光り輝く毎日を Aurora Gral

光り輝く毎日を Aurora Gral

2009年02月03日
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カテゴリ: テレビ・映画


監督:ロマン・ポランスキー、主演:エイドリアン・ブロディ、2002年の作品です。

ポーランド系ユダヤ人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの実体験が綴られた原作を元に映画化された作品です。
ストーリーのほとんどは実話です。


内容と監督から興味は十分あったんですが、長~く映画を観ていなかった時期。
この作品も気にかかっていたけど放置していたんです。
それがGyaoで放映しているのを知ってついに観ることに・・・。

実は、気付いた日から一週間の間に5回観ました。
私ってホント、しつこい性格です


感想を一言で言えば「痛かった」です。
一番痛かったのは心です。つらいです、苦しいです。
観ているときより、観終わってストーリーを思い起こした時にいっそう苦しくなるんです

私がこれまでにじっくり読んだホロコースト(ナチスのユダヤ人大量虐殺)に関する書物は、ヴィクトール・フランクル博士の強制収容所での体験が描かれた『夜と霧』くらいです。
『アンネの日記』は読んでいません

学生時代にドイツについて勉強したものとしても、中学時代から大好きだった世界史の一部としても、“1939年、ナチスドイツのポーランド侵攻により第二次世界大戦勃発”とのフレーズが記憶に刻み込まれています。
その一言で言い切れてしまう“ポーランド侵攻”の姿がこういうものだったなんて・・・。

強制収容所での悲惨な話が予備知識としてあったので、外の暮らしは大変とはいえ収容所ほどでは無いと思っていました。
それは、ものすごく酷い誤解でした。

主人公ウワディスワフ・シュピルマンのいたワルシャワゲットーには40万人近い人が隔離されたと言われていますが、生存者は20名程度との記録もあります。
その数少ない生存者の一人がシュピルマンなのです。


強制収容所とゲットーでの暮らし、どちらが酷いかなんて比べようもありません。
どちらも酷いものです。



<以下、内容に触れます>

物語は主人公(シュピルマン)がラジオ局でピアノを弾いているとき、ナチスドイツの爆撃を受けるところから始まります。
連合軍(イギリス・フランス)が参戦することを知って、逃げるのをやめるシュピルマン一家。

ユダヤ人を差別する政策がどんどん決まっていき、そのたびに「イヤだ」「やらない」と抗するものの、結局せざるをえなくなり、最終的に考えられない狭さのゲットーへ押し込められます。
嫌なことがあっても家族で肩を寄せ合い前向きに暮らそうとするシュピルマン一家も、とうとう移送されることになります。他の多くのユダヤ人たちと一緒に・・・。
「ここよりもっといいところで労働をするために移動する」と微笑みながら言うドイツ兵。

8月の真夏の太陽の下、水すらない広場で飢え渇いたたユダヤ人たちは移送のための列車を待ちます。
その広場でシュピルマンは、少し前にどこかへ連れて行かれた家族2人と再会。
一家は生きて再び会えたことを深く喜びます。

1kgのジャガイモより高額なキャラメルを、主人公一家はみんなでお金を出し合って購入。
その一粒のキャラメルを、6つに切って家族6人で味わいます。
観ていて目、鼻、口が痛くなりました。

二回目に観たときは「死にに行くだけなのに・・・」と、再会の喜びとキャラメルの購入をむなしい気持ちで眺めました。
でも三回目以降は、“死にに行くからこそ”家族が再会できたこと、キャラメルを味わえたことはこれ以上無いほどの至福の出来事だと思えました。

もう会うことは無いかもと思っていたかもしれない家族と再会できた喜び・・・。
彼らは知る由もなかったけれど、もうお金を持っていても意味がないんです。
もしかしたら全財産をはたいたのかもしれないけれど、最後に甘いキャラメルを口にすることができたのは、飢えと渇きに苦しむだけの人達に比べたらどんなに幸せなことか・・・。


シュピルマン一家が強制収容所に向かう電車に乗る列を歩んでいるとき、知り合いの ユダヤ人 警察によって主人公のみ助けられます。
「逃げろ!命を助けてやったんだぞ!」と。

こっそりと逃げる際に主人公が耳にしたことば、「二度と帰れぬ旅路への出発だ」と笑いながら言うのは ドイツ人ではなくユダヤ人 でした。

この辺り、どこまでが本当に体験した出来事なのか、そのうち原作を購入して確かめます。
主人公が慌てて逃げる際に、彼を助けたユダヤ人警察が「走るな!」と言うんですが、これは監督が幼少時に強制収容所から脱走したときの実体験だそうです。
その助言をしたのは、逃げようとしている幼なかった監督を見つけたドイツ兵だとか・・・。


数万のユダヤ人が貨車で一度に強制収容所へ送られ、そのまま直接ガス室へ、そして毒殺。
同胞の末路を知っていながら、ドイツ人に協力するユダヤ人。
心が痛みました。


それから程なく、主人公以外の家族は死へ向かう貨車に乗り込みます。


その後半年くらいはゲットー内で労働するものの、友人を頼って脱出する主人公。
逃げ、隠れ、飢えと戦う日々の始まりです。
ワルシャワゲットー蜂起、ワルシャワ蜂起、と歴史的出来事を目の当たりにしながらも、ただ逃げ、隠れ、水と食べ物を探す主人公。

初めてこの作品を観ているとき、ワルシャワ蜂起の後くらいから息子が一緒に見始めました。
あれこれと説明を求めてくるので落ち着きません。

ヒゲも髪も伸び放題で見るからに小汚い主人公が、息子の目には不思議に映ったようです。


すべてが終わって、再びラジオ局でピアノを弾く主人公を見ながら
「これ、さっきの男の人だよ。」と言う私にビックリして、
「何で?どうしてこんなにキレイなの?何でさっきは汚かったの?」と矢継ぎ早に尋ねる息子。

ラジオ局でピアノを弾いているとき、訪ねてきたかつての仲間(音楽家)を見て涙を浮かべながら、いっそう情感こもった演奏をする主人公。
主人公の涙、ちょっと前にやはり汚らしかった仲間もキレイに、見違える姿になっていること、息子にとっては不思議だらけみたいでした。

全編を見ても(見ていられないだろうけど)、理解できるかわかりません。
ちょっと説明したものの、息子にはまったく意味不明みたいでした。

まず戦争の説明をしても、うまく伝わりません。
その数日前にガザ地区の被害者のドキュメンタリーを見たときもビックリしていたくせに・・・。
戦争のこと、どうやって伝えていいものやら。



すべてを失ったものの、ピアノを弾くことだけは残っている。
彼は彼の暮らす街の死を見たんです。
(戦後間もなく発表された原作のタイトルは『ある都市の死』でした。)
瓦礫の山、廃墟と化した街で生き延びたんです。

そう、これはある都市の死を目の当たりにしたピアニストの体験談です。
心に深く鋭い痛みを残す作品でした。


 DVDです。廃墟と化したワルシャワを彷徨う主人公。
戦場のピアニスト

原作(書籍)です。映画化が決まって『戦場のピアニスト』のタイトルで発売。
戦場のピアニスト






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最終更新日  2009年02月04日 01時15分53秒
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