偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2019.06.09
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​​ 今日は、先
 先ずは大阪城公園の森ノ宮入口前広場にあるセイヨウスモモです。
<訂正注記>
 セイヨウスモモというのは筆者の記憶違いで、ベニスモモ(紅李)またはベニバスモモ(紅葉李)というのが正しい名前であることが、過去記事から判明しました。謹んで訂正します。よって、以下、「セイヨウスモモ」とあるのは「ベニスモモ」と読み替えて下さい。

 花の季節は過ぎて、今は実の季節となっている。​

(セイヨウスモモの木)
 桜の咲くよりも少し早い時期にピンクの花を咲かせるが、今は余り美しいとは言いかねる葉が茂り、実を付けている。​

(セイヨウスモモの実) ​​

(同上)
 スモモもモモもモモのうちと言うが、セイヨウスモモもモモのうちなのであるか。
 本来のスモモ(李)は白い花。
 梅などと同じように中国から日本に入って来たのだろうが、万葉の貴族たちは自身の庭園にこれを植えて楽しんだもののようである。
 大伴家持の歌がある。
わが園の李の花か庭に降るはだれのいまだ残りたるかも(万葉集巻19-4140)
(注)はだれ=雪がはらはらと降るさま、またはうっすらと積もった雪
 父親の大伴旅人は、梅花の宴で、散る梅の花を降る雪に見立てたり、消え残った雪を梅に見間違ったという歌を詠んでいるが、息子の家持は李の花で同じ見立てをしたことになる。
<参考>大伴旅人の歌
わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも (万葉集巻5-822)
我が岡に盛りに咲ける梅の花残れる雪をまがへつるかも (同巻8ー1640)
 セイヨウスモモのピンク色の花ではこの見立ては無理、まして赤い実が生っている今の時期は論外のことであります。
 このセイヨウスモモの木の下に咲いていたのがこの花。と言っても、上の写真の木は、入口広場の右側にある木のうちの1本。広場の左側にも何本かのセイヨウスモモの木があり、そちらの方の木の下で見つけたものであります。​

(ワルナスビ)
 イヌホオズキの花とそっくりなので、棘があるかどうかで区別する。
 これはご覧のように棘があったので、イヌホオズキではなくワルナスビという外来の有害植物である。​

(同上・茎)
 次は、墓参で見かけた植物です。
 ​アメリカフウロは、はやばやと紅葉している葉もあって、カメラを向けてみたくもなる草花です。種を付けている姿もちょっと変わっていて目を惹きます。

(アメリカフウロ) ​​

(同上・種子)
 種ついでに、ムスカリの種苞も。​

(ムスカリの種苞)

(同上)
 こちらは花から実へと変化しつつあるザクロ。​

(ザクロ)
 これは、もう実といってもいいザクロですが、ちょっとウサギっぽい。​

(同上)

(同上) ​​

(同上)
 ビワも実を付けています。​

(ビワ)
 そして、道端のホソムギ。​
 ザクロやビワは食べられるが、ホソムギは食えない。いや、脱穀すれば食えるのかな。ネズミムギやカラスムギも同じかな。
 煎って、麦茶というのはどうだろう(笑)。

(ホソムギ)
 次は、絶対に食えない(だろうと思う)オオバコ。
 それもセイヨウオオバコ。​

(セイヨウオオバコ)
 墓地でよく見かける植物である。アメリカフウロもそう。
 まあ、両者ともに墓地に限らず、草地や道端どこででも見かける植物ではありますが。
 これもよく見かける植物。
 まあ、実物は米粒よりも小さい奴なので、こんなにアップにしてしまっては​、見違えるというものですが、ヒメコバンソウです。

(ヒメコバンソウ)
何やらお菓子のようにも見える。
 これでも、イネやムギの仲間である。

(同上)
 そして、こいつもよく見かけます。
 ドクダミ。匂いはノーサンキューだが、花姿は可愛い。
 梅雨時の花である。​

(ドクダミ)

(同上)
 白い花では、テイカカズラもこの時期の花。​

(テイカカズラ)
 花がカザグルマのような特長ある形なので、それとすぐに分かる。

(同上)
 しかし、花が咲いていない時には、必ずしもそうではない。
 下の写真は、一昨年、2017年3月4日に同じ場所で撮ったもので、何か分からずにいたのですが、今回、花を目撃したことからテイカカズラと判明した次第。

(同上)
 同じく、​これは2017年6月10日に撮影したものであるが、こちらは我が家の墓の少し西側にある墓所の石垣を覆っているテイカカズラである。
 花を咲かせているところを目にしたことがないので、その密生した小振りの葉の美しさには夙に注目していたものの、テイカカズラかどうか分からずにいたもの。
 定家の息子は為家。葉が随分と小振りなので、タメイエカズラと呼ぶのがいいかもしれない。

(同上)
 最後はオニアザミ。​

(オニアザミ)
 高嶺の百合のそれよりも
 秘めたる夢を一筋に
 くれなゐ燃ゆるその姿
 あざみに深きわが思ひ
 「あざみの歌」の薊はノアザミでオニアザミではない。
 ノアザミにも棘はあるがオニアザミのような敵意を強調したと言うか、威圧感のあると言うか、そのような戦闘モードの棘ではない。「秘めたる夢を一筋に」生きむとする健気な棘であり、矜持の棘である。
 女性を花に喩えるのは古今東西共通のことであり、山部赤人はスミレに、大伴家持はナデシコに、といった具合であるが、古来より、芍薬、牡丹、百合、菖蒲、杜若などは美女の喩えとして使われている。
 百合などに喩えられて喜ばない女性はいないだろうが、喩える男側からすれば、表面的、通俗的に過ぎるとして、些かの抵抗感があったりもするので、その内面性にまで踏み込んでいるよというメッセージを込めるためには、野薊や野薔薇やその他の野の花に喩えた方がいいという気もしたりするものの、その花の選定には些かの注意が必要。
 菫や撫子は問題なし。薊も「あざみの歌」があるのでセーフ。タンポポも何とかセーフか。
 しかし、この鬼薊などに喩えると、これはもう喧嘩を売っているようなことになる(笑)。ドクダミやヘクソカズラは言うに及ばずである。

八千種の 花は移ろふ 常磐なる 松のさ枝を 我は結ばな
                  (大伴家持 万葉集巻 20-4501

(諸々の花は色褪せ散ってしまう。常緑の松の小枝を、私たちは結びましょう。)

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最終更新日  2019.06.09 22:23:58
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