ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 1, 2006
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「フーガの技法」

 今日はカルテットの練習をデービッド先生に診ていただいた。我々が九月から取り組んでいる ベートーベンの1番 の終楽章を、二時間みっちり鍛えていただいた。(第1バイオリン:僕、第2:マイク、ビオラ:ジェーン、チェロ:ケーティー。)

 あまりに真面目に律儀に弾きすぎるとのご指摘が何度もあった。
 へ長調だからかどうかはわからないけど、同じ調のバイオリンソナタ「スプリング(春)」っぽい動きが出てくる。この四重奏曲も、スプリングと同様、解釈次第でいろんな弾き方ができる曲だと思う。で、師がおっしゃるには、僕らの解釈はかなり固すぎるとのこと。

一、楽譜に書かれたことにあまりに束縛されすぎないほうがいい
一、何度も出てくる螺旋式下降音型も、流れるようにアッチェレランドぎみにサッと弾く
一、拍のアタマをいちいち意識すると遅れていくので、要所要所でツジツマが合えばそれでいい
一、静かにp(ピアノ)で弾く部分も、強弱記号を多少無視して膨らませたりしてもいい


 意外とも思えるご教示も含まれていて、目からウロコが落ちた。オーケストラの練習でいつも指揮者やコンサートマスターの方にご指摘いただくことと相反していて驚いたけど、確かにこういう曲には師のおっしゃることがよく当てはまると思った。

 最後にこの楽章を一回通して弾いてみたが、今までの練習速度の倍近くの猛スピード。すっごく面白くて興奮した。さすがはデービッド先生の魔術。

 それにしても、フーガおたくの自分としては、この曲は二重フーガの部分が最大の魅力と考える。モーツァルトの短調ものみたいな緊張感もあるフーガ。
 最後にもう一度出てくる二重フーガには心底感嘆せざるを得ない。最初の主題とは全然関係ない裏メロがいきなり登場。曲も終わろうとしているというのに、何をいまさら唐突に新たな動きを見せるのか。渋すぎる!





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最終更新日  Nov 4, 2006 12:55:36 PM
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