ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Mar 14, 2007
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カテゴリ: 映画、テレビ



 パリを舞台にしたオムニバス映画を観ました。18人もの監督がひとりあたり5分の作品を担当。パリ市内のいろんな場所での、いろんな人たちによる、愛だの恋だの。
 パリ流のワビだのサビだのも満載でありました。

paris

 18話もあれば、印象に残るもの、残らないものが出てきてしまうのはしょうがないし、5分というのは確かに短すぎる。起承転結のない作品も多く、かといってその後の結末をじっくり考える余裕も与えられないから、観てて疲れてしまったのは事実。

 パリって誰が撮っても映画になるような街だからこそ、逆に、印象に残るようなキラリと光る作品を提供するのはすごく難しいのかもしれません。脚本家や監督、役者などが、あの手この手でパリを描きぬきます。

 国際都市を舞台にしてるだけあって、集まった映画監督や役者たちも国際色豊か。

 メキシコ人監督アルフォンソ・キュアロンの作品は、長回し、ワンカットで撮影されてて、それだけで秀逸な映画のように錯覚してしまいました。いつカメラが切り替わるのかハラハラドキドキ。

 日本人監督諏訪敦彦の作品では、なんとジュリエット・ビノシュとウィレム・デフォーの二大俳優が共演。

 ドイツ人監督(「ラン・ローラ・ラン」の人)のも印象に残りました。絵的に。盲目の青年と女優の卵の話。

 スペイン人監督(「死ぬまでにしたい10のこと」)のも良かった。安定した日常を表現する描写のなかに、ムラカミ(=村上春樹)を読むことが言及されてのには共感を持てたし、イタリア人俳優セルジオ・カステリットとイギリス人女優ミランダ・リチャードソンがパリ在住の夫婦役というのにも唸った。

 でも、やっぱりアメリカ人俳優があちこちに出演してたのには、ほんのちょっとだけ興ざめでありました。ほとんど英語で展開される作品もあったし。全体的に、パリというよりアメリカの匂いが漂ってしまった感が多少あるかも。

* * * * *

 ワタクシ自身も、パリには一応何度も行ったことがあります。魅惑的だけれど、やっぱりつかみどころのない不思議な街という印象がある。結局この映画を観ても、パリの一面を垣間見ることができた満足感なぞは全く得られず、むしろあの独特の雰囲気に翻弄され、ますます遠い世界のように思えてしまったのでありました。

(於、恵比寿ガーデンシネマ、東京)






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最終更新日  Mar 16, 2007 12:48:42 AM
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