(承前)
極楽(寺)に身はやうなきものと坂下り。道の辺に咲く黄色の水仙に目を楽しませ、振り仰ぐと金剛・葛城の山々。ここにも極楽がありました。
(西方浄土の光ならむか。金剛・葛城の山々)
(高鴨神社)
<参考>
高鴨神社
高鴨神社を出るともう午後4時半。山々は傾いた日を隠し、早や夕支度の気配である。国道24号へと続く道は軽快な下り。風の森峠バス停から24号線を走り下る。
(金剛・葛城の山々)
(風の森)
風の森峠は奈良盆地の風の通り道、年中風が吹いて居り、丘の上には風神を祀る祠もあるのだが、本日は風もなく穏やかな春景色。風の無い風の森峠、見渡せど「森」もない。風も森もない「風の森峠」とはこれ如何に(笑)。しかし、いい風情であるから、これでいいのだ。
御所駅から登って来た国道24号は風の森峠からJR北宇智駅、五条駅へと一気に下る。五条市は吉野川に開けた町。吉野川は和歌山県に入ると「紀ノ川」と名を変えるので、五条市は吉野川としては最下流の町ということになる。万葉人も吉野川・紀ノ川伝いに白浜へと通ったのである。
予定では、藤原武智麻呂墓、栄山寺を久々に訪ねるつもりでいましたが、暗くなってしまう惧れもあるため、ひとつ手前の駅、北宇智駅で本日の銀輪散歩は打ち止めといたします。
(宇智の大野)
宇智の大野の所在は諸説あるようですが、一般的には北宇智駅西方の丘陵地帯とされている。古代の狩猟地であった。万葉の名歌の「宇智の大野」は今は、開墾された田畑、高速自動車道まで走っているが、背後の金剛山の姿は万葉人が目にしたままの姿であるのだろう。
天皇、宇智の野に
遊猟
したまふ時、
中皇命
、 間人連老
をして
献
らしめたまへる歌
やすみしし わが大君の 朝 には とり 撫 でたまひ 夕 には いより立たしし 御執 らしの 梓 弓 の なか 弭 の 音 すなり 朝 狩 に 今立たすらし 暮狩 に 今立たすらし 御執 らしの 梓 弓 の なか 弭 の 音 すなり (巻1-3)
反歌
たまきはる
宇
智
の
大野
に 馬
並
めて
朝踏ますらむ その
草深
野
(巻1-4)
五条駅までは行かないこととした故、日暮れまでは未だ間がある。藤岡家住宅まで1.3kmの標識に従い、行ってみることに。しかし、何と1.3kmずっと登り坂。それもその筈、金剛山登山口への道端にそれはありました。
(登録有形文化財 藤岡家住宅)
(一部が金剛山登山者の休憩所として開放されてもいる。)
(中庭の長兵衛梅)
(八幡神社、背後に金剛山が見える。)
(道標) (宇智の影持)
またも影持君の登場です。影持の影も長くなりぬれば、けん家持もそろそろ家路たどらむと・・JR北宇智駅へ。
(JR北宇智駅)
以前来た時はこの駅で線路はスイッチバックになっていたが、今は改線工事され一直線になっている。無人駅である。
(完)
飛鳥川銀輪散歩(下) 2024.11.11 コメント(4)
飛鳥川銀輪散歩(上) 2024.11.10 コメント(2)
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