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「毎日更新」読レポ第2082
カール・ロジャーズ
~カウセリングの原点~
著:諸富祥彦
発行:㈱KADOKWA
第6章 1955年ロジャーズとジャンドリン
「内側からの革命」ーロジャーズとジャンドリンが共に取り組んだ何か(3/4)
むしろ届いたのは、実践である。ロジャーズの言葉は届かなくても、ロジャーズが聴衆の前でオープン・カウンセリングを始めると、それは届いた。聴衆の眼前でロジャーズが傾聴していると、今まさにクライアントが変化していくのがわかった。より自由に、自分らしくなり、内面的な広がりを見せ、美しくなっていくのだ。
内面における社会的な束縛(定型的思考)から解放され、より自由になり、もっと自分らしくなっていった
。
人間は深く傾聴されると、このように変化するのだ
、という実例をロジャーズはデモンストレーションで見せた。しかし、その大きな価値を社会の側が理解できなかった。
ロジャーズの
傾聴の持つ本質的な意味を理解するには、既存の言葉に頼ってはダメで、新しいターム(意味や使い方)をつくることが必要になる
。ジェンドリンはそれをやってきた。ロジャーズのやり方で
深く傾聴されていると、人はみな、自分の内側の深いところに触れ始める。内側の深いところ、内側のexperiencing(エクリンピング:経験する)に触れ、直接意識を向けながら、語るようになる
。
すると人は
その内側の深いところに、何か、語られたがっているもの、まだ言葉にならないけれども語られたがっている「暗黙の何か」があることに気づく
。
人はその「暗黙の何か」を語る。言葉にする。しかし、内側の暗黙の何か、experiencing(エクリンピング:経験する)を言葉として語る、というのは、ただexperiencing(エクリンピング:経験する)を映し出す、というのではない。言葉にされることで、言葉にされた当のexperiencing(エクリンピング:経験する)は、すでにほかのものに変わっている。展開されているのだ。
言葉にされることで、言葉にされたがっていた暗黙の何かは、変わる
。これが、
人間が変化する時に、起きることなのだ
。
その繰り返しの中で、人は、通常の意味や言葉を超えて先に進んでいける
。新たな文化が生まれる。
重要なのは、こうした、これまで認識されていなかた「直接の体験過程による思考(TO
think (テイク)with direct(ダイレクト)experiencing(エクリンピング:経験する))」(Gendlin,2002)である。
ロジャーズの傾聴は、人をして「直接の体験過程による思考」「内側で流れている暗黙の何かによる思考」をせしめるパワーを持っている
。すると人は、
固定化されていた文化、パターン、倫理の呪縛から解き放たれ、みずからをより自由にする
。新たな文化や倫理が生まれる。
その蓄積が人類の進化をもたらす
。
と著者は述べています。
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