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2008/04/12
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テーマ: ニュース(100358)
カテゴリ: メディア
奈良県田原本町で起きた放火殺人事件を起こした少年の供述調書をジャーナリストに見せた、として、秘密漏示罪で逮捕起訴された医師が時事通信の取材に応じて、「殺人者と誤解された長男に殺意がなかったことを世間一般に伝えたい思いがあった」ので、供述調書をジャーナリストに見せたと言っているそうです( こちら を参照)。

この医師は、見せたこと自体は後悔していないと言っているそうですが、ジャーナリストが出版した著書に対しては「あぜんとした。事実はまったく違う」と答えています。
私は、この事件の本質には民法766条の不備がかかわっていると考えていますが、この著書では、その問題点を明らかにはしてくれていますが、焦点は、広汎性発達障害の方に行っています。
この医師が、もし、「事実はまったく違う」と言うのであれば、明らかにして欲しい、というのが私の希望です(逮捕・起訴されてしまうようでは、叶わないでしょうけれども)。

この事件については、「言論の自由」の問題も合わせて、事件発生時から、当ブログでも重ねて採り上げてきました( 2006年6月23日 の日記、最近では、 3月23日の日記 を参照)。
昨年10月14日の日記 では、事件を起こしてしまった少年の更生を願い、少年犯罪の再発を何とかして防止しようと考えて行動した医師を逮捕することが、日本を良くすることになるのか、ということで日記を書きました。

少年犯罪防止を願って善意で行ったことに対して、金銭目当てだ、名誉欲だ、本を売りたいだけだ、と、罵声を浴びせる人たちがいるのです。
問題となっている本を手に取って読んでみれば、売れさえすればよい、というような、エセ霊能力者のオカルト・デタラメ本とは本質的に違うということがわかります。
再度、ここで、秘密漏示罪の条文を掲げておくことにしましょう。

医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
条文を見れば明確ですが、「正当な理由がないのに」という犯罪要件があるのにもかかわらず、奈良地検は、この医師を秘密漏示罪で逮捕・起訴したのです。
事件を起こした少年を更生させ、少年犯罪を防止する議論を超すことこそ、まさに、これ以上の正当性はないと言うべき「正当な理由」です。

酒鬼薔薇事件以降、同じような少年犯罪が何度も繰り返されているのに、「少年法」を盾に取られて、本質的なことは何も明らかにされず、どんな対策をとるべきなのかもわからずに、不幸な事件が続き、そのたびに、日本社会に「教育は何をやっているんだ」「子どもを締め上げろ」というバカな声が満ちあふれるのです。
不幸な事件が繰り返されないように、情報を公開してしっかりと日本社会全体で考えなければいけないのに、教育基本法から、学ぶ者と教える者の「自主」という言葉が削除されてしまう、という、全くあらぬ方向に影響が飛び火して、問題の根がさらに深くなってしまうのです。

少年犯罪について、少年の氏名、住所、学校名などを公表する必要などどこにもありません。
しかし、首をひねるような不可解な少年事件を防ぐためには、事件の背景となっている人間関係、少年の環境については、公開して、日本社会全体で考えていけるようにするべきです。
まさに、それを実行した、誠実な医師が、なぜ犯罪者にされなければいけないのでしょうか?
日本人は、これをおかしいと思わないのか!!!
少年犯罪についてまじめに考える人が犯罪者にされてしまって、誰が、日本社会の将来をまじめに考えてくれる、というのでしょうか?



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最終更新日  2008/04/12 06:14:11 PM


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