
[これ、これを待っていたの]
本を手に取り
貴方は言った
胸に当てる顔から
最高の笑みが 溢れた
ああ
嘆息を漏らし
愚劣だった自分を恥じた
いったい
何をして来たのか
いったい何に
注ぎ込んで来たのか
答えは
足元に潜んでいたのに
夢で終わらせたら
夢で終わらせたら
いけない
目覚めたベッドで
何度も呟いた
今は亡き 貴女
あの笑顔が
希望を持たせて呉れた
朝
夢で終わらせたら
夢で終わらせたら
いけない
★ 参照
★
[レジリエンス]=心理学用語
(柔軟性'反発力)
[回復力, 逆境やトラウマに打ち勝つ力]
By.星原女瑪(2014.5.13)2018.5.16.
(注意:詩の転載を禁ずる:シェアはご遠慮下さい)
何気なく見ている夢。
そんな夢に、ふと気付かされることが有る。
ふと、教えられることが有る。
今回は、亡姉が夢で教えてくれた事を、
作品にしてみました。
By.星原女瑪.(2014.7.20)2016.10.6.
*------*------*------*
昨年2017の春まで、
毎年賑やかだった{雀のお宿}
薔薇の手入れで、頻繁にベランダに出ていたら、
今年は来てくれませんでした。
とっても寂しく複雑な心境です。



短編小説・ 心ゆくまで
・
お待たせしました~🙇
読んでいただけましたら幸いです。



***------*------*-----*------*------*------*------***
ミステリーロマンの世界へ、
ようこそ。
拙い小説ですが、
読んで戴けましたら幸いです。
*------*------*------*------*
★ 心ゆくまで
★
終章【4】の続き(下に記述)
終章【5】に続く(下段に記述)
夜の11時を過ぎて、
柿谷はオンザロックを片手に、
2階へ上がって行った。
その夜、
丘の上には柔らかな早春の風が、
吹いていた。
あくる日も、晴天の穏やかな日だった。
昼食のサンドイッチを前に、
『柿谷さん、宜しかったら散歩に出ませんか』
沙織が誘うと、
『いいですね。出ましょう。
帰ってきたら買物に付き合ってください』
『お買い物ですか...』
『あなたに必要な物を、買いたいのですよ。
夕食は、その時に済ませましょう』
『柿谷さん、
本当に有りがとうございます』
沙織は礼を言ってから、
コーヒーポットに手を伸ばした。
表に出て肩を並べると、
ライトグレーのウィンドブレイカーの柿谷は、
思いのほか背が高かった。
『私ね、リスをみたんです。
とっても艶の良い可愛いリスでしたわ』
『リスですか、それはいい。
昨日の散歩ですね』
『ええ。上に、梅の老木が花を付けていますわ』
『そうですか。案内をお願いしましょう』
和やかな会話の合間に、
鶯のさえずりが聞こえた。
丘の上で足を止めると、
梅の木にリスが遊んでいるのが見えた。
『おっ、古い梅ですね』
柿谷の声にリスは逃げて行ったが、
梅の香は漂っていた。
『柿谷さん、お話が有るので掛けませんか』
沙織は、ベンチを指さした。
『私ね、影が無いんです』
『影ですか...』
『そうなんですの。ほら、見て』
沙織は立ち上がって見せた。
『沙織さん、その事なら知っていました。
残念ですが気付いていました』
『そう......。どうしてかしら、
私ったら変ですよね』
奥村沙織は、珍しく声を荒げた。
『沙織さん、
安心して落ち着いてください』
柿谷貴次{かきたにこうじ}は手を差し出して、
沙織を座らせた。
『実は、あの晩なのです。
貴女を此処まで運ぶ途中で、
不思議な体験をしたのです。府中を過ぎた頃に、
不意に現れた光が凄いスピードで追いかけて来て、
貴女に当たった瞬間、天高く昇って行ったのです。
沙織さんの肉体が天高く舞い上がり、消えて行きました。
あの光は、分離した貴女の魂だったのだと、
僕は感じました。魂は車に残り、
仮の姿の中に入った様です。
だから形ある沙織さんの肉体は天に消えて、
不確かな肉体に、魂が宿ったのだと思いました。
着いて、車から抱き上げた貴女は、
空気の様に軽かった......。
しかし僕にとって沙織さんは、存在しています。
僕には、貴女を感じる事が出来るのですよ。
不思議ですがね...』
『そうでしたか...。
それにしても不思議な事ですね......』
二人の沈黙の間に、鶯の囀りが木霊した。
『沙織さん。僕には見えますが、誰にも貴女は見えません。
だから、気を付けましょう』
『柿谷さん、一つだけ教えてくださる。
貴方は、こんな私を受け入れてくださるのですか』
『勿論ですよ。
沙織さんは僕にとって掛け替えのない人ですからね。
大切にして行きます』
柿谷貴次は、きっぱりとした声で言った。
『そうですか......』
奥村沙織は複雑な心境の侭、黙り込んでしまった。
やや経って、
『沙織さん』
柿谷が呼びかけた。
『僕は今の侭の貴女を、ずっと大切にして行きたいのです。
どうか心配せずに、生きてください』
柿谷の面持ちは、真剣そのものだった。
その真剣さに圧倒されそうされそうになったが、
沙織は柿谷の愛情深さが、身に滲みて有り難かった。
すると、見上げた柿谷が滲んだ。
そして滲んだ指が伸び、沙織の涙を押さえた。
『沙織さん、出掛けましょう。
気分転換には、もってこいですよ。さあ歩きましょう』
言いながら、柿谷は手を伸ばした。
終章【5】
『近場のデパートでいいですか。』
柿谷に言われて、
『楽しみだわ』
玉子色のワンピースに、
オリーブグリーンのカーディガンを羽織った沙織は、
努めて明るく答えた。
二人で歩くデパートは、
想像も出来なかったほどに楽しかった。
沙織の散歩用のシューズを買おうと立ち寄った店では、
『サイズは幾つ』
『22.5よ。深いブラウンが好いわ』
すると柿谷は、ウィンクしてから、
『22.5のブラウン系を見せて貰えますか』
という調子で、全てが軽快に運んだ。
柿谷はダークグレーの大き目なショルダーバッグを買ってから、
『君にバッグは、大丈夫だろうか...』
と言って、首を傾げた。
『掛けてみましょうか』
沙織は言うなり、店員の視界を外れた場所に立った。
柿谷は慌てて近付くと、
ショルダーバッグを掛けてみた。
『ああOKですね、見えません。
躰に着いてる物は見えない様です』
柿谷はホッとした顔付で、
深いワイン色のショルダーバッグも購入した。
夕食にヒレカツが食べたいと言うので、
二人は上の階の食事処に入った。
柿谷は身を乗り出すと、
『沙織さんの躰に間接的にでも触れている物は、
透けて見えなくなる様です。
まあ色々と試しながら、気を付けて行きましょう』
『はい、気を付けましょうね』
柿谷は運ばれて来たヒレカツ御膳を、美味しそうに平らげた。
沙織は不思議と空腹感が無く、喉の渇きも感じなかった。
緑茶を口にしてから、柿谷が口を開いた。
『実は沙織さん。貴女の遺体は消えてなかった様なのですよ。
僕は先走って、テレビを見たら大変だ。なんて言って
しまいましたが、何の騒ぎにもなっていなかったのです。
僕も救命士として関わったひとりですから、
色々と訊かれた時の為に気持ちの準備はしていたのですがね...
...』
『そうですか...。テレビは全く点けてませんし、
新聞は届きませんから知りませんでした。そうでしたか...。
母や姉たちは、悲しんだことでしょうね。胸が痛みます』
『そうですね。沙織さんを亡くされて、凄く辛かったと思います』
『でも、柿谷さんに嫌疑もかけられたりせずに過ぎて、
本当に良かったわ』
そう言ってから、奥村沙織は視線を落とした。
夜更けて帰宅した二人はシャワーを済ませると、
それぞれの部屋に引きとった。
それから二週間ほどした夕食のテーブルで、
『沙織さん大事な話が有るので、
明日の夜は僕の部屋に来て貰えませんか。
そうだな、8時にお願い出来ますか』
柿谷は、心配そうな顔つきだった。
『明日の夜ですね、承知しました』
柿谷は沙織の返事を聞くと、
安堵した様子で夕食に手を付けた。
By.星原女瑪.2018.5.9.
【最終章】へ続く
*------*------*------*
終章【3】
沙織が深い眠りから目覚めたのは、
翌日の午後の事だった。
電話のベルに驚いて起き上がると、
携帯電話から柿谷の声がした。
『沙織さん、どうですか...。大丈夫ですか』
『はい、大丈夫です。私ったら、
昨日から眠っていました。変ですわね』
『そうですか、それは良かった。
まあ、眠れた方が良いですから、大丈夫ですよ。
何か気になる事でもありますか...』
『いえ、その.....』
沙織は影の事を言いそうになって、
それを押し留めた。
『今夜には帰りますから、
何か有ったのでしたら、後でゆっくり聞きますよ。
ひとりで待たせておくのは心配ですが、
頑張って待っていてください。それでは、また後で』
『はい。電話を、ありがとうございました』
『あっ、そうだ。書斎とリビングに、
画集が有りますから、眺めてみてはどうですか』
『はい。ありがとうございます』
電話を切った沙織の顔に、笑みが零れた。
寝覚めの耳に、柿谷の穏やかな口調が心地よかった。
戸惑いを察してくれた心配りは、それにも増して心に浸みた。
沙織はベッドを抜け出した。
その足でクローゼット開けると、
素早く着替えをした。
その後はキッチンで珈琲を要れてから、
リビングの画集を眺めて過ごした。
美しい装丁の画集は、見事だった。
その画集に、
沙織は思わず引き込まれて行った。
ふと気付くと、夕刻になっていた。
慌ててシャワーを済ませてから、
沙織は再び、画集を眺めて過ごした。
その夜、柿谷が帰宅したのは、
8時を大分に過ぎてからだった。
寿司屋の握りと出来合いのサラダを携えての、
帰宅だった。
柿谷は寿司を摘みながら、
『沙織さん、着替えたのですね。
ラベンダー色のセーターが似合って、素敵ですよ』
『まあ、嬉しいわ。ありがとうございます』
沙織は軽い恥じらいを感じながら、
茶碗の美しい玉露に、視線を落とした。
『お部屋のクローゼットやタンスに、
サイズと色合いの合いそうな衣類が沢山有ったので、
お借りしています』
『ああ、そうですね。気に入ったものが有ったら、
ぜひ使ってください......。
実は亡くなった姉の物で...。
あの部屋を使っていた時期があったのです』
『そうだったのですか。
お姉さまは亡くなられたのですね』
『沙織さん、今夜は疲れているので、
この話は止めましょう。
近い内に話しますので、待って貰えますか...』
『もちろん、柿谷さんにお任せしますわ』
『良かった、それでは近い内に話します。
そろそろシャワーを浴びたいので、失礼しますよ。
そうだ。出来たらコーヒーか紅茶でも入れて置いて下さい』
『夜も更けて来ましたから、お紅茶にしますね。
アイスティーにしましょうか』
『それは嬉しいですね。
シャワーの後には最高ですよ。
そうだ、チョコレートを買って来たんだった。
荷物の中に有りますので、適当にお願いします』
『はい、分かりました』
柿谷は食事を済ませると、
慌ただしく浴室に向かった。
続く】
By.星原女瑪.2018.3.23.
終章【2】
沙織は眩暈を覚えてベンチに座り込んだ。
胸が俄かに高鳴り、額には冷たい汗が滲んだ。
『わたしは......』
奥村沙織は額の汗を拭い、目を閉じた。
影が無いことでショックを受けた沙織は、
なんの躊躇いもなく歩いて来たことを思い、
困惑した。
当たり前のように乗っていた車椅子は、
何処に置いて来たのか覚えがなかった。
奥村沙織は胸に手を当てて、
目を開けてみた。
梅の白い花が見え、
陽の光が柔らかく降り注いでいた。
『緊急時には、遠慮なく使ってください。』
そう言われ、
渡された携帯電話が、ポケットの中に有った。
左手を伸ばして触れると、幾らか気分が落ち着き、
沙織は深く息を吸うことが出来た。
山の奥の方から、
デデッポッポ、デデッポッポと、
山鳩の鳴き声が聞こえ、
それは寂しく木霊した。
その鳴き声を聴きながら、
奥村沙織は立ち上がった。
緩やかな坂道を歩きながら、柿谷の事を思ってみた。
しかし仕事の事を考えると、
電話に触れることは出来なかった。
帰路は永遠に続くのかと思われる程に長く、
その間じゅう何故なのかと言う疑問を、
自分に打つけては苦しくなって足を止めた。
早春の陽光の下で、
トンネルを歩き続けている心地だった。
漸く玄関の前に立つと、
鍵をしまってダイニングへ向かった。
柿谷が座っていた傍らに、車椅子が有った。
だとすれば、
柿谷は立っている私に向かって挨拶をして、
出掛けて行ったのだ。
沙織は一抹の不安と寂しさを抱いて、
ベッドにもぐり込んだ。
一度は火葬場で燃やされるはずだった自分なのだ。
奥村沙織は目を閉じて、自分を鼓舞してみた。
幾らか落ち着くと、
沙織は深い眠りに落ちた。
続く】
By星原女瑪・2018.2.7.
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