セミリアイア「晩年」日記

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2020.01.07
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カテゴリ: 評論
国会議員の誰それが、300万の収賄だとか、他に5人ほどもらっている議員がいると贈賄側は言っているだとか、連日この問題でマスコミは賑わしい。

ことの本質を考えてみたい。IRとは何なのか。



という説明をJTBのHPから拾ってきた。

もはや、日本はグローバル競争を勝ち抜く力を持っていない。エネルギー資源もないのに、原子力発電を主要な電源ベースと位置づけ、風力などの自然エネルギー発電は、ヨーロッパなどから技術的に大きく後れをとっている。

そうかといって、ITや金融が世界最先端というわけでもない。賃金は、非正規雇用の増大で国際的に見れば、安くなったとはいえ、発展途上国の比ではない。だから、工業製品の輸出も自動車頼みで、それも早晩、電気自動車が普及すれば、アドバンテージはほぼなくなる。

賃金をさらに下げて、再び輸出大国を目指そうにも、生産年齢人口は減る一方だ。やがて近い時期に、20歳以上の人口の8割が40歳以上になるらしい。この人たちの賃金を下げれば、ほとんどの国民は老後に備えるなどということは考えられなくなる。

つまりは、八方塞がりなのだ。

しかし、日本には西欧文化圏から見れば、非常に魅力的な観光資源があり、インバウンド収入は飛躍的に増加している。ここにIRを作れば、一気に主要産業化できるだろう。雇用も創出できるし、そのために小学校からの英語教育が、効果を生むだろう。なにしろ、英語で道案内くらいできなければ、IR従業員は外国人ばかりになるだろうから。

以上が現政権の目論見である。それに対して野党は、ギャンブル依存症云々という極めて視野狭窄的な反対論しか主張できない。



では、カジノ抜きでIRが成立するかというと、それも非常に疑問だ。日本の観光資源は点在しており、元来、周遊型の観光が最適な環境なのだ。初めて日本を訪れた人は、とりあえず、若い人なら東京のオタク文化の聖地秋葉原、年配者なら京都などの伝統文化観光に行くだろうし、ちょっと足を延ばして金沢、雪のない東南アジアからは北海道等々、少なくとも二、三回は訪れてみたい観光地に恵まれている。しかも民泊で、LCCで来日するバックパッカーにも対応している。わざわざ、IR施設の劇場などに行かなくても、歌舞伎座や大相撲観戦など、魅力的な観光資源はいくらでもある。国際会議や展示場なら、首都圏などにすでに十分な施設がある。

では、なぜIRなのか。一つはオリンピックと同じで、土木建設業界が潤うからだ。彼らは、施設が出来上がった後、それが利潤を生むかどうかなどには一向に頓着しない。とにかく壮大な施設なら、その建設で、莫大な利益を手にできると考えるだけだ。そういうところに、過疎に悩む地方公共団体の税金と一向に赤字から脱却できない国税を、少なからず注ぎ込むくらいなら、老朽化したインフラの再構築に使うべきだ。

もう一つは、新たな搾取の構造ができるからである。先述の通り、ブルーカラーにはIRは敷居が高い。しかし、働き方改革で、余暇の増えた中流ホワイトカラーのお金がIRに流れ込む可能性は否定できない。何しろ、彼らは、大学入学共通テストのせいで、まともな文章を読んで大学に入ってきていない世代である。文化的には極めて低いレベルの教養しか持ち合わせていない中流層は、カジノくらいしか余暇の過ごし方を思いつかない。そこに一部の富裕な年金生活者が加わる可能性もある。身体が動けば、ゴルフ三昧もいいかもしれないが、そうでなければ、彼らもやはりカジノに吸い込まれていくだろう。

つまり、IRができたとしてもそれほどインバウンド収入は増加しないし、辛うじて残っていた中流の個人資産を搾り取るだけの結果に終わる。そうなると、日本人は外国人労働者と変わらない極めて安価な労働にしか就けなくなり、治安は悪化し、国家財務の赤字を実は支えてきた日本人の個人資産は消失し、日本の国際信用力は地に落ちる。赤字国債の買い手は中央銀行しかなくなる。円を刷れば刷るほど、その価値は下がり、ひどいインフレが日本でも起こりかねない。

もう一度言うが、IRに反対するのはギャンブル依存症が増えるからなどという浅薄な理由ではない。事業そのものの展望が見えず、失敗した場合のリスクがあまりにも大きいからである。





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最終更新日  2020.01.08 06:40:01


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