Pastime Paradise

Pastime Paradise

2010.07.16
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カテゴリ: 駄文

 虫が大の苦手である私は慌ててその虫を避けようとしたが、虫の方はまるで意図しているかのようにこちら目掛けて一直線に飛んでくる。
「わわわッ!」
 思わず声を出しながら上体を大きく右に傾けてみたものの、虫は私の左肩にピタリと止まった。
「・・・」

 視線だけを恐る恐る左肩に送ってみると、その虫は何食わぬ顔をして私の左肩に止まり、虫もまたこちらをじっと窺っているようである。
「・・・」
 あまりの恐怖と気持ち悪さに声も出ず、暫し両者は息を殺して睨み合っていた。
「まぁそう怖い顔をせずともよいではないか」

「・・・えッ?」
 私は傾けていた上体を僅かに起こしながら、奇妙で不気味な喋る虫を凝視した。
「わしだって何も好き好んでこのような姿になったわけではないのじゃ」
「・・・」
「お前だって来世はわしのように虫けらになるかもしれぬというのにのう」
「ま、前は人間・・・だったんですか」
「そうじゃ。とは言っても人間でいた歳月より虫や草木でいる方がすっかり長くなったがの」
「ど、どうして虫や草になんか・・・?」
「わしの方が聞きたいわ」
 わはは…と豪快に笑う虫に対し、恐怖心はおろか虫が喋ることに対する違和感も、もう既に消えていた。
「わしは人間だった頃、どうやら人を殺めすぎたらしい」


「お前が気付いてないだけで、わしのように人を殺めた咎で虫になった奴は多い。至る所を這い回り、飛び回っておるぞ。よく観察してみるがよい。お蘭も紀之介も、原田某とかいう奴も皆そうじゃ」
 虫はぶうんと音を立てて羽を震わせ、左肩から離れた。
「ちょ、ちょっと!一体貴方は!? 差し支えなければお名前を…」
 虫に何の差支えがあるというのだろうか?
「フンッ、わしの名とな?聞いてどうする?まぁよい…。わしは 織田信長
 自称・織田信長虫はどうじゃ、と言わんばかりにニヤリと笑うと、薄曇の空に再び飛び立っていったのであった。  

 …というような夢を先ほど、うつらうつらと朝寝をしていて見た。何じゃこりゃ?
おそらく、近頃は新聞配達先に虫がいたりして気持ち悪いなぁ~と思っていることが、そのまま夢に繋がったのだろうけど。
 ちなみに信長虫が言ったお蘭とは、彼の小姓にして私の心のアイドル・ 森蘭丸 であり、紀之介や原田某というのも、これまた私が愛してやまない戦国武将・ 大谷吉継 と、新選組の 原田左之助 のことであろう。
 “織田信長が虫になった夢”…果たして夢占いには何と出ているのだろう?





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Last updated  2010.07.16 12:57:20 コメントを書く
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