読書案内「水俣・沖縄・アフガニスタン 石牟礼道子・渡辺京二・中村哲 他」 20
読書案内「鶴見俊輔・黒川創・岡部伊都子・小田実 べ平連・思想の科学あたり」 15
読書案内「BookCoverChallenge」2020・05 17
読書案内「リービ英雄・多和田葉子・カズオイシグロ」国境を越えて 5
全3件 (3件中 1-3件目)
1
キャリー・ジョージ・フクナガ「No Time to Die」OSシネマズミント神戸 普段はこういう人が集まりそうな映画はあまり見ません。このご時世ですから、お客さんが多いというのがまずネックです。 ショーン・コネリーがジェームス・ボンドの頃は(古い話で申し訳ありません)、名画座でまとめてみました。イアン・フレミングの原作も一時はまって読みました。最近、そういう企画にお目にかからないというか、3本立て4本立てをやるような名画座そのものがなくなっってしまいました。原作もフレミングとはかかわりない感じで、感心もわきません。007から遠く離れた感じで、本当にご無沙汰です。 ところが、「ダニエル・クレイグのボンドはこれが最後」と聞いて、「見ておこう」と思いました。実は「スカイ・フォール」という、この人のボンドの二作目を同じOSシネマズミントで見たことを思い出したからです。 もう10年ほども前の話ですが、学生の頃から映画とかお芝居とか、いろいろ教えてもらってきた友人に誘われてみました。 で、記憶に残ったのが、始まってすぐのカー・チェイスのシーンと、M役だったジュディ・デンチという女優さん、そして、何処から見てもロシアのスパイにしか見えなかったダニエル・クレイグというボンド役の、なんというか、愛想の悪さでした。 数年前から、映画館を徘徊しはじめて、ジュディ・デンチは、すっかりお気に入りになりましたが、ダニエル・クレイグとは一度も出会いませんでした。「ダニエル・クレイグをもう一度見ておいてもいいな。」 まあ、そんな気分で、あんまり来ないミントにやってきました。 最初のサスペンス・シーンからカー・チェイス・シーンまで、やっぱり、結構どきどきしました。風景もさすがです。007の懐かしいテーマも流れてきますし、アストン・マーチンのヘッドライトの機関銃も炸裂して実に楽しい展開でした。 ヒロインのマドレーヌ役のレア・セドゥーという女優さんが案外地味だなとか、勝手なことを思いながら、一方で、ボンド役のダニエル・クレイグさんを見て「ああ、あれから10年たったんだな。」とかしみじみしながら見ました。当たり前のことですが、役者さんの生身も年を取るのですよね。 まあ、最後の作品らしいラストで、「ええ、ホントにそれでいいの?」とか思っていると、字幕かなんかで「ボンドはまた帰ってくる」とかなんとか出てきて、笑ってしまいました。 なんといっても、客を飽きさせないし、流行りの病原体ホラーだし、ホント、うまいものですね。まあ、なんといっても、ちょっとイギリスのスパイっぽくなったダニエル・クレイグに、ごくろうさん!の拍手!でした。監督 キャリー・ジョージ・フクナガ脚本 ニール・パービス ロバート・ウェイド キャリー・ジョージ・フクナガ フィービー・ウォーラー=ブリッジ撮影 リヌス・サンドグレン美術 マーク・ティルデスリー衣装 スティラット・アン・ラーラーブ音楽 ハンス・ジマー主題歌 ビリー・アイリッシュキャストダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)ラミ・マレック(リュートシファー・サフィン)レア・セドゥー(マドレーヌ・スワン)ラシャーナ・リンチ(ノーミ)ベン・ウィショー(Q)ナオミ・ハリス(マネーペニー)ジェフリー・ライト(フィリックス・ライター)クリストフ・ワルツ(ブロフェルド)レイフ・ファインズ(M)アナ・デ・アルマス(パロマ)ビリー・マグヌッセン(ローガン・アッシュ)ロリー・キニア(タナー)デビッド・デンシック(ヴァルド・オブルチェフ)ダリ・ベンサーラ(プリモ)リサ=ドラ・ソネット(マチルド)2021年・164分・G・アメリカ原題「No Time to Die」2021・10・15‐no94・OSシネマズno11
2021.10.17
コメント(0)
グレタ・ガーウィグ「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」OSシネマズミント 映画徘徊のシマクマ君、今日はOSシネマズミント「復活の日」でした。この映画館にはあまり来ないのですが、シネ・リーブルで見損ねていたプログラムがかかっているのを見つけて、久しぶりにやって来ました。 見たのは「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」です。 映画館が9階だかにあるのでロビーから三宮駅が見下ろせます。下から見上げている感じとかなり違って見えますね。手前がJR、向こうの高層が阪急三宮です。 劇場に入る入場門(?)のところに、またしても体温計がありました。熱が高いとピンポンが鳴るそうです。面白いので写真を撮らせてもらいました。新コロちゃん騒動記念ですね。 この劇場も一人とばしの座席です。前から10列目あたりの端に座ったのですが、しばらくすると、なぜか周りに人が集まってきます。他は空いているのですがどうしてでしょう。落ち着かない気分になりましたが、映画が始まりました。 原作の「若草物語」はこれで4回目の映画化だそうです。ジジ臭い言いかたですが、ぼくたちの年頃の人には子供の頃に読んだ「アメリカ文学」のベスト3に入るのではないでしょうか。「トムソーヤーの冒険」、「アンクルトムの小屋」、そしてこれでしょうか。ぼくでも、登場人物の名前を憶えていますが、チッチキ夫人は3回以上繰り返して読んだそうです。 ともかくも、何となく知っている展開で映画始まりました。4人の娘の、それぞれの人生が、過去と現在の、行きつ戻りつで描かれてゆきます。「悪人」らしき人が誰も登場しないのは、原作のせいでしょうが、そんな中で「カネ」と「地位」こそが幸福の基礎であると考える伯母さんだけが、少々異質ですが、メリル・ストリープがいい味を出していました。 風景も美しい。俳優陣もいい感じ。衣装や小説を書くシーンも面白い。中でも、出版エージェントとジョーのやり取りに、おそらくこの映画の新しさと主張があるのだろうと思いましたが、何故か、今一ピンときませんでした。 一番、感じたことは、いかにもな「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」に対する「信頼」の揺るがなさに対する「いら立ち」のようなものでした。 それは、ぼくにとってもアメリカ映画に対する好感の根拠だっったはずです。だいたい、明るい未来を予感させる、この感じの映画がぼくは嫌いではありません。若い女性の奮闘ぶり、自分に苦しむメグや、走るジョーなんて、とてもいい。その上「若草物語」を映画にすれば、そう描く以外にどう描くのかとも言えます。アカデミー賞でも高く評価されたらしい作品だと期待して見ました。 しかし、にもかかわらず「悪い映画だとは思わない。けど、ちょっとどうなのでしょうね、この既視感は?」という印象だったのです。 コロナ以後の世界に対する、ぼくなりのペシミズムの結果なのでしょうか。 明るく元気になれるはずだったのですが、いやはや、何とも言えない物足りなさが残りましたね。 いつもは神戸駅まで歩くのですが、ミント・ビルのすぐ目の前のバス停の魅力に負けて、高速バスで帰ってきてしまいました。やっぱりOS系は相性が悪いのでしょうか。監督 グレタ・ガーウィグ 原作 ルイザ・メイ・オルコット 脚本 グレタ・ガーウィグ 撮影 ヨリック・ル・ソー 美術 ジェス・ゴンコール 衣装 ジャクリーン・デュラン 編集 ニック・ヒューイ 音楽 アレクサンドル・デスプラ キャストシアーシャ・ローナン(ジョー) エマ・ワトソン (メグ)フローレンス・ピュー (エイミー)エリザ・スカンレン(ベス) ローラ・ダーン (母)ティモシー・シャラメ (ローリー)メリル・ストリープ(マーチ叔母)2019年・135分・アメリカ 原題「Little Women」2020・06・22 OSシネマズno8ボタン押してね!
2020.06.23
コメント(0)
トッド・フィリップス「ジョーカー」OSシネマズ神戸ハーバーランド 映画com 封切られたのが、昨年の秋でした。「バット・マン」という映画の副主人公「ジョーカー」を主人公にした映画という触れ込みでしたが、まず「バットマン」をよく知りませんでした。何本もある「バット・マン」映画のうち一本か二本、多分テレビで見た記憶はありますが興味を持ったわけではありませんでした。ちらっと見たジャック・ニコルソンの顔だけが印象に残っていました。 彼は、ぼくは、45年前に神戸に来て初めて見た映画「チャイナタウン」以来、ぼくにとっては「追っかけ」の対象になった数少ない俳優の一人でしたが、「ジョーカー」役のひきつった顔はなかなかのものだと思った記憶はありました。 で、今回の「ジョーカー」です。OS系の映画館が一週間限定、所謂リバイバルというか、昔でいえば二番館上映でした。 こんなことをいうのは変かもしれませんが、当日、映画が始まって、ピエロの扮装をしている主人公役のホアキン・フェニクスを一目見たあたりから、「バット・マン」を忘れていました。 映画は主人公アーサー・フレックの成育歴を暗示し、身体的、精神的成長過程の謎を解くことで、「ジョーカー」へと変貌する「悪」の真相を描こうとしているようです。 ぼくは映画の半分を過ぎた辺りで、この主人公がコミックの「バット・マン」の悪役であり、過去複数の役者が演じてきて、スクリーン上に何度も登場した「ジョーカー」のトッド・フィリップス版解釈が繰り広げられていることにようやく思い至りました。 蓮見重彦的に言うなら「凡庸」ですね。目の前に繰り広げられる「異常事態」に対して、人というものは「解釈」を与えたいものです。で、その時に、出来事の因果を持ち出して安心するというのは文学の研究でもよくつかわれる手法ですが、それは、やはり、「ありきたり」というものではないでしょうか。 そう思って、ふと、映画から心が離れるのを感じた、中盤を過ぎた、このあたりからがこの映画の圧巻でした。 売れないコメディアン、アーサー・フレックは母を殺し、友人を殺し、あこがれのコメディアンを殺しますが、それはもう「成育歴」では説明できません。真正の「悪」、ジョーカーへと、何かが解き放たれた行動が一気に展開します。 石段の上で踊るジョーカーが映し出されたあたりから、予感がし始めましたが、ありきたりの善悪の範疇を超えた、解釈不能な「悪」をスクリーン上に生み出したのはホアキン・フェニクスの演技だと思いました。演出は成育歴とその因果にこだわり続けていたようですが、ホアキン・フェニクスは身体的な桎梏から自らを解き放つダンスの喜びのような「悪」を、その全身と独特の表情で演じています。 最後のシーンで、悩める死刑囚アーサー・フレックに出会った善良なカウンセラーは不幸でした。湧きあがる「悪」の喜びの前で、医学や法律の制度に守られた「善」など物の数ではなかったでしょう。 真っ赤な血の足跡を残しながら、コミックの世界へ回帰するかのように去ってゆく「ジョーカー」を見ながら、思わず拍手という気分でした。 いくら騒いでも、ほとんど、誰にも迷惑をかけない寂しい会場だったのですが、静かに席を立ちましたよ。もちろん、心は「悪」でしたがね。監督トッド・フィリップス 製作トッド・フィリップス ブラッドリー・クーパー エマ・ティリンジャー・コスコフ 脚本 トッド・フィリップス スコット・シルバー 撮影 ローレンス・シャー美術 マーク・フリードバーグ 衣装 マーク・ブリッジス 編集 ジェフ・グロス 音楽 ヒドゥル・グドナドッティル 音楽監修 ランドール・ポスター ジョージ・ドレイコリアス キャストホアキン・フェニックス (アーサー・フレック/ジョーカー)ロバート・デ・ニーロ(マレー・フランクリン:コメディアン) ザジー・ビーツ (ソフィー・デュモンド:近所の女性)フランセス・コンロイ (ペニー・フレック:母)ビル・キャンプ (ギャリティ刑事)シェー・ウィガム (バーク刑事)ブレット・カレン (トーマス・ウェイン:父)ダンテ・ペレイラ=オルソン(ブルース・ウェイン:義理の弟 後のバット・マン) 2019年122分R15+アメリカ 原題「Joker」2020・04・00・OSシネマズno7ボタン押してね!
2020.04.17
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1