2007年11月20日
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カテゴリ: OPERA
Semperoper Japan tour 2007
The Sächsische Staatsoper Dresden

R. WAGNER : TANNHÄUSER
Day 4

Nov.20 2007
Tokyo Bunka Kaikan,Ueno Tokyo

Musikalische Leitung:Conductor: Jun Märkl
Inszenierung: Peter Konwitschny
Bühnenbild:Hartmut Meyer

Chor:Ulrich Paetzhholdt

Besetzung
Landgraf Hermann von Thüringen: Kurt Rydl
Tannhäuser (Heinrich von Ofterdingen): Robert Gambill
Wolfram von Eschenbach:Alan Titus
Walther von der Vogelweide:Martin Homrich
Biterolf:Georg Zeppenfeld
Heinrich der Schreiber:Tom Martinsen
Reinmar von Zweter:Michael Eder
Elisabeth: Anne Schwannewilms
Venus: Gabriele Schnaut

Vier Edelfrauen:Gabriele Muller, Monika Harnisch, Anke Kirsten, Annett Eckert

Staatsopernchor
Sinfoniechor Dresden e.V.
Sächsische Staatskapelle Dresden


ドレスデン国立歌劇場来日公演2007


2007年11月20日 上野・東京文化会館

指揮:準メルクル
演出:ペーター・コンヴィチュニー
舞台美術:ハルムート・メイヤー
衣装:イヌス・ヘルテル
合唱指揮:ウルリッヒ・ベッツホルト

キャスト
領主へルマン:クルト・リドル
タンホイザー:ロバート・ギャンビル
ヴォルフラム:アラン・タイトス
ヴァルター:マルティン・ホムリッヒ
ビッテロルフ:ゲオルク・ツェッペンフェルト
ハインリッヒ:トム・マーティンセン
ラインマール:ミヒャエル・エーダー
エリーザベト:アンネ・シュヴァンネヴィルムス
ヴェーヌス:ガブリエレ・シュナウト
羊飼いの少年:クリスティアーネ・ホスフェルト

*****

きょうはあまりにも後味の悪いことがあったので、先に書いてすっきりさせたい。

きょうのタンホイザー、終演後のカーテンコール、一部の観客が準メルクルに盛大にブーを浴びせかけたのだ。
ひどい!
あんなに背筋の寒くなるようなブーイングにさらすほどの演奏だとは思われない。
一部の観客はファビオ・ルイージからの指揮者交代と、コンヴィチュニーの演出に対して不満がたまっていたのではないだろうか。
指揮者交代については劇場側は弁解しようがないことだが、演出面で不満があって、もし保守的なヴァーグナーが見たいんだったら、コンヴィチュニー演出なんか最初から見に来るなと言いたい。

ギャンビルは、カーテンコールで、
「(ブーなんか)聞こえないよ! もっと(拍手、拍手)もっと!」という動作をしてメルクルをフォローした。
明らかに落胆した表情を浮かべていた。
もう日本に来てくれなくなったらどうしよう!

きょうギャンビルはすばらしかった。
第3幕なんかヘルデンテノールだった。
だから悔やまれる。こんな終わり方。

きょうのキャストはギャンビルさんとタイタス以外は主要な役は前回と変わっていたのでいろいろ楽しめました。

すばらしかったのはクルト・リドル!
すばらしい声量。小柄なのに。演技もうまいし雰囲気がある。オケにも大拍手をもらっていた。

それからエリーザベトのアンネ・シュヴァンネヴィルムス。実にすばらしい。何より女優。ギャンビルさんとの雰囲気が非常にあっていた。

この3人の芝居がうますぎるのでぐいぐい舞台を牽引していっていた。

一方ヴェーヌスのガブリエル・シュナウトはいかにも昔のオペラ歌手という感じで、だんぜん前回見たエヴリン・ヘルリツィウスの方がよかった。
ガブリエル・シュナウトはあまりにもオババ!という迫力の雰囲気で愛の女神「ヴェーヌス」というよりギャンビルの肝っ玉母さんみたいだった。
エヴリン・ヘルリツィウスは酔っ払いの演技がものすごかった(笑)。出てきたとき度肝を抜いたもん。

ヴォルフラムのアラン・タイトスは凡庸な歌いっぷりだが、肝心の最後の夕星の歌で声がかすれてでなくなってしまってかなり可哀想だった。疲れているのかしら。『サロメ』が心配。


第1幕
ヴェーヌスベルク

厖大な序曲が終わると、幕が開き、滑り台のセットが現れる。
滑り台―子供の遊園地にあるものによく似ている。
やや下手よりに立つ男、タンホイザー。
表情には憂いを浮かべている。
大きな剣を体の前に抱えている。
突然滑り台の上に現れる小さなタンホイザー人形。
あっという間にどんどん妖魔のような女たちが現れる。
彼女たちはめいめいタンホイザー人形を手に持っている。
3人で手を繋いで
”ホ~~~ッ!!”と歓声をあげながら滑り落ちてくる。
タンホイザーは最初はほほえましく見ていたが、どんどん人形が大きくなるので落ち着かなくなる。
妖魔たちはタンホイザーの人形で遊んでいるのだが、欲情してもいるようだ。
しまいには超巨大タンホイザー人形が現れ、首をもぎ取ってしまう。

滑り台の下手上部に現れる毛皮をまとったヴェーヌス。
タンホイザーは上手の袖の前でひざまずき、敬意を表す。

女神が舞台上手の袖から現れる。
タンホイザーが、中ぐらいのタンホイザー人形を手に取り、頭をなでていると、
頭がゴロンと落ちる。
慌てるタンホイザー。
妖魔たちは大喜び。


女神を讃える3つの歌。

nicht Lust allein liegt mir am Herzen,
aus Freuden sehn ich mich nach Schmerzen
Aus deinem Reich muss ich fliehn
O Konigin, Gottin, lass mich ziehn!

快楽のみを美徳としている妖魔たちはシュメルツェン(=苦痛)を尊ぶというタンホイザーの思想がさっぱり理解できなくて眉を顰める。

1回目のヴェーヌス賛歌。
最初は少年のように歌う。
だだをこねるように、
「ねえいいでしょ?」
歌い終わって女神を見て笑顔。
でも女神に拒絶されると、プライドを傷つけられて、だんだん怒ってくる。

ぷんぷん怒って仁王立ちになる。

2回目は怒りに満ちて歌う。
でもまた拒絶される。

最後にはもう自暴自棄になって絶叫する。

nach Freiheit doch verlangt es mich
nach Freiheit, Freiheit, dürste ich

「お願いだから、僕を行かせてくれ!!!」

ギャンビルは3種類のまったく味付けの違うヴェーヌス賛歌を披露したのだ。

女神は散々タンホイザーをバカにし、傷つける。
タンホイザーは絶望し、コートを抱えて倒れる。

剣を拾いに行き振り回す。
ここは決然と。
男のわがままを通すときだ。
剣先をヴェーヌスにつきつける。

女神が悲しみを歌いだすと、とたんに哀れになって近寄って手を握る。

しかし5月の風が音楽で表現されると上をじーっと見上げる。2回。

Ach mogest du es fassen, Gottin!
Hin zum Tod, den ich suche,
zum Tode drangt es mich!

帰りたい! 帰りたいんだ!!
もう~いい加減にしてくれ~ マリア様助けて!
と叫ぶとセットが割れる。彼の分身のタンホイザー人形?が4体ぐらい乱入してきて、ライトサーバーを振りかざし、妖魔たちを切り倒す。

これは子供の夢なのか?
そういう世界が広がっている。

座り込んだタンホイザー。

変な妖精が歌うと、目を上げる。
滑り台の上の縁をそろそろとバランスをとりながら歩く変な妖精。羽根は1枚しかないし、毛皮みたいなものを身に着けているし。なんとなくユーモラスにタンホイザーを見ている。

巡礼たちがやってくる。白い装束。タンホイザーは剣を手にし、立ち上がる。彼らを見つめる。
「これだ!」
「これこそ私の目指すものだ!」と思う。巡礼たちに手を伸ばすが手はふれない。
これも彼の幻想?

妖魔たちが去っていく。タンホイザーは手を伸ばすが手にはふれない。
これも彼の幻想だったのか?

残されたタンホイザーは狩の角笛を聞き、隠れる。しかし見つかってしまう。
友人たちは口々にいったんはヴァルトブルクから去った男に質問を浴びせる。

ヴァルター「君は友としてそれとも敵として戻ってきたのか?」
「敵なのか!?」
いっせいに剣を構える。タンホイザーも剣を構える。
しかしヴォルフラムがとりなす。

「行くなよ!」
Bleib bei uns!

ヴォルフラムからエリーザベトが待っていると聞いてすっかりうれしくなってしまう。
友人が彼に帽子をかぶせる。
旧友たちの優しい言葉にすっかり元のように気が大きくなってしまったタンホイザー。
帽子を返して、
全員にキスしまくる。
ヘルマンが「おい、おい」という表情。

そしてお馬はいどうどうで、全員で一列に並んで剣を上に振り上げ、前に倒す。
そしてまた上に上げると、
「さあ~~行くよ!」
「ぱっかぱっかぱっかぱっか!」
6回ぐらい全員でジャンプ。

あははは~ 少年のように笑いながら走って去る
第1幕了。

これには保守的ワーグナーファンからブーが来た。
これにびっくりするぐらいじゃコンビチュニーは見られないですよ。

このタンホイザーは少年。夢見る少年なのだ。
性欲に満ち、夢に満ち、人間不信、でも自尊心が強い、そういう少年なのだ。
タンホイザーの着ている衣裳は少年のパジャマのようだ。
もし今コンヴィチュニーが再演出したら、手に付けているのは甲冑じゃなくて、
Wii のコントローラーかもしれない。それでバッタバタ敵を斬る。





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最終更新日  2007年11月22日 22時36分15秒


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