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みなさん、こんにちは。 ガソリン価格が高止まりしていることから、トリガー条項の発動を求める声が日に日に高まっています。トリガー条項については、僕は2年前にYahoo!ニュースに詳しく書いているので、そちらを参照していただくとして、本質を考えると、この条項は発動させてはいけないんです。 トリガー条項を大雑把にいうと、「ガソリン1リッターの全国平均価格が160円を超えた状態が3ヶ月続いたら、旧暫定税率相当25.1円/Lの徴収を停止する」というものなのですが、これには徴収停止を解除する条件が付いていて「ガソリン1リッターの全国平均価格が130円を下回った状態が3ヶ月続いたら、旧暫定税率相当25.1円/Lの徴収を再開する」とされています。 すなわちトリガー条項の発動を容認するということは「旧暫定税率分は徴収し続けるのが前提」というのを認めたことになるんです。 ですから必要なのは、トリガー条項の発動ではなく「旧暫定税率の廃止」と「ガソリン税への消費税課税の廃止」を定めた新法の制定なんです。 そもそもトリガー条項自体、「暫定税率廃止」を公約に政権をとった民主党が公約を実現できず、苦肉の策で捻り出したものです。ならば原点に立ち返って、暫定税率分の徴収を廃止するのが本筋なんです。 もっともトリガー条項自体、民主党政権時代に民主党提案で成立したものですから、自民党は意地でも発動しないでしょうけれど。
Oct 25, 2023
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みなさん、こんにちは。 すっかりご無沙汰いたしております(^^;。お気づきの方もいらっしゃるかと思うのですが、ちょっと前にYahoo! ニュース個人のオーサーに認定いただきまして、記事は主にそちらに書くようにしておりました(収入になるので)。ただし「契約した内容以外は書いてはいけない」という縛りがありまして、テーマによっては書けないものも少なくありません。 ということで、Yahoo! との契約から外れるテーマで、みなさんに知っておいていただきたいことについては、こちらで展開いたします。 そこで、表記の件です。 4月1日から自転車乗車中のヘルメット着用が努力義務化されましたが、「自転車には乗らないから関係ない」と思っているドライバーのかた、いないでしょうか? 実は対自転車事故を起こした際、バイカー(自転車乗車者)がヘルメットを被っていたかどうかで、行政処分の点数が大きく変わる可能性があるのです。 警察庁のウェブサイトによると、自転車の死亡事故の約6割が頭部の傷害で、ヘルメット着用の有無では、死亡率は非着用者が着用者の約2.1倍になるとのこと。ヘルメット着用の有無で、事故が「傷害事故」で終わるのか「死亡事故」になってしまうのかが変わってくる、ということです。 さらに、人身事故時の行政処分の付加点数を見てみましょう。警視庁のウェブサイトによれば、以下のようになっています。 このように、たとえ自転車側の過失が大きかったとしても、死亡事故なら13点が付きます。死亡事故には基礎点数として”安全運転義務違反”の2点が加わりますから、罰則は1年間の免許取り消し処分になります。それがヘルメット着用のおかげ全治1ヶ月未満の怪我ですめば4点ですから、前歴がなければ30日の免許停止処分で済むのです(民事の賠償金も変わってくるはずですが、そこは専門家にお任せします)。 このように、バイカーがヘルメットを被っているか否かは、ドライバーにとっても重要な問題です。もし知り合いにヘルメットを被らず自転車に乗っている人がいたら、「私のためにも、被ってくれ」とお願いしてみてはいかがでしょうか。
Apr 4, 2023
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みなさん、こんにちは。 池袋で自家用車を暴走させ、母子をひき殺した容疑で書類送検されていた飯塚幸三容疑者が、正式に起訴され「飯塚幸三被告」となりました。この事故に関して僕がどう思っているかは、過去のブログにも書いたとおりですが、同容疑の最高刑である「禁固7年」に近い求刑があるのではないかと考えています。 判決が求刑通りになるかどうかは定かではありませんが、恐らく無罪ということはないでしょうから、実刑で数年の禁錮が言い渡されるのではないかと思います。 しかし、ここで問題になってくるのが、刑事訴訟法第482条の存在です。 詳しくはリンク先を参照願いたいのですが、検察官は被告が高齢(70歳以上)であることを理由に、刑の執行を停止することができる、ということです。飯塚幸三被告は88歳で、足も不自由ですから、これが適用される可能性は十分にあると思います。 そうなると、世論はまた一騒動になるのではないでしょうか。 世論によるリンチは好ましいとは思いませんが、世論を納得させるには、飯塚被告が執行停止の適用除外を自ら申し出て、刑に服して罪を償うほか、ないのではないかと思います。
Feb 6, 2020
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みなさん、こんにちは。 バドミントン男子シングルスで東京オリンピックの金メダル候補と言われていた桃田選手がマレーシアで交通事故に遭ったのは、ご存じのことと思います。空港に向かう途中の送迎車に乗っていた際の追突事故で、顔面に裂傷を負ったと聞いたときは、「シートベルトをしていなかったんじゃないか?」と思ったのですが、こちらの報道を見ると、同行者も含めて全員シートベルトはしていたとのことです。 にもかかわらず、そんな大けがをしたのはなぜか? と思ったら、こちらの報道を見て納得が行きました(加藤久美子さん、さすがです)。 中ほどにあるシートベルトの写真を見て下さい。見た目は3点式ですが、ショルダーアンカーがシートの背もたれに付いています。この構造だと、衝突時に上半身の体重のほとんどがショルダーアンカーにかかりますから、必要な安全性を確保するには、シートの根元に相当な補強を加える必要があります。ところが写真を見た感じでは、そのような配慮が行われているようには見えません。すなわち衝突事故の際、背もたれが根元部分から折れ曲がり、桃田選手は背もたれを背負ったまま、前に飛ばされたのではないかと推測できます。(同様の構造は国産のミニバンにもありますが、取材をすると「シートの補強がいかに大変だったか」を蕩々と語られます) もうひとつ、事故の形態も不運でした。 こちらの写真を見て下さい。ワゴン車はトラックの荷台の下に潜り込む形で衝突しています。これではワゴン車が備えている(はずの)衝撃吸収構造も、ほとんど働きません。しかも、いちばん硬いトラックの荷台が、運転席の上半分に突っ込んでいますから、荷台に押されたドライバーが運転席ごと後退してきた可能性もあり、桃田選手は、そこに顔面を打ち付けてしまったのではないかと考えられます。 桃田選手が一日も早く回復され、元のようにプレーできるようになることをお祈りいたします。
Jan 14, 2020
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みなさん、こんにちは。 標記の件、高裁判決が出たことで、ふたたび注目が集まっていますね。これがきっかけとなり、あおり運転の厳罰化が進められているのは、たいへん結構なことだと思います。 ただし、危惧していることも、ひとつあります。この事故は「あおり行為」の異常性が際立つ余り、そちらにばかり注目が集まっていますが、事故形態だけから考えれば、追突したトラックの不適切な運転に、もっと注目されてしかるべきなのではないかと思うのです。 実はこれ、1年前にも指摘していることなのですが、1年経っても同様な視点がまったく出てこないため、改めて書いておきたいと思います。 当該事故の形態を客観的に見ると、「なにがしかの理由で第3車線に停止していたクルマを、後続のトラックが回避できずに衝突し、乗員を死傷させた」というものです。高速道路走行中に危険を回避する義務は、高速道路を走行するすべてのドライバーにあります。追い越し車線に事故や故障でクルマが止まっているということも、当然、想定しながら走行するべきで、目の前でスピンして自車の走行車線に飛び込んできたならともかく、停止中の車両に衝突するというのは、明らかに後続車両の不適切運転です。 しかも実際、当該事故では1台目のトラックは停車車両を回避し、2台目のトラックが突っ込んでいます。これ、車間距離を不適切に詰めていたのではないでしょうか? もうひとつ、事故が起きたのが3車線道路の追い越し車線であるということ。大型トラックには90km/hで作動するスピードリミッターが付いていますから、3車線道路の追い越し車線を走行するということは、原則として考えられません(違反ではありませんが、渋滞時以外は不適切です)。 僕はこうした部分に、もう少し注目が集まっても良いのではないかと思うのですね。 この事故のきっかけが「あおり運転」ではなく、「故障で止まっていた」だったらどうだったのか。そういう視点で、今一度この事故を考えてみてはいかがでしょうか。
Dec 7, 2019
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みなさん、こんにちは。 その後のテレビ東京の報道で、新たな事実が分かってきました。当時の飯塚容疑者は、予約したフレンチの時間に遅れそうだったため急いでおり、制限速度を超えるスピードで走行しながら、何度も車線変更を繰り返していたそうです。 これに対してある著名な方が、ツイッターで「そういうことで急ぐのは誰にでもあること。冷静に『ペダル踏み間違い』で裁くべきだ」というコメントを付けていましたが、果たしてそうでしょうか? 時間に遅れそうと言っても、たかだか食事の予約です。しかもクルマで行くような距離ですから、遅れるとしてもせいぜい30分かそこいらでしょう。フレンチならひと組あたり2時間ぐらいは取っているでしょうから、30分ぐらい遅れたところで、どうってことはないんじゃないでしょうか。 こういう場合、無理して急ぐことはせず、お店に「30分ほど遅れます」と連絡を入れるというのが、常識ある大人の行動なのではないかと思います。 直接の事故原因が「意図的な暴走運転」ではないので、「危険運転致死傷罪」での立件は難しいと思いますが、踏み間違いのきっかけが意図的な危険運転だったことは、求刑や判決の際に考慮されるべきではないかと思います。
Nov 15, 2019
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みなさん、こんにちは。 池袋で自家用車を暴走させた上、母子をひき殺した飯塚幸三容疑者が、書類送検されることになりました。今回はこの話についてです。 まず、逮捕されなかったことについて「上級国民だから」という声が聞かれますが、これは間違いです。逮捕される要件は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが必要で、事故後に入院し、事故車両も警察の手に渡っていた飯塚容疑者に関しては、逮捕の必要がなかったから、逮捕されなかったのです。むしろ一般人に対して、逮捕勾留が濫用されているのではないかということのほうを疑ったほうがいいです。ちなみに京都アニメ放火事件の青葉慎二容疑者も、瀕死の火傷を負って入院中のため、逮捕されておりません(警察は「逮捕状を請求する」とは表明していますが)。 しかも、逮捕されていないから無罪になるとか、書類送検されただけで終わるなどということはありません。犯罪者を裁く手順というのは、まず警察が捜査を行い、それによって収集された証拠の「書類」を「検」察に「送」致します。これが「書類送検」です。 書類を受け取った検察は、その内容を精査して、裁判所に起訴するか否かを判断します。嫌疑や証拠が不十分であれば「不起訴」となって、この段階で無罪となります。一方で、起訴された場合は裁判となり、裁判所の判決によって、無罪か有罪が決まります。ですから飯塚容疑者の場合、現段階では無罪になったわけでも、書類送検で済んだわけでもありません。 では、起訴される可能性について、考えてみましょう。結果が重大であったことや、容疑が「自動車運転過失致死傷罪」であること、状況及び物的証拠の確かさから、不起訴になることはまず無いと思います。 起訴された後は、裁判に任せるしかありませんが、主治医から運転をやめるように言われていたこと、事故後も自分のミスを認めなかったことなどから、同容疑の最高刑である「禁固7年」に近い求刑があるのではないかと思います。もし「7年」で確定すれば、容疑者の年齢から考えると、事実上の「終身禁固」に相当するでしょう。 裁判の行方がどうなるかはわかりませんが、テレビ局の取材に答えたコメントは、裁判官の心証を悪くするものではないかと思います(僕も元設計者として、怒りがこみ上げてきます)。 曰く、「安全なクルマを開発するように、メーカーのかたに心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になって欲しいと願っています」 飯塚容疑者が事故を起こしたクルマはトヨタの20型プリウス('11年12月で販売終了)で、まだ衝突安全ブレーキは付いていない時代のモデルです。しかし、事故が起こった'19年4月には、プリウスは「50型」にモデルチェンジ(@'15年12月)されており、このモデルには、「トヨタ セーフティセンス」という最新鋭の衝突安全ブレーキが装備されています。 それがこの事故で正しく作動したかどうかは置いておきますが、少なくともメーカーの技術者は「安全なクルマを開発するように」日夜努力をしており、すでにそのような装置を商品化しています。飯塚容疑者の地位から言えば、300万円程度のクルマを買い換えることなどわけないでしょう。4年前にはすでに、より安全なクルマに買い換えるという選択肢が用意されていたにもかかわらず、それをすることなく件のコメントをしているのですから、無責任極まりないと言うほかにありません。 しかも「元工業技術院院長」という経歴からすれば、技術を理解する力は常人以上にあったはずですし、踏み間違い暴走がどういう結果を招くかということは、容易に予測可能だったはずです。検察および裁判所には、ぜひこのあたりも斟酌した判断をお願いしたいと思います。
Nov 11, 2019
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みなさん、こんにちは。 台風19号では、たいへんな被害が出てしまいましたね。昨年の21号や今年の15号で風による災害が多かったことから、風に対する警鐘は多く聞かれましたが、雨への警戒が少し疎かだったような気がしてなりません。 今回の被害で非常に心が痛むのが、亡くなったかたの3分の1ぐらいがクルマで避難する際の事故だったということです。僕は防災関係の雑誌から記事を依頼されることも多く、つい先日もある本に「堤防決壊が始まっていたら、避難所への移動にクルマは使用すべきではない」と書いたばかりなので、なおさら残念です。 改めて書いておきますと、まず普通のクルマが安全に走れる水深は、タイヤ直径の3分の1までだと思って下さい。半分を超えると、走りかたによってはエンジンが水を吸い込んで止まってしまいますし、3分の2を越えるとドアが開けにくくなり、クルマが浮きはじめます。もし流れがあれば、方向が定まらなくなって、やがては流されます。内水面の氾濫ならともかく、堤防決壊の場合は水位が一気に上がりますから、「浮いた」と気付いてから流されるまでは、1分かからないのではないかと思います。 また、農地の間を通る道路のようにガードレールが整備されていないと、冠水した場合はどこが道路か見分けが付かなくなり、脱輪するリスクが出てきます。脱輪した方向の水深は深いですから、ドアが開かなくなって脱出が困難になります。窓を割るツールを持っていなければ、クルマと一緒に水没してしまうかも知れません。ですから避難所にいたる経路にそういう場所がある場合、道路が冠水したらクルマで移動するのは避けたほうがいいです。 そうは言っても家が浸水してしまう、という場合、2階建て以上なら垂直避難(より上の階への避難)を考えましょう。というよりも、本来はそうなる前に、浸水想定域そのものから避難するべきなのですが。 というわけで、水害時にクルマで避難するのは、原則として避けたほうが良いです。お住まいの家から避難所までの経路をチェックしておき、どうなったら避難するか、どうなったらクルマでの避難は諦めるか、逃げ遅れた場合に助かる方法はあるかなど、改めてシミュレーションしておくことをお勧めいたします。 ちなみに津波から避難するような場合は、とにかくスピード勝負で少しでも高いところに移動する必要がありますから、クルマが有効に機能することもあります(東日本大震災でも実証済み)。このあたりはご自身の地域特性に合わせて、自分で考えましょう。自分で考える習慣を付けずにマニュアル的情報ばかりを鵜呑みにしていると、本当に死にますよ。
Oct 20, 2019
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みなさん、こんにちは。 去る18日、東京都千代田区で緊急走行中のパトカーが、横断歩道で4歳児をはねるという事故が発生しました。被害者は意識不明の重体とのことですが、一日も早く快復されることをお祈りします。 緊急走行中とはいえ、青信号で横断中の歩行者をはねるというのは、言語道断です。今回の被害者は幼児でしたが、たとえば聴覚や視覚に障害がある人の場合、サイレンや拡声器に気付かずに渡り続ける人もいるかも知れないわけで、交差点通過時に横断歩行者に細心の注意を払うのは当たり前のこと。しかも現場は見通しの良い直線道路ですから、いかなる言い訳も通用しないでしょう。 特に今回の一件は、緊急走行の理由が「薬物使用の疑いがある人の尿を運ぶため」であって、緊急走行の必要性そのものにも疑問が呈されています。警察は「任意捜査のため長時間の拘束はできず」としていますが、必要とあらば不自然な長期拘束をする事例は過去にいくらでもあるわけで(軽犯罪法のナイフ所持容疑とか)、これも言い訳とするには無理があるでしょう。 加害者が警察という案件なので、正当な立件と処罰が行われるかどうか一抹の不安を感じますが、ぜひ国民が納得できる決着を付けていただきたいと思います。 さて、ここからは現実論。 誤解を恐れずに言えば、「親は何をしていたんだ」ということです。 などと書くと、「親を責めるべきではない」という反論が出てくることが予想されます。もちろん既述の通り、第一注意義務はパトカー側にありますから、被害者にも親に法的責任はありません。でも、事故は現実に起きているんです。責めるのが目的ではなくても、「どうすれば避けられたのか」「再発防止のため歩行者側にできることは何か」を考えるためには、どうしても親の行動に言及せざるを得ないんです。 当該交差点(四ツ谷駅前)は片側3車線と広く、横断にはそれなりに時間がかかります。青信号でも右左折してくるクルマがありますから、学齢期以下の子どもであれば、手をつないでおくぐらいの用心は必要だったはずです(うちはどこでもそうしていました)。しかも、今回の事故はパトカーがサイレンを鳴らして走ってきているわけで、それに気付いた段階で、親は子どもの横断を制止すべきだったはずです。むしろ「緊急走行中のクルマは赤信号でも通過するから、自分のほうが青でも止まらないといけないよ」と教える絶好の機会だったと言えるのではないでしょうか。 もちろん、当該親御さんは十分、自責の念にかられていると思いますから、これ以上は書きません。でも、小さな子どもをお持ちのみなさん(これから持つ可能性のある人も)は、これを「他山の石」として、ご自身の子どもが事故に遭わないよう、細心の注意を払っていただきたいと思います。 いくら法的に自分のほうが正しかったとしても、事故に遭って怪我をしたり亡くなったりするのは、歩行者のほうです。悲しいニュースは、なるべく聞きたくありませんので。
Aug 20, 2019
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みなさん、こんにちは。 またしても異常なあおり運転事件が起きましたね。犯人は逮捕されたようで、何よりです。 あおり運転事件があると、「あおられるようなことをしたんじゃないか?」と言う人もいますけれど、どんな経緯があったとしても、あおり運転はあおったほうが100%悪いです。みなさんは、くれぐれもしないで下さいね。 ということを踏まえまして。 残念ながら、世の中気が短い人や、ストレスをため込んでいる人は少なからずいます。そういう人の前で「イラッとさせる運転」をしてしまうと、あおり運転を受けるリスクが高くなるのは、残念ながら事実です。では、「イラッとさせる運転」とは、どんなものがあるでしょうか。 それは「ブレーキを踏ませる運転」です。 路地や駐車場から広い通りに出る場合、無理なタイミングで出てきたり、出てきた後に速やかに加速せず、後続車にブレーキを踏ませる運転は、後続ドライバーを不愉快な気持ちにさせます。あるいは「自分が通過するのを待っていれば、後ろには誰もいないのに」というタイミングで出てこられた上、前記の行動が加わると、イラッと来る人は多いのではないかと思います。 あるいは高速道路で追い越し車線から走行車線に戻る際、十分な車間距離を確保せずに車線変更するというのも、入られたドライバーにしてみると不愉快ですよね。入られた車が適正な車間距離に戻すには、スピードダウンする必要がありますから。 追い越して走行車線に戻る際の目安として良く言われているのが、「追い越したクルマがルームミラーに映ったら」ということです。クルマによりけりとはいえ、これを守っていれば、追い越したクルマを不愉快にさせることはそうそうないと思います。 走行車線に戻ってからも、速度には注意が必要です。追い越したクルマよりスピードを落としてしまうと、「何のために追い越したんだよ?」と、後続車を不快にさせてしまいます。追い越したなら、追い越したクルマと同じか少し速い速度で走ることを心がけて下さい。 追い越し車線に出る場合も、速いクルマが追いついてきているようなら、やり過ごしてから追い越しを開始して下さい。こういう人の前に出ると、あおられる確率は高いです。というより、行きがかり上、車間が詰まってしまい、「あおっているような形」になってしまうことも少なくないですが。 追い越される場合も、注意が必要です。登り坂で失速して後続車に追い越しをかけられ、自分が失速していることに気付いて急に速度を上げる人がときどきいますが、これは追い越しを開始しているドライバーからすれば、迷惑以外のなにものでもありません。スムーズな追い越しを妨げないよう、慌てて加速するのはやめましょう(これは「ブレーキを踏ませる運転」ではありませんけどね)。 ともあれ、「自分がされたら不愉快なこと」をしないのが第一です。走っているクルマは全員が「同じチームの一員」だと考え、「いかに交通をスムーズに流すか」というプレーをみんなでしていると考えれば、あおり運転も、おのずと減ってくるのではないでしょうか。
Aug 18, 2019
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みなさん、こんにちは。 日産が新型スカイラインに、先進運転支援システムの「プロパイロット2.0」を搭載しましたね。これを見て「自動運転実現の日が近づいた」と思ったかたもいるかと思いますが、僕はむしろ「自動運転実現の障壁が明らかになった」と感じました。 プロパイロット2.0の大きな特徴は、高速道路や自動車専用国道などの同一車線で、ハンドルを握らずに運転できるようになった、ということです。カーナビで高速道路を含むルートの目的地を設定すると、カメラが制限速度標識を読み取って、それに合わせた速度で自動操舵運転が開始される、というものです。 ここでポイントとなるのは、「システムは制限速度を超えた走行は行わない」ということです。クルーズコントロールを制限速度以上に設定したり、ドライバーがアクセルを踏んで制限速度を超えてしまうと、ハンズフリー走行は機能を停止してしまいます。となると、ハンズフリー走行の恩恵に与るには、制限速度を超えることができない、ということになります。 ところが現実には、制限速度を越えた交通流が常態化している路線も少なくありません(首都高速とか)。そういうところでプロパイロット2.0を使っていたら、攪乱要素となって渋滞を誘発する要因になってしまう、ということです。プロパイロット2.0の場合、ドライバーが任意で速度調整できますが、もし完全自動運転になった場合、制限速度を現実に合わせた設定としないと、渋滞や事故が多発する可能性も出てくるのです(新東名120km/h化はその布石でしょうか)。 もうひとつのポイントは、プロパイロット2.0を使用するには、年間22,000円(税抜き)の使用料が必要になる、ということです。これは全国の高速道路と自動車専用国道を網羅した「高精度3D地図」の製作と運用に充てるのが主な目的ですが、もし一般道での自動運転を実現しようとした場合、その路線距離に応じた追加コストが必要になる、というわけです。特に、エリアを限定しない完全自動運転「レベル5」を実現するには、市町村道から農道、場合によっては私道まで網羅する必要がありますから、費用対効果的にとうてい見合わないものになるのではないかと思います。 これらのことを考えると、自動運転は高速道路の本線上と、特定のコミュニティ内を移動するシェアリングモビリティに限るというのが現実的であることがわかると思います。
Aug 8, 2019
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みなさん、こんにちは。毎日暑いですねぇ(^_^;)。 先日、モーターファンイラストレイテッド(MFI)の取材でトヨタ本社まで行ってきました。その際、新東名を使ってクルマで行ったのですが、所要時間は約4時間と、新幹線と変わりませんでした(電車だと、うちから東京駅まで1時間少々、名古屋駅からトヨタ本社までも同じくらいかかるんです)。 移動時間が短くなった理由のひとつは、新東名の120km/h制限化です。一部区間とはいえ、120km/h走行が合法化されましたから、その間だけでも20%の時間短縮になるんですね。CO2排出量削減の面とか、安全性の面(90km/hでリミッターが作動する大型トラックとの速度差が30km/hになる)とか、大型トラックが走行車線に連なっていると追い越し車線を延々と走らなければならないとか、走行車線と追い越し車線を行き来するのが煩わしいとか、「ホントにこれでいいのかな?」と疑問に思うことも無きにしも非ずでしたけど、まあ時間的な恩恵には与れたわけで(^_^;)。 さて、走行速度が高くなると、注意しなければならないのが、タイヤの発熱です。タイヤは路面に接すると変形し、離れると元に戻るということを繰り返していますが、これによって内部の分子が擦れ合わされ、熱が発生します。もちろん、タイヤの設計は発熱を見込んで行われていますから、空気圧が規定通りに入っていれば、特に問題は起こりません。 ところが、空気圧が規定値より少ないと、タイヤの変形量=発熱量が多くなり、最悪の場合バーストを起こしてしまいます。そして発熱量は、変形量が同じなら走行速度が高いほうが多くなりますから、高速道路の速度制限が引き上げられれば、バーストするリスクも増える、というわけです。 特に近年は、セルフ式のガソリンスタンドが増えたため、有人スタンドならスタッフが目視で気付いたようなケースが見逃されるようになり、バーストが増えているというデータもJAFの調査で明らかになっています。 ということで、お盆で帰省するみなさん、出発前に、タイヤの空気圧点検をしておきましょう。どれくらい入れればいいかは、国産車なら運転席のドアを開けて、ドアキャッチャがひっかかるあたりのボディを見れば、ステッカーで表示してあります(輸入車は左側だったり、ドアに貼ってあったりします)。セルフスタンドでも空気圧調整機を置いているところも少なくありませんから、そういうのを利用するか、「分からない」という人は、有人スタンドかディーラー、カーショップなどで対応してもらってください(作業をよく見て、この機に自分でできるようになっておきましょう)。 空気圧調整のポイントは、なるべくタイヤが冷えている状態でやることです。走り始めるとタイヤの温度が上がり、空気が膨張して空気圧も高くなりますから、なるべく近くのスタンド等で対応するのがいいでしょう。無理な場合は、指定空気圧より10%ぐらい多めに入れておくという方法もあります。 ということで、みなさん安全なドライブを(^^)/。
Aug 6, 2019
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みなさん、こんにちは。 前々回はホンダの電動パーキングブレーキの緊急停止機能について書きましたが、もしかするとそろそろ、緊急停止ボタンを規格化して標準装備すべき時期に来ているのかも知れません。 とはいえ現在のインパネ回りは場所の取り合いで、新たなスイッチを配置する余裕は無いでしょうから、ハザードランプスイッチを利用します(今のクルマはたいてい、助手席から手の届く場所に付いています)。 これを2段階スイッチとして、通常の操作ではありえない荷重で押し込むと(非常ベルのガラスを割るイメージ)、緊急停止ブレーキが作動するようにしておけばいいんです。配線は増やす必要がありますが、これならコスト増は最小限に抑えられますし、一度、教えてもらえば、すぐに覚えることができるのではないかと思います。 自工会で仕様を統一して、全車標準装備にすれば、安全性は間違いなく高まるのではないでしょうか。
Jun 27, 2019
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みなさん、こんにちは。 ここのところ当ブログでは、交通事故に遭いそうになった場合の緊急回避方法について書いておりますが、そうした中で「全力ブレーキなんて踏んだことないからとっさにはできない」という声をいただきました。それについては「技能試験の課題として急制動を入れるべきでは」という記事を書いたのですが、それだとすでに免許を持っている人は、全力制動を学ぶことができません。 ならば、そういうことを教えているところはないのか? といえば、いくつかの自動車メーカーが、教習所のそれとはまったく違うメニューの「安全運転講習」を行っているんです。今回はそうした中から、トヨタの交通安全センター「モビリタ」にうかがい、安全運転講習を受けてきました(妻が(^^;))。 メニューの詳細は「モビリタ」のサイトを参照いただくとして、運転席から見た死角の確認や、信号停止時の車間距離(緊急自動車が来たときに避けられるよう、クルマ1台分開けて止まる)や、ハンドル操作がしやすく全力ブレーキが踏める適正なドライビングポジションを学んだり、60km/h・80km/h・100km/hから濡れた路面で全力ブレーキしながら障害物をかわしたり、凍結路を模擬した路面でABSの有無を体験したりといった実践的なメニューが盛りだくさんで、取材を終わったときには「これ、免許持っている人は全員受講するべきだわ」と思ったくらいです(^_^;)。 しかも、失敗しても怒られません。自動車教習というと、教習所でいじめられた経験がトラウマになっている人も少なくないようですが、モビリタのインストラクターは基本的に怒ることはなく、失敗を論理的に指導してくれます(インストラクターは同乗せず、無線で指示を出します)。そして、うまくいったら褒めます(*^^*)。ですから心理的なプレッシャーを感じることなく受講できるんです。 でも、講習料って高いんでしょ? と思ったかた、定価は13,650円ですが、誕生日月とその前後(計3ヶ月)は、誕生日割り引きで半額(6,825円)になるんですよ。これ、誕生日のプレゼントにいいと思いませんか? 会場は富士スピードウェイなので、冬でもよほど運が悪くない限り、積雪で中止になることはないでしょう。ディーラーさんも新車購入時のサービスに付けるとかして、認知度向上を図るといいんじゃないでしょうか。 他のメーカーさんでも同様の講習を行っていますので、モビリタに限らず、ぜひ行きやすいエリアの講習を受けに行ってみてください。以下は「メーカー名+安全運転講習」で検索してヒットしたメーカー直営サイトです。漏れちゃったメーカーがあったとしても、他意はありませんのでご了承ください。ホンダ https://www.honda.co.jp/safetyinfo/center/マツダ https://driving-academy.mazda-fan.com/what.htmlダイハツ https://www.daihatsu.com/jp/csr/social/dealer/dealer03/qk2nl200000037yd.htmlJAF https://jafevent.jp/event/drive/
Jun 27, 2019
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みなさん、こんにちは。 昨日はホンダの新型車の取材に、栃木研究所まで行って参りました。 最近はこういう機会を利用して、安全担当者に「同乗者が踏み間違い暴走したら、助手席乗員には何かできることがあるか?」と聞くようにしているのですが、昨日は新しい事を知ることができました。 ホンダの電子制御パーキングブレーキには、緊急時停止機能があるんです。 今までパーキングブレーキと言えば、手で引いたり足で踏んだりして、その先に付いたワイヤーを引いて機械的に作動させるものがほとんどでしたが、近年はこれを電気モーターで行うようにした「電動パーキングブレーキ」が増えてきました。ホンダはこれを一歩進めて、緊急時には油圧ブレーキとESC(横滑り防止装置)まで動員して、安全にクルマを止められる機能を付けていたんです。 方法は、「走行中にパーキングブレーキスイッチを2秒以上、引き続ける」とのこと。これによってシステムが作動すれば、最大限の制動力が発揮され、ESCによって横滑りやスピンも発生せず、ハンドルも効いて危険回避できる可能性が高まる、というわけです。 「2秒は長いのではないか? エンジンストップ機能のように、細かく3回引きを加えても良いのではないか?」(60km/h出ていたら2秒間に約35m空走します) と突っ込んだら、「子どもがいたずらして引く可能性もあるので長めの時間設定にしている。パニック時には連続して引くより引きっぱなしになると思う」との返答でしたが、いたずらする学齢の子どもなら、リヤシートに座らせておけばいいし、助手席から手を伸ばせる体格になったら、言って聞かせればわかるでしょう。しかも、パニックの時に2秒間も引き続けるでしょうか? 2秒って、けっこう長いですよ。この機能を知らない場合、引いてみて「あれ、効かない?」と思って、カチャカチャやるんじゃないでしょうか? しかもいたずらで3回カチャカチャ引きするなんてまずないでしょうから、「3回引き」機能を入れておいても、何も問題はないと思います(たぶん1秒あれば3回引けます)。 もうひとつ驚いたのが、この件について、取扱説明書への記載がないこと。「N-BOX/(スラッシュ)やヴェゼルには、最初から導入している」とのことなのに、取説の電子制御パーキングブレーキの項にも緊急時の項にも、この件については触れられていないんですね。 せっかくの効果的な機能なのに、ユーザーが知る機会を与えられていないというのは、お互いにとって不幸なことではないかと思います(もしかすると他社にもこうした機能はあって、取説に記載されていないのかも知れませんが、他社については未確認です)。 ともあれそういうことですので、ホンダ車の電動パーキングブレーキ付き車にお乗りのかたは、ぜひこの機能を知っておいて下さい(他社については調査してお知らせします)。それから、停止状態で構いませんので「2秒とはどれくらいの長さなのか」を、ぜひ操作込みで体感しておいて下さい。追記メーカーに確認したところ、取扱説明書の表記はこれが相当するそうです(一度作動すると、引き続けなくてもブレーキは継続されるそうです)。シビックとヴェゼルの取説ですが、ちょっとわかりにくいですよね。ぜひ、もっと分かりやすく、かつ積極的にアピールして下さるようお願いします。機能の性格上、緊急停止の項に入れておいてもいいんじゃないでしょうか。
Jun 26, 2019
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みなさん、こんにちは。 前回の記事に「この施策が「成長戦略」の位置付けにあるあたりから、真の狙いが透けて見える」と書きました。率直に言うと、「安全装置の付いたクルマを高齢者に買わせて少しでも景気を改善したい」というのが、真の狙いなのではないかと僕は見ています。 実は過去にも、これと同じような政策が行われているんです。 「AT車限定免許」がそれです。 かつて普通自動車の運転免許は1種類しかなく、ATとかMTの区別はありませんでした。それが変わったのが91年11月で、このとき新たにAT車限定の免許が設定されました。 勧告を出したのは総務省で、理由は「AT車の事故が急増しているから、AT車の操作に習熟するための専用免許が必要」というものでした。 ところが、当時('89年のデータ)のAT車の普及率と事故率を調べてみたところ、乗用車に占めるAT車の登録割合が51.1%だったのに対し、AT車の事故率は42.7%と、普及率を下回っていたことがわかりました。すなわちAT車の事故が急増したのは、操作に習熟していなかったからではなく、単に台数が増えただけ(むしろ台数の増加率より少ない)だったんです。 しかも、AT限定免許の教習課程は、従来の教習課程からクラッチ操作の習得時間分である3時間を減らしただけで、「ATの操作に習熟するためのカリキュラム」が追加されたものではありませんでした。要するに真の目的は「これまでクラッチ操作ができずに免許を諦めていた人にも免許を取らせ、もっとクルマが売れるようにする」ということだったんですね。 一方で、交通事故件数の推移を見てみると、'89年までは右肩上がりに増加してきたのが、'90年にいったん減少に転じ、それ以降はまた上昇を続けています。特に'98年から'01年にかけて上昇カーブが急激になり、以降は前年維持から減少トレンドへと変遷していきます。 AT限定免許新設は'91年11月ですから、これによる事故削減効果は、まったくなかったと言うことです。むしろAT限定免許取得者が一定数を超えたであろう'98年から上昇率が高まっているあたりを見ると、逆効果であった可能性さえうかがうことができます(AT限定免許ができてから数年間は、若い人は馬鹿にして選択しなかった)。 この話は'00年に上梓した自著にも書いたのですが、その際、総務省に「この施策の効果はいかほどあったのか」と問い合わせたところ、「そういう調査はしていない」という回答をいただきました。すなわち「事故防止効果があったかどうかは最初からどうでも良かった」ということです。 MT車の運転操作には、クルマを運転する際の基本となる「認知」「判断」「操作」が詰まっています。ですからMT車が運転できない人は、この点で適格性を欠いている可能性があります。批判をおそれずに言えば、AT車しか運転できない人は「本来なら運転すべきではない人」なのかも知れません。 今回の「75歳以上限定免許」も、同様なことが言えないでしょうか? 緊急対応用の機械でカバーすることを前提にするほど運転技能が低下した人は、本来なら運転を止めるべきであって、機械でカバーしてまで運転を続けさせるというのは、アプローチの仕方として間違っているのではないでしょうか。もし、安全装置が作動しなかったことが原因で事故が発生したとしたら(現在の安全装置は基本的に「補助装置」ですから、100%作動を保証しているものはひとつもありません)、それにお墨付きを与えた行政も、何らかの形で責任を取るべきではないでしょうか。 制度の新設には法改正が必要となるはずですから、条文には「事故が発生した場合の行政の責任」も明記しておくべきだと思います。
Jun 12, 2019
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みなさん、こんにちは。 政府は75歳以上のドライバーに対し、緊急時自動ブレーキや踏み間違い防止システムなどが装備されたクルマにだけ乗れる限定免許の導入に向けて検討を開始したようです。 でもこれ、安全装置のレベルが現在と同じなら、少しも安全性は高まらないどころか、高齢者が免許を維持することにお墨付きを与えるようなもので、返納する人が減って事態を悪化させるのではないかと思います。何しろ現状でも、安全装置付きのクルマでも事故は発生していますし(市原市の事故がそうです)、度々書いているように、現在の安全装置のほとんどは、アクセルを深く踏んだら「ドライバーが回避行動を起こした」として解除されますから、アクセルをブレーキだと信じて思い切り踏み込んでしまう踏み間違い事故には効果を発揮しません。 では、どうすれば良いのか? といえば、「高齢者の特性に合わせた安全装置を装備したクルマ限定」にするというのが、ひとつの解決策です。例えば、キックダウンスイッチ式の暴走防止装置を付けるとか、アクセルを深く踏んでも安全機能が解除されないようにするとか、衝突軽減ブレーキ用のカメラで道路標識を読み取り、制限速度よりスピードが出ないようにするとか、逆走したら強制的にクルマを止めるとか(どれも現在あるハードウェアで可能です)。 ただし、「そういうクルマに買い換えなけらばならない」という大きな問題が残ります(ソフトの書き換えで対応できる可能性もありますが)。年金支給額が減って「老後に備えて2000万円貯めとけ」と言われている現在、75歳でクルマを買い換える余裕がある高齢者は、今後、減ることはあっても増えることはないでしょう。すなわち、ルールだけ作っても「絵に描いた餅」になる可能性が高いんですね。(この施策が「成長戦略」の位置付けにあるあたりから、真の狙いが透けて見えるような気がしますが) それならむしろ、「自分で運転しなくても生活できる仕組み」を作ることを考えたほうが良いのではないでしょうか。手っ取り早いのが、タクシーの利用です。タクシー利用にもお金はかかりますが、クルマの維持費と比較してどうなのか、ちょっと計算してみました。クルマを軽自動車として、10年で償却すると想定しています。車両購入費用 120,000円/年(購入価格1,200,000円)自動車税 10,800円重量税 5,700円/年自賠責 10,985円/年自動車保険 40,000円(安めに見積もっています)ガソリン代 21,000円(年間走行距離3,000km、燃費20km/l、ガソリン単価140円)オイル代 5,000円車検整備等 30,000円合計 243,485円 これに駐車場を借りていたら、それが上乗せされますが、それがなくても年間約25万円の費用がかかることになります。 これを例えば、1回1,000円のタクシー利用(約2.8km)の何回分に当たるかを計算してみると、250回になるんですね。もっとも、行ったら帰ってこなければなりませんから、往復では125回ということになります。そこで行政が補助をして「高齢者のタクシー料金半額」とすれば、片道2.8kmの利用を年間250回できることになります。 年間250日といえば、サラリーマンの出勤日数に相当しますから、ここまで利用する高齢者はまずいないのではないでしょうか。片道利用の距離が5kmぐらいになっても100回以上、利用できますから、かなりの人をカバーすることができるのではないかと思います。 ただしそうなると、タクシーの供給不足が生じることになるかも知れません。しかし、通院や買い物であれば、生活パターンは決まっているでしょうから、特定のタクシー会社と年間スケジュールを組んで、複数の人が時間をずらして合理的に利用できるようにするという方法もあります(IT技術の出番です)。 あるいはUberの配達員のように、手の空いている一般の人が参入できるようにするのも良いのではないかと思います(○年間無事故無違反で75歳以上の送迎限定とか、安全運行のための条件付けは必要になると思いますけれど)。 ということで、新しい免許制度を作って高齢者の運転にお墨付きを与えるより、「自分で運転しなくても済む環境を整える」と言う方向でアプローチしたほうが良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
Jun 12, 2019
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みなさん、こんにちは。 プリウスの事故率についての記事を書いたら、旧知の損保代理店社長が最新の料率表を送ってくれました。それを見ていたら、いろいろと興味深いことが浮かび上がってきたので、それについて書いておこうと思います。 まず、同じ名前を持つモデルでも、保険料率は「型式」ごとに分かれていることを知っておいて下さい。現行型プリウスには、「50型」「51型」「52型」「55型」の3種類があります。50型は2WDでニッケル水素電池搭載、51型は2WDでリチウムイオン電池搭載、52型はプラグイン・ハイブリッド車で、55型は4WD、という違いがあります。 また、保険料率ランキングは「対人」「対物」「搭乗者」「車両」に分かれています。このうち「搭乗者」は、人を乗せていたかどうかという、あまり事故原因に関係なさそうな要素に左右されます。また「車両」とは、自車の損傷を治すときに使うものですから、軽微な傷は保険を使わない(次年度の等級が上がる)という選択をする人もいます(逆に法人需要の多いモデルや外国製高級車はランクが高い傾向があり、ベンツSクラスは8か9)。ということで、後2者は実際の事故件数を反映していない確率が高そうなので、料率クラスは「対人」と「対物」を比較対象にするのが適当であると考えました。 改めて書いておきますと、料率ランクは1〜9段階に分かれており、「4〜5」なら並、「6」は少々悪い部類ですが他車型にいくらでも例があり、「7」になって初めて「有意に悪い」という感じでです(トヨタ車では2モデルのみ)。国産車で「人身」のランクがもっとも悪いのは「8」で、旧型のホンダ・レジェンドが唯一です。 というのを前提にして、型式別に料率を見てみると、けっこうな差があることが分かりました。 ついでに30型(先代)と20型(先々代)のデータも並べておきましょう。 当年 前年 対人 対物 対人 対物55型 2 3 3 352型 3 3 4 351型 6 3 5 350型 4 5 4 530型 5 5 5 520型 6 5 6 5 まず、ひと目でわかるのは、「55型(4WD)が特異に低い」ということです。このことから言えるのは……すいません良くわかりません(^_^;)。4WDが売れるのは降雪地域ですから、可能性として考えられるのは「都会より歩行者や交通量が少ない」ということで、交通量が少ないから事故が起こりにくい、といったあたりが理由でしょうか。でも日産ノートは、駆動方式の違いで料率には差はないんだよなぁ(^_^;)。 52型(プラグイン・ハイブリッド)も明確に低いですね。これは自宅に充電設備が必要なので、戸建て住宅に住める高所得者=年配であっても高齢とまでは言えない層の購入比率が多いのではないかと思います。 もうひとつ気付くのは、「51型より50型のほうが、対人が低く対物が高い=人身事故が少なく物損事故が多い」ということです。ハードウェア上の違いは、ハイブリッドシステム用のバッテリーの違いですが、「出力性能には違いが出ないようにしている」ということなので、これは要因ではないでしょう。 では、何に注目すべきかというと「グレード」です。 プリウスは昨年末のモデルチェンジで、2WD車は全グレードが「51型」になり、50型は無くなりました。50型というのは、一般ユーザーを対象としたモデルの中でも(法人向けにEというグレードがある)廉価仕様で装備が簡素です。安全運転支援システムである「トヨタセーフティセンスP(当時)」は標準装備されておりません(オプションでは付けられます)。その分、上の「A」グレードと較べて約30万円安価でした。 となると、どちらかと言えば「運転に自信があって、装備は豪華でなくてもいい若い人」の購入比率が多いのではないかと考えられます。 一方、上級の「A」および「Aプレミアム」グレードは、購入資金に余裕があり、安全装備が付いていることの安心感を求める=比較的年配のユーザーが多いのではないかと考えられます。 さらに、20型と30型を見てみると、対人/対物いずれも50系より高めであることが分かります。20/30型は、古いからユーザーが高齢化しているはずで、そのあたりの影響があるのかも知れません。 これらのことから言えるのは、やはり「年齢の影響を否定することはできない」ということではないでしょうか。 ちなみにトヨタ車で料率ランクが優秀なモデルは、ノア/ヴォクシーの1〜4、悪いモデルはレクサスLSの「4〜6」です。前者は「ドライバーが若くて子どもが乗っている機会も多いので安全運転」と言えるのではないかと思いますが、法人需要も多い後者の対人がほとんど「6」と悪いのは、理由が思いつきません。ユーザーの高齢化が言われているクラウンは、2.5L車の対人がおおむね「4」であるのに対し、3.5L車が「5〜6」という特徴がありました。なんとなく分かるような気がしますが、年齢との因果関係は、ここからだけでは読み取れませんね。 ということで、引き続き考察と調査を続けていこうと思っております。
Jun 11, 2019
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みなさん、こんにちは。 前回の記事には非常にたくさんのアクセスをいただき、またシェアをして下さったかたも多かったようで、大変感謝しております。 同時にいろいろな意見もいただいておりますので、いくつか書いておきたいと思います。 まず「エンジンを止めるよりNに入れるほうが先ではないか。マニュアルにもそっちが先に書いてある」というもの。これは確かにそうかも知れません。ボタンを連打するとか長押しするよりも、素早く駆動力を絶つことができます。 ただ、ギヤが入った状態でエンジンを止めれば、エンジンブレーキを利かせることができるんです。Nだと空走するだけですが、エンジンを止めれば減速するんです。一方で、エンジンが止まるとステアリングのパワーアシストが効かなくなりますが、あれはもともと駐車時のハンドル重さを解消するためのもので、大抵のクルマは30km/hぐらい出ていればハンドルは問題なく切れます。 いずれにしても、これはどちらがより良いのか、各メーカーに確認してみようと思います。 また、「エンジンを止めるより、シフトダウンしたほうが良いのではないか」という意見もありました。でも、アクセル全開で暴走しているということは、ギヤはすでに1速か2速に落ちているはずで、それ以上シフトダウンすることはできないのではないかと思います。1速に入ったとしても、60km/hぐらいは出てしまいますし、ある程度の速度が出てしまったら、シフトダウンを受け付けないクルマも多いです。 「ハンドルの右側のスイッチを助手席から操作するにはシートベルトを外す必要がある。そんな危険な行為を推奨するな」というご意見もいただきました。でも、僕は「シートベルトを外してまでやれ」とは書いていないですよ。「難しいかも」と書いているのは、むしろシートベルトをしているのが前提です。でも、クルマが軽自動車で、体格の大きい人が助手席に乗っていたら、あながち不可能ではないから「無理」ではなく「難しい」という表現をしています(僕は軽自動車ならシートベルトしたまま届きます)。 「サイドブレーキを引いたらスピンをする」というのもありました。でも、ハンドルを切らない状態でスピンをしたとしても、その後は慣性力に従って、その直前まで進んでいた方向に滑っていくだけです。少しでも減速すれば、衝突エネルギーは2乗に比例して少なくなりますから、「引くべきではない」かどうかは断定できません。しかも「余裕があったら」って書いてますよね。これは「サイドブレーキを冷静に操作できる余裕があったら」という意味ですから、ロックしない範囲でコントロールすればいいじゃないですか。 それから、ドライバーに対して「それはアクセルだ、足を上げろ、ブレーキを踏め!」と声をかけ、踏み間違いに気付かせることを優先すべきだ、という意見もいただきました。確かにそれができれば理想的でしょうけれど、高齢者にそれができると考えるのは、少々楽観的に過ぎると僕は思います。 池袋の事故でも、最初にガードレールに接触した直後、奥様が「危ないよ、どうしたの」と声をかけていたことが、ドライブレコーダーの記録に残っていたそうです。しかし、それに対してドライバーは「ああ、どうしたんだろう」と答えただけで、踏み間違いである可能性にはまったく考えが及んでいません。もっと具体的に指示をすれば、気付いた可能性は高まるかも知れませんが、言われて気付くくらいなら、ブレーキを踏んで(いるつもりでアクセルを踏んで)加速した段階で気付くと思うんですよね。 福岡の事故は記録も残っていませんし、残念ながらお二人とも亡くなられていますので、どのようなやりとりがあったかはわかりません。しかし、1km近く暴走していますから、その間、奥様が無言だったということは考えにくく、なにがしかの方法でドライバーに働きかけていたと思うんです(「奥さんはシートベルトが外れて床にうずくまっていた→ドライバーの足をアクセルから外そうとしていたのではないか」という情報もあるようです)。にもかかわらず、暴走が止められなかったということは「踏み間違い暴走を始めてしまった高齢者を正気に戻すのは期待すべきではない」と考えるべきでしょう。 池袋の事故を分析した元警察庁科学警察研究所の伊藤安海山梨大学大学院教授も、「とっさのときにはペダルを踏むことより、踏んでいるペダルから足を外すことのほうが難しくなる。特に高齢者は、何かをするよりも、している行動を中断して違うことに切り替えることのほうが難しい」と分析しています。 また、最初に声をかけたとしても、正気に戻るまでは多少の時間がかかるでしょう。仮にそれが2秒だとすると、80km/h出ていたら44m進んでしまいます。池袋の事故では、最初の人が撥ねられてから2人目の母子が撥ねられるまで40mほどしかなかったようですから、声をかけても間に合わなかったでしょう。(エンジンスタートボタンも「長押し」より「連打」のほうがいいのかも知れません) ですから大前提として「高齢ドライバーはいちど暴走を始めたらアクセルを踏み続ける」として、対策を考えたほうが良いのではないかと思います。 いずれにしても、僕は自分が書いた方法をみなさんに「強制」するつもりはありません(「推奨」はします)。「こういうことができる」という情報を提供し、あとはみなさんの判断で、ご自分のクルマの特性に合わせた方法を選択してくださればいいんです。それが「操作を間違えたら人を殺めるかも知れない機械」を利用する人の責任です。
Jun 8, 2019
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みなさん、こんにちは。 池袋と福岡で、相次いで暴走事故が起こったのはご存じの通りですが、どちらも助手席に奥様が乗っておられたようですね。いずれも暴走を開始してから衝突して止まるまで、そこそこの時間があったようですから、さぞかし怖い思いをされたことでしょう。 さて、そこで注目していただきたいのが、「助手席の乗員に、できることは無かったのか?」ということです。 以前にもブログに書いたことがありますが、最近のクルマには、緊急時にエンジンを強制的に止めるロジックが組まれています。エンジンスタートボタンを短時間に連打するか、長押しするかで、エンジンを強制停止することができるんです(自分のクルマがどうであるかは、ディーラーに聞くか、車検証と一緒にしまってある取扱説明書を読むか、取扱説明書をweb検索して下さい)。 もしあなたが助手席に座っていて、ドライバーが明らかに暴走を始めたら、エンジンスタートボタンを連打するか長押しするか(所定の手順に従って操作)してください。とりあえずエンジンは止まりますから、それ以上は加速しなくなります。ハイブリッド車でも電気自動車でも、システムがシャットダウンしますから、モーターの通電が止まって加速はしなくなります。(可能であれば、タイヤをロックさせない範囲でサイドブレーキも引いて下さい) エンジンスタートボタンがハンドルの右側に付いていたりした場合、ちょっと難しいかも知れませんが、ハンドルより左に付いているクルマにお乗りなら、ぜひ覚えておいていただきたい対策です。 ただし、従来型のキーシリンダー方式の場合は注意が必要です。ACC位置で止めずに完全なOFF位置にしてしまうと、ハンドルロックが作動して操舵が効かなくなりますから、冷静にACC位置で止めないと、逆に悪い結果を招くことになるかも知れません。 スタートボタンが右にあるクルマでも、「シフトレバーをニュートラル(N)に入れる」という方法がありますので、合わせて覚えておき、できればシミュレーション練習しておいていただきたいと思います(直進式レバーなら、前に向かって叩くだけです)。 書いていて気付いたのですが、エンジンスタートボタンは、助手席からも手の届く範囲に配置するよう統一するべきなのかも知れませんね。 えーとそれから、上記の件は、ドライバーにも覚えておいていただきたいです。踏み間違いして(いるとは本人は思っていない)暴走した場合、ボタン連打でエンジン止めるか「N」に入れるかできれば、それ以上の加速は阻止できます。池袋の事故なんて、同乗者と「アクセルが戻らないんだ」なんて会話ができていたぐらいですから、ドライバーがこれを知っていれば、暴走は自分の操作で止められた可能性があるんじゃないかと思います。 ていうか、緊急停止ロジックは、本来、ドライバーが対応するためのシステムなんですよね。↓プリウスの取扱説明書より。
Jun 6, 2019
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みなさん、こんにちは。 ここのところまた、「プリウスの事故が多い要因はこれだ!」みたいな動画がシェアされてくるのですが、どれも説得力に欠けるものばかりです(シフトパターン要因説については、以前に書いたとおりです)。 というより、そもそも「プリウスは事故が多い」というのは事実なんでしょうか? 確かに、おおっぴらに報道される高齢者の事故では、第一当事者がプリウスであることが多いという印象はありますが、それを客観的に証明するエビデンスを、僕は見たことがありません。 そこで、自動車保険の保険料率に注目してみました。保険適用実績≒過去の事故件数によって、保険料のランキングが1〜9の段階で変動するように設定されたもので、事故が少ないものほど小さい数字になっています。 それを検索してみたところ、下記のサイトが見つかりました。2018年版:自動車保険料率クラス一覧「新車販売ランキング50車と過去10年販売計216車 これを見ると、プリウスの保険料率は、年式や事故形態に関わらず、大雑把に「5〜4」であることがわかります。すなわち「全モデルの中でもほぼ平均的」だということですね。これは「保険適用車」の統計なので、無保険車や軽微な事故で保険を使わなかったケースは含まれていませんが、プリウスを新車購入するような高齢ドライバーなら損害保険ぐらい入るでしょうし、人身事故なら警察への報告義務がありますから、「人身」については信頼性は高いと思います。 一方で、レクサスLSやハイエースワゴンを見て下さい。計算するまでもなく、プリウスより大きな数字になっていることがわかります。でも、こういうクルマの事故が多いと騒がれないのは、どうしてなんでしょうか?(日産GT-Rやトヨタ86が低いのは意外でした)
Jun 5, 2019
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みなさん、こんにちは。 福岡でまた高齢者の暴走事故が起こりましたね。歩行者が亡くならなかったのが不幸中の幸いでしたが、逆走されたドライバーはさぞ恐ろしい思いをしたことでしょう。今回の事故、状況証拠から推測すると、「追突に驚いてブレーキを踏んだつもりが、踏み替えに失敗してアクセルを踏み続けた」のではないかと思います。 実はこういう事故形態、僕は以前から危惧していたんです。というのも、新型車試乗会に招かれるたびに、アクセルペダルよりブレーキペダルのほうが明らかに高いクルマが増えてきていると感じていたからなんですね。 で、そのたびに、「ブレーキペダル、高すぎないですか?」と聞いていたのですが、返ってくる答えはほとんど「段差をはっきり付けることで、踏み間違いが起こりにくいようにしました」というものでした。そこで僕は「それって逆に、踏み換えしにくくなるんじゃないですか?」と突っ込んでいたのですが、当人たちは踏み間違い防止効果があると、自信を持っているようでした。 ちなみに今日の東京新聞に、高齢者のペダル踏み間違い事故について書かれていたのですが、「高齢者は大腿の筋肉が弱るので、アクセルから脚を持ち上げているつもりでも上がりきれないこともある」旨の記述がありました。 僕はこちらを支持します。 ていうか、やっぱりATのブレーキペダルは左足で踏むか、65歳過ぎたらMT限定にするべきだと思いますわ。ついでに初心者ドライバーも、2年間はMT限定にするとかね。
Jun 5, 2019
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みなさん、こんにちは。 アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置は、アクセルペダルを全開にしてしまうと解除されるという話は、以前から書いてきている通りですが、今回は「なぜそうしているのか」と「ほかに良い方法はないのか」ということについて、考えてみましょう。 踏み間違い防止装置の多くは、超音波やカメラセンサーで障害物を検知して、その方向にギヤが入っていてアクセルペダルが急激に踏み込まれても、エンジン出力を上げず(一般的な高さの車止めを乗り越えられない程度の出力に抑える)、必要に応じて自動ブレーキを作動させる(作動させないものもある)システムです。 一方で、こうしたシステムのほとんどは、アクセルペダルを全開にすると、解除になってしまいます。想定されているシチュエーションは、「踏切に進入して遮断機が閉まってしまった場合、解除しないと脱出できない」というもので、それを聞いてしまうと、「やむを得ないかも」と思うかも知れません。 かつては「アクセルが全開になってから数秒後に完全解除」というロジックの製品もありましたが、最近は「徐々に出力が上がるようにする」というものや、「解除はするが、遮断機の棒を押しのけられるレベルまでしか上げない」という方向に変わってきました。僕が指摘し続けてきた効果があったのかどうかはわかりませんが、これは好ましいことだと思います。 ただし、最新の誤発進防止システムを備えたクルマでも、相変わらず暴走事故を起こしています。これらのことを考えると、「アプローチの仕方が間違っているのではないか」と考えざるを得ません。 僕が以前から提案しているのは、アクセルペダルの「キックダウンスイッチ方式」です。かつては欧州車を中心に、アクセルペダルには「キックダウンスイッチ」というものが付いていました。アクセルペダルの奥にスイッチが付いており、それを踏み越えると、ATのギヤが1段低くなり、加速力が強くなるという装置ですが、アクセルペダルのセンサーが高精度化したことから、最近は採用されなくなっています。 ブレーキとアクセルを踏み間違えている人は、アクセルペダルをブレーキペダルと信じて踏んでいるわけですから、クルマが暴走を開始すれば、ペダルを力の限り踏み込むはずです。となれば、キックダウンスイッチは踏み抜くわけで、それを合図に出力を絞り、自動ブレーキを作動させれば、踏み間違い暴走は確実に防ぐことができます。 この話は、この手の装置が出てきた当初から提案させていただいているのですが、ほとんどの開発者のかたが「意図的に全開にしなければならないシチュエーションもあるので、それは難しい」と答えます。しかし「意図的に全開にする」必要があるほど冷静に対処できているなら、キックダウンスイッチを踏み抜いて出力が落ちても「あ、そうだった」と対応できるはずですし、事前にロジックを把握しておけば、そもそもそこまで踏み込まずに対応できるのではないかと思います。 踏切に閉じ込められるケースでも、閉じ込められたということは、前にはクルマが詰まっていて直進はできないはずですから、いきなり全開にすることはなく、対向車線などクルマが入り込める隙間に向かってハンドルを切り、慎重にアクセルを踏むのではないかと思われます。 「軽の無過給エンジン車のように、高速の合流や急坂では全開にする必要があるクルマもある」とおっしゃるかたもいましたが、それはキックダウンスイッチの踏み抜き荷重の設定でコントロールすればいい話です(意識下にある全開加速とパニックブレーキでは、踏み込み荷重はぜんぜん違うはずです)し、あくまで運転車のミスをカバーするための装置ですから、「付けない(現状と同じシステムで対応する)」という判断があってもいいはずです。 中には「治安の悪い国で、暴漢に襲われて全開で逃げなければならないケースもある」という(珍)回答をした開発者のかたもいましたが、それは治安の問題であって、交通安全の問題ではありません。全開で逃げたら事故を起こして、暴漢からは逃げられたけど、他の人を轢き殺してしまった、などというケースも考えられますから、これはもはや屁理屈の部類だと思いますが、理不尽な訴訟を起こされる某国のことを考えているのかも知れません。 ともあれ「できない理由」を考えるのではなく、「どうすればできるか」を考えていただきたいと思います。
May 19, 2019
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みなさん、こんにちは。 大津の園児死亡事故に関して「危険回避にはハンドルよりブレーキ」という話を書いたら、「急ブレーキなんかかけたらスピンする」「かけたことがないからとっさにはできない」という声を、思いのほかたくさんいただきました。 でも、今のクルマはABS(アンチロックブレーキ)が付いていますから、ハンドルを切らずに急ブレーキをかけても、スピンなんかしません。しかも一般道であれば、スピードは出ていても60km/hです。雪道ならともかく、舗装路でハンドルを切りながら急ブレーキをかけたところで、せいぜい半回転するのが関の山でしょう。しかも、ブレーキがかかっていれば、その間に減速して止まります。ハンドルを切って、減速しないまま路外に飛び出すよりも、はるかにマシです。 「急ブレーキを踏めない」というのも深刻な問題です。 でも考えてみれば、クルマの教習課程や検定試験に「急制動」ってないんですよね。 これが自動二輪になると、小型なら30km/hから、中型以上なら40km/hから一定距離で停止するという課題が入ってきます。この試験、クルマの免許取得課程にも導入すべきではないでしょうか? 現在のクルマはABSやESC(電子制御横滑り防止装置)が標準装備されていますから、ブレーキペダルを思い切り踏めばいいだけで、技術的な難易度はほとんどありません。でも「全力制動した」という経験があれば、いざというときに躊躇なく踏むことができるようになるはずです。 それでは、すでに免許を持っている人はどうすればいいでしょうか? 多くの自動車メーカーが、急ブレーキやスピン体験などを含む安全運転講習を有料で開いていますから、こういうのを受講するのも良いと思いますが、できれば免許更新時に、最寄りの教習所で体験できるようにして、それを更新の条件にしたら良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
May 17, 2019
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みなさん、こんにちは。 またしてもクルマが幼稚園児に突っ込むという事故が起こってしまいました。身を挺して園児をかばった保育士さんの勇敢な行動に敬意を表し、1日も早い回復をお祈りいたします。 さて、今回の加害車両がプリウスだったことから、またぞろ「シフトパターンが悪いのではないか」という意見が出ているみたいですが、これ、間違ってますから。詳しくは以前にも書いたので繰り返しませんが、同じパターンを使用しているクルマは他メーカーにもたくさんあります。しかし、そういうクルマの事故が多いという話は聞きません。特に今回の事故の場合、状況を考えるとシフト操作そのものが行われていないでしょう。 プリウスが特に危険なのかというのも、保険料率を調べてみれば、必ずしもそうではないことがわかります(保険料率は、過去の保険適用実績=事故確率によって決まります)。対人事故の等級は「6」と、平均よりやや悪いとは言え、同じく高齢ドライバーの多いクラウンが「7」ですから、「特異に悪い」と言うことはできないと思います。 では今回の事故原因はなにかと言えば、どう考えてもブレーキとアクセルの踏み間違いとしか思えません。加害者は「アクセルを踏んだ覚えはない」と言っているそうですが、「踏み間違い」とはそういうものです。踏んだ覚えがあるなら、それは意図的な危険運転行為です。この点は、いずれイベントデータレコーダー(航空機のフライトレコーダーと同様のもので、今のクルマならほとんど付いています)の解析で明らかになるでしょう。 もうひとつ注目したい証言は、「駐車料金を支払うためにチケットを取ろうとした」ということです。これ、踏み間違いを起こす典型的な動作なんですね。通常の運転操作とは違う体の動きになりますから、腰の位置がズレて、足とペダルの位置関係が、無意識のうちに変わってしまうのです。これでブレーキを踏む力が弱まれば、クルマはクリープで動き出し、ビックリして踏み直したらアクセルペダルだった、というのが、踏み間違い事故の典型的なパターンです(神戸のバス事故はたぶんコレです)。 このように、直接的な事故原因はドライバーの不注意にありますが、コインパーキングの料金決済システムが、クルマに乗り込む前にできるようになっていたら(停止板昇降方式)、起こらなかった事故ではないかと思いますので、可能ならこの部分の改修もしたほうがいいでしょう。 それからもう1点。今回も、誤発進防止装置や自動ブレーキ装置は作動しなかったようです。(最終的に人を検知して作動したけれど間に合わなかった、という可能性は担保しておきますが) このタイプのプリウスは、前期型に「トヨタセーフティセンスP」後期型に「トヨタセーフティセンス」の新世代版が付いており、いずれも誤発進抑止機能(パーキングブレーキサポート)が付いています。しかしこれは、超音波センサーを使って障害物を検知する方式なので、検知距離はせいぜい3mぐらい。コインパーキングの出口には障害物はありませんし、道路の反対側のポールまでも3m以上あったみたいですから、作動しないのは「仕様」です。 ならばレーダー&カメラ式の緊急自動ブレーキ(プリクラッシュブレーキ)はどうなのだ? と言えば、前方の障害物は背の低いポールとレーダー波を反射しにくい金網ですから、これもレーダーやカメラでは検知/識別するのが困難な物体です。トヨタの取扱説明書にも、ちゃんとその旨が書いてあります。特に、「ドライバーがアクセルを全開にしたりハンドルを切ったりすると解除になる」旨も書いてありますから、これも装置の欠陥ではなく「仕様」です。 ということで、みなさんも停止中に「普段と違う動き」をするようなケースでは、シフトは必ず「N」か「P」に入れ、パーキングブレーキを引くことを強くお勧めしておきます。特に体格の小柄なかたは、ペダルから足が離れやすいので注意して下さい(この事故のドライバーの身長がどれくらいだったのかも、興味のあるところです)。プリウスの「取扱書」より転載↓
May 17, 2019
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みなさん、こんにちは。 標記の事故の本質的な問題点がインフラ側にあることは、昨日のブログで書いたとおりです。短期的な対策としては、車道と歩道を明確に分離する構造物の設置を推奨しましたが、もうひとつ考えたいのが、ラウンドアバウト式交差点への改修です。 ラウンドアバウト式交差点がどういうものかは、キーワード検索していただくか、こちらの動画を観ていただいたほうが手っ取り早いので、詳しい説明は省きますが、交差点を駅前ロータリーのようにしてしまい、信号を廃止していつでも曲がれるようにしたもののことで、諸外国では「安全で効率の良い交差点」として導入が進められています。 安全面におけるメリットとしては、まず対面交通がなくなるため、正面衝突が起こらないということ。日本のような左側通行の場合、ラウンドアバウト内は時計回りの一方通行となりますから、交差点進入時には右からしかクルマは来ません。ですから基本的に、右から来るクルマにだけ気を配って交差点に進入すればいいわけです。 また、ラウンドアバウト進入時には、必ず減速していますから、仮に衝突したとしても、その規模は小さくて済みます。衝突形態も基本的に「斜めから」となりますので、今回のような歩道に突っ込むような事故は激減するでしょう。 「災害に強い」というメリットもあります。落雷や地震、航空機の墜落(実家の近くで実際にありました)などで停電が発生すると、信号は消えてしまいます。東日本大震災の際にも、各地で混乱が起こりましたが、ラウンドアバウト交差点ならば、そうした心配は不要です。信号のメンテやランニングコストもいらなくなりますから、公費の削減にもなるでしょう(交通官僚の天下り先となっている信号関連会社は面白くないでしょうけどね)。 エコロジーという点でもメリットはあります。交差道路にクルマがいなければ、信号待ちや一時停止する必要はなくなりますから、アイドリングや発進加速時の燃費節約になります。特に、変則四叉路や五叉路以上の道路では、信号待ち時間が長くなりがちですが、ラウンドアバウトならば、交通量に合わせて自由に動けるので合理的と言えます。 利便性という点では、Uターンのしやすさが挙げられます。現状では対面通行に気を遣いながらUターンをするか、Uターンそのものが禁止されている交差点も少なくありませんが、ラウンドアバウトならひとまわりしてくるだけで、いつでも安全にUターンできます。例えば自分のいる車線と反対側にある商業施設に右折で入れないような場所では、便利になるのではないかと思います。 もちろん、考慮しなければならないこともあります。 まず、信号がなくなるため、クルマ側が道路交通法第38条「横断歩行者等妨害違反(普通車は違反点数2点、反則金9000円)」を忠実に守らないと、歩行者がなかなか横断できなくなる、ということ。もっとも逆に考えれば、同法を周知する良い機会と捉えることもできますが。 また、ラウンドアバウト進入時には必ず減速する必要がありますから、交通量が多くなってくると、そこを起点に渋滞が発生することも考えられます(国交省では「1日総流量1万台以下の交差点」としています)。信号機であれば、交通需要に応じた時間マネージメントをすることで、交通量の多い側の青信号時間を長くするなどの対応ができますが、ラウンドアバウトではそれはできません。ですからラウンドアバウト交差点は、比較的交通量の少ない生活空間道路に向いていると言うことができます(バイパスでも立体交差の下にラウンドアバウトを作ったら面白いかも知れませんが)。 構造的な問題としては、「交差点の専有面積が大きくなる」というものもあります。ラウンドアバウトは、不必要に速度を落とさなくて済む程度の曲率で作らないと効率が下がりますから、どうしても専有面積は広くなってしまうのです。もっとも、右折車線を独立して作る必要がなくなりますから、その点を相殺して考える必要はあるでしょうけれど。 ユニバーサルデザインという点からは、「視覚障害者が渡るタイミングを計りにくい」という問題が生じます。現在ならば、信号機から出る誘導音によって、信号が何色になっているかが判断できますが、ラウンドアバウト交差点では、それができなくなります。進む方向は点字ブロックで示せるとしても、クルマが止まってくれるかどうかはわかりませんから、自分で安全を判断することができなくなってしまいます。もっともこのあたりの注意義務はクルマ側にあるわけで、その点でも道路交通法38条の周知は必須となります。 実はこのラウンドアバウト式交差点、日本でも2013年の道交法改正を機に法的定義が明確化され、導入に向けて動き出しており、導入された交差点では事故削減効果などが確認されています。今後の普及に期待したいところですが、典型的日本人のメンタリティを考えると、否定的な意見が出てくることも想像できます。 まず、「やったことがないからできない、危険」。こういう意見は、僕がATの左足ブレーキを推奨したときにも出てきました。でもこれ、変ですよね。やったことがないのであれば、できるかできないかは「わからない」であって、この段階で「できない」と判断するのは間違っています。やってみてできなかったとしても(左足ブレーキのときにも出てきた意見です)、最初からうまくいかないのは当たり前のことで、「どうすればできるのか」を考えなければ、新しいことは何もできません。 もうひとつは、「信号がないのは不安」。日本人は規則に判断や責任を預け、自分ではそれらに関与したがらない傾向にあります(と僕が勝手に思っているだけかも知れません)が、信号のないラウンドアバウト交差点では、判断と責任のすべてはドライバーに委ねられることになります。ですから精神的な面で、拒絶感を覚える人も少なくないのではないかと思います。 しかし、最近では、首都高速やバイパス道路などの合流時には、アイコンタクトやウィンカーの合図などで、一台ずつ交互にスムーズに合流できるドライバーが増えてきています。それを考えれば、ラウンドアバウト交差点の特性に慣れるに従い、あうんの呼吸でうまく運用できるようになるのではないかとの期待も持てます。言葉によらないコミュニケーションは、むしろ日本人の得意とするところですから。 クルマ同士やクルマと歩行者を四角い関係で隔絶するのではなく、丸い関係で和(輪)を保つと考えれば、むしろ日本的とさえ言えるかも知れません。
May 12, 2019
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みなさん、こんにちは。 先のブログで緊急自動ブレーキにも言及したところ、FBも含めていくつかのコメントをいただきました。この件については本質ではなく「素朴な疑問」程度に書いたのですが、もう少し詳しく触れておこうと思います。 この事故で、右折車側には緊急自動ブレーキは付いておらず、直進車側には付いていたのは既述の通りです。では、この事故で直進車側の緊急自動ブレーキが作動したとして、最初の衝突事故が防げたかといえば、僕が見立てたタイミングが正しかったとすると「無理」だと思います。ただし、多少の衝突エネルギーの低減になっていた可能性はありますし、ぶつかったタイミングが異なれば、その後にクルマが進んでいく方向も異なるわけで、園児に衝突する事態が避けられた可能性は出てくると思います。 直進車側が減速したとなると、右折車がより交差点に進入した位置で衝突するはずですから、直進車はもっと左に弾かれ、園児の列には突っ込まなかった可能性が出てきます。ただし場合によっては、タイミングがずれたせいで歩行者にぶつかる可能性も出てきますから、「衝突直前でもとにかく作動させたほうが良い」と言い切ることはできません。 また、この手の装置は、作動した後もブレーキやアクセルやハンドルが操作されると、「ドライバーが回避行動を行った」として解除されるものがほとんどです。当該事故では、直進車のドライバーは「右折車を避けようとしてハンドルを左に切った」と供述していますから、その段階で作動が解除された可能性もあります。それは「設計通りの振る舞い」であって、システムの欠陥ではありません。 ただしそうだったとしても、僕は「そのロジックでいいのかな?」と思うんですね。 何しろ、結果として衝突してしまっているわけですから、仮にドライバーが回避行動を行ったとしても、システムを完全に解除してしまうのではなく、衝突不可避エリアに障害物が入っている間は全力制動を維持したほうがいいんじゃないのか? と思うのです。さらに、作動中に一定以上の加速度が生じた場合、「衝突」と判断して、そのまま全力制動を維持したほうが良いのではないかと考えます(VWなどが「ポストコリジョンブレーキ」という名称で実用化しています)。 それから「ダイハツのスマートアシストは、バージョンIIでは歩行者には対応していないのでは」との意見もいただきましたが、公式に「歩行者対応」を謳っていないからといって、歩行者にまったく反応しないとは限らないんですよね。それが「回避すべき障害物」だと判定されれば、システムは作動するわけですが、あまり小さいものにまで反応させてしまうと、レジ袋や新聞紙などが飛んできたときにも作動してしまい、不都合が生じるから、小さいものやレーダー波の反射が弱いものには反応しないようにしているんです。その結果、歩行者を確実に検出することができないため、公式に「歩行者対応」が謳えないだけで、「謳っていないから歩行者に対しては一切反応しない」とは限らないんですね。 逆に「歩行者対応」を謳っていても、身長が低い幼児には対応できていなかったり(公的試験には身長1154mm±20mm/肩幅298mm±20mmのダミーを使用)、画像認識を使用している場合でも、歩行者とは著しく異なる形状のもの(車椅子とか買い物キャリーを押している老人とか、細長い荷物を持っている人とか)には作動しなかったりするものもあります。ですから、保育士さんが園児をかばおうとしてしゃがんでしまったら、システムが見失う可能性もあるわけで、今回の事故でシステムがどのような認識をし、どのような振る舞いを見せたのかをダイハツは検証して、さらなる安全性向上につなげるべきではないか、と思うわけです。 それからドライバーのみなさんには、「緊急自動ブレーキはその程度のもので、追突が回避できたら御の字」ぐらいに考えておいていただきたいと思います。安全装置が高度化すると、ドライバーはそれに依存してしまい、注意力が低下して危険率はほとんど変わらない、という現象を「リスクホメオスタシス理論」と言いますが、くれぐれもそうはならないよう、注意していただきたいと思います。
May 11, 2019
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みなさん、こんにちは。 標記の事故について、前回はクルマ側からの分析を行いましたが、クルマ同士の事故規模そのものは軽微ですし、双方のドライバーとも乱暴な運転をしていたわけではない(不注意ではあった)ことがお分かりいただけたと思います。ですから、事故そのものは「どこでも起こりうる」程度のものです。それにしては結果が重大になってしまったわけですが、この事故の本質的な問題点は、そこから探り出さないといけないでしょう。 たまたまこの事故の数日前に、事故現場の近くにある会社を取材した件は既述の通りです。現地には取材の前日に入っていたため、「せっかくだから琵琶湖でも見に行くか」と、駅(JR大津京)から湖畔まで歩いてみたのですが、その際に、クルマ優先で人が阻害されている「何か嫌な感じ」を覚えたのも、前々回のブログに書いたとおりです。 その「嫌な感じ」の正体がなんなのか、そのときはよく考えなかったのですが、改めて現場の風景をGoogle Earthで見てみると、歩行者の安全が軽視されているということに気がつきました。大津京駅から県道558号線に出るまでの道は、片側2車線で中央分離帯があるにも関わらず、歩道と車道の間にガードレールが設置されていないんですね。 さらに県道558号線(件の事故は、この道の先の559号線で起きています)に出ると、ここもやはり、車道と歩道の間にガードレールはなく、部分的に足の貧弱な鉄柵が設置されているのみでした。そんな環境であるにも関わらず、道が直線かつ平坦で広いので、クルマがけっこうなスピードで走っています(制限速度は50km/h)。湖岸には真新しいマンション群があるのですが、「駅と住居」という生活の動線を、幹線道路が分断する形で通っているわけですね。 要するに、生活空間と通過交通のための幹線道路がきちんと分けられていないにも関わらず、歩行者の安全対策が十分に行われておらず、僕はそこに「何か嫌な感じ」を覚えたというわけです。 今回、事故に遭った園児の保育士さんは、日頃から歩道の奥に園児をかためて待機させていたそうですが、恐らく彼らも本能的に「クルマと隔離されていない危険」を感じていたからではないかと思います。当該交差点は、歩道との間にガードレールがない一方、反対側(川があって歩道はない)には、クルマの転落を防ぐためのガードレールが設置されているという、なんとも歩行者軽視な対策が行われています。 すなわち本質的な問題は「こんな構造を設計して何も不思議だとは思わない感覚」にあるのだと思います。 ですから取るべき対策は、短期的には、歩道と車道の明確な分離です。ガードレールの設置はもちろんですが、今回の事故は横断歩道のところからクルマが突っ込んでいますから、横断歩道部分にも、車椅子の通行を阻害しない程度の間隔で、頑丈なポールを立てる必要があります。すべての交差点に一度に対応するのは困難でしょうから、通園・通学路や幼稚園/保育園/小中学校近傍の大きな交差点から優先的に対策を進めていただけるよう、滋賀県(に限りません)には強くお願いしたいところです(少なくとも国交省や都道府県土木事務所、公安委員会および交通警察関連部署は、保育/教育施設の位置と動線を早急に把握すべきだと思います)。 長期的には、居住空間と幹線道路を明確に分離する都市計画が必要となります。国土の狭い日本では、なかなか難しいかも知れませんが、「だから無理」ではなく、「どうにかできる方法はないものか」と考え、行政の垣根を越えて取り組んでいただきたいと思います。
May 11, 2019
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みなさん、こんにちは。 前回のブログで「僕は対向に右折車がいると、横を通り過ぎるまで「右折し始めるかも知れない」と警戒しながら走っています(ドライバーの顔や手の動きを見ています)」と書きましたが、ここでは「何をどう見ているのか」を具体的に解説します。 まず第一は、ドライバーの視線です。目が合うくらいこちらを見ている場合は、対向車を認識していますから、まず右折はしてきません(こちらが自転車だと、目が合っているのに出てくる馬鹿者がいますけど)。こちらを見ていても、自分より後ろを見ている風ならば、クルマの切れ目を探していると思われるので、これも出てくる可能性は低いです。信号を見るように上方を見ていたら、右折信号を待っていると判断していいでしょう。 いちばん警戒すべきは、すでに曲がりたい方向を見てしまっている場合です。意識が曲がる方向に行ってしまっていますから、こちらの存在が目に入っていない可能性が高いです。今回の事故に関しても、「衝突音がして初めて相手のクルマに気付いた」と証言していますから、前のクルマが曲がり始めたのを「右折信号が出たんだな」と思い込んで、漫然と後について行ってしまったものと思われます。当然、視線は先行車のほうを向いていたと考えられます。 二番目は手の動きです。右折するにはハンドルを右に切りますから、たいてい白っぽい握りこぶしが右に動くのが見えます。 これらの「警戒すべき行動」が見えたら、アクセルペダルを緩めて回避に備えましょう(場合によってはシフトダウンやブレーキ操作もあり)。 右直事故は多くの場合、右折車の過失割合が大きくなりますが(基本は8:2で、そこに双方の違反の有無等が加味されます)、ぶつからないのが一番なので、みなさんも防衛運転してくださいね。 それから、相手ドライバーの動向を見やすくするには、偏光機能付きのサングラスが便利です。相手車両の窓ガラスの反射が弱まり、クルマの中がよく見えるようになります。
May 9, 2019
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みなさん、こんにちは。 またしても痛ましい事故が起きてしまいました。うちにも息子がいますが、もし我が子が突然の交通事故で亡くなってしまったら、生きる意味が見いだせないほど取り乱してしまうのではないかと思います。被害者のかた、遺族のかたには、心から哀悼の意を表します。 実は連休前に、事故現場の近くにある会社を取材しておりまして、写真を見ただけで、現場の空気感が蘇ってきました。そのときの印象は「ここもクルマ優先で、人が阻害されている雰囲気があるなぁ」というものでした。 さて、この事故の第一報の写真を目にしたとき、典型的な「右直事故(右折車と直進車の事故)」であることは分かったのですが、その後、いくつかの現場写真を見て気付いたことを書いておこうと思います。 事故車両は、直進車側がダイハツの現行型ムーヴキャンバス(以下ムーヴ)、右折車側が日産の旧型ノートのようです。制限速度は直進車側が60km/h、右折車側が50km/hの模様です。 最初は「スピードの出し過ぎではないのか?」と思ったのですが、両者とも明確なブレーキ痕が無いにもかかわらず、衝突したと思われる地点から10m程度で停止していますので、スピード違反は無かったのではないかと思い直しました(ムーヴはフェンスに衝突して止まっていますが、金網フェンスなので、法定速度以上にスピードが出ていたら、なぎ倒していたと思います)。 事故車両の写真を見てみると、ノートは左側前部が、ムーヴは右前部が壊れています。しかも損傷の程度は軽微です。このことから分かるのは、「ムーヴが交差点に進入したタイミングで、ノートが右折を開始している」ということです。過失割合で言えば、恐らく10:0でノートに非があることになるんじゃないでしょうか(だからムーヴのドライバーはすぐに釈放された)。 ムーヴのドライバーに非があるとすれば、衝突の回避にハンドル操作を優先してしまったことでしょう。僕が免許を取った30年以上前には、「危険の回避には、ハンドル操作よりブレーキを優先しろ」と教わったものです。ハンドルで避けようとすると、クルマが不適切な方向に走って二次被害が起きるから、というのが理由です。道路上でハンドルを切った場合、クルマは必ず「道路から飛び出す方向」に動きます。運良く目の前の事故が避けられても、適切に戻せなければ、二次的事故につながります。 高速道路で路肩に回避スペースがあるとか、複数車線があってスペースがあるような場合は、ハンドルでの回避も「あり」かもしれませんが(高速の場合、法面に乗り上げてひっくり返るケースもありますけど)、市街地の場合、多くは「ブレーキ優先」のほうが、被害規模は抑えられるのではないかと思います。 物理的に考えても、「衝突エネルギーは速度の2乗に比例」しますから、減速できれば被害規模は2乗に比例して小さくなります(時速40kmを20kmまで落とせたら、衝突エネルギーは半分ではなく半分の半分=4分の1まで減らせます)。 もうひとつは、右折車に対する警戒心が、少し甘かった可能性はあります。僕は対向に右折車がいると、横を通り過ぎるまで「右折し始めるかも知れない」と警戒しながら走っています(ドライバーの顔や手の動きを見ています)。そのくらい警戒していれば、右折の開始に気がつき、回避できないまでも、ハンドル操作と同時にブレーキにも足が伸びたのでは無いかと思います(続報では「右折車は前のクルマに続いて右折しようとした」とのことなので、余計に警戒すべきシチュエーションだと思います)。 もうひとつ気になったのが、「緊急自動ブレーキは作動しなかったのか」ということです。この世代のノートには、自動ブレーキは搭載されていませんが、ムーヴのこのグレードならば、「スマートアシスト(IIまたはIII)」という安全運転支援システムが標準装備されており、この形態の事故ならば、作動していて不思議はないと思うんですよね。 あるいは、運転者がハンドル操作をしたことをもって、「回避動作が行われた」と判断され、システムが解除されてしまったのかも知れません(この手のシステムは、ドライバーの操作を優先するようにできているものがほとんどです)。と言っても、その後に園児の列に突っ込んでしまっているわけですから、その段階で再度作動しなければ、何のために付いているのかわからない、ということになります。 ダイハツはこの点、車両を回収して調査したほうがいいんじゃないかと思います。 それから、右直事故は交差点をラウンドアバウトにすることで、防ぐことができます。交通量によっては適さない場合もありますが、ラウンドアバウトの導入も、積極的に考慮するべきではないかと思いました。
May 9, 2019
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みなさん、こんにちは。 標記の件、結局、「証拠不十分」として送検取りやめになりましたね。走っているクルマを止めさせて、窓越しに青切符を切ったというのだから、お粗末でひどいものです。 被害に遭った(とあえて言います)お坊さんは、「ちゃんと基準を示して欲しい」と言っているようですが、当事者としては当然でしょう。では、みなさんはどのような基準にすれば良いと思いますか? 批判をおそれずに言えば、僕は「そんなもの当人に判断させればいいじゃん」と考えます。 服装なんて、いろいろな形態があるのですから、明確な基準を示すことは不可能でしょう。無理に決めようとすれば、それこそ「ブラック校則」のようなものになってしまうはずです。 そもそも運転免許というのは「安全運転について適切に判断できる人」に対して「免許」されるものであるはずで、安全に運転できる服装かどうかを判断するのは、それこそ自己責任であるはずです。 その上で、事故が起きた段階で服装が原因であったと明確になれば、点数を加算すればいいんです。酒気帯びや飲酒は、現にそうしているわけで、いっそ「スマホ運転」と「服装不適切」による事故は、酒気帯び同等加算にすればいいんですよ。 むしろ、今回は不問にされた履き物のほうが、基準を明確にするのは簡単です。「かかとが拘束できない履き物」「底の厚さが○cm以上のもの」として、全国統一基準にすれば、都道府県間の不公平はなくなります。 ちなみに「僧衣でできるもん」という動画では、雪駄のままリフティングやバク宙をするものもありましたが、「これからこういう動作をするぞ」と準備をして行うのと、リラックスした運転状態から急になにかに気付いて動作を起こす場合では異なりますので、僕はやっぱり雪駄はリスクがあると思います。雪駄を脱いで足袋で運転するのをOKとすれば、お坊さんにも負担にはならないでしょうから、このあたりが落としどころではないのかと考えています。 ところで今回のケース、送検がなくなったので反則金の支払いも無くなっているはずですが、行政処分はどうなったんでしょうね? 違反点数は送検とは別に、切符を切られた段階で措置されますから、そこも是正しておかないと、点数が残ったままになってしまうかも知れません。
Jan 31, 2019
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みなさん、こんにちは。 標記の件、8日に「新しい事実が出てこない」と書いたら、さっそく今日、進展があったようです。 以下、1月10日付け福井新聞オンラインからの引用です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 福井県内の40代の男性僧侶が僧衣を着て福井市内で車を運転中、操作に支障があるとして県警に交通反則告知書(青切符)を切られたが、納得がいかないとして反則金の支払いを拒否し、宗派を巻き込んだ事態になっている。福井県の規則で「運転操作に支障を及ぼすおそれのある衣服」での運転が禁じられているためで、県警は1月9日、福井新聞の取材に「僧衣や和服が一律に違反になるわけではない。衣服の種類や形ではなく、着方を見て違反だと判断した」と回答した。 男性僧侶は浄土真宗本願寺派に所属。同派の西本願寺(京都府京都市下京区)によると、男性僧侶は昨年9月16日午前、福井市内の県道を軽乗用車で走行中、交通取締中の警察官から停車を指示された。思い当たる違反はなかったが、青切符に「運転操作に支障のある和服を着用して運転」と書かれ、反則金6千円を納めるよう求められた。 適用されたのは、県道路交通法施行細則にある「下駄、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」という事項。県警交通指導課によると、男性はくるぶしまでの長さの白衣の上に、両袖の袖丈が約30センチの僧衣「布袍(ふほう)」を着用し▽白衣の裾幅が狭く、両脚の太もも、膝、足元が密着している▽布袍の両袖が下に垂れ下がっている―状態で運転していたとしている。 運転に支障を及ぼす恐れがあると判断した根拠は「両足が動かしにくく、とっさのときにブレーキ操作を的確にできない恐れがある。垂れ下がった袖がシフトレバーやハンドル周辺の各種レバーに引っかかる恐れがある」と説明。男性が履いていた鼻緒の付いた雪駄(せった)は違反とみなしていない。 同派は「法令の順守は大切なことであると認識している」とした上で、「僧侶が服装を理由に反則処理をされたことは到底受け入れがたい事案。弊派全体に及ぶ大きな問題で、今後の対応は慎重に検討したい」と話している。 一方、交通指導課は「僧衣での運転が全て違反になるわけではない」と説明。一般的な話として「たとえ裾がくるぶしまであっても、ゆったりと締め合わせたり、まくしあげるなどして両足を動かしやすくし、たすき掛けをして袖をたくし上げたりすれば、運転操作に支障はないと考える」と回答した。 県警には「衣服に関する取り締まりの基準を教えてほしい」などと問い合わせる電話やメールが県内外から相次いでいる。また、各地の僧侶が僧衣でバック転や縄跳びなどを披露し、柔軟な動きができることを伝える動画もインターネット上に登場し、話題となっている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(引用ここまで) いやー、これ、警察は墓穴を掘りましたね。 こんな説明をすれば、反発は強まるばかりでしょう。 まず、走行中のクルマを止めて取り締まりをしたにも関わらず、その根拠が袖と裾です。走っているクルマを外から見て、袖や裾の状態が危険であると、どうして判断できたのでしょうか? 警察はまず、そこをきちんと説明しなければいけません。 肩から上を見て、推定して止めたのであれば、切符を切る前に当該運転手に説明を求めるべきですが、それを行った形跡はありません。 しかも「両脚の太もも、膝、足元が密着している」と説明していますが、そんな状態で、どうやってクルマまで歩いてきてクルマに乗り込んだというのでしょうか? 常識的に考えて、ヒザや太ももは、歩行やクルマの乗り降りに支障がない程度にゆるく着ていたはずで、それが運転操作の支障になるような状態とは、到底考えられません。AT車ならば、右足のヒザを左右に10cm動かす余裕があれば、問題なく運転できます。 袖の件にしても、運転姿勢の時はヒジが下に来て手首が上がりますから、少なくとも前にはズレません。下にズレても、シフトレバーはヒジより前にありますから、まず引っかかることはないでしょう。取り締まられたお坊さんは「では私のクルマと僧衣をお貸ししますから、どういう状態でどこに引っかかるのか実演して見せて下さい」と突っ込んだら良いと思います。 もうひとつ、福井県警の失点は、「雪駄は取り締まりの対象にはならない」と公言してしまったことです。となると、雪駄様の履き物=鼻緒が付いていて底が薄い履き物=ギョサンやビーサンもセーフと言うことになります。女性が和服の時に履く草履は、これらよりかかとが厚い物もありますから、もしかするとそれを理由に咎められる可能性はありますが、とにかく「かかとが留まっていないからといって即座に違反ではない」という実績を公表してしまったとなると、他の自治体とのバランスが取れません。「○○県では違反なのに、福井が違反にならない理由は何ですか?」と聞かれた場合、どう答えるのでしょうか? 恐らくこんな説明では、取り締まられた個人も浄土真宗のみなさんも納得できないでしょう。納得の行く回答が得られるまで、徹底的に追求するべきだと思います。
Jan 10, 2019
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明けましておめでとうございます。と言っても、すでに松が取れちゃってますが、今年もこんな調子でゆるゆる行きたいと思います(^_^;)。 さて、表題の件。 年末から話題になっておりましたが、今日になってまた、東京新聞やら中日新聞やらで記事になっていました。で、何か新しい事実が出てきたのかと思ったら、相変わらず何も変わっていないし突っ込みも不足しているので、改めてこの事件の問題点を明確にしておきましょう。まず、中日新聞の報道からです(たぶん福井新聞の引用)。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 県内の四十代の男性僧侶が九月、僧衣姿で車を運転したことを理由に、県警に交通違反切符を切られていたことが分かった。僧侶は日常的に僧衣で運転しており、「運転に支障をきたすような僧衣ではなかった」と反論している。 男性によると、九月十六日午前十時過ぎ、福井市内の県道を軽乗用車で走行中、警察官に止められ、「その着物はだめです」と告げられ、青切符を交付され、反則金六千円を納付するよう言われた。 男性は、福井市内の法事へ向かう途中で、布袍と呼ばれる簡素な僧衣を着ていた。普段から僧衣で車の運転をしており、これまで警察官に止められたこともなかった。男性は「黒衣のような長い袖ではなく、袖も裾も邪魔になるような服ではなかった」と訴えている。 県警交通指導課によると、適用されたのは、県道路交通法施行細則の「げた、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」の部分。現場の警察官が、男性の着用していた僧衣は運転に支障があると判断したとみられる。 同課の担当者は「僧衣を着て運転することが違反ということではない。状況によって現場の警察官が危険だと判断した場合に限る」と説明。ここ数年、衣服などが原因の重大事故は起きていないものの、「事故を未然に防ぐためにも、たすき掛けやもんぺを着て、袖や裾を押さえるなどして、運転してほしい」と話した。 福井市内の住職(72)は「僧衣を着て運転することは僧侶であれば日常。今までも支障をきたしたことはない」と指摘し、「現場判断というあいまいなものではなく、しっかりとした基準が必要なのではないか」と首をかしげた。 男性は現在、反則金は払わず、督促にも応じていない。「支払ってしまうと、今後僧侶たちの活動が制限されかねない。運転には支障はないことを訴えたい」と話した。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(引用ここまで) 最初にこのニュースを目にしたときに僕が思ったのは、「あ、草履がとがめられたんだな」ということです。安全運転義務違反の構成要件に「かかとが固定できない履き物での運転」というのを規定している都道府県は結構ありますし、僕が免許を取った際にも、確かそう教わった記憶があります。実際、とっさにペダルを踏み換える際に履き物がズレたり脱げたりしては危険ですから、この規定は妥当なものだと思います。もし福井県警に、サンダルや草履履きを取り締まった実績が過去にもあったとして、今回の案件が履き物で取り締まりを受けたのであれば「お坊さんの負け」です。 ただまぁ、いきなり青切符というのも考え物ですけどね。職業上の事情も考慮すれば、「草履はまずいので、次回から履き物だけは履き替えて下さい」で放免すべきだったと思います。その上で、当該宗教法人に対して「運転の際は履き物に気をつけて下さい」と指導するべきだったのではないでしょうか。 しかし、です。実際にとがめ立てられたのは、履き物では無く着衣であったということ。しかも担当課は「僧衣を着て運転することが違反ということではない。状況によって現場の警察官が危険だと判断した場合に限る」と説明しているそうで、そうなると、別の問題が生じます。 憲法第31条に抵触する可能性が出てくるんです。 憲法31条(適正手続きの保障)の条文自体は、>何人も法律の定める手続きによらなければ、その生命もしくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。 という簡潔なものですが、実はこの裏には「罪刑法定主義」という重要な哲学があるんです。 詳しくお知りになりたいかたは「罪刑法定主義」で検索されればいろいろなサイトがヒットしますが、極めて大雑把に言えば「何をどうすれば法律に抵触するかということは、義務教育終了程度の知識で理解できるようにしておかなければならない」ということです。 でないと、警察の恣意的判断で、いかようにも取り締まりできることになってしまいます。 具体的に言えば、別件逮捕で身柄を拘束することが可能になる、ということです。(まあ実際には、交通警察官のノルマ達成手段に使われる程度だとは思いますが) 実はこの件では、過去に軽犯罪法(ナイフの所持)を巡って警察庁とやりあったことがあるので、そちらもご参照いただくと理解が深まると思うのですが、それと同種の問題を、本件は含んでいるということです。 件の僧侶は反則金を払っていないし督促にも応じていないということですが、この後、建前上の手続きでは、警察からの出頭要請→違反を認めなければ書類送検→検察から出頭要請、ということになります。しかし、警察は草履履きではなく、明確な基準が示せない衣服を咎めているわけですから、送検されても「嫌疑不十分により不起訴」でうやむやにされる可能性は非常に高いです。 それでは切符を切られたお坊さんも納得いかないでしょう。青切符が切られていれば、不起訴でも行政処分(安全運転義務違反なら2点)は付いてしまいますから、ゴールド免許で任意保険の割引を受けていた人なら「実害あり」で、民事で争えます。 むしろいい機会ですから、ほかの仏教法人も結束して、行政に対して基準の明確化を求めたらいいんじゃないでしょうか。 袖の長さとか裾の幅とか……、って、ブラック校則かよ(^_^;)。
Jan 8, 2019
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みなさん、こんにちは。 昨年6月、東名高速下り線で発生した「あおり運転死傷事故」の地裁判決が、12月14日に言い渡されました。判決は「懲役18年」というものでしたが、認識しておいていただきたいのは、これは横浜地裁による地裁判決であって、被告が上告すれば変わる可能性がある、ということです。 ともあれ、危険運転致死傷罪が適用されたことについては、良かったと思います。「あおり運転で死傷事故を起こせば、それが直接の死因ではなくても、危険運転致死傷罪の適用はありうる」という判例を残しただけでも、それなりに抑止力にはつながるでしょうから。 実は僕は、この案件に危険運転致死傷罪が適用されるのは難しいのではないかと危惧していました。というのも、被害者を直接、死傷させたのは、石橋被告ではないからです。確かに、あおり運転による強制停車によって重大な危険を生じさせたことは間違いありません。しかし、もし停車していたのが、故障車や事故車両だったら、どうなるでしょう? 実際、2013年には伊勢湾岸道で、第2通行帯に立ち往生したクルマにトラックが追突する事故が起きています。そういうものを避けて安全に運転するのは、高速道路を利用するすべてのドライバーの責務なのではないでしょうか。 もちろん、そのことが石橋被告の刑の重さに影響してはならないと思います。しかし、高速道路を利用するすべての車両が、建前通りの安全運転をしていれば、この事故は無かった可能性があるというのは、紛れもない事実です。 特に今回の事故では、2台連なって走っていた大型トラックの1台目が避けたにも関わらず、2台目が停車していたワゴン車に衝突しています。これは適切な車間距離を取っていれば、避けられた事故では無いかと思います。しかも事故が起きたのは、3車線道路の追い越し車線です。90km/hでリミッターが作動する大型トラックが、なぜそんなところを走っていたのか。第1・第2通行帯に、それほど遅いクルマが溜まっていたとは、ちょっと考えられません(この点については衝突したトラックのドラレコ映像でわかると思いますが)。 要するに何が言いたいのかというと、あおり運転をした石橋被告のバッシングにばかり気を取られるのではなく、今一度、自分の運転を顧みるというのも、被害者の死を未来につなげることになるのではないか、ということです。
Dec 15, 2018
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みなさん、こんにちは。 消費税増税に伴い、自動車関連諸税の減税が検討され始めました。中には、走行距離に応じた税額にしてはどうかという意見もあるようですが、これはとんでもない話ですね。走行距離が多い人は、すでに燃料税でしこたま払っているわけですから、そのうえ距離での累進制なんか導入されてしまうと、クルマが交通の便として欠かせない地方の人たちの負担を大きく増やすことになってしまいます。 で、何をどうするかという方法論を議論する前に、まずやって欲しいのは「暫定税率の廃止」です。現在、暫定税率は、①自動車取得税、②自動車重量税、③揮発油税(ガソリン税)、④地方揮発油税、⑤軽油引取税、の5項目に渡ってかけられています。そのうち、重量税、ガソリン税、軽油引取税は、本則税率の二倍が課税されています。そもそも暫定背率は、道路整備が遅れていたために特定財源として使う「暫定措置」だったはずなのに、余り始めたら平成21年から一般財源に組み込まれてしまいました。これを本則税率に戻すのが、まず最初にやるべきことでしょう。 一方で、自動車税には暫定税率は適用されていませんが、今回、議論に上がっているのは、主にこちらのようです。これについてはもう20年以上前から書いているのですが、現在の排気量別をやめて、馬力課税にすればよろしい。1馬力当たり250円にすれば、だいたい辻褄が合います。 例えば、子育て世代に必須のミニバンの主流は2Lエンジンなので、自動車税は39,500円ですが、2Lだと馬力はだいたい150馬力ですから、250をかければ37,500円と、多少の負担軽減になります。ハイブリッド車のアクアは1.5Lエンジンですが、システム出力が100馬力ですから、グリーン税制による免税を無視すれば、34,500円が25,000になります。ホンダのフィット・ハイブリッドはシステム出力が137馬力もありますから、34,250にしかなりませんが、少なくとも現状より増えることにはなっていません。 では、大きいほうはどうでしょうか。クラウンのハイブリッド車は、2.5Lで226馬力ですから、現状の45,000円が56,500円になってしまいますね。でも、これって本来の姿なのではないかと思います。そもそも排気量1Lあたりで出せる出力は、70〜75馬力です。となると、226馬力は3.0〜3.2Lに相当するわけで、現状の税額は58,000円になるはずです。これまでの排気量別税制で考えれば、決して増税にはなっていないことがわかります。 そもそもクラウンを買えるほど所得の高い人であれば、これくらいの税額は負担にならないのではないでしょうか。 馬力課税にすると、さらに良いことがあります。まず、電動車の課税に困らないこと。現状の排気量別では、内燃エンジンを持たないEVやFCVの課税根拠が不明瞭になりがちですが、馬力課税にすれば明快になります。しかも電動車は低出力高トルクですから、自動的に税額は安い方向になるでしょう。 もうひとつは、ターボ車にも適正に課税できること。たとえばホンダ・ステップワゴンは1.5Lのダウンサイジングターボエンジンを搭載していますが、馬力は150馬力と2L相当が出ています。本来なら39,500円納税すべきですから、150x250=37,500円になったとしても、それほど理不尽ではないはずです。 三つめは、排気量が適正化すること。馬力に課税するとなれば、最高出力を抑えて低回転トルクを出す方向にシフトするはずで、実用燃費が良くなるように、排気量のシフトが起きるのではないかと思います(マツダがデミオを1.3Lから1.5Lに変えた理由が、まさにこれです)。 とはいうものの、報道を見ていると「地方税収が減らないように配慮する必要がある」とか言っているので、結局の所、総税収額は変わらないように、配分比率の付け替えだけが行われるような気がしてなりません。願わくば、生活必需品としてクルマを使っている人の負担が増えることだけは、避けていただきたいと思います。
Nov 29, 2018
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みなさん、こんにちは。 標記の件、JAFが16年から調査をしていまして、先日、18年の結果が県別に公表されました。 結果は、ワースト1位が栃木、2位が広島、3位が三重です。これを見て、みなさん何か気づきませんか? そう、栃木にはホンダと日産、広島にはマツダ、三重にはホンダの工場があるんですね。 自動車会社の工場ですから、社員数も相当いるわけで、関連企業も含めれば、数万単位になるんじゃないでしょうか。こういう人たちが率先して横断歩道で止まるようになれば、汚名返上も可能なのではないかと思います。 ちなみにベスト3は、1位が長野、2位が静岡、3位が島根です。静岡県には、スズキの工場がたくさんありますね。それがどう影響しているのかはわかりませんけどね(^_^;)。 ちなみにトヨタと三菱のある愛知県はベスト6位です。先日、トヨタの本社に行ったら「横断歩道は歩行者優先」というバナーがロビーにかけてありました。ホンダの工場がたくさんある埼玉県は22位。可も無く不可も無くですが、平均は下回っていました。スバルのある群馬は、埼玉より下ですね。 と言う具合に、自動車会社の有無と停止率の因果関係はバラバラなのですが、少なくとも自動車関連企業にお勤めであるならば、率先して止まるように心がけていただきたいと思っております。
Nov 24, 2018
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みなさん、こんにちは。 みなさんはどんなガソリンスタンドで給油されていますか? ガソリンの品質なんて、どのブランドも大差ないですから、たぶん一番安いところを選んで入れている人が多いのではないでしょうか? それは至極当然なことではあるのですが、そうなるとどうしても、売る側は価格競争になります。仕入れ価格はどこもほとんど変わりませんから、削るとすれば人件費ぐらい。行き着く先は、セルフ式スタンドになりますね。かくいう僕も、なるべくセルフの安いところで入れているわけでして。 ところが最近、ツイッターでこんな投稿を目にして、はっとさせられました。またガソリンスタンドがセルフになってしまった。 周りはセルフスタンドだらけで障害者ドライバーの私は使えない。 お陰で2つ市を超えて給油。 セルフスタンド作るとき、使えない人用のレーン作って欲しい。もしくはヘルプボタン押したら手伝って セルフスタンドといっても、完全に無人の所はありません。必ずひとりは常駐しているかたがいます。ならば障害者の方には、そういう人がお手伝いしてあげることができるのではないでしょうか? このかたの投稿にあるように、ヘルプボタンを設置するのもひとつのアイデアですが、それはそれでコストがかかってしまいますし、ボタンを押しに行くのさえ難儀な人もいるでしょう。ならば、給油の前に事前に電話やラインでお知らせできるシステムを作っておくとか、いろいろ対応方法はあると思うのですが。 このかたのように、市をふたつ越えないと給油できないようなケースなら、有人対応料金を払ってでも、利用したいと思うのではないかと思います。ガソリンスタンド経営者のみなさん、ぜひご一考をお願いいたします。
Nov 21, 2018
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みなさん、こんにちは。 来年10月に予定されている消費税増税にあたって、クレジットカードで支払った場合に増税分をポイントで還元する案が出ているそうですが、これ、法の下の平等を定めた憲法第14条に抵触する可能性があります。 ご存じのように、クレジットカードは民間の信販会社と契約しないと、作ることができません。しかし、所得が基準に達していなかったり、不安定であったりした場合、審査を通らずカードを持つことができません。実際、僕はフリーランスになったばかりで収入が非常に少なかった時代に、カード会社の審査に落ちた経験があります。 そのような状況で、増税分のポイント還元が実施されるとなると、同じものを購入した場合でも、信販会社の審査を通るだけの収入がある人と、そうでない人の間に、納税額に差ができてしまうことになります。これ、憲法14条に抵触しますよね?(てゆかカードを持てない小中学生がお小遣いで買い物したら還元なし?) 実は高速道路のETCが導入された際にも、同じことが起きているんです。 ETCが導入された当初は、金銭的なメリットがまったくなかったため、普及がサッパリ進みませんでした。そこでETC払いに限って割引が導入されたのですが、民営化されたとはいえほぼ公共料金に当たる高速道路の通行料が、カードを持てる人とそうで無い人との間で差ができてしまうのは、公平性を欠きます。そこで、当時参議院議員だった中村敦夫さんにお願いして、質問主意書を出してもらったことがあるんです。 政府の回答は「その程度の差が生じても憲法に抵触するとは言えない」というものでしたが、しばらくすると、供託金を納めればETCカードが作れる「ETCパーソナルカード事務局」なる組織が作られたんです。これ、どう見ても憲法14条回避策にしか見えないんですよね。 しかもこの事務局、僕が調べた時には、法人登録もされていない正体不明の組織でした(今はどうなのかわかりませんが)。所在地は神奈川県川崎市宮前区の私書箱までしか公開されていません。直通電話の市外局番が川崎市なので、いちおう事務所は川崎市(宮前区?)にあるようですが(なんて書いてしまうと携帯電話に切り替えられちゃったりして)。以前はウェブサイトがありましたが、今はないようですし、利用状況もさっぱり公開されなくなってしまいました。(過去に自分でこんな記事を書いておりました) まあそれはともかく、消費増税分のポイント還元て、これと同じだと思うんですよね。すなわち、憲法14条違反です。ETCと異なるのは、金額自体が低減されるのではなく、信販会社のポイント還元ですから、政府としては「民間が勝手にやっていること」としらばっくれることもできますが、事前にしゃべっちゃったとなると、そうもいかなくなるんじゃないでしょうか。
Oct 16, 2018
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みなさん、こんにちは。 標記の件、また痛ましい事故が起きてしまいました。 この事故を巡って「ドライバーが気の毒」との意見もあるようですが、僕はそうは思いません。クルマ側が左折で子どもが直進で撥ねられたということは、子どもはドライバーから見える位置にいたはずです。時間が19時ですから、すでに暗くなっていたとは思いますが、ヘッドランプの照射範囲には入るはずです。それで止まりきれなかったということは、どう考えてもドライバーの前方不注意でしょう。今回はたまたま子どもがランニングバイクに乗っていましたが、自分の足でかけてきたとしても、事故は起こっていたのではないかと思います。 特に、現場は幅員約3m(軽自動車同士のすれ違いでもドアミラーが当たる幅)の狭い道だったそうですから、右左折する場合には最徐行をするか、一時停止しても良かったのではないかと思います。ちなみに一時停止標識がない交差点で一時停止したとしても、それが安全性を高めるために必要ならば、道路交通法違反には問われません。運転免許の実技試験で「見通しの悪い交差点の通過」というのがあり、多くの場合、ここには一時停止標識が設置されていませんが、一時停止して(自動二輪なら足を着いて)安全確認しても減点は取られません(原則は「最徐行して左右を確認して通過」ですが)。 というの大前提としまして。 ランニングバイクは「遊具」であって、公道で使用するべきものではありません。これで公道を走らせていたという時点で、保護責任者失格です。例えブレーキが付いているタイプだったとしても、4歳児では、すぐさまブレーキをかけられるほどの握力や手の大きさは備えていないでしょう。しかも今回の事故現場は、ゆるい下り坂になっていたとのこと。そんなところを走らせたらどうなるかが予測できないというのは、想像力が貧困としか言い様がありません。今回は祖父が後ろで犬の散歩をさせていたとのことですが、子どもがランニングバイクを持ち出してきた時点で「それは置いて行きなさい」と注意するべきでした。 とはいえ状況から考えると、この祖父も相当、打ちひしがれていることと思います。もしかすると「さらに悪い事態」が加わるかも知れません。 そうした不幸を招かないためにも、安全に対する想像力は磨いておくべきだと思います。 最後に繰り返しておきます。ランニングバイク/キックバイク/ストライダーは遊具です。例え歩道であっても、公道で使用させてはいけません。歩道でも切り下げ部には傾斜がありますから、そのまま車道に飛び出してしまうこともあるかも知れません。公園等の閉鎖空間で使用する場合も、平坦なところを選び、ヘルメットは必ず被らせて下さい(特に子どもは頭が重いので、頭部に障害を負うリスクは大人より高いです)。 それからもうひとつ。これから日没がどんどん早くなってきます。暗い道を歩くときには、反射板の着いた服や靴を身につけるか、発光するものを身につけておくと、安全性が高まりますよ。
Sep 15, 2018
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みなさん、こんにちは。 表記の事件に関しては、みなさんよくご存じだと思いますので、詳しくは書きません。非常に悪質で、弁護の余地はまったくありませんね。被害者のかたは、軽傷で本当に良かったと思います。 さて、公開されたドライブレコーダーの映像を見て、驚いたことがひとつあります。それは、横断歩道を渡ろうとした歩行者が、誰ひとりとして左右の安全確認をしていないことです。青信号になったのだから、安全に渡れて当然と思うのかも知れませんが、今回のような馬鹿者はかならずいます。飲酒運転していなかったとしても、赤信号に変わったギリギリで突っ込んで来るドライバーは、残念ながら、必ずいます。ですから、僕は自分の子どもには「信号が青に変わったからといって、すぐに動き出してはいけない。必ず左右を確認して、強引に突っ込んで来るクルマがいないことを確認しなさい」と教えています。(これ、歩行中だけではなく、運転中や自転車乗車中でも同じです) 悲しいことではありますが、無謀な運転をする輩がいなくなることはありません。自分がルールを守っていたからといって、ルール違反のクルマに轢かれてしまっては何もなりませんから、過剰と思えるくらいの自己防衛をすることが必要だと思います。
Sep 15, 2018
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みなさん、こんにちは。 まただいぶ放置してしまいました(^_^;)。4月後半から、フォレスター、アテンザ、カローラ、クラウン、N-VAN、クラリティ、ジムニーと取材&執筆が続きまして、忙しい日々を過ごしておりました。ぜんぶ三栄書房の「すべて」シリーズですので、ぜひお手にとってご覧いただけたらと(うしろの3モデルはまだ未刊行です)。 さて、この7台の中でも、ジムニーの注目度が非常に高いですね。アウトドア系の友人が多い僕の周りでも、「欲しい」という声は多いですし、実際に商談している人もいるようです。そのうちのひとりによりますと、「予約受注の段階で、ジムニーが半年待ち、シエラが1年待ちって言われたけど、発表の後にまた聞いてみたら、ジムニーが9ヶ月、シエラが35ヶ月待ちって言われた」とのことです。 いやはや、すごいヒットですね。このまま行けば、シエラなんか登録車月間販売台数首位の座を窺える存在になるんじゃないでしょうか。 と考えるのは、実は大いに早とちりでして、販売計画台数を考慮しないと、真実は見えてきません。ジムニーの年間販売計画は15,000台、シエラは1,200台に過ぎないんですよね。月あたりに直せば、1,250台と100台。単純計算ですが、ジムニーの9ヶ月待ちは11,250台、シエラの35ヶ月は3,500台ですから、ひと月で全部売ったとしても、6月の統計で言えば前者は3位、後者は27位にしかなりません(それでもカテゴリーを考えれば凄いです)。実際にはそんなに一度には作れませんから、先行生産していたとしても、1ヶ月目はジムニーが4,000台ぐらい(12位相当)、シエラが400台ぐらい(50位圏外)なんじゃないかと思います(当てずっぽうです)。 特にシエラの主要マーケットは欧州です。あちらでもかなり人気が高いみたいなので、生産キャパの奪い合いになりますから、日本向けの生産台数をどこまで増やすか微妙なところ。35ヶ月とは言わないまでも、1年半ぐらいは覚悟しておいたほうがいいんじゃないかと思います。 では、そんなに待つ価値はあるのか? といえば、それは人によると思いますが、旧型に乗っている人、あるいは旧型の中古を平行して探している人ならば、絶対に待つべきだと言えます。何しろ乗り心地が、劇的に良くなっていますから。 詳しくは「新型ジムニーのすべて」に書きましたので割愛しますが、JB23型に17万km乗って一昨年に手放した僕も、「これならまた欲しい!」と思えるほど、感動的な性能進化をしておりました。使い勝手も、ちゃんとレジャーユースまで考慮されるようになり、大人ふたりでの車中泊も可能になっています。 ただし、リフトアップして競技に使うなんていう人は、JB23のほうがいろいろとやりやすいかも知れません。リフトアップすると、追加されたフレームがフロントのペラシャと干渉しがちになるので、そこのお手当が必要になります。このあたりのノウハウが蓄積してから、手を出したほうがいいかもしれません。
Jul 14, 2018
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みなさん、こんにちは。 姉がクルマを買い換えるというので、付き合ってきました。 待ち合わせたのは、某ディーラー。うちから10kmなかったので、自転車で行こうと思ったのですが、今朝は結構雨が強く降っていたので、クルマで行きました。 その際、「かみさんがクルマ使いたいって言い出したら、電車で行くしかないな」と頭をよぎり、電車でアクセスするルートも探してみたのですが、件のディーラーは幹線道路沿いにあるので、最寄りの駅から歩くと20分ぐらいかかるんですよね。 そこで「クルマのディーラーなんだから、クルマでアクセスしやすい場所にあるのは当たり前だよなぁ」と思ったのですが、ふと「じゃあ、クルマを持っていない人にはアクセスしにくいってことじゃないか?」ということに気づきました。 近年、若者のクルマ離れとよく言われますけど、最初の1台を買う際には、ディーラーにはクルマで行けないわけで、原付も最近は乗られなくなってきているし、そうなると移動手段は徒歩か自転車ということになりますよね。となると、自転車で10分ぐらいのところにディーラーがないと、そもそも出向く機にさえならないのではないか。もしかするとこうしたことも、クルマ離れを加速させている要因のひとつなんじゃないか? と、ふと思いました。 それじゃあどうすれば、と言う話なのですが、ディーラーには整備工場やクルマの置き場が必要ですから、地代の高い駅近に作るのは合理的ではありません。とはいえ、徒歩で便利な場所になければ、「最初の1台」は買ってもらいにくいわけで、それならば、そういう人向けのコンパクトな営業所を駅の近くに作るというのも、ひとつの方策ではないかと思いました。 たとえば不動産なんか、物件が動かせませんから、自然にそういう形になっていますよね。それにネット環境も組み合わせて使えば、新しいカーディーラーの形ができるのではないか、などと、漠然と考えております。
May 10, 2018
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みなさん、こんにちは。 標記の件について、最近、また新たな噂が拡散されているようです。曰く、「トヨタのハイブリッド車は、暴走した際にスタートスイッチを長押しするか連打すればシステムがシャットダウンするようになっている→暴走を前提とした商品を販売しているのはけしからん」ということらしいです。 でもね、こうした安全システムを組んでいるのは、トヨタのハイブリッド車だけではないんですよ。トヨタのガソリン/ディーゼル車はもちろん、他メーカーでも同様のシステムは付けられているんです。 そもそもこのシステムが付けられるようになったのは、アメリカでトヨタのハリアー(ガソリン車)が暴走事故を起こしたのが発端です。その原因は、ユーザーが社外品のフロアマットを使用したため、アクセルペダルが踏まれた状態で引っかかってしまい、エンジン回転が下がらなくなった、というものです。 その場合だって、冷静にシフトをニュートラルにすれば、少なくともそれ以上加速をすることはありませんでしたが、より多重に安全なシステムを作り上げる目的で、スタートスイッチの長押しか連打でシステム終了になるロジックを組み込んだんです。 トヨタのハイブリッド車がそうなっているのも、そうした流れの一部に過ぎず、「システムとして暴走する可能性があるから」というわけではありません。妙な噂に騙されないように、注意して下さいね。 こういうことを続けて書くと、「お前は業界の人間だからトヨタを擁護しているんだ」って思われそうですけど、事実は事実として書いておかないと、ジャーナリストの職責は果たせませんので。念のため、これマツダCX-5のオーナーズマニュアルからの引用です。
Apr 25, 2018
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みなさん、こんにちは。 プリウスが暴走事故を起こす原因のひとつとして、シフトパターンが悪いという話がWeb上で拡散されているようです。「後退する”R”の位置が前にあるから間違いやすい」というのが根拠のようです。 でもね、このシフトパターンは、プリウス固有のものではないんですよ。例えば、トヨタ車ならノア/ヴォクシーのハイブリッド、日産の電気自動車リーフや、ハイブリッド車のノートe-Power/セレナe-Power、ホンダのヴェゼルやフィットのHVモデルなんかも、みんな同じパターンを採用しています。そういうクルマの暴走事故って、特別多いですか? 一方で、「暴走事故が多い」と印象づけられているアクアですが、こちらのシフトパターンは、旧来のATと同じジグザグゲート方式です。 これらの事実を見ただけでも、「シフトパターン原因説」の根拠は非常に希薄であることがわかりますね。 「普通のクルマから乗り換えた際に間違えやすい」という話も聞きますが、普段からいろいろなクルマをとっかえひっかえ乗っている僕からすれば、それもありえない話です。スイッチ式のシフトは、動かしても必ず元の位置に戻る「モーメンタリー方式」ですし、操作感が機械式のものとはまったく異なります。ですから、操作した瞬間に「特殊なクルマに乗っている」という感覚になります。前進するにしても後退するにしても、操作パターンがまったく違いますから、「いつもの癖で動かす」ということ自体、ほぼ不可能なんですよね(疑い深いかた、ディーラーで試乗車を借りてみて下さい)。 というわけで、シフトパターン原因説は、まったく成り立たないというお話でした。
Apr 25, 2018
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みなさん、こんにちは。 今日の朝日新聞首都圏版朝刊に、ドライブレコーダー開発の発端となった人物のひとり、片瀬邦博さんの記事が掲載されていました。それを読んで、10年以上前に書いた記事を思い出したので、ここに掲載しておきます。 当時、僕は、自動車の研究者とジャーナリストによって構成された(とされている)ある組織の理事をしておりまして、その「パーソン・オブザイヤー」に、練馬タクシーの桜井さんを推薦し、それを通じて世論を喚起しようと狙ったのですが、会員からの理解はまったく得られませんでした。この記事は確か、その会の年次報告書に掲載したものです。■ 映像記録型ドライブレコーダーの普及を急げ! 2003年、第156通常国会における施政方針演説で、小泉純一郎内閣総理大臣は、今後10年間で交通事故死者数を半減し、世界で最も安全な交通環境の実現を目指す方針を発表した。現在、その一助となる装置として有力視されているのが、映像記録型のドライブレコーダーである。 ドライブレコーダーとは、航空機事故の原因解析に使われる「フライトレコーダー」の自動車版で、事故直前の運転操作を記録しておくことにより、何が原因で事故が起き、どちらにどの程度の過失があったのかを明確化するために開発が始められた装置である。 1990年代後半には、運輸省(現国土交通省)によって研究が進められていたが、当時のものは運転操作のみをコンピュータ内のメモリーに記録しておき、現場の道路や構築物をコンピュータグラフィックス(CG)によって再現した中に、そのデータを元に車両を走らせ、事故状況を再現するというものだった。 それを知った筆者は、ある雑誌に「そんなメンドクセェことをするなら、CCDカメラも付けて映像を記録したらいいじゃネェか。デジカメの値段から考えても、5万円もありゃお釣りが来るだろう」という内容の記事を書いた。1999年のことである。 ちょうどその頃、筆者と同じことを考えている人が少なくとも2人いた。練馬タクシーの社長・桜井武司さんと、日本交通事故鑑識研究所の大慈弥雅弘さんである。 桜井さんは、運輸事業に携わる者としての責任感や、社員の冤罪防止、自社タクシーの事故処理の迅速化などの立場から、大慈弥さんは交通事故鑑定人の立場から、映像記録型ドライブレコーダーを着想したのだが、この2人が出会うまでには、少々の時間を必要とした。 1999年、桜井さんは、大手自動車メーカーや電気機器メーカー数社に製品開発を打診するが、需要が見込めないことを理由に、協力を得ることができなかった。 翌2000年、全国交通事故遺族の会を通じて、桜井さんと大慈弥さんは出会う。お互いに同じアイデアを温めていたことに驚きつつも、すぐに共同開発することで合意。ハードウエアは大慈弥さんが、実車での効果確認や機能の絞り込みは桜井さんが主導する形で開発は進み、2003年11月、国産初の映像記録型ドライブレコーダー「Witness(ウィットネス=目撃者)」が完成。輸送事業者を対象に、ほぼ原価と思われる4万2千円で発売された。 WitnessはCCDカメラとGセンサー、そしてフラッシュメモリーカードなどによって構成され、急ブレーキや急ハンドル、衝突による衝撃などで、あらかじめ設定されたGより過大な加速度が加わると、警報音を鳴らすとともに、その前12秒・後6秒間の映像を記録するという仕様だった。 ◆ 過失割合の判定や事故処理の迅速化を主な目的として開発が始まったドライブレコーダーだが、練馬タクシーの業務車両約100台に装着して行った実証実験の結果、第一当事者となる事故が激減するという現象が見られた。ドライブレコーダーが装着されていることにより、「事故を起こしても、言い逃れができない」という意識をドライバーが自然に持つようになり、より注意深い運転をするようになったのである。 さらに、事故の映像が安全教育にも使えることが判明。2004年にはタクシー業界大手の日本交通が全車に装着。加害事故削減に絶大な効果があったことが、同社のホームページで報告されており、現在までに全国の事業者向けに2万5千台以上が販売されている。 映像記録型ドライブレコーダーの効果には、国土交通省も注目しており、'04年10月からは実証実験を開始。既に導入している事業者へのアンケート調査の結果、約15%の事故削減効果を確認。'05年6月には普及促進を図る方針を決定している。 一方、損害保険業界では、早い時期からドライブレコーダーの効果に着目しており、東京海上日動火災保険では、'99年から運転データのみ採取するタイプのドライブレコーダーによる事故削減コンサルティングを行ってきた。さらに'05年8月からは、映像記録型ドライブレコーダーにも対応したコンサルティングを開始している。 ◆ その後、桜井さんは、さらに安価な「ジコ録」を開発し、事業者向けに利益を載せない販売を継続。一方、大慈弥さんは株式会社ドライブカメラを立ち上げ、事業化して一般ユーザーにも広く普及させる方向へと、それぞれ別の道を歩み始めた。 しかし今年5月、桜井さんは運転中の身体的疾患が原因と見られる車線逸脱によって12トントラックと正面衝突。誰よりも交通事故撲滅を望み、行動してきた人が、その交通事故で亡くなるという皮肉な結果となってしまった。 一方、そんな桜井さんの遺志を継ぐかのように、2005年に入ると大手メーカーが映像記録型ドライブレコーダーを相次いで発売。5月には矢崎総業から「YAZAC-eye」が、8月には堀場製作所から「どら猫」が発売され、富士通テンからは「11月に発売する」とのプレスリリースが発表されている。 一方、アメリカでは1998年、DRIVECAM社が早くも映像記録型ドライブレコーダーを発売。警察車両に装備されるなどの実績を上げており、現在では同社の最新モデルを、防犯カメラなどのセキュリティ用品を扱うネクステージ(株)が輸入・販売している。この製品は20Gという大容量のハードディスクを搭載しており、連続38時間の映像が保存できる常時記録型ドライブレコーダーだ。 ◆ 現在の交通事故捜査は、ほとんどが当事者の証言に基づいて行われている。しかし当事者証言には決定的な弱点がある。それは、「周辺環境を完全に把握できていなかったからこそ、事故が起こった」という事実だ。 すなわち当事者にとっては「急に飛び出してきた」ように感じられたとしても、実際には他の事象に気を取られていて、相手の存在に気付くのが遅れたというのが客観的事実であることも少なくない。いきおい、過失割合の算定でお互いが不愉快な思いをし、時間と労力がムダに消費されていく。 あるいは、当事者の一方が死亡してしまった場合、生き残った側の証言のみによって調書が作られる。そこに警察官のマンパワー不足が加わり、正確な捜査が行われないまま、死者に濡れ衣が着せられて幕引きとなるケースは枚挙にいとまが無い。 しかしもし、ドライブレコーダーが装着されていれば、こうした問題はほとんど起こらなくなるだけでなく、前出のように、事故削減効果も期待できる。音声も記録できるようにしておけば、相変わらず減らない携帯電話運転も激減することだろう。 以下、筆者の個人的な意見であることをお断りしておくが、政府にはぜひ、映像記録型ドライブレコーダーの装着を義務化していただきたい。そのためには、最低限の機能の定義や画像データの提出義務など、法的に整備しなければならない問題はいくつかあるだろう。しかしその効果と意義を考えれば、それに払う労力など物の数ではないはずだ。 一方、自動車メーカーにも、標準装備化の検討をお願いしたい。 コストアップの要因になるとはいえ、Gセンサーは車両姿勢制御装置やABSに搭載されているものを使えばいいし、記憶装置はフラッシュメモリーを利用すれば数千円で済む。HDD式のナビやオーディオが付いていれば、その容量の一部をドライブレコーダーに充てればコストはかからない。カメラは車線維持装置のものが利用できるし、新たに付けても、コストはせいぜい数千円だろう。 衝突安全ボディや数々のエアバッグなど、「ぶつかってから何とかする装置」や、DSCや車線逸脱警報など、「ドライバーが漫然と運転していても何とかしてくれる装置」は大幅に普及してきた。しかし本来、交通安全の基本はドライバーにあるはずで、ドライバーの安全意識を向上させる効果を持つ映像記録型ドライブレコーダーこそ、今後、進むべき「本質を突いた安全対策」ではないかと思うのである。
Apr 20, 2018
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みなさん、こんにちは。 アメリカのアリゾナ州でテスト走行をしていたUber社の自動運転試験車が、自転車を押して道路を横断していた女性をはね、死亡させてしまうという事故が起こりました。詳細な状況がわからなかったので、コメントは差し控えていたのですが、車載カメラの映像が警察によって公開されましたので、コメントしたいと思います。 まずは、映像を観て下さい。 被害者の足らしきものが見えてから衝突するまで、2秒かかっていません。走行速度が60km/hだったとすると、0.85Gで減速して2秒フルに使って止まれる速度ですが、SUVのオールシーズンタイヤでは、0.8G出るものかどうか。 これでは、自動運転であるか否かにかかわらず、止まれませんよね。自動運転でも運転支援でも、検知精度や制御には限界がありますし、そもそもクルマには、物理的な回避限界があります。それを越えた状況では、間違いなく事故は起こります。 ただし、明るさに左右されないミリ波レーダーやLiDERで捕捉できてもおかしくないタイミングではないか?との疑念は残ります。歩行者や自転車を誤作動なく検出するには、まだ光学式カメラとデータフュージョンしなければならないのかも知れません。 では、今回のような事故は今後も避けられないのか? といえば、恐らく現状の技術を使うだけで、避けられるのではないかと思います。その「技術」とは、LEDアレイ式のハイビームコントロールシステムです。この装置を使用すれば、常時ハイビーム走行していても、対向車や先行車の幻惑は避けられますから、暗闇にいる歩行者や自転車の早期発見が可能になります。ライトが照射されれば、ドライバーも気づきますし、光学式カメラでも検出できますから、自動運転か否かに関わらず、安全性は大きく向上するでしょう。自動運転以前に、こういう装置を義務づけするべきですね。 現状でも、このような装置が付いているクルマはありますが、その多くはドライバーがスイッチ操作でハイビーム+自動制御を選択しないと作動しないようになっています。しかし、いずれ制御が高度化して、ロー/ハイの切り替えさえしなくて良いレベルに達するのではないかと思います。というより、自動運転車両ならば、むしろそれくらいできて当たり前でしょう。さらに、赤外線暗視カメラと画像処理装置を付けておけば、可視光線のヘッドランプより安全性は向上すると思います。 最後にひとつ。自転車を利用されるみなさん、無灯火走行は絶対にやめて下さいね。この事故も、せめて自転車がライトを点けていれば、違った結果になっていたはずですので。
Mar 22, 2018
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みなさん、こんにちは。 昨日はマツダの定例懇親会にお招きいただいたので、顔を出してきました。基本的に過分なご接待はご辞退申し上げているのですが、今回はどうしても聞いておきたいことがありましたし、マツダの懇親会は立食形式のカジュアルなものなので。 僕の目的とする人物は、執行役員の人見さん。これまでスカイアクティブXの技術的な疑問点について、直接、うかがうチャンスがなかったので、会も中程になった頃合いを見計らって、聞きに行きました。 僕の疑問点は、以下のふたつです。1.HCCIによる超リーンバーン領域とストイキ運転を行き来する際、NOxがやばくなる空燃費(16〜20ぐらい)を横切ることはないのか? いきなりジャンプするとショックが生じるはずだし、遷移域があればNOxが増えるはずだが。2.最大トルクの目標は110Nm/Lとのことだが、この領域ではストイキ+過給運転になるはずで、圧縮比16でなぜノッキングしないのか? EGRガスを相当ぶち込んでいるということか? で、まあ答えなんですけど、「そこに苦労してるんですよ(苦笑)」だって(^_^;)。 前者は恐らく制御で何とかするしかないでしょうね。リーンNOx触媒を使えば辻褄は合うでしょうけれど、さすがにそれやっちゃ恥ずかしいですから(^_^;)。 後者は、大気より温度の高いEGRガスを大量に過給すると、過給器が耐熱温度を超えてしまうとのこと(やっぱ大量EGRは試しているんですね)。これは水冷式のEGRクーラーをインタークーラー並みに大型化することになるのかなぁ。過給器はルーツ式ですから、比重やコストを考えると、材料はアルミでやるしかなさそうだし、材料の耐熱性を上げる方向だと、熱による歪みが悪さしそうだし。 もっとも、開発中の技術は企業秘密ですから、ぜんぶ正直に喋っているかどうかはわかりません。でも、「お答えできないところに関しては、『苦労している』と理解して下さい(笑)」というのに嘘はないと思います(^_^;)。 もちろん、技術発表をしたということは、解決する見込みがあるということです。首尾良くスケジュールどおりに行くかどうかはわかりませんが、市販される日を楽しみに待ちたいと思います。
Mar 16, 2018
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みなさん、こんにちは。 つい最近、自動運転車に関する原稿を頼まれました。書いた内容は、おおむね下記の通りです。 いわゆる「レベル3」までは、自動運転ではなく運転支援であり、限定された条件や地域から外れれば、ドライバーによる運転が必要になる。これが、地域や環境を限定しない完全自動運転(無人運転)となると、誤差25cmの3D地図が必要になり、それをリアルタイムに更新しながら走る必要がある。だから、車載コンピュータのサイズも大きくなり、運用コストも高額になるから、個人が所有するものではなくなり、通信システムで呼び出して共用する形態になるはず。しかも3D地図が用意できるのは、費用対効果の見合う地域だけになるから、運用エリアは限定的になり、インフラに組み込まれたものになるだろう。 で、ここまで書いて気づいたのですが、個人で所有せず、必要なときに通信手段を使って呼び出すのって、利用者にとっては現在のタクシーと何も変わらないんじゃないでしょうか(^_^;)? タクシー乗務員不足への対応や運用コストの低減という側面もあるかも知れませんが、高精度3Dマップの運用コストがどれくらいかかるかはっきりしていませんし、制御性の点からクルマはEVになるでしょうから、車両価格の償却期間なんかも問題になるはずで、現状のタクシー業界の収支を考えれば、コスト競争力の点でどうなんだろか?と疑問になってしまいました。 政府は「東京五輪には自動運転バスを間に合わせる」と豪語していますが、利用者にとっては、運転手がいるかいないかはどうでもいいことなんじゃないかな(^_^;)?
Mar 16, 2018
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みなさん、こんにちは。 昨年12月の記事で触れた標記の事故ですが、加害者の女子大生が、重過失致死罪で書類送検されました。 女子大生は警察の調べに対し、「スマホをポケットに入れようとしていた」と証言しているそうですが、僕はこの証言に、非常に違和感を覚えます。 ニュース映像を見たところ、事故現場の直前は、自転車乗車禁止エリアです。もし規則を守っていたら、自転車は押して歩いていることになります。右手に飲み物、左手にスマホを持って自転車を押してきて、そこから乗車しようとした場合、スマホをポケットにしまう動作と発進動作を同時に行うというのは、ちょっと不自然ではないでしょうか? スマホをポケットにしまいながら発進しようとすれば、ハンドルはドリンクを持った右手でだけ支えることになります。そんな不安定な状態で、発進しようとするでしょうか? 僕たちのようなスポーツサイクル愛好家ならば、発進時にはまずフレームにまたがって、右ペダルを踏み込みながらサドルにお尻を乗せます。この乗り方ならば、片手発進もそれほど不安定でなくできますが、一般の人の場合、まず左足を左ペダルに乗せ、足を交差させる形で右足を右に出してサドルにお尻を乗せるはずで、この動作を片手(しかもドリンク持ち)でやるのは、すごく難しいのではないかと思います(やってみればわかるでしょう)。曲乗りまがいの技がいくつかできる僕でも、あまりやりたいとは思わない動作です。 もっともスポーツサイクルではなくママチャリなので、サドルに座ったまま足がべったり着くでしょうから、サドルに座ってから、ポケットにスマホを入れつつ発進するということもできるでしょう。しかしそれでも、片手ハンドルで電動アシストを受けながらの発進となると、ちょっと怖いんじゃないかと思います。 要するに何が言いたいかというと、女子大生はもしかすると、乗車禁止エリアから自転車に乗っていたのではないか、ということです。それならば、歩道を横切る直前で、スマホをポケットに入れる動作をするのは不自然ではありません。しかし、押し歩きという安定した状態から、わざわざ不安定な状態を作りながら乗車するというのは、少なくとも僕の感覚からすると不自然です。しかも被害者、は顎の骨と頭蓋骨が折れていたそうですが、電動アシスト自転車とはいえ、発進直後にこれほど破壊力のある加速ができるのでしょうか? 片手発進なら、振り落とされるのではないかと思いますし、そうなると自転車だけ走っていくので、人を転倒させるほどの慣性力は生じないはずです。その点も、もっと手前から乗っていたと考えれば、不自然ではなくなります。 特に今回の事故は、目撃者がいないようですから、事故当時は人通りがかなり少なかったはず。となれば、「ながら運転」をする程度のモラルの持ち主が、乗車禁止を守らずに乗ってしまう誘惑に駆られたとしても、不思議はない状況です。 とはいえ、これは状況証拠から感じた僕の個人的な違和感なので、加害者が嘘の証言をしているとまでは言いません。でも警察は念のため、証言どおりの動作を加害者にやらせてみるべきではないかと思います。
Feb 16, 2018
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みなさん、こんにちは。 関東の雪、すごかったですねぇ。当地でも30cmぐらい積もりまして、一昨日は家の前の道路やらゴミ集積場所やらの除雪でクタクタになりました(^_^;)。 まだ幹線道路でも、建物の陰になるところには巨大なアイスパッチが残っているところがありますので、ここ数日は注意して通行したほうがいいですね。特に夏タイヤのかた、「もう大丈夫だろ?」とか油断しないで下さいよ。凍結路面に出くわしたら、ブレーキは踏まずハンドルも切らず、タイヤを転がして通過して下さい(カーブや交差点の場合は無理かも知れませんが(^_^;))。ブレーキを踏むと姿勢が乱れますし、それを直そうとハンドル切ってもほとんど効きませんし、アスファルトに戻った瞬間にグリップが回復して、タイヤの向いている方向に飛んでっちゃいますからね。 さて、表題の件。 今回の雪で、「俺はスタッドレスだから大丈夫」とか、「スタッドレスでも坂を登れないことってあるの?」という声をいくつか聞きました。 誤解していただいては困るのが、「スタッドレスは”魔法のタイヤ”ではない」ということです。スタッドレスだからと言って、雪道でも乾燥路面のように走れるわけではありません。夏タイヤに較べれば、積雪や凍結路面には強いけれど、それは「いちおう走れる」というレベルに過ぎません。凍結して表面が磨かれた路面では、ちょっと強めの加速やブレーキでも滑りますし、坂道でも少し勾配が急になると、2WD車では発進できなくなることもあります。 ということで、スタッドレスタイヤを付けているからと言って、くれぐれも油断しないで下さいね。走り始めたら、まず安全な場所で強めのブレーキを試してみて、どの程度の減速ができるか確認し、それ以上の急ブレーキが必要にならないよう、車間距離を広めにとって運転して下さい。 特に雪が溶け始めている状況では、アイスパッチに注意して、日陰になっている場所を通過するときには、手前でいつも以上に減速して、アイスパッチが出てきても慌てずに対処できるようにしておいて下さい。追記:JAFによる条件別テストの動画がありますので、ぜひご覧になって下さい。ブレーキ編はこちら。坂道編はこちら。旋回編はこちら。
Jan 25, 2018
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