りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

2004.09.30
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カテゴリ: 読書


現代には欠かせない作家の一人だ。
この作品でも「悪徳商法」をうまくストーリーに盛り込んでいる。
「何が悪なのか?」というのは彼女の問う大きなテーマでもある。

彼女の世界には「欠損家族」と「復讐」も欠かせない。
この作品でも「家族が欠けたからこそ失いたくないもの」がうまく表現されていて、
多くの読者はある意味満足しているに違いない。
同じく彼女の作品である「レベル7」でも欠損家族は小説の構成上大きな設定条件となっている。
まだこの作品(魔術はささやく)を読んでいない人がいるといけないので詳しくは書かないが、
宮部がすでに多くの読者を視点の鋭さ、現代社会の描写で得ていることは確実だ。
宮部は「理由」で直木賞を得たが、彼女の小説を多数読んでいる読者からしたら、
「理由」での受賞は納得がいかなかったかもしれない。
「何をいまさら」というのが率直な感想だろう。
実を言うと私もその納得がいかなかった一人だ。
正直なところ「理由」が特にできのよかった作品だとは私は思えない。

また、彼女の作品である「クロスファイア」では、主人公の女性は悪人を殺しまくる。
彼女は言う。「私は装填された銃」だと。
「魔術はささやく」でも復讐の機会が主人公にあり、
「殺すべきか否か」で悩む場面がある。
社会的な不条理が大きい時代には法律を破ってでも個人的な復讐に賛同が集まるだろう。
残念ながら今は復讐に賛成する人が多い時代だといえる。

人は銃を持っていたら撃ちたくなる。
「クロスファイア」の青木淳子にとって特殊能力は自分で選んだ道ではない。
だがほとんどの人は武器を持つかどうかを選ぶことができる。
青木淳子が武器を持つことによってあれだけ悩んでいるにもかかわらず。

人はミスもあれば事故もある。武器は人を殺すためのものだ。
そして人は武器を「撃ってみたくも」なる。
それでも武器を持つことが必要なのだろうか?
宮部は自分の小説の中でそのことを読者に訴えているのではないか?
私はそう考える。


「宮部の作品はレベルが落ちた」ということについての追記

ある大学教授(彼自身作家でもある)は言った。
「作家は持っている能力に限界がある。
自分が作家として枯渇したことを知ったから何人かの作家は自殺する」
この言葉がすべての作家に当てはまるかどうかは疑問があるが、
ある意味このことは妥当だ。
作家には限界があり、いつでも最初の作品に見られるレベルを保てるとは限らない。
「宮部のレベルは落ちた」というのは簡単だが、
レベルの落ちない作家はまれだ。
あのイチローでさえ十割打者ではない。五割すら打てない。

だから私は宮部について「レベルが落ちた」などとは言わない。
そんな言葉に意味があるとは思えないからだ。
ただ読者の多くは知っているのではないか?
宮部の作品を読んだ読者が「レベル7までいったら戻れない」
ということを。
もちろん今までの宮部の活躍からすれば、読者の求めるものは大きくなっていることは確かだ。
批判も時には必要だろう。私は今が「その時」であるとは思わないので批判はしない。

マイナス面を不満に思うのではなく気長に待とう。
宮部はいつかすごい小説を出す。私は信じている。

個人的には今までの登場人物をもう一度登場させてほしい。
「魔術はささやく」に出てきた主人公の日下守と時田沙織、
高野一はもう一度活躍の場があってもいいのではないかと考える。

またしても追記  こんな記事が10月15日にあった。

息子が自殺したのは女性従業員が言葉巧みに勧誘する「デート商法」によって高額な宝石類を買わされたことが原因として、男性の両親が東京都内の宝石販売会社を相手取り1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、仙台地裁であった。

 小野洋一裁判長は「男性の性格の弱さを利用して多額の借金を負わせ、クーリングオフも撤回させようとしており、男性の自殺を予見することは可能だった」などとして、販売会社に600万円の支払いを命じた。

 過労死などで会社の責任を認めたケースはあるが、デート商法の被害にあった消費者の自殺について、会社の責任に踏み込んだ判断は異例。

 訴えていたのは、仙台市宮城野区のアルバイト男性(当時25歳)の両親。

 判決によると、男性は2000年4月、同社の女性従業員から電話でJR仙台駅前に呼び出され、ダイヤの指輪を購入するなど、2002年11月までに宝石類計6点(約650万円相当)をローンで買わされた。最後に購入したダイヤのブレスレットについては、無条件で契約を解除できる「クーリングオフ」を申し出ていたが、同社から撤回を求められ、同月中旬に自宅車庫で自殺した。

 小野裁判長は「女性従業員が親しげに話すことで、(男性は)契約締結の雰囲気にのみ込まれた」と指摘。さらに「男性はクーリングオフのはがきを送付したが、同社従業員らは男性宅に電話するなどして撤回させようとした」と認定し、「一連の行為は不法行為に当たり、自殺との因果関係は認められる」とした。

 原告側の代理人は「悪質商法を断罪した画期的判決」と評価。被告側の代理人は「納得できない判断だ」としている。(読売新聞)


この報道は「魔術はささやく」のストーリーと深く関係している。
今、「デート商法」に手を染めているあなた、やめるなら今のうちだよ。
催眠術を使って殺されるかもしれないよ。

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最終更新日  2004.10.01 15:44:19


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