Motor & Outdoor Journalist 安藤眞の         逆説的よろず考現学

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Nov 29, 2018
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カテゴリ: カテゴリ未分類

みなさん、こんにちは。

 消費税増税に伴い、自動車関連諸税の減税が検討され始めました。中には、走行距離に応じた税額にしてはどうかという意見もあるようですが、これはとんでもない話ですね。走行距離が多い人は、すでに燃料税でしこたま払っているわけですから、そのうえ距離での累進制なんか導入されてしまうと、クルマが交通の便として欠かせない地方の人たちの負担を大きく増やすことになってしまいます。

 で、何をどうするかという方法論を議論する前に、まずやって欲しいのは「暫定税率の廃止」です。現在、暫定税率は、①自動車取得税、②自動車重量税、③揮発油税(ガソリン税)、④地方揮発油税、⑤軽油引取税、の5項目に渡ってかけられています。そのうち、重量税、ガソリン税、軽油引取税は、本則税率の二倍が課税されています。そもそも暫定背率は、道路整備が遅れていたために特定財源として使う「暫定措置」だったはずなのに、余り始めたら平成21年から一般財源に組み込まれてしまいました。これを本則税率に戻すのが、まず最初にやるべきことでしょう。

 一方で、自動車税には暫定税率は適用されていませんが、今回、議論に上がっているのは、主にこちらのようです。これについてはもう20年以上前から書いているのですが、現在の排気量別をやめて、馬力課税にすればよろしい。1馬力当たり250円にすれば、だいたい辻褄が合います。

 例えば、子育て世代に必須のミニバンの主流は2Lエンジンなので、自動車税は39,500円ですが、2Lだと馬力はだいたい150馬力ですから、250をかければ37,500円と、多少の負担軽減になります。ハイブリッド車のアクアは1.5Lエンジンですが、システム出力が100馬力ですから、グリーン税制による免税を無視すれば、34,500円が25,000になります。ホンダのフィット・ハイブリッドはシステム出力が137馬力もありますから、34,250にしかなりませんが、少なくとも現状より増えることにはなっていません。

 では、大きいほうはどうでしょうか。クラウンのハイブリッド車は、2.5Lで226馬力ですから、現状の45,000円が56,500円になってしまいますね。でも、これって本来の姿なのではないかと思います。そもそも排気量1Lあたりで出せる出力は、70〜75馬力です。となると、226馬力は3.0〜3.2Lに相当するわけで、現状の税額は58,000円になるはずです。これまでの排気量別税制で考えれば、決して増税にはなっていないことがわかります。

 そもそもクラウンを買えるほど所得の高い人であれば、これくらいの税額は負担にならないのではないでしょうか。

 馬力課税にすると、さらに良いことがあります。まず、電動車の課税に困らないこと。現状の排気量別では、内燃エンジンを持たないEVやFCVの課税根拠が不明瞭になりがちですが、馬力課税にすれば明快になります。しかも電動車は低出力高トルクですから、自動的に税額は安い方向になるでしょう。




 三つめは、排気量が適正化すること。馬力に課税するとなれば、最高出力を抑えて低回転トルクを出す方向にシフトするはずで、実用燃費が良くなるように、排気量のシフトが起きるのではないかと思います(マツダがデミオを1.3Lから1.5Lに変えた理由が、まさにこれです)。

 とはいうものの、報道を見ていると「地方税収が減らないように配慮する必要がある」とか言っているので、結局の所、総税収額は変わらないように、配分比率の付け替えだけが行われるような気がしてなりません。願わくば、生活必需品としてクルマを使っている人の負担が増えることだけは、避けていただきたいと思います。






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Last updated  Nov 29, 2018 10:20:01 AM
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