犯人は毒物について、相当専門的な知識を持つと推定できましたし、犯行に使われたピペットは、旧陸軍の物であることも分かりました。そこから、犯人は満州で生物化学兵器の開発と人体実験を行っていた731部隊の関係者であろうとする見方が有力になりました。
ところが、この方面の捜査には、何故かGHQの横槍が入り、捜査は難航します。8月21日、捜査当局は、画家の平沢貞通容疑者(当時53歳)を逮捕。彼の単独犯と発表しました。平沢容疑者は取調べで自供し、物的証拠はないまま、自白を唯一の根拠として起訴されます。
しかし、裁判では一転して犯行を否認、自白は拷問によって強制されたと主張したのですが、認められず、そのまま死刑が確定します。当時の取り調べでは、なお多くの拷問の事実が出ているのですから、自白が唯一の証拠という場合、有罪判決には無理があったのですが、その後何度も出された再審請求は認められず、かといって再審を支持する世論の声も無視できず、死刑の執行は出来ないまま、平沢氏は刑務所に収監され続け、1987(昭和62)年5月,獄中で病死しました。
戦後が30年も、40年も経ってもなお、再審への道が、まだほとんど開かれていない段階だったのですね。
なお、帝銀は、この年8月、新帝銀と第一銀行に分割され、新帝銀は後に三井銀行と改名しています。第一銀行は第一勧業銀行を経て、合併でみずほ銀行へ、三井銀行は同じく三井住友銀行となっています。
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