2004年05月05日
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慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

アッサラーム アライクム

今日は第59章(スーラト=ル=ハシュル)です。

第2節

「フワ=ッ=ラディー アフラジャ=ッ=ラーディーナ カファルー ミン アハリ=ル=キタービ ミンー ディヤーリヒム リ=アウワリ=ル=ハシュル 
(かれこそは、啓典の民の中の不信心な者を、その住まいから最初に追い出し放逐された方である。)」
から集合章または放逐章と呼ばれています。

ヒジュラ4年の啓示とされています。

イスラームではだれかの誕生日を基に暦をつくるのではなく、その人の行なったこと、つまり業績を重視します。


ヒジュラ(遷った)時点のマディーナではクライザ族、アンナディール族、カイヌカーウ族というユダヤ教徒3大氏族がいましたが、カイヌカーウ族は「マディーナ憲章」に背いて、勝手に戦争を行なった最初のユダヤ教徒氏族であり、カイヌカーウ族のユダヤ教徒が市場でムスリム女性をからかったことが原因でムスリムとユダヤ教徒の喧騒が起き、双方に死者が出るに至り、両者の関係が悪化します。
 アッラーのみ使い(サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム)はカイヌカーウ氏族を彼らの市場にお集めになり、アッラーの報復を恐れ、イスラームへ入信するように警告なさったのですが、彼らは拒否します。彼らは、ムスリム軍に包囲されたため降伏し、マディーナを後にし、シリアのアズラアートへ向かいます。この章が啓示された時点ではもうマディーナにはいませんでした。

ここでの放逐されたというのはアンナディール族のことです。
アンナディール族とムスリムたちの間には平和協力条約が結ばれていましたが、ある時、アッラーのみ使い(サッラッラーフ アライヒ ワッサラム)と教友がアンナディール族の土地にいらしていたとき、彼らが使徒(サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム)を暗殺しようと謀り、使徒(サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム)がそれを察知なさり、マディーナにご帰還後、アンナディール氏族にあてて、使者をお送りになり、退去するように告げられ、10日間の猶予をお与えになりました。ムナーフィクーン(偽信者)の領袖アブドッラー・ブン・ウバイイが援軍を約束したので、アンナディール族は、ムスリム軍に反旗を翻し、出撃します。当てにしていた、ムナーフィクーンの領袖が約束した援軍は来なかったため、結局は降伏し、マディーナから追われる身となりました。
(「嘘をつく」「信頼を裏切る」「約束を守らない」はムナーフィクーンの特徴ですね。)

「マディーナ憲章」とは
マディーナにおいて新しい共同体のあり方を、マディーナに居住するムハージルーン(マッカからの移住者)アンサール(マディーナでの援助者)ユダヤ教諸部族との間で締結したもの。
およそ50条から成りますが、その中でも重要なものは

1. ムスリムたちを単一の共同体(ウンマ)とする
2. ユダヤ教徒は信教の自由、安全が保障される
3. ムスリムとユダヤ教徒はマディーナの国家に包摂され、治安・防衛の責任をもつとともに、対外関係は協調して行なう。

5. 安全保障の提供は重視されるが、マディーナ国家の敵には安全保障しない
6. 安寧を犯し犯罪を犯すものは処罰される
7. 戦費はムスリムもユダヤ教徒も負担する

と、ウンマの概念、少数宗派の保護と自治、イスラーム法の支配、法の属人主義、領土防衛の責任など、その後のイスラーム国家の原型を構築しています。
(岩波イスラーム辞典「マディーナ憲章」(920P)小杉泰氏執筆項目より)



ラウ アンザルナー ハーザー=ル=クル’アーナ ’アラー ジャバリ=ッ=ラ=ライタフー ハーシアンー ムタサッディアンー ミン ハシヤティ=ッ=ラー  
「もしもわれがこのクルアーンを山に下したならば、それはきっと遜って、アッラーを恐れて粉々に砕けるのを見るであろう。」

「ラウ(もしも)」
「アンザルナー(我々は啓示した)」は「ナザラ(降りる)」の第4型「アンザラ(啓示する、下す)」の2人称複数完了形です。
「ハーザー(この)」は男性単数名詞の指示語
「アル=クル’アーン」はその指示された男性単数名詞です。定冠詞の「アル」の「ア」は前に語句が来る場合、発音されません。
「’アラー(~上に)」は前置詞です。
「ジャバリン(山)」は前置詞の後ろで、無定冠詞なので、カスラタイン(「イ」と発音されるカスラがふたつ「イン」と読みます)です。
「ラ=ライタフー(本当にあなたはそれを見た)」の「ラ」は助詞で、「本当に、確かに」と強調を表します。
「ライタ」は「ラ・アー(彼は見た)」の2人称男性単数完了形に3人称男性単数代名詞「フ(それ/彼)」がついたものです。この「フ」は、「ジャバル(山)」のことです。
マディーナ式のマスハフ(原書)ではその後に、小さいダンマ(ウと発音します)が続いています。マッド=ッ=スィラ(接続長音)と呼ばれ、タジュウィード(聖クル‘アーンの読誦ルール)では、2拍伸ばして読みます。スィラ・スグラー(小接続)とも呼ばれます。
 「ハーシ’アン(謙遜、遜り)」は「ハシ’ア(遜る)」を語根とする名詞のマフ’ウール(目的格)です。
「ムダサッディ’アン(粉々に割れる)」は「サダ’ア(壊れる胃、割れる)」の第5型「タサッダ’ア(粉々になる)」の能動分詞のマフ’ウール(目的格)です。
「ミン(~から)」は前置詞です。
「ハシヤティ=ッ=ラー(ヒ)(アッラーへの恐れ)」の「ハシヤ(トゥン)(恐れ)」は「ハシヤ(恐れる)」の名詞で、前置詞の後に来るので、語尾の母音がカスラ(「イ」と発音する)です。
「ハシヤティ=ッ=ラー(ヒ)」の「ハシヤ」がムダーフ(被修飾語)で「アッラー」がムダーフ イライヒ(修飾語)です。ムダーフ イライヒは一般的に語尾の母音がカスラですが、ここで休止する場合は子音で終わります。
「アッラー」の「ア」は前に語句があり場合は発音しません。
「アッラー(ALLAH)」の最後の「ハー(h)」はここで休止する場合は「ハー」と溜息のような息だけを出します。

「聖クル’アーン」はアッラーからのお言葉です。この世のあらゆるものはアッラーの素晴らしさを知っており、たえずアッラーを賛美しています。
 そのひとつである「山」に聖クル’アーンを下したら、アッラーへの恐れのために山が遜って粉々になってしまうのをあなたは見るだろうというアーヤ(節)です。

同様な内容のアーヤ(節)が他にもあります。

「本当に岩の中には、川がその間から涌き出るものがあり、また割れてその中から水がほとばしり出るものもあり、またアッラーを畏れて、崩れ落ちるものもある。」
(2:74)

第59章の最後の3節について、ティルミズィとイマーム・アハマドのハディースにはこうあります。

マアキル・ビン・ヤサールによると
アッラーのみ使い(サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム)はこう言われました。
「朝、3回『ア’ウーズ ビ=ッ=ラーヒ=ッ=サミー’イ=ル=’アリーミ ミナ=ッ=シャイターニ=ッ=ラジーム(全聴にして全知なるアッラーに、呪われたシャイターンからの守護を求めます)』と言い、放逐章の最後の3節を読んだ者には、アッラーが彼の為に祝福する7万の天使を夕暮れまでに遣わし、その日に死ねば、殉教者として死んだことになる。夕方に最後の3章を読んだ者も同様である。」

(ただし、アルバニーはこのハディースを「ダイーフ(弱い)」と判断しています。)

アッラーフ アアラム

アッラーのご加護と祝福がありますように
ワッサラーム





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最終更新日  2004年05月09日 00時31分12秒


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