朝吹龍一朗の目・眼・芽
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7月の読書メーター読んだ本の数:6冊読んだページ数:1568ページナイス数:5ナイス大学教授のように小説を読む方法普段から無意識にしていることを体系的にまとめて方法論として学生に授ける、これこそが学部教育の一丁目一番地だろう。こんな授業を受けてみたかったと思う社会人はきっと多いに違いない。しかし朝吹がおもしろかったのはその語り口の部分。「詩や小説を読むときはまず空模様をチェック」なんて気が利いてる。ハムレットに「言葉は天を目指すが心は地にとどまる」という一節があるというが、読み落としていた。ちょっとシチュエーションが違うが、日本には「きづなは地に あこがれは空に」(永瀬清子)がある。こっちのほうが百倍好き。 読了日:07月31日 著者:トーマス・C. フォスター遊ぼうよ―辻まことアンソロジー大好きな著者の本。中央辺りにまとめられているカリカチャーだけでも必読(必見)。「マジメさの中に必然的に生じる鈍感さに気づかぬほどマジメな人(後略)」って、朝吹のことを指しているのだが、それでもそれが『必然』だけどね、しょうがないけどねえ、といったんは受け入れてくれる温かさにしびれる。辻さん好き! って、こんな手放しの礼賛書評は初めてかも。読了日:07月31日 著者:辻 まこと,琴海 倫よく遊びよく遊べ 隠居大学裕福なジジイどもが好き勝手を言う放言集。さすが裕福になるだけのことはあって、それぞれの言葉は蘊蓄と示唆に富む。爺さん予備軍より若い人に読んでもらいたい本。読了日:07月29日 著者:和合亮一生物学的文明論 (新潮新書)物理・化学が文明の中心で従って学問でも予算面で生物系は不遇だという愚痴はかわいいが、「触れればたちどころに自然が壊れるのがよい技術」という見立てはいささか陳腐。西洋人が回る時間をサイクルと呼んでタイムと区別するというのも牽強付会。確かに英語にはサイクルタイムという表現があるけれど。十章は典型的な団塊世代のわがままで「年金があるのだから、利益を抜きにして世のために働く」行為が若い人の意欲と職を奪っていることに気がつかない鈍感と思い上がり。しかしこれは毛を吹いて疵を求めるようなもの。一読お勧め。読了日:07月18日 著者:本川 達雄街道をゆく〈35〉オランダ紀行 (朝日文芸文庫)仕事で昨年お世話になった後藤さんが案内役で登場。ダイヤ鑑定士とは存じませんでした。歩かれているいくつかの街をご一緒したり一人で徘徊したりしたが、他の巻で描かれる日本の情景と違い、いちいちが朝吹の感性にちかい(ついつい司馬の表現になってしまう)。オランダ紀行と言いながら要所要所で隣国のベルギーとの比較が面白い。最も共感できるのが食事の落差。欧州一の美食の国と生ニシンくらいしかない国。他の紀行と違い、読むなら訪問後を勧める。なお、書中のティルさんは今春(11年)天に船出(後藤さんの表現)されました。読了日:07月18日 著者:司馬 遼太郎イソップのレトリック―メタファーからメトニミーへ「抽象的なことはかたちを求め、かたちは抽象を憧れる」という宣言に始まり、「思い出」さえ「換喩」としてとらえられると展開する。そして「人間は何に譬えても大概の偏差を縮小できるほどに、流動的な特徴の幅をもっているから」と議論のターゲットを予め拡大してからイソップという名のレトリックに踏み込んでゆく。それは、おかしみを使った説得の技法なのだという結論はいささかお手軽過ぎ、もう少し「イソップ」そのものについての解釈を開陳してもらいたかったところ。とまれ、ゆっくり読めば実生活への示唆にも富む隠れた名著、かな。読了日:07月09日 著者:樋口 桂子読書メーター
2011.08.10
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