シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2008年07月14日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 ゲーテがファウストに、次のような偉大な言葉を、メフィストフェレスに向けて語らせたのは、自らを現在から上昇させることが、それほどまでに必要だったからである。

 もし、急ぎ過ぎ去る現在という瞬間に「拘泥する」ならば、私は叫ぶ、「お前の勝ちだ!」

 これは次のことを意味している。

 もし、私が現在に生きることに満足するなら、そのとき、お前は私を足かせにつなぐがよい、

 私を消滅させるがよい、それが何ほどのことであろうか!

 ここでは、次のように言うこともできる。

 「ファウストが、彼の同行者、メフィストフェレスの足かせから逃れるために乞うたのは、「祈り」の力を求めたことにある」、と。

 従って、「祈り」の経験は、一方では、過去から現在まで、その歩みを進めてきた狭量な自我の観察へと導くと共に、我々の中には、我々がこれまで用いてきたものよりも、いかに遙かに多くのものがあるかをはっきりと示し、他方では、我々を未来へと導き、これまで自我が把握できたものに比べて、いかにもっと多くのものが未来から流れてくるかを示す。

 もし、この事を理解するなら、あらゆる「祈り」の中に、自身を超えさせる力を見い出すことになる。祈りとは、現在あるような自我を超える力を、我々の内に点火することである。



 感情と知覚を通して、この認識へと至ったとき、「祈り」を、自我の発達(進化)を助ける力の1つとして数えることができるようになる。

 この事は未来へと向けられる祈りについても同様である。もし、近づきつつある未来に関して、恐れと不安の中に生きるなら、「祈り」がもたらす謙遜の態度に欠けている。我々の運命は、世界の叡知によって秩序づけられている、ということに、気づき損なう。しかし、もし、謙遜と献身をもって未来を迎えるなら、実り多い希望の中で、それに近づくことになる。

 我々を小さくするように見える謙遜が、魂を豊かにし、より高い発達(進化)段階に運び上げる強力な力となるというのは、以上である。

 いかなる外面的結果も「祈り」に期待する必要はない。何故なら、「祈り」を通して、魂に、光と熱の源泉を植え付けたことを知っているからである。それは、未来との関係では、魂を自由にし、未来の暗い子宮の中から現れ出る、いかなるものをも受容できるように配置する光の源泉で、確かに、過去においては、自我の中で、神的要素を実りへともたらせなかったけれど、今、それが我々の内で有効な力となるように、我々の感情を、それで満たした、ということを気づかせてくれる、熱の源泉なのである。

 過去を振り返ることから湧き上がってくる「祈り」が、「祈り」をその真の意味において理解する人全てにより語られる、あの熱を生じさせる。そして、内的な光がやって来るのは、未来に向けた謙遜の「祈り」を理解する人たちのところである。

 (執着心を捨てる→無我→熱の発生、不動心の完成→謙遜→光の到来)

 この観点から、最も偉大な神秘家達が、内なる瞑想を通して、達成しようと望んだことに対する最良の準備を、神秘家の「祈り」への没頭の中に見い出したことは、全く驚くにあたらない。神秘家は、彼らの内の小さな閃光が明るく輝くようになる地点にまで、魂を導いた。真の「祈り」が与える、素晴らしい親密さの感情への道が開けるのは、正に、過去への参入を通してなのである。

 外界に関する関心は、丁度、過去において、我々の内の力強い要素、すなわち自身を意識した自我の出現を妨げたのと同じように、我々を自身から疎遠にする。我々は、外の印象や様々な外の生活からの要請に明け暮れた。それらは、我々をバラバラに引き裂き、静かさの中で、我々自身を回想できないようにする。これが、我々の内にある力強い神的な力の展開を妨げたものなのである。

 しかし、もし今、親密な「祈り」の中で、神的な力を展開させるなら、外界の破壊的な影響に曝されることがなくなるだろう。我々は、自らを内なる祝福で満たし、真に神的存在と呼ばれる、素晴らしい内なる熱を感じるだろう。

 外界の中で、自己を失いつつある魂は、内なる熱の経験を通して、自らを奮い立たせることができるようになる。「祈り」の間、我々は「神」の感情の中で暖められるが、熱を感じるだけでなく、心の底から、自身の中で生きるようになる。

 他方、外界の事物に向かうときは常に、未来の暗い子宮と呼ばれてきたものに包含されることを見い出す。詳細な観察から、外界で出会う、あらゆるものの中には常に、未来のヒントがあることが示される。我々に降りかかってくるものに関して、恐れや不安を感じるときには、常に何かが、我々を遠くへ押しやり、外界は、貫き難いヴェールのように、目の前に立ちはだかる。



 この事が可能でないとき、我々が行き当たる、全てのものにおいて、我々の感情の中に広がる闇に出会う。だから、献身的な帰依の「祈り」の中で、我々にやって来るのは、世界全体から光が輝き出ることに対する希望なのである。





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Last updated  2008年07月14日 19時34分56秒
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