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「わざわざ呼び出すくらいですから、それ相応の事柄なのでしょうか」
バフタール王は「イヤなガキだ」とつぶやいたあと、
「イグリスとの交易について教えてもらおうか」と聞いてくる。
フューリッドにとっては、交易というより決められたやり取りでしかない。
取引している物をメモ書きしているバフタール王は、
「この単価なら出せる、この場で即決しろ」
指を差している輸入品は元々、バフタールからイグリスに流れている物だという。
単価についてもイグリスよりも高い設定だと。
つまりはバフタールからイグリス、イグリスからフューリッドへと、
単価が割り増しされている、ということだ。
輸出品についてもまた然り、割高で買い取るという。
「ですが、勝手に決めてしまうというのは・・・」
「互いに利益が増えてるんだ、何の問題がある?」
今回の狙いはイグリスとの収益格差を縮めることにあるようだ。
レイトは内容が内容だけに、慎重に考慮する。
ただ、この交易が結ばれれば、課せられた目標値に届くことができる。
イグリスにのみ生じる不利益は、イグリスとバフタールの問題であるため、
説得できるやり方が見いだせる気がする。
全体的な利益で考えれば、イグリスにとっても損な話ではないはずだ・・・。
「いつまで考えてやがる。なげぇぞ」
バフタール王に急かされ、レイトはついに交易を結ぶことを選ぶ。
それから一案が思い浮かぶ。
「これはゼリクトアにも同様に提案できるかと」
「へぇ、交渉できんのか?」
ゼリクトアも加われば、言うまでもなく効果は上がる。
ゼリクトアにとっても目標値に頭を悩ませているはず。
バフタール王も満足したようで、不意に語り始める。
「お前の親父は頭が固過ぎた。人が交われば優劣がつく、これは必然だ。
比べることで個人の価値が生まれる。違うことが人を生かしてる。そうだろ?
国だって同じだ。ってこんな話はいらねぇな」
話を打ち切って部屋を出ていく。ひとりになったレイトはあとを続ける。
(確かに他人との競争が自分を高めることにつながってはいる。
けど、憎悪や嫉妬が生まれるのも他人と比べるからこそ、だよな。
・・・あの王は、アルケデニックに似てる気がする)