ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2020.08.13
XML
カテゴリ: 日本史
日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5

8月10日、午前2時半の御前会議終了後、直後の午前3時から、別室に待機させていた閣僚を集めて、鈴木内閣は閣議を開き、天皇の聖断で決まった外相案を正規の政府決定としました。

夜明け待って午前6時過ぎ、政府決定は外務省電信課の手で、一条件付きもポツダム宣言受諾電報として、スウェーデンとスイスの2中立国を通じて、米英中ソの4か国宛に打電されました。皇室護持の条件を連合国がどう判断するか、その回答待ちとなったのです。

通常、こうした場合、講和を打診したのですから、日本側からの攻撃は控えるのが普通です。しかし現実には、8月15日直前の13日や14日に知覧などの特攻隊基地から出撃して、帰らぬ人となった若い兵士たちがいたのです。

本土決戦の主唱者だった阿南陸相は、10日の午後になって、なお全軍に戦争の継続を、ラジオを通じて呼びかけているのです。連合国の回答によっては、戦争継続で巻き返すチャンスがあると、返事の到着を虎視眈々と狙っていたのです。

8月12日の深夜、米国のバーンズ国務長官が、スイス駐在の代理大使に回答文を送ってきました。肝腎な点は次の2点でいた。
1、降伏の時より、天皇並びに日本国政府の国家統治の権限は、連合国軍最高司令官に従属するものとする。
2、最終的な日本国政府の形態は、ポツダム宣言に従い、日本国民が自由に表明する意志により、決定されるものとする。

1の文言では、天皇制の護持は担保されていないことになります。それもそのはず、連合国で、対日戦線をリードしていた米国自身、なお天皇制をどうすべきか決めていなかったのですから…


「司令官の制限の下に置かれる」としたのです。それでも最高戦争指導者会議でも、閣議でも、議論はもめにもめました。参謀本部では、和平派を一網打尽にするクーデタ計画まで持ち上がりました。さらに、国民や兵士の命を大事にしないことで知られる特攻隊の生みの親、大西滝次郎軍令部次長は、「今後2千万人の日本男子に死んでもらう覚悟にて、これを特攻として用いれば、負けることはない」と、とんでもないことを言い散らしていたのです。これが軍部の実態でした。

いろんな方の体験談で、知られていますが、満州にあった関東軍は、ソ連軍の素早し進駐にあらがうすべもなく、各地に入植した日本人の保護にあたることもなく、住民を置き去りにして、我先にと、列車に乗って、逃亡してしまったのです。これが軍の実態でした。関東軍が本来の任務を守り、住民を先に列車で逃していれば、過労と飢えのために逃亡の途中で息絶えた人々や、残留孤児などは出さなくて済んだはずなのです。 こんなだらしのない軍の実態だったからこそ、沖縄戦で命を落とした住民の数は、兵士の倍以上に達するという、とんでもない無茶がまかり通ったのです。

米軍案受諾の方向は、米軍が空爆をやめ、空中から日本国民向けの日本語のビラを大量にまき、日本政府がポツダム宣言受諾を申し入れてきたこと、連合国がそれに答えたことなどを、分かりやすく伝えてきたことで、再び御前会議を開くことで、決着させることにまとまったのです。

14日午前10時30分から、やはり宮中の防空壕で開かれた御前会議では、最後に天皇が立って、10日の判断を朕は変えない。米国の案を受諾する」と述べ、決着したのです。

天皇の耳には、南樺太が落ち、千島列島も占領され、今やソ連軍は満州から朝鮮半島に展開中であり、このままでは北海道が席巻されるのも、」時間の問題である旨の、情報が届いていたのです。将来にわたる天皇制の護持を狙うには、ソ連の発言権がさらに大きくなる前に、話の通じる可能性の高い米国に降伏し、死中に活を求めるしかない。昭和天皇はこのように考えたのです。
                                   続く





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.08.13 22:07:59
コメント(7) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
歩世亜  さん
お早う御座います。

軍の欲が逆に日本を大損させましたね。 (2020.08.14 05:01:55)

Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
meron1104  さん
いつまでも議論している間に、若い人がたくさん亡くなったんですね。
人の命をなんと思っているのか!
軍の偉い人たち、ふざけるな!と言いたい。 (2020.08.14 06:48:32)

Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
naomin0203  さん
読めば読むほど、日本軍の愚かしさが腹立たしく思えます。

自分は安全なところにいて、若者は死地に赴かせる。
こういう人たちが指導者であったことが、日本の不幸でした。 (2020.08.14 08:16:13)

Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
「講和を打診したのですから、日本側からの攻撃は控えるのが普通です」って・・・それなのに、日本って!
本当、「掟破り」というか、「仁義なき」というか・・・
も~!どうしようもない根性ですよ、ねぇ~?

「今後2千万人の日本男子に死んでもらう覚悟にて、これを特攻として用いれば、負けることはない」とか、勘弁してもらいたいし・・・

「外務官僚は苦心の誤訳を案出」「最後の『従属するものとする』の部分を、『司令官の制限の下に置かれる』とした」とか・・・小細工ばかりして。

恥ずかしい国民性(?)だと、つくづく、思いました。 (2020.08.14 09:59:47)

Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
降伏するための準備をしながら特攻隊には出動命令を・・・

やっぱり、自分の身に危険を感じていない人達が司令部の長だったわけですね

今のコロナ騒ぎもそうですね
現場を見ていないから、ノー天気に政権争いをしていられるのです
(2020.08.14 11:17:51)

Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
悠々愛々  さん
こんちニャンコ。

いつも応援ありがとなし。

録音盤を奪取せよ!!!

(2020.08.14 13:10:16)

Re:日本の降伏を早めたのは原爆ではなかった その5(08/13)  
こんばんは

陸軍の幹部 もはや国民を

守 軍でなく 国民を犠牲にする

軍に なり 死にたいでした (2020.08.14 20:31:50)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ザビ神父

ザビ神父

カレンダー

お気に入りブログ

まだ全部じゃないけど New! あみ3008さん

鳩サブレー「鳩の日」 New! 5sayoriさん

社会システムの崩壊… New! 歩世亜さん

「娘からの電話」 New! でぶじゅぺ理さん

色々考えさせられる New! nik-oさん

コメント新着

でぶじゅぺ理 @ Re:石破辞任(09/09) 明けましておめでとうございます。 本年…
葉月 生 @ Re:ご無沙汰しました(08/15) 神父さま お帰りなさいませ。 1ヵ月に1回…
kopanda06 @ Re:石破辞任(09/09) お久しぶりです。 降雨の中、高見観音の…
吉祥天2260 @ Re:石破辞任(09/09) どの人見てもなんだかねぇ・・・ 国のこと…
わからんtin1951 @ Re:石破辞任(09/09) テレビを観ていると、総裁選のことばかり…

バックナンバー

・2026.08
・2026.07
・2026.06
・2026.05
・2026.04

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: