: 書評
「智に働けば・・・・」。 前五識と第六意識 多川俊映著「唯識 心の深層」。

 夏目漱石作『草枕』の冒頭部分であることはよく知られている。
 多川俊映著『唯識 心の深層をさぐる」には、この部分がしばしば、引用されているのだ。

 98ページには「住みにくい」まで引き、以下のように述べる。
 「(人間の)知は理屈(あるいは屁理屈)となっていよいよ角がたち、同時に好悪の感情は制御不能となって落ち着くところを知らない」
かく承けて「そうした無様仕儀もまた、他ならぬ私たちの第六意識の働きです」と、結ぶ。

 人間は世の人間模様を、目で確かめ、耳でウワサと聞き、さまざまな情報に接する、
 目、耳、鼻、舌、触感で得た情報=前五識はたちまち脳裏に達して「智に働けば角が立つ」「情に棹させば流される」「維持を通せば窮屈だ」。
 とどのツマリが「とかくに人の世は住みにくい」。と、以上のようになる、のだと。

 次ペーjでは「人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない」以下が、紹介される。
 この部分については、「『ただの人』同士の社会に、人間の知・情・意つまりそれぞれの第6意識が硬軟さまざまに関与している。
 そのように受け止めている世界があるのだ。

 本章のむすびに、100ページに記載の次の点。
 「第六識は自己そのものといえるが、(だからといって)自己のすべてではないというのが、唯識仏教の人間観です」とする。
 では、その「自己のすべてではない」の先には、なにがあるのか。

 著者は申す。「前五識と第六意識は表面心」「第七末那識と第八阿頼耶識は深層心」(86p)としたあとに述べる。
 「第八阿頼耶識こそ『本識(根本の識体)で、第八識こそ自己そのもの」ということなのだ。
 そのうえで、ここの部分の極めつけ。それは「第八識は心の深層領域で、意識下の自覚の及ばぬ世界です」(100p)。





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最終更新日  2022年12月08日 11時29分49秒コメント(0) | コメントを書く


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