煤逃げ第二弾の本日は、銀輪散歩・巽の犬養万葉歌碑であります。
自宅を出たのが10時28分。
本来なら偐山頭火氏と箕面市萱野2丁目にある萱野三平宅を訪ねる処であったのだが、同氏の都合が悪くなり中止となったので、忠臣蔵から万葉に切り替えて、けん家持単独行にて大阪市生野区巽西3丁目の横野神社跡にある犬養万葉歌碑を訪ねることとする。
近鉄奈良線の南側の道を西へ走り、国道479号(地下鉄千日前線の走っている通り)に出て左折、南へ。南巽駅の手前で右折、西へ。平野川分水路(城東運河)に架かる入了目橋を渡り、東大阪朝鮮中級学校を右に見て、その先二つ目の辻を右折した処に、横野神社跡の碑がある。
住宅地の小さな一角にネットフェンスで囲まれてその碑があるのだが、平成4年3月にこの地に犬養孝先生揮毫の万葉歌碑が建立されたのである。
(横野神社跡碑)
(横野万葉歌碑)
紫之根延横野之春野庭君乎懸管鶯名雲
(注)碑文の「鶯」の字は、貝二つの下に鳥を書くのが原文だが、このブログでは使えない文字なので鶯としました。
紫草
の 根ばふ横野の 春野には
君をかけつつ うぐひす鳴くも (巻10-1825)
(歌意)
「紫草が根を張る横野では、あなたを心にかけて思ってウグイスが鳴いていますよ。」
横野は、むらさき草の根が太く真っ直ぐに延びる様をいったものとか、細長い野をいったものとかの説もあるが、地名説ではこの横野神社辺りのこととされている。
日本書紀仁徳天皇13年の条に「冬十月和珥池を造る。是の月に横野堤を築く。」とあり、この付近を流れていた橘川(古平野川)の氾濫を防ぐため巨大な堤防が築かれたとのこと。横野神社は、その堤の安全と河川の流れの平穏を祈って造営されたのがその始まりという。
祭神は第11代垂仁天皇と皇后日葉酢媛との間に生まれた第一皇子の 五十瓊敷入彦命
(古事記では「印色入日子命」)である。古来より印地之宮、又は西之宮と呼ばれた式内社であったが、明治40年の神社合祀令により、南東方向、巽南3丁目にある巽神社に合祀され、廃社となる。
さて、続古今集にも横野を詠った歌があるので、それも掲載して置きましょう。
霜枯の 横野の堤 風さえて 入り汐遠く 千鳥鳴くなり
昔はこの辺りは海岸近くで、千鳥の鳴く声も聞かれたということであるのでしょうが、密集した住宅などの建物とアスファルトの道、聞こえるものは車の走る音のみである。
偲ぶれど 横野の堤 影もなく
家並みぞ道は 車行き交ふ (偐家持)
(平野川分水路<城東運河>。入了目橋から北を望む。)
近くにある 円徳寺 、念仏堂を訪ね、 巽神社 を回って帰途につくべく道を取ってかえす。
(円徳寺)
(本堂・元禄14年に再建されたものとのこと。)
円徳寺は東本願寺の末寺。 室町時代の長享2年(1488年)に、第9代将軍足利義尚配下の地侍、上場又三郎正欽が蓮如に帰依して僧となり開創した寺とのこと。
(念仏堂)
巽神社に向かう頃から雨がポツリ、ポツリ。神社は中止にして、国道479号を北へと引き返す。段々と雨が本降りに。地下鉄小路駅前で道路脇の喫茶店へ雨宿りと昼食を兼ねて飛び込む。 昼食を済ませ珈琲。それでも雨は止む気配がない。仕方がないので、ザックから雨具(雨衣上下)を取り出し着込む。着込みながら店のママさんと話をしていたら、彼女も自転車で転倒事故を起こして脇腹辺りの骨を骨折していて未だ治療中とか。小生も自転車事故で骨折の体験ありなので、そんなことで話が合いましたが、長居は無用。雨対策完了で出発です。
雨はレインコート着用で問題なく走れるが、スピードを上げると顔に冷たい雨がかかってちょっと不快である。 東花園駅前の洋菓子店でショートケーキを購入。煤逃げ銀輪なので、昨日の凡鬼さんの俳句に倣って、「そっとさし出そう」という魂胆である(笑)。母はケーキは好みではないので、和菓子屋にも寄って和菓子を購入。
花園ラグビー場の前を通って帰ることに。今は高校ラグビーの第90回全国大会が開催中なので、その賑いも撮影して置こうという次第。
(花園ラグビー場正面入口)
(雨は少し小降りになって来たが・・)
(この少年ラガーマンは東大阪市の「ゆるキャラ」マスコットである。)
試合の様子は入場しないと撮影できないのであるが、遮蔽シートの隙間から一枚だけ撮影しました。どの対戦であるかは知らない。
(試合の様子)
帰宅したら午後2時。雨も殆ど止んでいました。やがて日差しも。 煤逃げの天罰か、雨の間だけ走ったことになる(笑)。
さて、この記事を以って、「偐万葉田舎家持歌集」は今年の打ち止めといたします。今年もご愛読いただき有難うございました。
皆さまどうぞ良いお正月をお迎え下さい。
新年が皆さまにとって素晴らしい年でありますようにお祈り申し上げます。
来年もよろしくお願い申し上げます。
<参考>回り損ねた巽神社の写真などは コチラ からどうぞ。
<追記・注>
写真2枚(「横野万葉歌碑」)
が横倒しの歪んだ画像になっていたので、2020年11月13日これらを復元修正しました。
●
過去記事の写真が歪んでいたりすること
2020.10.12.
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