売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2023.03.18
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カテゴリ: ファッション
長い間デザイナーコレクションを取材、視察してきました。これまでに見せてもらったファッションショーの総数はおそらく数千本。その中で、感動のあまりショーのあとしばらく席を立てなかったもの、背筋がゾクゾクしたり涙が出そうになったもの、静かな感動の余韻に浸っていたいと思ったものもあります。照明がが暗過ぎて肝心の服がよく見えなかったものや、服があまりにひどくてもう二度と見ることはないと怒りが込み上げて帰ったものもありました。

感動したファッションショーの中にも、ストレートに服そのものが圧巻だったものもあれば、その演出方法や照明と音楽に感動したショーもあります。素晴らしい映画を観賞したときと同じような感動が味わえるのがファッションショーだと思います。

ラルフローレンが初めてサンタフェスタイルを発表したシーズン、映画「炎のランナー」に触発され1920年代風コレクションを見せたペリーエリス、暗いクラブで蛍光色のド派手なコレクションを見せたスティーブンスプラウス、かつてのオートクチュールのような音楽なし番号札を持ったモデルが歩くボディコンのアライア、クロードモンタナの構築的ライン、クラシックな普通のトレンチコートなのにモデルが面白い着方をして現れたジャンポールゴルティエ、アールデコ時代を彷彿させたニットの女王ソニアリキエルを初めて見たときも興奮しました。

もちろん日本人デザイナーのコレクションでジーンときたものもたくさんあります。穴だらけのパンクスタイルから脱した直後のクラシックなコムデギャルソン、フィナーレに仮設大型テントが開いてモデルがまるで砂漠の中を歩く宇宙人のようにステージに現れたイッセイミヤケ、毎回黒い服を続けるヨウジヤマモトが日本の伝統的紋様と色彩でジャポニズムを再現したコレクションなど、いまも鮮明に記憶に残るショーが数本あります。コムデギャルソンオムプリュスとヨウジヤマモトプールオムのジョイントショー「6・1 The Men」もカッコ良かったです。

そして昨日のタカヒロミヤシタザソロイスト(宮下貴裕さん)、ファッションショーで久しぶりに静かな感動をもらいました。

概してデザイナーは創作のプロセスでいろんなアイディアが湧き出て、あれこれショーで見せたがる人が少なくありませんが、スッキリとアイディアを集約して1つの世界観がストレートに伝わってきたコレクションでした。中性的な表情の男性モデルたちの着る服はメンズなんですがレディースのようでもあり、抑揚のない不思議な世界観、魅力的でした。服そのもののデザイン、コーディネートのバランス、モデルの歩くスピード、心地良い音楽と照明、静かなんですがすごいショーを見せてもらったような感動がありました。

かつてナンバーナインを手がけたデザイナーさんだそうですから、元々実力がある方なのでしょう。クールなコレクションは私の記憶に残る1本になりました。












写真は全てTAKAHIROMIYASHITA TheSoloist.





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Last updated  2023.03.20 23:30:57
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