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2019.11.24
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カテゴリ: 子ども・育児
娘、4歳になりました。

すごいなあ。
3歳と4歳って、なんだか全然違う気がする。
赤ちゃんと、子供の境目みたいな。
だいたいの料金も、4歳から有料になったりするものね。

疲れたり、機嫌が悪いと「だっこして」と甘えてくる。
「大きい赤ちゃんやなあ」と言いながら抱く。
横抱きにすると、足が飛び出る。

自分で歩いて、喋って、着替えて、トイレへ行って。


4年前。
君が生まれた日。
私は、「お母さん」になった。

予定日から2日遅れて出てきたら、髪がフサフサで、手も足も小さい爪まで全部きれいにそろった人間の女の子だった。
こんなんが私の中に入っていたのか、と思った。
目を覚ましたら横に小さな人間がいることに、毎回驚いた。

永遠のような長い新生児期。
赤ん坊を抱いて、洞窟の中にいるような気分。

へその緒の痕を、不思議な気持ちで眺めた。
こうやって、脈々と、つながってきた。
娘、私、母、祖母、戦争中も、縄文時代も、そのずっと前から。


かすかな泣き声に、瞬時に目を覚ます。
乳をやり、襁褓を変え、覚えているだけの歌を夜通し歌う。

朝は遠く、夜は久しく。
痛みと眠気で朦朧としながら、徹底的に孤独だと思う。
静まり返って音もなく、聞こえるのは赤子の泣き声だけ。

この洞窟には、私と赤ん坊しかいない。

外の世界は雨で、いつかこの子を抱いてまた出ていけるのか、その日がうんと遠く思えた。

今、空は晴れて、私たちは手をつないで歩く。
危なくないように、転ばないように、はぐれないように。
私は、娘の手をぎゅうと握りしめる。
疲れたといえば、抱き上げて歩く。
続けて歩くのは辛い重さになった娘を。
新生児の頃には腱鞘炎になっていた腕で。

そのうちに彼女は、一人で歩けるようになる。
いつか、私の手を振りほどいて駆けて行く。
自分が行きたいところへ。

その日が来ることが、楽しみで、今から寂しい。

子どもの成長に日々目を見張りながら、成長に伴い負担は減ってきていると感じる。
でも、時々、思い出す。

洞窟のひんやりとした空気。
耳を聾するほどの静寂。
腕の中でようやく眠った赤ん坊を抱きながら、永遠にこうしていたいような、放り出して逃げてしまいたいような気分になったこと。
ぽろぽろ、とめどなく涙がこぼれる。
静かに降る雨に守られた、私と子供だけの世界。

私たちは、あそこにいたね。
世界が死に絶えて、残された二人きりのように。
あんなことはきっともう、二度とないのだろうな。

4年間、私にたくさんのことを教えてくれてありがとう。
18歳まで、あと14年。
長いようで、きっとあっという間。

そしていつか、今のこの日々を、懐かしく思うんだろう。

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最終更新日  2019.11.24 06:25:14
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