全222件 (222件中 1-50件目)
通称「ろくはる」おにぎりスタッバーとともに大澤氏の代表作の双璧をなす、佳作の青春小説。しかし大学教員の立場として読むと、この青春小説はすごく重い。信州大学の教員のFDの教材として全員に読ませるべきレベルの小説である。そして他の大学教員もコロナのリモート講義の準備に飽きたら、ぜひ読んでほしい。PDF資料を配って課題だけを出す、というような、リモート講義は激減するに違いない。6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 角川スニーカー文庫 / 大澤めぐみ 【文庫】
2020.12.08
コメント(1)
さてこの8月は、小説家やクリエイターが主人公のライトノベルをかなりたくさん読んだので、それについてまとめてメモを残していきます。まずは異世界作家生活 女騎士さんと始めるものかきスローライフ こちらは、封神演戯1~3(封神演義を元ネタにした引きこもりオタクが頑張っちゃう美少女バトルコメディ)がとっても楽しかった森田季節先生の作品。設定としては、現世界とつながっちゃった異世界から、異世界に現実世界のサブカルチャーを広めるべく、特使がやってきて、カルチャースクールのライトノベル小説教室の講師に、若手ラノベ作家を拉致して連れていく、というお話。「異世界に現実世界のサブカルチャーを広める」というあたりの設定が榊一郎氏の「アウトブレイク・カンパニー」とかぶるといえばかぶるけれども本質的にはもっとのほほんとしたお話し。で、なぜか、ラノベ小説家の主人公が、もてまくる。こういうのは、いい。【全1-3セット】魔導書作家になろう!岬鷺宮氏のライトノベルを読むのは今回が初めて。「失恋探偵ももせ」というのが代表作らしい。読んでいない。なのに、なぜか、ぴんと来たので3巻セットを買ってしまった。で、こちらは、異世界x小説という組み合わせは上と同じだけれども、ラノベではなく、魔導書。主人公は、魔力が弱いので魔術師の道を断念した、魔術師一族の三男坊で、その世界でようやくブームになりつつあるハウツー本「魔導書」作家として、危険な現場への取材を繰り返すことになる、という話。ちなみに、ピンク色の髪をした美少女が担当編集として、一緒に笑い、一緒に泣きながら、取材に明け暮れます。そのうちクール美人なエルフ校正とか、肉感的ダークエルフイラストレーターとかが、常連メンバーに加わり、主人公を中心とした王道ハレムがぁ!!小説の神様作者の 相沢沙呼さんは「午前3時のサンドリヨン」で、テーブルマジックの名手の美少女を探偵に据えた青春ミステリーという、ユニークな新境地を開拓した人。二作目の「ロートケプシュンこっちにおいで」も読んだ。ただし、叙述トリックがきつすぎて、やや趣味にあわなかった、そんかなんじ。で、この小説は、といえば、高校生兼業作家(ライトノベルではなくたぶん純文学の高校生作家)ただしスランプ中、という主人公の彼が、「読まれない小説、売れない小説、読者に支持されない小説はくずだ」みたいな暴言をさんざん吐いて、転入してきた美少女同業者(ただし心の傷を抱えて絶賛スランプ中)を深くふかく傷つける、というボーイミーツアガールな話。もちろん、本人は本人で、自分の暴言に自分で傷つく、あ~いやだいやだ。さて、この二人、今後どうなっちゃうんでしょうか?最終的に、読後感はさっぱりするようなハッピーエンドにはなっていますが・・・傷つけあう男女をしっかり鋭くえぐるように描く。そういう描写の鋭さ、読んでいる際の心の痛みのようなものは、ラノベではめったに味わえないので、やはり純文学の筆の力はすごい、と思った次第。マツリカ・マジョルカ ※ これは小説家とは関係ありませんが同時期に出た相沢さんの作品気のいい地味な主人公が、ミステリアスでクールな美少女に、徹頭徹尾振り回される、というお話です。で、くどいほど、このヒロイン=美少女、という印象を、主人公目線で、男子高校生の青臭い妄想描写で修飾しながら、強調するのです・・・が。その強調はくどすぎるという感想を持った人はP以外にもいたようで、Amazonレビューで二巻「マツリカマハリタ」が、評されていました。その評価に流されたわけでもないのだけれども、2巻は買わないことに決定。エロマンガ先生 6 山田エルフちゃんと結婚すべき十の理由 (電撃文庫)エロマンガ先生 7 アニメで始まる同棲生活 (電撃文庫)でもって、こちらは、「俺妹」のゴールデンコンビ、伏見つかさとかんざきひろが送る、妹をまもるために頑張りすぎちゃうお兄さんの話第二弾。タイトルを他人に見られるのだけがはばかられる、しかし、内容は素晴らしく面白い、「エロマンガ先生」の直近2巻である。で、主人公のマサムネは、これまではあまりぱっとしていなかったが、一念発起して執筆した最新作シリーズが軌道にのり、ちゃくちゃくと人気を博しつつある、という状況。そして先輩作家とかコミカライズの漫画家とか、クラスメイトとか妹のクラスメイトとか、アニメ脚本家とか、美人・美少女ばかりが主人公のまわりに集まってくる、というそういう流れのラノベです。で、Pはこれを読むと、もし実在したら「爆炎のダークエルフ」というアニメがとてもとても見たくなる、という状態である。「爆炎のダークエルフ」は、作中に登場する隣家のラノベ作家山田エルフ氏の代表作でアニメ化もされた、ということになっているからだ。いったいこれはどういう話なのだろう、気になる。もう一つ気になるといえば、7巻に、超ロングパス伏線のように出てきた、その作中世界で伝説となっているアニメ「星くずウィッチ☆メルル」である。「俺妹」では、桐乃がファンではまっていたという、あれが、再び登場するのである。が、まあ、べつにこっちはあまり観たくない。もし実在するならば、「爆炎」一択である。なお、近々アニメが公開されるらしい。ブログ村で伊藤ヒロ氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2016.09.02
コメント(0)
8月~9月に今回もたくさん読んだな~と思われるラノベのうち、印象に残ったものについてメモしていきます楽園への清く正しき道程 0番目は北国産のツンドラ王妃?楽園への清く正しき道程 1番目はお嫁さんにしたい系薄幸メイド楽園への清く正しき道程 庶民出身の国王様がまたご愛妾を迎えられるそうです野村美月さんのライトノベル、実は読むのは今回が初めてで、でも、「文学少女」シリーズというのが代表作だというのだけは知っていました。で、第一巻だけ買ってみて、面白かったら続きを、と思っていたのですが、面白かったので2巻3巻も大人買いの一気読み。あらすじは、というと、庶民派の、女の子のドレスのデザインには一家言ある仕立て屋の若だんなが、実は、王国の先王の落胤であることが発覚、王宮入りさせられ、しかも、これまで会ったことのない北方の大国の王女と政略結婚させられてしまう、というストーリー。しかし、この王女(お妃)様、ねこっかぶりで斜め上にぶっとんだキャラクター、若だんなは間違った方向に振り回されてしまい・・・・というわけで王宮スラップスティック・ツンデレラブコメディーのような、主人公チート・ハーレムコメディーのような、えも言われぬ絶妙のコメディーが展開されてお勧めなのでありました。おそらく4巻も出るはず。4巻で完結するか、5巻までいくか。もちろん、主人公たちにハッピーエンドになってほしい、って思えるほどに、素敵なキャラたちなので、次巻も必ず読みますとも。それにしても、野村先生は読みやすいリズムのよい文章で、どんどんキャラを振り回し、でも、物語にはちゃんとクライマックスを持ってくる。ブログ村で野村美月氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2016.09.01
コメント(0)
2015.07.23
コメント(0)
クズと金貨のクオリディア (ダッシュエックス文庫)さがら総・渡 航(Speakeasy)(著者), 仙人掌(イラスト) いやいや、こりゃいい買い物をしました。読んでいるとつらいくらいの噛みあわない主人公二人の会話っぷりに、最初はすっかり度肝を抜かれたけれども、読み進めていくうちに、何となく噛みあってくる、この二人の立ち位置。そう、この小説は、二名の著者による、リレー小説だったのだ。主人公の一人、底辺高校生・久佐丘晴磨(くさおかはるま)は、単に設定が底辺でヘタレというだけで、論理的で性格もまとも。一方、外見は「天使のような」と描写されている後輩・千種夜羽(ちぐさゆう)は、どうやら、非常に黒い黒い腹黒ムスメらしい。その彼女が、読み進めるにつれて晴磨相手にデレてくるような、こないような。そして、起こる超常現象と謎解き。ちなみに、さがら総先生は「変態王子と笑わない猫。」の人。一方の渡航先生は、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の人。口下手で不器用なヒロインを描かせたら天下一品のさがら先生と、底辺高校生のリアル描写には定評のある渡先生の奇跡のコラボ、と言えよう。ブログ村でさがら総・渡航氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2015.07.21
コメント(0)
むらさきゆきや著 浮遊学園のアリス&シャーリー 全4巻 超能力を発現した子供たち(=幻想具現者=グローバライザー)にエリート教育を施す、巨大な浮遊都市カナン上に築かれた学園。そこでは、当然、秩序を乱すものを取り締まるのも、幻想具現者である少年少女たちである・・・・、という設定だけだと、すぐさま、あのビリビリ娘が出てくる人気ラノベシリーズが思い浮かべられるだろうか?超能力少年少女+学園+バトル&ラブコメというのは、ラノベの定番、鉄板なのである。これも、そんなお話の一つ・・・だが、著者が、むらさきゆきや氏である。氏の「覇剣の皇姫アルティーナ」は非力な読書マニア軍師が大活躍する爽快な王道ファンタジーである。その氏が、この定番テーマをどう料理するのか、ちょっと興味があったのだ。で、結論はといえば、☆5が最高点としたときの☆☆☆☆というところだろうか?ツンデレ高慢お姫様(でも不器用)のアリスの無敵っぷりが、イラストの愛らしさもあって、二重丸。一方、健康+脳筋美少女幼なじみのシャーリーと主人公の柾貴の関係は、幼なじみというよりも普通の友達関係なので、主人公をはさんだ三角関係的ラブコメには、決して発展しない。これを抑制が効いた展開ととるべきか、物足りないと評価するか、人によって好みが分かれるだろう。一方で、アリス&シャーリーは、トラブルシューターとしてはパートナーという設定で、二人そろわなければ学園外で異能を使ってはいけない、という設定になっている。女の子二人組が暴れまわるとなれば、初代プリキュアやダーティ・ペア、佐伯かよの「口紅コンバット」などといった、そちらはそちらで黄金の設定があるのだが・・・こちらはこちらで、存外にもりあがらない。シャーリーはあくまで健康的体育会系脳筋だし、アリスは「コミュ障女王様」だからだ。そして極め付けが、柾貴の設定。戦いが嫌いな平和主義者、趣味は料理とお菓子作り、最強レベル・レベル7のその異能は、架空の箱庭に人々を招待して、お茶とお菓子を振舞うという、徹底的な癒し系異能なのである。こういう、癒し系ラノベは、良い。殺伐とした気配を漂わせながら、技の名前を絶叫する、中二病系ラノベとは一線を画する、癒し系ラノベなのである。ブログ村でむらさきゆきや氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2015.03.13
コメント(0)
天壌穿つ神魔の剣 (GA文庫)高木 幸一 (著) 高木幸一氏は、piyotaの好きなライトノベル作家の一人だ。ライトノベルは基本的にエンターテインメントであり、基本的には少年少女向けであり、分かりやすさと文体のスピード感と、その時代時代の流行の舞台設定で展開される、小説であることが多い。そして、詳しくは知らないが、各ライトノベルの出版レーベルのカラーに併せて、編集者がそれなりに著者(と絵師)を選び、作品のトーンを調整しているのだと思う。だが、どのレーベルでどの題材で作品を書いても、なお、作者の主張、哲学というのが色濃く反映されてしまう著者というのが何人かいる。そういう作者の主張に出合った時に、piyotaはちょっと嬉しくなってしまうのである。ここで最近、そういう意味でpiyotaが着目している作者のこだわりについて、列記してみたい。1.高木幸一氏 代表作 「俺はまだ恋に落ちていない」2011年GA文庫大賞期待賞 「放課後四重奏」高木作品のこだわり:高木作品の特徴は、「朴念仁」だ~!!恋愛感情に鈍く、だが、基本的に人が好く、真っ直ぐで、寡黙にやるべきこと(だけ)をやる男を主人公を訥々と描く、それが、氏の作品の持ち味だと思う。主人公があまりにストレートなので、本人の意図とは無関係に、主人公がどんどんモテていく、という展開が、また心憎い。前作・前々作でもそうだったように、「天壌穿つ・・」の異世界ファンタジーの世界でも、着実にハーレムが形成されつつある。ちなみに、似た展開のラノベ作家として、峰守ひろかず氏を挙げておく。2.松山剛氏 代表作 「雨の日のアイリス」「氷の国のアマリリス」 近著「白銀のソードブレイカー1~3」 「世紀末救世主伝説 ―魔王―」等松山氏のテーマは、おそらく、「葛藤」を描くことなのではないか?シリーズになっていないラノベ作品はめずらしいが、この「雨の日のアイリス」「氷の国のアマリリス」で描かれた世界は衝撃的であった。前者は『みんなで選ぶベストライトノベル 2011』 感動部門第1位受賞だそうである。で、松山氏は、その後も、あとがきによれば家庭の事情が変わって専業作家になったようで、シリアスな作風からコメディー・萌えの要素をもっと多くした作風へと変化していきつつある。だがしかし、題材が変わっても松山節は健在である。氏は、必ず、主人公やヒロインに、葛藤を与え、その極限状態の選択の状況で、ドラマを描くのだ。ブログ村で高木幸一氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2015.03.09
コメント(0)
黒い羽 誉田哲也著 光文社文庫 ドルチェ 誉田哲也著 新潮社文庫 「武士道シックスティーン」の武士道シリーズ、「ストロベリーナイト」の姫川玲子シリーズでおなじみ、誉田哲也氏の文庫本二冊を続けて読んだ。1.「黒い羽」これは帯に誉田氏の「幻の初期作品」と書かれている、そんな作品である。文庫で初登場、いつの作品なのかは定かではなく、wikiにも記載がない。内容は・・・原因不明の慢性の皮膚疾患に悩む主人公が誘われた遺伝子医療にまつわる医療サスペンス、というような展開かと思ったら、その医療センターに向かう途中で、マイクロバスが雪道を転落、サバイバル小説に。ほうほうの体で軽井沢の奥の山中にある秘密の研究所(医療センター)に逃げ込んだところ、惨殺死体の山。そして、正体不明の殺人鬼との対峙、というような、遺伝子治療あんまり関係ないよね(いちおう伏線です)的な、ノンストップ・サバイバルサスペンス小説でした。ノンストップなのであっという間に読んでしまいました。面白かった。読んでいない人にネタバレになってしまうので書けませんが、感想として、なんとなく似ていると思ったのが、今話題のコミック「テラフォーマーズ」と、ちょっと前に話題だった「極黒のブリュンヒルデ」です。どちらもマンガ。2.「ドルチェ」こちらは、正当で地味な、そしてわざと地味に書かれているところが心地よい、日本の警察小説である。ジウシリーズ(読んでない)、姫川シリーズ(読んでない)に続く、誉田氏の第3の警察小説シリーズとなるようだ。その一冊目。中編小説が4編収められていました。主人公は40歳の独身女性の刑事、魚住久江。一時は本庁の捜査一課で腕利きと認められたが、「人が死んでから動き出す殺人課」ではなく「人が死ぬ前に何とかしたいので強行犯課」を志望し、本庁から帰還要請を受けるも黙殺し続ける、という、強者の女性刑事。彼女がこれまたカッコイイのだ。男社会の所轄の警察組織で、相当な風当たりがあるにもかかわらず、一本スジを通すカッコよさ。警察小説の新機軸となるのだろうか?今後の続刊にも期待、である。ブログ村で誉田哲也氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.09.12
コメント(2)
八丈島と、魔女の夏 一迅社文庫 小椋正雪著 小椋正雪氏の著作もまた今回が初めて。本作は、どうやらWikiで見てみる第1回キネティックノベル大賞佳作受賞作だそうである。ん?キネティックノベル?キネティックノベルは要するに電子小説というか電子紙芝居のようなもの、らしい。古典的な作品として榊一郎氏の神曲奏界ポリフォニカがある。なんと販売開始は2005年、10年前か。10年前というとおそらくタブレットも電子書籍端末も普及していなかったので、あくまでWindows用のPCゲームの一環として売られていたのであろう。ライトノベルのひとつの普及形態ということか?キネティックノベル大賞?おお。シナリオ部門、音楽部門、イラスト部門、で新人を発掘して、受賞作はGA文庫か一迅社文庫で書籍化されるのか・・・って今気づいたんだけれども第一回大賞であの「僕僕先生」の仁木英之氏が審査員特別賞を受賞しているではないか。これは買わねば。(不死奇譚 きゅうこん)さてあらすじは・・・地質学者の両親がアイスランドで起こった火山異変への対策のため急きょ長期海外出張となる。高校生の主人公、学は、父親の知り合いのところに預けられることになったが・・・なんと下宿先は八丈島!! しかも預け先の保護者は、国籍不明・年齢不詳のちょっとみは美少女、エーファさん。父親の親友ということになっていて、喫茶ACHTBURGの店主でもあるエーファさんはどうやら本物の魔女らしい(さもなければ危ない人だ)。島に着くと、学とほとんど同じ理由で、男性恐怖症の女子校生、真奈が、エーファのもとに寄宿しに来ていた。近所のぼろアパートを賃貸することで、危うく「同棲」になってしまう危機を、学はかろうじて回避したが?島に住む高校生たち、喫茶店の常連(女子ばっかり)との出逢いと交流とキャッキャウフフ逆ハーレム?しかし、学はクールだ。あるいは朴念仁かもしれない。特に屈託があるわけでもなく、静かな目で女子たちを見つめている。しかし、島での生活は穏やかで、きらめくような大自然のなか、ゆったりと時間が流れていく・・・・ゆるい。設定もストーリーも、ゆるい。しかも、細かく読んでみると、いろいろな伏線とかあまり全部まじめに回収していない。でも、許す。だって、南の島、なんだもん。南の島、いいじゃないか。しかも。南の島なので、女子は肌色成分多めなんだけれども、主人公の学の徹底した朴念仁っぷり。いやあ、南の島、いいですね~~。以前ちょっと気に入っていた南の島を舞台にしたライトノベルがこちら。主人公にモラルに欠ける行動が目についたので、続刊を購読するのはやめたけど。サイハテの救世主 PAPER1 破壊者 (角川スニーカー文庫)それから、アニメの第一話無料配信だけ見て、こりゃいいや、とおもった南の島アニメがこちら。ばらかもんあと、島じゃなくて半島(伊豆半島)だけれども、海と自然が出てくるゆるーいゆるーいマンガといえばあまんちゅ 天野こずえブログ村で小椋正雪氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.09.08
コメント(2)
紫陽花茶房へようこそ(ふたりのための英国式魔法茶)(コバルト文庫)かたやま 和華著 かたやま和華氏の著作は今回が初めて。Wikiで見てみるとB's log文庫とコバルト文庫に著作が20作近くある、ベテランラノベ作家さんである、が、Piyotaはここ数年の少女小説はほとんどまともにフォローしていないので、今回が初めて。で、なんで、それじゃ急にこの小説を読むことにしたのか、というと、hontoのおすすめ機能で引っかかってきたのと、先日ブログに書いた「喫茶店が舞台のミステリーが好き」だから。コバルトという老舗少女小説レーベルにおける「喫茶店が舞台のライトミステリー」ってどんなふうな味付けなんだろうか、というのがとても気になったので、購入してみました。で、中身はというと、日本語が少々ヘンな高等遊民の英国貴族&英国魔女の末裔、紫音と、そこでバイトする女学生の、じつはちょっと相思相愛のライトミステリーという感じでした。で、読みやすくてそれなりにかわいらしい雰囲気で、悪くはないと思ったのではありますが・・・ひとつ疑問が。この小説って誰向けの小説なんだろうな?という。あるいは、こういうスタイルの(内容の)少女小説?ライトノベル?はどれくらい需要があるのかなあ、と。さて、Piyotaは20年前くらいは(つまり氷室冴子と久美沙織が全盛期だったころは)なんだかんだいってかなりの冊数のコバルト文庫を購入・保有しておりました(しかも当時はスニーカー文庫くらいしか男子向けのライトノベルレーベルはなかった)。ちなみにそのころの女子向け少女小説レーベルはコバルトの他は講談社X文庫だけだったのじゃないでしょうか?そういう状況は2008年くらいから激変したんじゃないかと思います。まず、男子向けライトノベルレーベルが乱立し、それは今年になってますます加速しています。それにあわせて女子向けライトノベルレーベルもルルル文庫とか一迅社とかの選択肢が増えました。あと、ケータイ小説というジャンルが普及し、ひょっとしたら女子の一部というか大部分はケータイ恋愛小説に流れたんじゃなかろうか?たとえば、少女マンガ「たいようのいえ(タアモ)」のヒロイン真魚も、ラノベ「俺の妹がこんなにかわいいわけがない(伏見つかさ)」の妹(桐野)もケータイ小説の人気作者という設定だったりします。そういう状況で、果たして、現在のコバルトというのはどの程度の読者をつかんでいるのか、というのが、ここ最近の疑問なのでした。で、あまりに気になったのでここで調べたところ、2008年には35000部あった印刷部数が2014年春季には15000部になってしまっているとか・・・ ちなみにCobalt発の小説として今野緒雪氏「マリアさまが見ている」シリーズ、谷瑞恵氏「伯爵と妖精」シリーズなど、2000年代になってもヒット作品は相変わらず生まれていないわけではないので、この2010年以降の部数減と、女子中高生の読書傾向の変化と、小説専門の月刊誌の推移というのが、気になったわけです。とすると大きな流れとしては「老舗少女小説」→「ケータイ小説」ということなのでしょうか?20世紀には、新人作家の登竜門の一つでもあったコバルトノベル大賞やコバルトロマン大賞の過去受賞作品の錚々たるリストを見ても、このままコバルトが休刊になったりするのは悲しいなと思う次第であるが・・・・状況は楽観を許さないように思います。ブログ村でかたやま 和華氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.09.06
コメント(0)
ビア・ボーイ PHP文芸文庫 吉村喜彦著 ラノベばかりではあれなので、たまには経済小説?も読んでみる。このお話は、20世紀の終わりに、スターライトという架空の酒造会社(だがモデルはおそらくサントリー)の本社宣伝部から、酒の席での失態により地方の営業に飛ばされた主人公の、サラリーマン成長物語、である。吉村喜彦氏の著者来歴を見たら、ああ、やっぱり。ひょっとするとこれは自伝的小説なのかもしれない?まさか。サントリー宣伝部。ビール。広告。ビンビール主体の販売に生ビール中心で切り込む。となると、まず「すごい男の唄(柳ジョージ)」を思い出そう。はあどんどん。それから、椎名誠がサントリービン生をアウトドアで飲むCMとか。いまさらながらYouTubeすごいな。そして松田聖子Sweet Memories 起用のペンギンのサントリー缶ビール。そしてMALTSへ。このあたり、よく覚えていない。和久井映見さん。そしてプレミアムモルツ。ビールの歴史編のCM(木村拓哉・香取慎吾)・・・見入ってしまう。あと発泡酒というのもありましたね。1997年には、発泡酒スーパーHOPSのCMにこんなのもあった~Funk the peanuts !! (ドリカムかと思ってたけどFunkのほうだったのね)。小説の方。舞台は広島県の福浦?。架空の地名か?福山市のこと?本社から飛ばされた主人公上杉は、缶ビール販促のため卸しの人と酒屋をまわるどぶ板営業の現場にトバされる。そこでまたもや酒の席で大失態をし、しかし、災い転じて地域の有力卸問屋社長に気に入られる・・・・現場で少しずつ成長していくことで、社内の派閥、政治力学がわかってくる。業界最大手のライオンビールの牙城を崩すために、広島オリジナル商品を投入できないか?創業者一族の世代交代にまつわる内紛、などなど。都会から来た鼻持ちならない若造、に見えた主人公上杉が、酒に呑まれてしまう自分と戦いながらちょっとずつ成長していく・・・読みやすくて、面白い。最近、続刊が出た。本社に復帰した上杉が、こんどはウイスキーの宣伝に?これもよもう。ブログ村で吉村喜彦氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2014.09.04
コメント(0)
浮遊学園のアリス&シャーリー 第1巻(最終巻) オーバーラップ文庫 むらさきゆきや著 最近お気に入りのラノベ作家の一人、むらさきゆきや氏。氏の「覇剣の皇姫アルティーナ6 (ファミ通文庫)」も最近読んだのだが、その流れで別のシリーズも読みたくなってしまって、通し読みっ!・アリス&シャーリー超能力者を養成する人工都市・浮遊学園都市の中で、最強の能力を誇る美少女二人組、アリス&シャーリー。学園都市、というと、「鋼殻のレギオス」を彷彿させ、超能力者養成というと、「とある魔術の禁書目録」を想像し、クールビューティのアリスと天真爛漫腕力系のシャーリーの二人組は、初代のプリキュアを想起させ、そこに転校してきた主人公、柾貴は、なんと沈着冷静非戦闘系の「メガネ執事属性持ち」。これ、なんだかいろいろ混ざってるぞ、という感じであるが、そのそれぞれの良いとこ取りに、今のところ成功している印象。むらさき氏の文体や描写は、適度にスピード感があって、読みやすいというのも特徴。とっても楽しめる一冊でした。もちろん、第二巻も購入しましたが、書評はまた次回。・アルティーナ 6Piyotaがむらさき氏の著作に出合うきっかけとなった、読書オタクのひ弱な軍師レジスが、はぐれものの辺境軍隊の部隊長(皇姫、アルティーナ)から絶大な信頼を受け、苦難を乗り越え破竹の進撃をする、というお話。今回はその第6巻。第5巻で、ハイブリタニア帝国の新式機銃を装備した侵攻軍に主力がこてんぱんにやられるところを、かろうじて立て直すという話であった。で、第6巻では、ベルガリア帝国第七軍が反撃に転ずるべく、敵の補給線の肝である海路を、奇襲により撃破しに行くという話。レジスの機転に期待、である。これまでのところ、「アルティーナ」は、電子書籍新刊がでるたびに即購入して読んでいるというお気に入りのシリーズ。ファミ通文庫は、紙書籍刊行から電子書籍入りまでの時間差が何となく不定期な気がするので、そのあたりやきもきしております。というわけで、2014年夏の時点で、Piyotaがいま一番注目しているラノベ作家のひとり、むらさきゆきや氏の2作品でした。ブログ村でむらさきゆきや氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.09.01
コメント(0)
さて、異世界を攻略しようか 1 さて、異世界を攻略しようか 2 MF文庫J おかざき登著Piyotaが推すラノベ作家の何人かのうちの一人、おかざき登氏。2008年のデビュー作「二人で始める世界征服」シリーズが秀逸だったので、それ依頼のファンである。ただ、その次の「図書館迷宮と断章の姫君」シリーズが完読したものの、「この部室は帰宅しない部が占拠しました。」シリーズは途中で脱落してしまった。そして、今回の新シリーズ(現在第三巻まで刊行中)「さて、異世界を攻略しようか」。MF文庫Jシリーズにしては、表紙絵の肌色成分が多すぎるのが残念である。おかざき氏の作風は、むしろ肌色成分は多くしなくても十分ストーリーテリングで読ませるのではないか、というのが、Piyotaの持論。で、今回の「異世界」は、最近流行りのゲーム世界召喚・帰還もの、というやつである。MMORPGゲーム世界=異世界、に飛ばされた主人公+メインヒロイン、が、なんとか現実世界に帰還を果たすまで、という展開のようだ。今回の主人公・志度義弥は、いつものおかざき氏の作品の主人公と同じく、平凡な才能と容姿なうえに恋愛には鈍感でなんのチート才能も持たない、ただ普通の人よりはちょっとだけゲームオタク、という設定。だがもう少し詳細が明らかになってくると、いつものおかざき主人公よりも「より残念な」設定であるらしい。なんと、ゲームでいうところの幸運(ラック)のパラメーターに相当する、現実での幸運のパラメーターが不幸側に偏っている、アンラッキーな少年だということ。そして、シスコンかつゲームオタクである理由というのが、交通事故で全盲になってしまった妹に、その妹の好きだったRPGファンタジーの楽しみを提供してあげるために、いつも解説してあげながら、ゲームを進めていた、ということ。にもかかわらず、本人は自分の運の悪さを十分承知しているために、妹に面白いゲームプレイを見せるために、妹に隠れてそのゲームをやりこみ、不運を補うべくゲームのスキル上げ(パラメータ上げ)に習熟してしまっていた、ということ。この100%お人好しの兄貴に較べ、ヒロイン杏奈の黒いこと黒いこと。かわいくとナイスバディで成績もよくて性格も爽やか、というのが、性格面が実は暗黒の恐怖の二重人格リアルサディスト、というギャップが、なんとも言えない。これはこのあと、ツンデレ展開になるのか?それともこのまま鬼ヒロインのままいくのか?と読者に思わせておきながら、義弥は、この後、異世界の残念美少女たちにもてまくる、という展開である。設定の書き込みが秀逸なだけに、もう、このキャッキャウフフな展開だけで十分ストーリーを引っ張っていけるので、女の子たちの肌色成分を無理に大目にしなくてもいいんじゃない、ってPiyotaは思うんだけど・・・編集の意向なのだろうか?それともKADOKAWAラノベブランド経営統合後のブランド差別化で、MF文庫Jは対一迅社シフトをするというのであろうか?ともあれ、今後の展開にますます期待、の楽しい楽しい二冊であった。ブログ村でおかざき登氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.08.30
コメント(0)
無花果の実のなるころに お蔦さんの神楽坂日記 西條奈加著 創元推理文庫 この連作短編集のライトミステリー、ひさしぶりの「大当たり」である。昨日の出張の行きの新幹線内で貪るように読んでしまった。読みやすかったせいで行きでほとんど読んでしまい、最後十数ページをよむための帰りの新幹線の待ち遠しかったことといったら。残りは新幹線に乗るなりあっという間に読み終えてしまったので、残り時間のヒマをつぶすのにとても苦労した・・・というくらい、読後感さわやかなミステリー、である。本篇の舞台は、神楽坂。神楽坂の商店街にある老舗の小さな履物屋。そこの店主、お蔦ばあさんと中学生の孫の「ノゾミちゃん」(本名、望(のぞむ)くん、男子)、が主人公の物語である。ブログ村で西條奈加氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2014.08.28
コメント(0)
オンリーセンス・オンライン 1 (富士見ファンタジア文庫)アロハ座長著 電子書籍にて購入、読了。当初想定していた以上に面白い、掘り出し物のラノベ。作者は新人で、ウェブ小説サイト「小説家になろう」から本作品は上梓されたらしい。Piyotaはオンラインゲームを全くやったことのないゲーム素人なのだが、それだけに、MMORPGなどのネトゲには憧れを感じるのである。そんなわけで、これまでもゲー廃を扱ってきたライトノベルやアニメなどには、かなり惹かれるものがあった。まず、現在もシリーズを漏らさず購読している「スカイワールド」シリーズ(瀬尾つかさ著)それからアニメで「ノーゲーム・ノーライフ」(榎宮 祐著)(※ただしアニメのみ、原作小説はまだ手つかず)あと「ログ・ホライズン」と「SOA」と「.hack」か。ライトノベルで、シリーズが中断してしまった「連鎖のカルネアデス」(ひびき遊著)とかも、嫌いではなかった。でもって本作。これは、未来型のMMORPGで、プレイヤーの属性や経験値などがとても細かく設定できるVRゲームにおいて、他のプレイヤーが見向きもしない「生産系」属性値を稼ぐことにはまってしまった主人公が、遠回りしながらマイペースにそれを究めていく、という物語である。う~ん、なんか、隙間分野の研究をしている研究者の心情に似ていて、心から共感できるんですけれども・・・・。さっき、このブログを書くために検索したら、二巻目も電子書籍に入っているじゃないですかぁ~。ちょっと嬉しい。「お気に入り」に追加した。ブログ村でアロハ座長氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.08.24
コメント(0)
異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女 (コバルト文庫) 谷瑞恵著 恋愛ものの少女小説が読んでみたくなって、ちょっと買ってみました、コバルト文庫。谷瑞恵さんは「伯爵と妖精」という32巻にも及ぶシリーズをずっと連載されてきたベテランの少女小説家で、異人館画廊は、そのシリーズ終了後の次のシリーズなんだろうか?作品の雰囲気・筆致を見るに、従来のコバルトよりは若干上の年齢の読者層を意識した作品なのではないか、と思われます。要するに、ラノベでいうならば、メディアワークス文庫と重なる当たりの読者年齢層?ヤングアダルト、かな?なぜかというと、先日レビューした「からくさ図書館」と、設定や雰囲気が凄く重なるのである。ただし、主人公は女性。大学をスキップして18歳で英国の大学を卒業して日本に戻ってきた美術(図像学)の専門家の才媛。舞台は、こういう美術系の内容にふさわしい、高級住宅街の神戸(芦屋?)あたりと思われる。で、サスペンスありロマンスありのご機嫌なエンタテインメント小説な上に、ヒロインも、その相手役もツンデレという、なんとももどかしいツン・ツン(しかも今作品中ではどちらもまだデレていない)という焦らし設定の進行なのである。これは、読者としては、もどかしい・・・このまま、どちらもデレることなく、何作もひっぱるのだろうか?コバルト読者たちは、それで付いてくるのだろうか? などなど。だがともかくも、かなり大人びた雰囲気の作品であることは間違いない。大絶賛とはいわないが、割と面白かった、と言えよう。果たしてシリーズになるのだろうか?(二人の仲が全く進展していないので、シリーズ化されそうだが・・・)期待、である。ブログ村で谷瑞恵氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.08.22
コメント(0)
鴨川ホルモー 本木克英監督 2009 今日から旅行に出るのであるが、生き返りの車内で後部席の子供たちが鑑賞する映画をGEOに借りに行くというので、Piyotaからも一作品選定。ちなみに他に選ばれたのは激情版ドラえもんと、ナルニアシリーズの第一作。子供たちが選びもしない、でも子供たちが楽しめて、ついでに京都の名所やら京大校内やらがいっぱい出てくる映像を、ということで、選んでみました。あと、最近、ようやく万城目学の「偉大なるしゅららぼん」を読了して久しぶりに結構おもしろかったので、原作は読んだけれどもDVDは見ていなかった本作を、と。で、結論。子どもたちには大好評でした。とくにJ。ストーリーは前半は、結局、恋の四角関係というか片思いすれ違い鞘当て、的なものが延々つづくのではあるけれども、鬼たちのバトルシーンになったら、もう、すっかり虜に。「鬼語」というのは、大真面目に絶叫してはじめてその良さがいきる、というかなんというか・・・。あと、平安神宮とか、鴨川とか、亀石とか、出てきたのは、それなりに嬉しかったようだ。ちなみに原作はこちら。鴨川ホルモー 角川文庫スピンアウト作品(連作短編集)にホルモー六景 角川文庫があり、こちらも面白い。ブログ村で万城目学氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2014.08.13
コメント(0)
偉大なる、しゅららぼん 万城目学著 集英社文庫 すこし前に購入して積んどく状態だったのが、ようやく読めたので。万城目氏は、なぜか、関西の主要都市を隅々まで使って荒唐無稽なストーリーを展開するという、関西在住者にはたまらない作風で人気を博している(のかなあ、未確認)。そして、鴨川ホルモー(京都)→鹿男(奈良)→プリンセストヨトミ(大阪城)と来て、琵琶湖!琵琶湖である。それも、竹生島!(と彦根?)というわけで、とっても分厚いけれども、そして随所にどんでん返しが仕掛けれられているけれども、ラノベ以上にラノベ的なエンターテインメント超能力バトル小説万城目節、が前回の小説なのであった。面白いのであっという間に読了してしまった、というか、時間を忘れて読みふけってしまった、というか・・・あ~琵琶湖に行きたい・・・。ちなみにこのお話は、・琵琶湖の湖の主(竜)とそれから授かった超常能力を持つ湖畔の一族の話・高校生が主人公の学園はあまり関係ないバトルもの・ラブコメ・緊迫、シリアス展開・でも「セカイ系」ではなく、あくまで「ローカルな覇権争い」な、読みやすく楽しめるエンタテインメントです。たぶん、琵琶湖(彦根)ローカルにストーリーが限局されているので、展開事態は緊迫しているのに、深刻さよりもユーモラスさが勝っているのだと思われます。そういう塩梅がとても上手なのが万城目学ワールドの魅力かと思われます。~~ちょっと彦根、行ってみたくなったぞ~~ブログ村で万城目学氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2014.08.12
コメント(0)
からくさ図書館来客簿 第1集 冥官・小野篁と優しい道なしたち からくさ図書館来客簿 第2集 冥官・小野篁と陽春の道なしたち(メディアワークス文庫) 仲町 六絵 著 仲町氏は新人作家のようだ。2010年電撃大賞(メディアワークス文庫賞)を「典医の女房(霧こそ闇の、に改題してメディアワークス文庫より出版)」で受賞していて、本シリーズは受賞作後の初のシリーズ(文庫書下ろし)である。Piyotaがこの本を手に理由は、まあざっとこんなかんじ。・軽いミステリーないしファンタジーが読みたい・喫茶店などの落ち着いた感じのお店が舞台・美少女が探偵または探偵助手・京都(などの古都や高級住宅街が舞台)が舞台・主人公が小野篁であるらしい(って誰だっけ?)ブームなのか流行りなのかわからないが、ライトノベル系レーベルや、一般文庫レーベルで、ここ数年、喫茶店やら古書店やら骨董店やら画廊やらを舞台にしたライトミステリーが次々と登場している。有名なところでは、「ビブリア古書堂の事件手帖(三上延著、メディアワークス文庫)」のヒットがあげられよう。そう、剛力彩芽さんが主演してドラマにもなった。ちなみにビブリア古書堂の舞台は、北鎌倉ね。お店が舞台の連作短編のライトミステリーとなると、依頼主は客(利用客)ということになり、これまた定番・鉄板の設定である。あとは、作品の雰囲気と。というわけで、「からくさ図書館」楽しませていただきました。ちなみに本作の舞台のからくさ図書館は、特殊な結界によって作られた冥界と地上界の接点、という設定になっていて、その場所は京都の左京区北部。東大路と白川通の間くらいで、百万遍よりは北にある、私設図書館、という設定である。京大の北部校舎のどれかの通用門が至近で、土地勘がある人には、ああ、あのあたり?と想像がつくのではなかろうか。で、そんなところで活動する訳ありのイケメン図書館長(小野篁の転生後の仮姿、20代後半?)とその助手のわけあり美少女、というコンビが、京都北部にありがちな因縁怪異事件を解決していく、というものである。京都から離れた地で、京都の街並みやしっとりとした佇まいを想像しながら、薫り高いコーヒーでものみながら、のんびり読むのによい、そんな佳品である。なお、京都・喫茶店・美少女探偵、と限定すると、もう一つ該当するのが、『珈琲店タレーランの事件簿』(岡崎琢磨著、宝島社文庫)。こちらもシリーズ100万部を売り上げた、新人作家のスマッシュヒットとなった模様である。ブログ村で仲町六絵氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.08.06
コメント(0)
人類は衰退しました 第9巻(最終巻) 小学館ガガガ文庫 田中ロメオ著 アニメ化され大好評を博した田中ロメオ氏の人気シリーズの最終巻。なお、この巻と第8巻が、連作の話となっているので、できれば一気に続けてよむのが望ましい。調停官であり所長である「わたし」の「おじいさん」が、なんと、月旅行にでかけてそのまま遭難。安否が気遣われる中、緊迫の展開で、超人的な集中力と調停能力と実行力を発揮して、壊れかけていた軌道エレベーターを妖精力でむりやり修復して、救助に向かう「わたし」・・・。そして、それを救助に行く過程で、地球の生命の歴史全体を追体験するとともに、妖精というのが何なのかの謎がついに解き明かされ・・・・と、緊迫、アドベンチャー、サバイバル、癒し系、インナースペース、壮大ハードSF、等の要素てんこ盛りのクライマックス最終巻であった。田中氏の不思議わーるど全開の最終巻にふさわしい内容である、かもしれない。ただし、内容的には相当にSFとしてはハードな内容である(もともとこのシリーズにはそういうところがあった。かわいいイラストや主人公の脱力系の語り口や、同人誌騒動などのような展開にごまかされつつ、衰退した世界を描くセカイ系ラノベの要素は健在なのである)。もう一度8+9巻であらためて読み返さなければならない、そんな気がする。というわけで、シリーズ終了、大団円とはいかないまでも・・・まあいちおうの団円。お疲れ様でありました。ブログ村で田中ロメオ氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.07.24
コメント(0)
【楽天ブックス/送料無料】 はたらく魔王さま! 第11巻 電撃文庫 和ヶ原 聡司 著人気シリーズの11巻を、これは書店で無事ゲットした。18日の釣行前に、吹上までNを自転車に乗せて、釣り具を仕入れに行ったのだけれども二軒まわったけれどもどちらも定休日、桜山のほうのもう一軒を見に行ったところこちらはバスショップだったので、店の前まできて引き返す、その途中の本屋さんで、無事ゲットの「はたらく魔王さま」である。無事異世界からエミリアを奪還し、謎の大家さん斯波ミキの正体が明かされ、エミリアは無断欠勤がたたって時給のよかった今の職を失職し、よりによってその再就職先が!?というお話。ブログ村で和ヶ原 聡司 氏の文学ブログをもっともっと探してみる(ひょっとしたらあるかもしれない)
2014.05.29
コメント(0)
【楽天ブックス・送料無料】魔王が家賃を払ってくれない(7) [ 伊藤ヒロ ](最終巻) 小学館ガガガ文庫 伊藤ヒロ著 先月今月といくつかのラノベのシリーズものの最終巻を入試して、シリーズ読了となったわけであるが、これもその一つ。「魔王が家賃を払ってくれない」と「はたらく魔王さま」が同時にシリーズ開始しアニメ化されたあたりから、日本のラノベで魔王ブームが到来した、ということになっているらしい。ほかに魔王を冠したラノベタイトルに、「魔王なあの娘と村人A-幼なじみは勇者です」「魔王のしもべがあらわれた」「まおゆう魔王勇者」など。2010年~2013年のラノベ史を振り返るための、重要な作品群ということにしておこう。さて、伊藤ヒロ氏は、主人公(大家の孫)ヨシツネを狂言回しに、どう見ても日常的にダメ系な美少女魔王アーザ14世ほか魅力的なキャラクターを造形したのち、第一巻の最後で伏線を回収しないまま主人公たちにダンプカーが突っ込むという強引な展開で次作に引き継ぐという禁じ手を発した。その後も校長先生の朝礼の「お話」により魔王群を全滅させるとか、「ハルヒ」ばりにタイムトラベルに取り組むとか、やりたいほうだいで独特の脱力ワールドを展開してきたわけであるが、その中でもPiyotaがイチオシの造形は「妖怪リモコン隠し」であろう。これまでもネットでその存在が囁かれていたリモコン隠しであったが、正確な伝承・姿かたちなどは文献上に存在していなかった(わけではないかもしれないがとりあえずここではそういうことにしておく)。それが、『ニューゴージャス高良多』のアーザの部屋の押し入れに二匹も巣食っていた、とは。ちなみにアーザが描いた妖怪リモコン隠しの想像図はこれ。本篇第二巻に出てくる。意外と戦闘力が高い。そして、最終巻にもう一度でてきて、ニューゴージャス高良多のために闘ってくれる。泣ける。ともあれ、伝説のぼろアパートは取り壊されるが、まだまだ彼らの日常は続きそうである。そんなハッピーエンドを迎えるのであった。ブログ村で伊藤ヒロ氏の文学ブログをもっともっと探してみる(たぶんないとおもうけど)
2014.05.13
コメント(0)
【楽天ブックスならいつでも送料無料】這いよれ!ニャル子さん(12) [ 逢空万太 ](最終巻) 逢空万太 GA文庫先月から今月にかけて、いくつかのラノベシリーズの最終巻をゲットした。これは、「うー!にゃー!」のアニメ第一期のOPで多くの中毒患者を出しつつ、ラブクラフト(真ク・リトル・リトル神話体系)というごく一部のSFマニア以外は、あまり日本では語られることのなかった、本格SF怪奇小説群を、すっかり翻案してラノベテイストをまぶしてわが国で一大メジャーシリーズに展開させた、という、殊勲賞的作品の最終回、である。そもそも、「ニャル子さん」がなければ、ほとんどの国民はニャルラトホティプもラヴクラフトもシャンタク鳥も知らなかったであろう、という、斜め上に突き抜ける意外さ。その偉業は称えられるべきであろう。だいたいそれまでSAN値なんて誰も知らなかったしね。真ク・リトル・リトル神話体系が宇宙人の邪神の話だってことも知らなかったしね。「名状しがたいバールのようなもの」という、「いや、それただのバールとどう違うんですか」とか「名状しがたいって原語ではなんていうんですか」とかそういうことも知らないでいられたしね。ともあれ、そういうわけで、最終巻はやっぱりきっぱりラブコメで、これ以上はないくらいの?ハッピーエンドというわけでありました。めでたしめでたし。ブログ村で逢空万太氏の文学ブログをもっともっと探してみる(ないって)
2014.05.12
コメント(0)
2013.10.23
コメント(0)
神曲奏界ポリフォニカ(ディサイディング・クリムゾン)GA文庫 [ 榊一郎 ]Piyotaが大好きなラノベ作家(自称:軽小説屋)榊一郎先生の、ちょっと前に終了したシリーズ本篇の、最終話から一つ前の巻。通称、ポリ赤シリーズ。多数の作家が同じ世界観で連作したシェアードワールドのメディアミックスシリーズとして、おそらく文庫本は50冊超、マンガ、アニメ、ゲーム、ビジュアルノベル、CDと多数展開されたこの「ポリフォニカシリーズ」であるが、色が冠されているシリーズとしては、黒・青・白そして赤とあって、この赤の終幕をもって本篇はすべて終了するのだと思う(要確認、2013.10現在)。いままだ継続しているのは、おそらく、榊一郎氏の「ポリ赤アフタースクール」とポリ赤スピンアウト「エイフォニック・ソングバード」シリーズだけ、つまり榊氏がシリーズ全体のしんがり(殿軍)を引き受けているという感じなのではないだろうか。で、ついつい間隔があいたのとフォローを忘れていて、ポリ赤本篇シリーズの結末をまだ読んでいなかったので、急きょとりよせた、というわけである。どうでもいいが、榊氏はとてもハイペースで著作を刊行しており2013年もアニメ化作品が2シリーズ(アウトブレイクカンパニーとチャイカ)進行しているらしい(ほかにもあるのだとしたら知らない)。で、今回のこの作品であるが、ネタバレしないように書くとすると、主人公フォロンが「まさか!」の危機に陥り、物語全体がとんでもなく暗く重い膠着状態に突入するのである。そのせいでコーテはこっぴどく落ち込み、それを助けるため・励ますため、にこれまでのポリ赤に登場してきた「力のある精霊」たちが総出演。前のエピソードなんて、当然忘れているので、これは下手すると、読み返さないといけないかもしれない、という、盛り上がりある展開!でもね、でもね。榊先生がシリアスを書くと、シリアスドラマと日ごろの軽妙な文体・展開とのギャップが大きすぎて、読者がついていけなくなっちゃうんじゃないか、と思うのでした。それは、シリアスなSFアニメ原作として描かれた「ザ・ジャグル」(ハヤカワ文庫)のときにも思ったのだけれども。ともあれ、今回の巻では、問題点は一切解決しないまま、最終巻「解決編」に持ち越される模様。せめて、ハッピーエンドに収束して、コーテがどでかい精霊雷をばんばんぶっぱなして、カタルシスあるエンディングになればいいな、と願うばかりです。おそらく、バランス感覚のよい榊先生のこと、そのあたりは読者を裏切らない、と、思うんだけれども。ブログ村で榊一郎氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.10.08
コメント(0)
棺姫のチャイカ(富士見ファンタジア文庫)(7) [ 榊一郎 ]Piyotaが大好きなラノベ作家(自称:軽小説屋)榊一郎先生の、今季アニメ化が進行中と噂されているシリーズの最新巻。これは、榊先生のデビュー作である「 スクラップド・プリンセス 捨て猫王女の前奏曲 (富士見ファンタジア文庫) 」シリーズに対する、セルフカバーともいえる作品である。具体的には、出自のわからない王女・姫・プリンセスを、それぞれ異能を持つ兄妹が守る、という点においてである。そして物語全体がロードノベル(主人公たちが世界を彷徨する)という点についても一緒。ただし、スクプリでは主人公パシフィカにからむのが基本的には兄姉の二人だけだったのに対して、チャイカでは、物語にからむ脇役も非常に豊富である。そもそもチャイカは、「姫」ということになっているが、実は「姫」でも「ガズ皇帝の忘れ形見」でもないらしい。白チャイカ(メインヒロイン)の他に「紅チャイカ」「蒼チャイカ」などが出てくるところからも意味深であるし、記憶を失っているというのも、なにやらわけありのようである。頑張れ、天然ボケ・クーデレヒロイン!そして、この7巻で、ついにガズ帝国の魔法研究機関とトールたちが戦い、その過程でガズ帝国の禁断の技術や封印されたプロジェクトの謎の一部が明かされる!!チャイカ公式HPはこちら。アニメ化も決定とのこと。榊先生、忙しすぎ!ブログ村で榊一郎氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.10.04
コメント(0)
導きの星(ハルキ文庫・小川一水)全4巻 導きの星 1小川氏がおよそ10年前くらいに発表した全四巻の「異星人文明育成小説」導きの星、全4巻を、漸く読了した。この話は、未来の地球人類が銀河に巣立っていき、そこで出会った異星人の文明に対し、なるべく直接接触せずにその文明を保護育成し、恒星間航行ができる文明になるまで見守る、という話である。で、主人公の異文明監察官ツカサ(新人の役人)と、それをサポートする3体のパーパソイド(女性型アンドロイド・人工頭脳)と、それを邪魔する星間企業の勢力以外は、多くの登場人物はひたすら直立リスや足が6本あるキリンもどきみたいな異星人ばかり、という小説である。そして、異文明保護観察官は、まずは未開の異星人文明に降り立って、あたかも超技術を布教する古代の神々のごとくふるまうわけであるが、それはそれ、神ではなく所詮ヒト(と人工知能)のすること、物事は思惑をはずれ、コントロールを失い、(およそ想定しているのとは逆の方向、悪い事態の方向に)脱線する。しかし、実は、その脱線すらも二重に仕組まれたものであった。一つは人類によって、そしてもう一つは、もっと人智の及ばない「何か」によって。そして、事態は、地球人類文明滅亡の寸前まで、急転していく、、、という物語である。物語の展開としては、だから、一巻~二巻は、まあほのぼのと文明勃興やら産業革命やらなどを異世界バージョンでトレースしているわけなので、ほのぼのとしている。ところが三巻でなにやら不穏な陰謀に巻き込まれて、四巻ではあれよあれよと、人類全体が滅亡の危機にさらされたりするのであるが、ストーリーのスピード感が増すに連れて、読者としては、むしろどんどん臨場感がなくなっていく、という不思議な感覚を味わった。もともと、リスやらキリンもどきやらの異星人に感情移入するのも難しく、パーパソイド(目的人格・人工知能)に感情移入するのも難しいという、登場人物になかなか同調できないような書き方がわざとされている小説なので、その状態でしかも事態が急展開すると、まるでCMを早送りしている字幕付き映画みたいな状態になってしまうのかもしれない。そんなわけで、三者三様の女性型アンドロイド(パーパソイド)が登場するが、その誰に対しても、萌えない。そもそも小川一水氏の小説については、仮にラノベレーベルで出されていたとしてもヒロインへの萌え要素が少ない、という指摘・感想が散見されるので、これは、氏の作風・持ち味なのだろう。でも第六大陸とかは、ちゃんとヒロインがヒロインヒロインしてたけどなあ。その意味では現在刊行中の「天冥の標」もアンチ萌え小説として、ダークヒロインが露悪的にいっぱい出てくるなあ。やれやれ。というわけで、面白いには面白いストーリーテリングがしっかりしているSFではあるのだけれども、なぜだかのめり込めない、というそんな小説でありました。ブログ村で小川一水氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.09.26
コメント(0)
最近読んだ、食べ物の調理プロセスにこだわった「飲食店系」ラノベ2冊をご紹介。1.キケン 成南電気工科大学機械制御研究部 新潮文庫 有川浩【送料無料】キケン [ 有川浩 ]田舎にある工学系大学「成南電機工科大学」の破天荒なサークル、「機械制御研究部」。現在は、幽霊部員や卒業研究中で部室にでてこない4年生を除くと、メンバーは二人。しかしこの、部長と副部長、片方は爆弾魔でもう片方は空手黒帯「大魔神」。そんな癖の強い二人に強引に入部に誘われてしまった新一年生たち。彼らの「快適なサークル棟部室」や、他サークルとの取り合いや、学園祭での模擬店イベントや、機械制御研究部の面目躍如となる「部内空気銃開発競争」や、本業のロボコンなどの理系生活を描いた、青春コメディーである。出てくるのは狂言回しのお嬢様一名を除けば理系男子ばかり。でも理系的雰囲気はあるものの、中身はゆる~いキャンパスライフばかり。と思いきや、そう、学祭の模擬店のラーメン屋である。なぜか、「お店の子」元山高彦がシェフを任されるなり、伝説の味を再現する真に旨い(学祭模擬店レベルではない)ラーメンを完成させ、史上最高の売り上げを達成させる、という、途中からまさかの熱血グルメ小説の展開に。(理系男子の一部に、料理にハマるとこうなる人がいるという点で、そこまで含めて理系あるあるなのだが)というわけで、読むとラーメンが食べたくなる熱血青春コメディーでした。ナイスですね。好みが分かれるところがあるとすれば、脚光のあたっているキャラ以外の登場人物の描写が、必要以上に簡素化されてしまっていて、物語にあまり深みがないこと。有川浩さんの小説が時々ラノベっぽくないのは、こういうところかな、と思う。サブキャラにも愛を。2.8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト 石原宙 集英社スーパーダッシュ文庫8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクトご覧のとおり、イラストは今話題の「はたらく魔王さま」のO29先生です~ということで、イラストをみて即購入。それから著者を確認したら、「くずばこに箒星」の石原宙先生だった、というわけでした。で、この小説は、全校生徒5000人の東京の某私立高校の、学食に展開する8店の食堂の間で繰り広げられる「食のバトル」において、毎回最下位店の「満点」でバイトする学生たちが、なんとか店を盛り上げていく、というグルメバトルコメディー小説なのであった。なお、中二病っぽい技の名前は炸裂しますが超常能力の持ち主は今回は出てきません、念のため。そういえば、「くずばこに箒星」も、学園チェアバトルというサークルの順位を賭けた学園バトルコメディーだったな、と思いながら、裏表紙を見ると、なにやら謎のマークが。そうなのでした。これ、名古屋市の市章、八マークですね。サブタイトルのなごやかとは和やかではなく名古屋化、主人公の妹の名前は「なごの」(名古屋中心部の旧地名・那古野)。学食バトルのどさくさにまぎれて、東京の高校の学食に名古屋味覚を蔓延させてしまえ、という、途中からボタンを掛け違って、とんでもない展開のラノベなのでした。なので、この小説中にも作者が解説している、ぜひ名古屋味覚・名古屋喫茶店文化を理解するために押さえておかなければならない名店について、せっかくなので、リンクを張っておきます。順番・店舗は一日で廻る際のツアーの参考例として、本文登場順とは入れ替えました。リヨン (最寄り駅・名駅・近鉄名古屋駅) ※名古屋喫茶店名物モーニングの発祥の地coffee shop KAKO 三蔵店 (最寄り駅・国際センター) ※名古屋発の自家焙煎珈琲の店支留比亜 東山店 (最寄り駅 東山公園) ※名古屋に展開される喫茶チェーン サンドイッチおいしいマウンテン (最寄り駅・八事日赤または杁中)※謎メニュー満載の名古屋のカリスマ的秘境喫茶店コメダ珈琲 杁中店 (最寄り駅 杁中)シロノワールが超有名スガキヤ 八事イオン店 (最寄り駅 八事) ラーメン、安くて安定安心の味。というわけで6店全部回るのはなかなか大変だけれども、特にマウンテンが行きにくいですかね。KAKOとリヨンはPiyotaもまだ行ったことがないので、この本を機会に近々勉強させていただきます。ブログ村で有川浩氏・石原宙氏のラノベ関連ブログをもっともっと探してみる
2013.09.11
コメント(0)
【送料無料】ダブル・ジョーカー [ 柳広司 ]【送料無料】パラダイス・ロスト [ 柳広司 ]時にはクールで禁欲的な和製エスピオナージュが読みたくなることはありませんか?日本製のスパイ小説というのは、これまで無かったジャンルだと思う。その中で、出色の出来なのが、この柳広司氏のD機関シリーズである。第一次大戦後~第二次大戦中に、大日本帝国陸軍に極秘に設立されたスパイ養成機関「D機関」。その第一作はこちら。設立者の結城中佐もカッコいいが、結城に鍛えられた本名なき若者たちも、かっこいい。今回読了したのはそのシリーズ2巻目と3巻目で、D機関つぶしに陸軍内にもう一つ設立されたスパイ機関との小競り合いや、D機関員の海外での活躍、若きころの結城中佐と思しき人物の決死の脱出劇(そしてそれは結城中佐が決して人前で脱ぐことはない白手袋の謎への伏線となっている)などが、いくつもの掌編として収録されている。ブログ村で柳広司の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.08.28
コメント(0)
オー!ファーザー! 伊坂幸太郎著 文庫版 新潮文庫 【送料無料】オー!ファーザー [ 伊坂幸太郎 ]複雑な事情があって、高校生の由紀夫には4人の父親がいる。ギャンブラー、女たらし、スポーツ格闘技万能中学教諭、博識の大学教員。そして母親。今回は長期出張中で最後まで出てこない母親。由紀夫に絡んでくる、他人の話を絶対効かない多恵子。天然のクラスメイト、殿様。不登校のクラスメイト、小宮山君。お人好しですぐにいじめられっこになってしまう中学時代のツレ、鱒二。鱒二に絡んでくる不良。日常のとぼけた軽妙な会話の中に、事態はどんどん進展していって、心中に見せかけた殺人事件とか、その他の事件が巻き起こり、由紀夫はのっぴきならない巻き込まれ方をする。しかし危地に陥った由紀夫を助けるため、すちゃらか4人組父親が、とんでもない活躍をする、という話なのだ。とんでもない活躍劇を見せてもらった割には、そういうスカッとした読後感ではなく、またとぼけた日常に戻っていくという、そういう読後感な、不思議な小説である。そう、伊坂幸太郎の独特の語り口が、その不思議さを完成させているのだ。ブログ村で五木寛之氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.08.13
コメント(0)
【送料無料】銀閃の戦乙女と封門の姫 [ 瀬尾つかさ ]一迅社文庫【送料無料】銀閃の戦乙女と封門の姫(2) [ 瀬尾つかさ ]一迅社文庫【送料無料】銀閃の戦乙女と封門の姫(3) [ 瀬尾つかさ ]一迅社文庫一部では、「安定の瀬尾つかさ」というコトバがあるらしい(嘘です・・・でも一応出典。http://lightnoveldatematome.blog.fc2.com/blog-entry-930.html。)氏が現在展開中のもうひとつの人気シリーズ「スカイワールド」が安定してきた、ということなのだと思うが、Piyota的には、ライトノベル作家としても(その質が)安定してきた、と思えるのだ。氏の転機となったのは、やはりラノベレーベルではなくハヤカワから刊行された、「約束の方舟」であろうか?これを読んで、新しい世代ののSF作家が送るSF作品として、小川一水氏作品に出合った時と同じか、それ以上の衝撃を受けた。で、その後、ずっと瀬尾作品をラノベレーベルであっても買い集めているわけである。なお、全年齢向けレーベル「富士見ファンタジア」で展開されているスカイワールドの作品内容の健全さと、R15レーベル?R18レーベル?の一迅社文庫で展開されている「放課後ランダムダンジョン」「魔導書」に連なる本書(同一世界観を共有している)シリーズで、とくにエッチさ加減(性的描写関連)に関して、特に差はない。一迅社レーベルのほうが、イラストがややエッチ、という程度のことで、展開されている内容は、純然たるどたばたラブコメ系ヒロイックファンタジー系ハーレム小説なのだから。で、日本と空間を接している亜空間異世界で、魔法を使ってモンスターをやっつけて、国の平和を守る、というそういうお話である。ね、健全でしょ?で、「魔導書」がかなりおちゃらけが入っていてコメディータッチだったのに対して、本書シリーズは、もう少しラブコメ要素がふんだんだったり、そうでなかったり、そうではないか。まあいいや。ともかく、「安定の瀬尾つかさ」、このまま、安易なエロ路線・ギャルゲ路線に走らずに、ストーリーとして面白いラノベ作品を書き続けてほしいと願うわけです。それにしても、表紙、1~3巻並べてみると、3冊ともフレイさんなんだなあ。赤髪の無鉄砲お姫様とか、金髪ツインテツンデレお姫様とか、嫉妬深い妹ちゃんとか、他にもヒロインいるのにね。それはなぜなのだ?やはり、タイトルが「銀閃の戦乙女」だからか?ひょっとしたら作者が最も感情移入しているのが、フレイさん、だからか?ブログ村で瀬尾つかさの文学ブログをもっともっと探してみる
2013.08.07
コメント(0)
本日の読書ぶたぶた洋菓子店 矢崎存美著 光文社文庫 【送料無料】ぶたぶた洋菓子店 [ 矢崎存美 ] ぶたぶたの最新刊。今回のぶたぶたは、「ひみつの洋菓子店」のパティシエさん。周りの人たちに、そのおいしいお菓子と、独特の愛嬌で、幸せと癒しをもたらすのであった。なお、今回は、ぶたぶた奥さんと、二人の娘さんも出演。小学生の次女が「不思議ちゃん」であることが判明。不思議ちゃんか。【矢崎存美・読書その2】食堂つばめ ハルキ文庫食堂つばめ このところ、定期的に新作ぶたぶたを光文社文庫に書き下ろしている矢崎先生の、どうやらこれは、新「シリーズ」らしい。内容はというと、臨死体験グルメ小説である。帯から。 謎の女性ノエに導かれ、あるはずのない食堂車でとびきり美味しい玉子サンドを食べるという奇妙な臨死体験をした柳井秀晴。自らの食い意地のおかげで命拾いした彼だったが、またあの玉子サンドを食べたい一心で、生と死の境目にある「街」に迷い込む。詳しいことに触れるとネタバレになるからここには書かないけれども、読後感さわやかなノスタルジックグルメファンタジーであることには間違いがない。奴が戻ってきた脱走中のシロ、無事保護とのこと。よかったよかった。ブログ村で矢崎存美氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.08.01
コメント(0)
本日の読書【メフィスト賞】【送料無料】琅邪の鬼 [ 丸山天寿 ]講談社文庫中国伝奇ミステリの傑作、丸山天寿氏の「琅邪の鬼」、ようやく時間がとれたので、読んでみたところ・・・・圧巻!!の一言につきる。これは、ミステリーとして、とにもかくにも、荒唐無稽でめっちゃ面白い。この小説は、徐福が琅邪に開設した方士塾「徐福塾」の塾生や、徐福の弟子たちが主人公であり狂言回しとして活躍する。その中心人物(でも出番は多くない)徐福は、中国の秦朝(紀元前3世紀頃)において、始皇帝に仕え、「不老不死の薬の取得」を進言して、巨額の金を引き出し、最終的にそれをもとめて蓬莱国を目指して東の海に大船で出航し、行ったきり秦には戻らず、行った先で「王」になったと伝承されている、という。方士というのは、当時の中国の医師と呪い師の両方をこなしていたような職であり、当然、薬学知識なんかについての専門家でもある。さて、その徐福が「行った先」というのが日本だ、という伝承があり、多くの土地に、徐福伝説があるらしい。たとえば、熊野大社のある新宮市、新宮の駅の傍には「徐福神社」があって、徐福が奉られている。また、時代的に考えて、秦の始皇帝の時代というのは邪馬台国の時代とかぶるので、邪馬台国の謎や邪馬台国建国伝説などにも、徐福が出てくるらしい、、、という、なんともスケールのでかい歴史上の偉人(というよりは怪人物)である。そんな人(とその弟子たちと、怪しい人々満載の徐福塾)を主人公に選んで、活写してみせた丸山氏の奇想と筆力に脱帽!、の上質のミステリであった。ともかく謎が謎を呼んで息つく間がなく、ストーリーはますます混沌とし、しかも連続殺人やら死体消失やらが一挙に起こるのである。メフィスト賞、というのも、うなづけるうなづける。というほど、メフィスト賞についてあまり詳しくないので、ちょっとだけ覚書。第1回受賞作品は森博嗣の『すべてがFになる』・・・うわっ、めちゃめちゃいまの職場に関連ある作品じゃないっすか。第2回受賞作品:清涼院流水 『コズミック 世紀末探偵神話』第3回受賞作品:蘇部健一 - 『六枚のとんかつ』第9回受賞作品:高田崇史 - 『QED 百人一首の呪』第12回受賞作品:霧舎巧 - 『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』第13回受賞作品:殊能将之 - 『ハサミ男』第23回受賞作品:西尾維新 - 『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』第29回受賞作品:小路幸也 - 『空を見上げる古い歌を口ずさむ』第31回受賞作品:辻村深月 - 『冷たい校舎の時は止まる』・・・と読んだことのある作品やら作家名やらたくさん。閑話休題・・・ところで、このスタンレー薬品有限会社というところが作って販売している入浴剤、徐福の湯、っていうのはなんなんだろう・・・興味はありますが。徐福蓬莱本舗のページには、ゆるキャラ化した徐福先生が!あと、諏訪緑先生のマンガ「ひすいの国」では、徐福と始皇帝が、イケメン化している!!フラワーコミックスアルファ ひすいの国-徐福と始皇帝奇伝- 1/諏訪緑ブログ村で丸山天寿氏と徐福の歴史ブログをもっともっと探してみる
2013.07.29
コメント(0)
本日の読書まほうびんぼう 秘密結社来夢来人 伊藤螺子 徳間文庫 【送料無料】秘密結社 来夢来人 まほうびんぼう [ 伊藤螺子 ]【たぶんこの魔女っ娘やら秘密結社やらが出てくる青春小説は、青春小説だけれどもラノベではないと思うので、そういう風に表記しました。ラノベの定義は、たぶんですが、ラノベレーベルから出ているかどうか、で判別すればいいのだと思います。】戸坂区黒金という架空の東京都内の都市(結構庶民っぽいところ)、ぼろぼろの路地を通り抜けたところに築数十年は下らない安アパートが建っていて、そこの二階、生活臭あふれる2Kの部屋に、「秘密結社来夢来人」があり、何やらいかがわしいことをしているらしい。しかして、その実態は、市民発明家・野良博士・のんだくれ・無職の春日部アケミと、娘(高校生・主婦)の絹子の自宅であり、春日部家が生活費を稼ぐための「何でも屋」なのであった。で、この市民発明家の発明した怪しいグッズが、ひょんな偶然か、異世界とつながってしまい、こちらの世界でいうところの「使い魔」を召喚し、「魔法」を使えるような状態になってしまったこと、それもよくわからない胡散臭いアケミグッズのいくつかが、その手の超常能力を発動できること、しかし、いずれの「魔法」に関しても必ずなにか代償が必要なこと、などお約束の制限がつき。そして、絹子の変身した魔法少女は、変身1分100円、魔法一回使うにも現金が必要、という、家計を圧迫する極めて経済効果の悪い魔法だったので、タイトルの「まほうびんぼう」ということになるのでした。頑張れ、絹子(シルクちゃん)!。黒金の街の平和は、きみの双肩にかかっているのだ!極貧高校生絹子は、今日も、友人にお弁当のおかずをめぐんでもらいながら、日の丸弁当おかずなしを片手に、けなげに頑張るのです。読後感さわやかな、下町人情小説・青春小説です。ラノベじゃないって書いたのは、実はラノベにはこの手の青春小説っぽさが欠けている作品が多いからなのですね。作者が設定している読者層が、違うからなのかなあ。そのあたり、ラノベ出身作家でも、桜庭一樹などは作品によってちゃんと使い分けているからなあ。まあ、そういう複雑な問題もあるので、ラノベっぽさについては議論せずに、レーベルで分類しよう、ということになっているのだけれどもね。ブログ村で伊藤螺子氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.07.23
コメント(0)
【ラノベ】 朽ちた神への聖謡譚 1(MF文庫J) 朽ちた神への聖謡譚 1+2(MF文庫J) 内田 俊 (著)【本日の読書】 著者の内田俊氏は、喰う-kuu-で、美少女フードファイトラノベ、というよくわからないユニークな青春ラノベ分野を開拓してデビューした、独創性あふれる新人。第二作、創作系の女の子が集まるぼろアパートで一人ハーレム状態青春ラノベ、「あおはるっ!」シリーズも読後感さわやかで良かった。ということで、今度は異世界魔法~巨大ロボット駆動型~ファンタジー開幕ということで、二冊まとめ買いして読んでみた。その感想は・・・(°▽ °)微妙。いや、バトルファンタジーとしても学園ファンタジーとしてもそれなりにそれなりに良くかけているし読みやすいしヒロインたちも可愛いんだけれども・・・「子作り」ネタを飛ばしすぎていて、ちょっと意味不明に肌色路線多すぎですね。ふつ~に、美少女萌え萌え系ラノベ路線していれば、まだよかったんですね。出版レーベルが変わったのかと勘違いしました。それこそ一迅社、かと思いました。ということで、徒に青少年を刺激するような不必要な演出はもう少し控えめにして、それよりも世界観とか聖骸の設定とかを、細部まで練りこんだほうがよいのではないでしょうか、と、思いましたです。おそらくは担当さんからのリクエストなのか、レーベル同士の熾烈な競争の影響なのか、と思いましたけれども。そのあたりのバランスで、どこまで踏み込むのか、というのは、ホント読者によって人それぞれだと思うけれども。Piyota的には、杉井光・瀬尾つかさまではセーフで、今回の内田俊はアウト、という感じです。ってことで、次、いってみよ~♪ブログ村で五木寛之氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.07.11
コメント(0)
本日の読書 放課後四重奏 (GA文庫) 高木幸一著 前作(デビュー作)「俺はまだ恋に落ちていない」シリーズで、壮絶な姉妹の骨肉の争いと、それに三角関係という形で巻き込まれる、弱腰な主人公、という、甘酸っぱい青春小説で一躍有名になった、高木幸一氏の、第二シリーズ。なので、hontoの新刊欄で見つけて、「買うっきゃないっ」と思っていた。で、先日、きっと娯楽などあまりないであろう某裏日本に学会に出かけた折に、読んだわけです。主人公は、訳ありの貧乏特待生の少年、灰堂青。集団生活が苦手で、寮からはみ出して、学校の使われていない用務員室に住み込んでいる。で、その、ややコミュ障の灰堂の、学校内の唯一の味方の教師が、ルールだからどうしても部活動に所属しろ、と迫ってくる。既存の集団に所属することをよしとしない青は、勢いで新しい部活動「相談部」を立ち上げることに。すると、そこに、自殺未遂の美少女やら、とりあえず彼氏が欲しい美少女やら、二次元オタクの美少女やら、ともかく美少女がなぜだか集まってきて、よくわからないハーレム状態になってしまう・・・・っていうお話です。こういう、ベタな学園ラブコメ、Piyota的にはすっかり癒されるので、○ですね。読後感がさわやかなラブコメって、いいですよ、ホント。ブログ村で高木幸一氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.07.07
コメント(0)
今日から7月になってしまった。2013年の前半が終了した、ということだ。なんていうことだ!!本日の読書 生徒会探偵キリカ 4(講談社ラノベ文庫) 杉井光著 白樹台学園(生徒数8000人!)の体育祭は、体育科の学生vsそれ以外の学生、という、超不均等なハンデキャップマッチ。しかし、体育科特待生はとても優秀なアスリートばかり、一般学生の優秀な選手が束になってもかなわず、毎年体育科が勝利している。そして、今年、その体育科を率いる大将は、皆から魔王と呼ばれる、中二病をひどくこじらせたとしか思えない、瀧沢瑠威那。なんだかいろいろ間違ったりミックスしちゃったりしているダークファンタジー要素で寮の自室を魔改造しちゃったり、セリフはいちいち現代語に翻訳が必要な邪気眼系中二病言語だし。しかし実はそれは敵を欺くための偽装かもしれない。歴代最強の生徒会長、天王寺虎徹と、対等にやりあうことのできる頭脳明晰の策謀家なのかもしれない。そして一般科のほうも、今年は違う。3巻までは敵対していた、生徒会と中央議会と監査委員会が、今回ばかりは体育科打倒のために手を組んだ!そして展開される高度な情報戦とコンゲーム。情報戦の先鋒は、ひかげ。そしてそのコンゲームの後詰かつ切り札は、もちろんキリカ!っていうお話です。杉井光先生の絶好調な学園ミステリ、たっぷり楽しめます。ブログ村で杉井光氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.07.01
コメント(0)
本日の読書神曲奏界ポリフォニカ・エイフォニックソングバード 1・2 GA文庫 榊一郎著[一巻][二巻][二巻電子版] ここしばらく、電子書籍のまとめ買いをして、ラノベをiPadで読んでいる。何がよいといっても読書の時の照明が不要なので、枕元で読めることである。欠点は、お風呂の中で読めないこと。ただしこれは、冷凍食品用ジップロックを使えば大丈夫、という説がある。万一を考えて試す勇気がまだないが。で、榊一郎氏のラノベ電子書籍を3冊まとめ買いしたそのうちの一冊。第二巻(電子書籍版)を読み始めて、すぐに、おぅこれは面白そうだ、だがそういえば、一巻のあらすじをほとんど覚えていないぞ、ということを思い出し、紙の書籍のほうの第一巻を本棚から引っ張り出して、1→2巻を一気に読む、ということに。ラノベを読んでいて、前の巻から読み返したくなって、実際に読み返すところまでした小説というのは、ついぞなかった。なので、それほど、この「エイフォニック」の世界が、気に入ったのであろう。実際、これは、いい話だ(しみじみ)。というわけで、紙の書籍版ではすでに3巻の出版が予告されているようであるが、それが電子書籍になるまで、もうちょっと待つことにする。そういえば、同じ作者のポリ赤シリーズ、どうやら完結したらしいのだが、最新刊(最終巻)を含めて2冊、買いそびれている模様。そちらも、購入しなければならなさそうだ。ブログ村で神曲奏界ポリフォニカシリーズの文学ブログをもっともっと探してみる
2013.06.25
コメント(0)
本日の読書 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 12 (電撃文庫) 伏見 つかさ著 涙! 涙! ついに最終巻の完結!!である。そう。日本中に「ツンデレ狂暴妹(+優柔不断いけてない兄)ブーム」を巻き起こした、あの「俺妹」の最終巻なのである。はじめ、ラノベで人気が出て、その後、コミックス・アニメと、一気に日本のやんぐを席巻した、俺妹のクライマックスなのだ。・・・いや、読んでいない人のネタバレになるので、多くは語るまい。だが、だが、誰もが予想できた、その結末の、あまずっぱくほろ苦いその感情に、皆、涙するであろう、、、そして、それ故に、可愛い妹を持ったことのある兄はその奇跡を寿ぎ、可愛くない妹を持つ兄はその奇跡に嫉妬し、姉や兄や弟しかいない男子や一人っ子の男子は妹が欲しいと羨むのだ、きっと。それにしても10~11巻で、京介がもてまくっているのが、解せん。それだけは、解せんぞ。ブログ村で伏見 つかさ氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2013.06.20
コメント(0)
保育園の夏祭り今日は、Nちゃんが通う保育園の夏祭り&バザー。午前中より、物品販売の体制に組み込まれて、「とりころ焼き」「えだまめ」「ドリンク」「梅酒」などの販売を手伝う。といっても、昨年やっていなかったので段取りが全然わからないまま、でも開店はじまってしまうので、机設置などを手伝い、その間、Jと一緒に園庭を走り回っていたNちゃんが、すっころんで、膝を大幅にすりむいて、泣き出したり。チケットのやり取りを手伝い、チケットを切るためのハサミで指先から出血したり、ドライカレーを食べたり、そうこうしているうちに、当番の時間が終わった。物品販売コーナーでの今回の収穫は、椎名誠氏の初期の作品を何冊かまとめ買いできたことである。当分読むものに困らない。楽しみである。なお、巷では大学祭をやっている。その人手をあてこんでいるのかあてこんでいないのか、京都の某K保育園の夏祭り&バザーとくらべると、周辺住民の参加もあまり多くなく、売り上げも多くなく、という感じであった。ともあれ、お疲れ様でした。ブログ村で田舎暮らし・自然満喫のブログを探してみる
2013.06.09
コメント(0)
本日の読書ひさしぶりに。【本日の読書】チェンライエクスプレス【ラノベ】チェンライ・エクスプレス (電撃文庫)百波 秋丸 (著)文化のごった煮のようなアジアの小都市に集う、「人外」たち・・・カマをなくした死神、心を持たない人造人間、魔法の使えない魔法少女、黒歴史を持つ人魚、不死者、吸血鬼、狼男、錬金術師、そして・・・? 癖の強いキャラばかりが右往左往する群像劇から、だんだんと事の真相が浮かび上がってくるという小説技法は、成田良悟氏の「バッカーノ!」を彷彿させるとともに、緻密に張り巡らされた伏線の数々は、伊坂幸太郎氏の作風をなんとなく想起させる。お薦めの一冊といってよいと思う。それにしても主人公(トウヤ)とヒロイン(マナ)、二人ともとてもとても幸の薄い中学生なので、読んでいて悲しくなってしまうのだ。最終的には、ガールミーツアボーイの恋物語に落ち着くんだけれどね。百波 秋丸 氏は新人作家で、本作が処女作の模様。8月には2巻がでるし、楽しみである。閑話休題。スケジュール帳に誤記があって、あやうく某科目の定期試験をすっぽかすところであった。昨日、Yahoo reminderの自動送信メールできづいて、昨日のうちに問題作成・印刷をすませたので、事なきを得たが、そのおかげで?ストレスで?体調を壊したっぽい。おなかの調子が悪い。昼飯を抜いて、午後三時限の期末試験を采配すると、さすがにおなかがすいたので、生協でひやし坦々麺を食べる。で、やっぱりおなかの調子悪い。晩御飯はなかうですだちおろしうどんを食べる。麺類ばっかり。ブログ村で百波 秋丸氏のラノベブログをもっともっと探してみる
2012.08.07
コメント(0)
本日の読書 スワロウテイル・幼形成熟の終わり ハヤカワ文庫 籘真 千歳著 この本は・・・・「スワロウテイル・人工少女販売処」の続編に当たる、籘真千歳氏のサイバーパンクな近未来SFの第二章である。でもって、なんていうか壮絶な、ハードボイルドのSFなのである。途中まで、事件の全貌がわざと隠されたような書き方をされているので、えらく読みにくい。この読みにくさゆえに、このスワロウテイルシリーズは「ラノベ」カテゴリーから外れてしまうのではないか、といっても過言ではない。でもまあ、それはおいておいて。ともかく、「揚羽、がんばれ」と応援したくなるような、そんな物語なのである。これ以上書くとネタバレになってしまい、読む楽しみを奪ってしまうので、省略。だが、あとから気付いてみれば、表紙のイラストが思いっきりネタバレになってしまっている・・・いいのか、これ!? ともあれ、分厚くってとっても読み応えがある、素適なSFであることは、間違いない。ブログ村で籘真千歳氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2011.11.22
コメント(5)
先日読んだハード共生未来SF、瀬尾つかさ「約束の方舟」が切なくてものすごくよかったので、瀬尾つかささんの著作をまとめ読もうと画策中。今回は、先日ブックオフで入手した二冊をまとめよみ【ラノベ】瀬尾つかさ・まとめ読み中【本日の読書】一迅社文庫「円環のパラダイム」【送料無料】円環のパラダイム「くいなパスファインダー」【送料無料】くいなパスファインダーこれ(ら)は、ゼリー状の異生物(異世界生物)を体内にとりこんで共生することで、過酷な環境に適応して生き延びるという「欠片(ピース)」ワールドシリーズの二連作(ただし登場人物は共通しない、シェアードワールド的な連作)の二冊である。共生という点では、約束の方舟と凄く似ているが、あちらは体の外にまとい、こちらは体の内側に入れる、という設定。でもまあ、瀬尾先生がどんなことを考えるのか、という特色がよく出ているライトノベルである。一迅社というメディアのしばりからか、どちらの小説も、主人公の男子が、複数の美少女にもってもてである。妹系、ツンデレ、メガネっ娘、お嬢様、無口、ボクっ娘、とだいたい属性もひとまわり。あとはまあ、冒険して闘って恋して、と、これも普通に売れ線をねらっているという感じ。リーダビリティは高いのだけれども、ライトノベルとして売れ線に成長するかというと、やや微妙というのがPiyotaの感想である。すくなくとも「約束の方舟」を知らなければここまで注目しなかった。(悪くはないんだけれどもね。)デビュー作「琥珀の心臓」はいまいちピンとこなかったが、異星人侵略とバーチャルゲームを組み合わせた「クジラのソラ」は楽しめた。だが、その内部世界で目指している方向性、「異生物・異星人との共存共栄ではなく共生」というテーマが一貫しているのだとしたら、それをメインに据えうる作家というのは、新しい。だとしたらクジラのソラでは異星人による啓蒙による人類の進化とサバイバルであったが、それはもっと深いところからきていた創作の一貫性ということに、なる。というわけで、いまPiyota的に一番の注目作家である瀬尾氏。しばらく途中の作品を読んでいなかったので、もう少し読んでみることにしたい。 ブログ村で瀬尾つかさ先生を応援するブログを探してみる
2011.09.18
コメント(0)
【ラノベ】本格SF 「約束の方舟」 瀬尾つかさ【本日の読書】【送料無料】約束の方舟(上) 約束の方舟 (下) (ハヤカワ文庫) (文庫) / 瀬尾つかさ/著ハヤカワがここしばらく行っているキャンペーン?日本のラノベ作家再発掘シリーズの第何弾か目が、瀬尾つかさ氏の「約束の方舟」上下巻、である。いやあ、これはやられた、ちょっと瀬尾つかさ氏を見直した。瀬尾つかさ氏のデビュー作「琥珀の心臓」、たぶん読んだと思うのだけれども印象に残っていない・というより読後感があまりよろしくなくて、なんかざわざわした感じを覚えている。第二作の長編、「クジラのソラ」は、高校のゲーム部ノリの異星人接触・人類啓蒙SF。雰囲気は、より洗練された「宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」。内気だけれども才能に富む美少女がもうひとりのヒロインという点で、「さよならピアノソナタ」をちょっと連想。そんなわけで、ハヤカワ文庫の棚の平積みを見た時には、ちょっとびっくりである。内容は、「ラノベ」ではなく「青少年が主人公のちゃんとした本格ハードSF」。ストーリーの展開的には、最近読んだ小川一水先生の「青い星まで飛んでいけ」小林めぐみ先生の「地球保護区」「回帰祭」なんかの雰囲気に近い。ただし、僕にとってこれは新しい、と思えた核になる設定があった。それは「共生」である。正しくは、「宇宙空間に適応するための異生物との共生」。主人公達に特殊能力を与える異星人マスコット(モナーとかケルベロス(ケロちゃん)とかジュエルペットとかプリキュアのメップル・ミップル)などは少女向け魔法少女アニメの伝統となったが、それに類する関係ではあっても、「共生」というのは今のところなかったような・・・。というわけで、本格的な読みごたえのあるSF良書として、「約束の方舟」は極めて印象深い作品となった。ブログ村で瀬尾つかさ先生を応援するブログを探してみる
2011.08.29
コメント(0)
本日の読書 青年は荒野をめざす 新装版 文春文庫 五木寛之著 桜庭一樹氏の「荒野」にさんざん出てくる「青年は荒野をめざす」を、ついに読むことにした。なんと、これがPiyotaの読んだ初めての五木寛之、、、青春の門も親鸞も百寺巡礼も読んだことがないのですよ。でもって、親鸞とか百寺巡礼とかなら、よんでみてもいいかなと思ってきました、ようするに、枯れてきてからの作品ということですね。というわけで、このブログを書くにあたって、五木寛之氏についてwikiでおさらいをしてみたんだけれども、いまいち、やはりぴんとこないというのが、Piyotaの実感です。ジャズというものに真剣に打ち込むために、一種の「自分探し」に出るため、それまでの貯金をつぎ込んでソ連にわたり、モスクワ→ストックホルム→パリ→リスボン→アメリカと、トランペット片手に旅を続ける主人公ジュン(20歳)の物語、です。この作品が世に出たのはなんと1967年、僕が2歳のとき。で、書かれている内容のあっけらかんとした世界観・価値観が、現在と全然違うということに、まず驚きました。そして、確かに「自分探しの旅」にはちがいないんだけれども、1990年代後半~2000年代に大流行した若者たちの自分探し(「自分探しが止まらない」(速水健朗)参照)とは、メンタリティーが全然違う、ということに驚いた次第です。たぶん、「現在の自分に不足を覚えて、それを補うための何かを自分に吸収するため」の肉食系の放浪が前者ならば、「現在の自分がおかれた環境に不満を覚えて、それに替わる居場所をさがすため」の草食系の放浪が後者なんだろうな、と実感します。それにしても、主人公ジュンのなんてたくましいこと!!さて問題です。五木寛之「青年は荒野をめざす」は、ラノベに分類できるでしょうか?ちょっと宿題にしておこうと思います。ブログ村で五木寛之氏の文学ブログをもっともっと探してみる
2011.07.20
コメント(0)
本日の読書子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき 角川文庫 子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき 角川文庫 子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき 角川文庫 テンポがよい青春小説的学園ラノベ&ライトミステリーということで、まとめて購入してまとめて読了したので、ここで備忘録。この話は、徹頭徹尾「嫌われる善人」たる主人公(成田真一郎 なるたまいちろう)の痛い痛い熱血青春小説である。 連作短編集の形をとっており、一冊に4話ほど。文体は新人とは思えないほど、練れていて、かつ軽快。ストーリーにも勢いがあり、「癖になる疾走感」(かつイタさ具合が微妙でやめられない)なため、2巻3巻も一気に読んだ。あらすじとしては生徒会の一年生書記コンビ、成田と佐々原が、生徒会に持ち込まれた悩み相談で相談されるミステリアスな事件の謎を、駆け回って解決する、という話である。しかし、成田はただ単に走り回ることだけが取り柄の、痛い痛い狂言回し。本当のロッキングチェアデテクティブは、1巻表紙の、なんだか格好がだらしないメガネ美少女、仙波明希、毒舌魔人。巻が進むにつれて主人公のまわりがハーレム化していくのはラノベのお約束、イラストがかわいいこともあって、ご機嫌の展開である。個人的には二巻の表紙の娘(佐々原)が好きです、なぜってポニテだから。主人公がますますひどく拒絶され、そして本命じゃないところでもてまくる。さて、ところで、昨今のラノベ・アニメにおいて、生徒会が主人公のもの(「碧陽高校生徒会シリーズ」「いつか天魔の黒ウサギ」)と、生徒会が敵役のもの(「かぐや魔王式」「嘘の上で天使は何冊マンガを読めるか?」)が分かれるが、こちらは正義の生徒会。玩具堂先生は、「子ひつじは迷わない」シリーズで、「部室棟を不法占拠するサークルを追い出すためにサバゲーに突入する」という「春高の一番長い日」的なハナシを、生徒会視点から書いたらいいんじゃないだろうか・・・などと夢想する。でもって、その時にイラストをゆうきまさみ先生にお願いして、「美人生徒会長(竹田岬)→西園寺まりぃ」「成田真一郎→鰯水」でお願いしたら、なんて考えた。・・・ええ、もちろん、いろいろな意味で、そんな作品はきっと台無しになるでしょうwwブログ村で玩具堂氏のラノベを応援するブログをもっともっと探してみる
2011.07.13
コメント(0)
論文のリバイス通知、来る。NMRの帰属結果を報告するものすごく短い論文、審査が終わって簡単なコメントがついてくる。基本的には、すこしだけコメントを足せばよいというもの。内容のチェックを週末行ってもらって、来週早々に再投稿をすることにする。本日の読書シアター! 2 メディアワークス文庫 有川浩著ようやく零細から中堅に脱却しつつある、劇団フラッグ。一巻の最後では、なんと千秋楽さえ乗り切れば借金が返せるかも、というときに、火事がおきてパア、というあっけない幕切れだったので、続編を望んでいた読者も多いはず。そうです、待望の続編です。今回は、これまで脚光のあたっていなかった他の劇団員たちのキャラがたちはじめ、彼ら彼女らのなかでラブがもりあがるという、青春群像恋愛小説ののりが濃厚なわけだけれども、それでも、手に汗握る展開、はたしてフラッグは一流演劇集団になれるのか、など、軽くてテンポよい語り口ながらさらにさらに物語は加速するのでありました。軽くて読みやすいというリーダビリティーの高さと、それでも思わずほろりとさせられるストーリーに五つ星。★★★★★ブログ村で有川浩を応援するブログを探してみる
2011.02.10
コメント(0)
本日の読書 赤朽葉家の伝説 桜庭一樹 創元推理文庫 ひとことでいうと、読者の、読書人としてのストライクゾーンの広さを測るような、画期的な小説である。桜庭一樹氏の、女三代を描く、地方都市の名家の盛衰を描いた一代大河小説である、といえば、確かにその通りなのであるが、これはまたなんとも型破りの小説である。サンカ(山窩)の捨て子だった万葉が嫁入りした、地方の製鉄工場を営む名家、赤朽葉家。第一部は、捨て子だった万葉が名家のなかでなじんでいくまでを描いた、「旧家因習もの」の小説のように見える。万葉に千里眼という超能力があることを、のぞけば。ところが、その娘(長女)、毛毬が主人公になった第二部は、正直、ぶっとんでいる。14歳からバイクを乗り回し、裏日本最大のレディースのヘッドとなった毛毬は、親友の死から一念発起し、少女漫画家としてデビュー、その後自らの暴走族の盛衰を描いた少女マンガ「あいあんえんじぇる」で記念碑的ヒットを飛ばす、という、怒涛のような第二部なのである。第一部で物語の展開にじれてじれまくっただけに、この第二部では度肝を抜かれた。そして、第三部、万葉の孫、瞳子。ふつうの人である。短大卒業後フリーターとかニートとかをしている。そして、万葉の死に立ち会い、万葉の謎・・・ひょっとしたら万葉は殺人者だったのではないか・・・という謎を、過去の逸話や手紙などから丹念になぞ解きをする。いかにも普通の女性が、丁寧にミステリーのなぞ解きをするという、極上の現代小説である。そしてここまで読んで、ああ、確かに創元推理文庫なのだ、と納得するのである。で、この第一部~第三部が、一冊になって大河小説仕立てになっているのである。どの分野も面白がって読めなければ到底最後まで読みえない、ある意味、ストライクゾーンの広い読者にしか受け入れられない、怪作ともいってよい小説である。それにしても毛毬というキャラクターの存在感は、半端じゃない。もちろんPiyotaにとってはめっちゃめちゃおもしろかったけれども。NHKの朝の連ドラとかにしたらどうかなあ。いや、ヒロインが三人必要なわけだから、無理か。★★★★★そういえば全然チェックしていないけれどもそういえば全然チェックしていないけれども、桜庭一樹先生といえば、かのラノベ名作がアニメ化されて、話題になっていますね「ゴシック (アニメ公式サイト)」ブログ村で桜庭一樹氏を応援するブログをもっともっと探してみる
2011.02.06
コメント(0)
本日の読書 荒野 12歳僕の小さい黒猫ちゃん 桜庭一樹著 今回のお話のキーワード・「連れ子どうしの恋」・「吊橋効果」・「父と娘」「継母と娘」たぶん内容的にはどうみても純文学小説なのだが、実は初出がファミ通文庫というライトノベルレーベルであり、ということで、ライトノベルと純文学と一般向けSFと一般向けエンタテインメント小説を、区別することは無理だし意味もない、という実例である。だがまあ、もともと桜庭氏の作品は、文章が平易で語り口もやわらかく、語調が優しくて読みやすいのだが、それにしてもこの作品はよみやすい。主人公や他の登場人物たちの感情・感覚が「すっ」と入ってくる感じがするのである。本作は、文芸春秋社から単行本刊行された荒野(全三部構成)の第一部に相当。2月3月と続編が連続刊行されるらしい。内容は、中学生になって初めての通勤電車で一目惚れした男の子が、実は同じクラスで、実は(装っていただけなのだが)いじわるな奴で、唐突に親が再婚することになって家族になって、実はやっぱりお互いに憎からず想っていた、という話である。備忘録・寝坊した・京大博物館に「はやぶさ」特別展示を観に行った、感動した、ちょっと泣いた。・京大博物館ショップではやぶさ本二冊、はやぶさDVDを衝動買いした・天山の湯にいった・晩ごはんはピザ。ブログ村で桜庭一樹氏を応援するブログをもっともっと探してみる
2011.02.05
コメント(0)
本日の読書 なれるSE3 失敗しない提案活動 電撃文庫 夏海 公司 化けた。それが、このシリーズ最新刊(3巻)を読んだ、正直な感想である。第一巻のアマゾンなどの書評やネット記事では、「一体誰のために書かれたかわからない内輪受け業界小説」などと一部酷評されていた。それでも、Piyotaは夏海氏の文体の疾走感が気に入っていた。その文体は、ブラック企業に就職して業務に追い込まれて鬱病寸前の工兵の精神状態を、リアルに描いているように見えた。第二巻では、ツンデレ年齢不詳ヒロイン室見立華に、天敵ともいえる小動物系のサブヒロイン姪乃浜梢を登場させ、SE業務の中でもあまりなじみのない運用構築に脚光をあてた。ここでは、巨大モバイルゲームサイトがハングアップという危機に、対立しあうヒロイン同士が、それぞれの突出した才能をフルに開花させ、デュアルコアと化して、修羅場を乗り切った。この「修羅場」の描写に、夏海氏の文体はことのほかマッチする。文体の疾走感・焦燥感の切れ味が光っていたのであった。そして本作。今回は、超イーカゲンな社長キャラの登場である。そしてコンペに参加、立華・梢を巻き込んで、小企業の小廻りをいかして、大手ライバル社を差し置いて、大型案件ととってくるという、ギャンブルに出る。このときのステレオタイプ化された、大手企業のSEチームの、鼻持ちならないクソエリートっぷりが、実にいい。そして、そのライバルたちに競り勝って、ついに案件を受注するにいたったときの、爽快感。工兵に感情移入して読んでいると、どんどん精神的に追い詰められてくるのであるが、それがラストでどぱっと爽快になるのである。これは、癖になる。実写ドラマ化してもいいくらいの、ストーリーテリングでありメイクドラマである。というわけで、このシリーズ、なぜかラノベブランドで展開される、一流ビジネスマン小説になりつつある。ふたりのヒロインにふりまわされるだけだった工兵の立ち位置も、微妙にビミョウに変化しつつある。4巻も目が離せない。もういちど念を押そう。化けた。ブログ村で夏海 公司氏を応援するブログをもっともっと探してみる
2011.02.01
コメント(0)
全222件 (222件中 1-50件目)