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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その9)~こういうおふざけもありましたねー 80年代はMTVに象徴される数々のメガ・ヒット量産体制という側面がありましたが、その一方でヒット曲をこういう風にパロディにするというのもありました。覚えておいでの方も多くいらっしゃるかとは思いますが、ウィアード・アル・ヤンコヴィック(“Weird Al” Yankovic)を取り上げたいと思います。 この人物、本名はアルフレッド・マシュー・ヤンコヴィックというのですが、芸名は“奇妙なアル”・ヤンコヴィックという、芸名からして若干ふざけています。ちなみに日本では、アル・ヤンコヴィックと呼ばれることもありますが、アメリカでは必ず“ウィアード”がつくようです。 さて、ヤンコヴィックの曲ですが、前回(その8)のマイケル・ジャクソンを受けてということで、マイケル公認の替え歌を取り上げます。「ビート・イット(Beat It)」に対し「イート・イット(Eat It)」というのもありましたが、今回は「バッド(Bad)」に対する「ファット(Fat)」の方をご覧ください。 見ての通り、バッド(悪い)に対してファット(太った)というパロディです。収録されているアルバムのタイトルも、マイケルの『バッド』に対して『イーヴン・ワース』(“さらに悪い”、ワースworseはbadの比較形)。そもそも、この人のデビュー曲からして、自主製作した「マイ・ボローニャ」という、ザ・ナックのヒット曲「マイ・シャローナ」のパロディだったという、根っからの替え歌専門家(?)です。 少々聞き苦しいですが、マイケルのオリジナルとヤンコヴィックのパロディ版のビデオ比較という面白い動画がありましたので、ついでにご覧ください。手の込んだパロディ・ヴァージョンぶりがよくわかるかと思います。 近頃は著作権問題など、前よりもずっとうるさいだろうから(実際のところ、日本盤もことごとく廃盤だし、ある段階からは日本リリースもされていない模様)、この稼業(?)を続けていくのもたいへんなんだろうなと想像します。それでも、レディ・ガガのパロディを制作して売り上げを全額人権団体に寄付などの方針を出しながら、頑張っているようです。[収録アルバム]Wired Al Yankovic / Even Worse (1988年)↓下記の商品リンクはベスト盤です。↓ 【Aポイント+メール便送料無料】ウィアード・アル・ヤンコヴィック Weird Al Yankovic / Essential Weird Al Yankovic (輸入盤CD)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月30日
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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その8)~永遠のスーパースターの好バラード この時代を語るのに決して避けるわけにはいかない超大物、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)。今回は彼のナンバーを取り上げようと思います。80年代の作品としては『スリラー』(1982年)と『BAD』(1987年)という2つのの巨大ヒット・アルバムを残していますが、今回は、後者のアルバムからの選曲です。先行シングルとしてリリースされた「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー(I Just Can’t Stop Loving You)」。サイーダ・ギャレット(Siedah Garrett)とのデュエットです。 上で書いたように、この曲はアルバム『BAD』からの第1弾シングルとして発売され、全米1位を獲得。まさしくマイケルがスーパースター街道まっしぐらとでも言えそうな道をを歩んでいた頃のヒット・ナンバーです。 元々、M・ジャクソンは、この曲のデュエット相手に、バーブラ・ストライサンドやホイットニー・ヒューストンを希望していたものの、結局うまく折り合いがつかず、上記のサイーダ・ギャレットに落ち着いたとのこと。実際、サイーダ自身もバックのコーラスでの参加と思って行ってみたらデュエット相手で驚いたそうです。ついでにもう1本、ライヴ映像もご覧ください。シェリル・クロウを迎えての「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」です。 今さらマイケルのスーパースターぶりをくどくど書いたところで、周知のことと言われてしまうかもしれませんが、この後、凄かったのは、この曲を含め同じアルバムからは5曲のシングルが連続No.1ヒットという大記録を打ち立てています。この記録は、米ビルボード・チャート史上初の偉業だったとのことです。[収録アルバム]Michael Jackson / Bad (1987年)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月29日
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アルヴィン・リー追悼 アルヴィン・リー(Alvin Lee)を中心に成り立っていたイギリスのバンドがテン・イヤーズ・アフター(Ten Years After)。1967年にレコード・デビューしたブルース・ロック・バンドである。もともとは60年代初頭から活動していたそうだが、1966年にロンドン進出を果たしたタイミングでこのバンド名を採用した。バンド名の由来は“10年後もこのバンドが続いているように”という意味合いだったと言う。とはいえ、実際には10年もたずに1974年に解散してしまっている。 ここで取り上げるのは、テン・イヤーズ・アフターにとっての初ライヴ盤となった『アンデッド(Undead)』というアルバム(邦盤では『イン・コンサート』とされていたりしますが、同一盤)。上記のようにデビュー作は1967年で、第2作となった本盤は翌68年のリリース。場所はロンドンの小さなクラブ(クルックス・クリーク)だったという。そのせいかどこかアングラな雰囲気が残されているようにも思うのだけれど、何よりも圧倒的演奏力がとにかく印象に残る、そんな1枚である。圧倒的・爆発的ライヴの演奏は、ある種、時代の流れを踏まえたものであった。クリーム(1966~68年に活動)に代表されるように、ライヴでのインプロヴィゼーションがバンドの真価を問う場といったような風潮があり、まさにその流れの中でのこの演奏である。 テン・イヤーズ・アフターは、本盤リリースの翌年7月にロック・バンドとして初のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルへの出演を果たし、さらには同年8月のウッドストックでの演奏で名声を獲得していく。けれども、本盤の演奏で既にその下地は十分にでき上がっていた。曲によっては、ロックというよりも、ジャズ・ブルース・アルバムと呼んでもよさそうな演奏内容が繰り広げられる。 ぱっと見たところ(下記の収録曲一覧を参照)、収録曲数が5曲というのは少ないと思われる方もいるだろう(ちなみにアナログではA面2曲、B面3曲)。とはいっても総収録時間は40分近く、当時のアルバムでは標準的な長さなのである。つまり、いずれも5分超の長い演奏で、曲によっては10分近い演奏(1.)も含まれている。そうした長尺ゆえに、彼らの演奏能力の高さと緊張感が抜群に伝わってくる好盤である。長いのに飽きない、というと何かありきたりに聞こえるかもしれないが、正直、そうとしか言いようがない。 1.「アイ・メイ・ビー・ロング」は、この時期のブルースロックらしさ全開の長尺チューン。2.「ウッドチョッパーズ・ボール」でのアルヴィン・リーの速弾きは一般的には見せ場なのだけれど、個人的には3.「スパイダー・イン・マイ・ウェブ」のヴォーカルと呼応しあうギター・プレイの方が好み。この演奏は通好みと言えるかと思うが、さらに輪をかけて通受けしそうなのが4.「サマータイム/山東省のキャベツ」。ギターで聴かせる「サマータイム」からドラムソロ大爆発の「山東省のキャベツ」は、個人的にはちょっとついていけない部分もある。ラストを飾る5.「アイム・ゴーイング・ホーム」は、上記のウッドストックでの名演で改めて注目されるナンバー。とにかく爆発的勢いとパワフルさが凄い。 さて、リーダーのアルヴィン・リーだが、今年3月初旬にスペインにて死去とのニュースが各所で報道された。“通常の外科手術後の予期せぬ合併症”が死因とのことで、享年68歳。このニュースを見た後、まだ1枚も取り上げていなかったテン・イヤーズ・アフターのアルバムを早く本ブログの記事にしようと思いつつ、なかなかできずに時間が過ぎ去ってしまった。3か月以上も経ってしまったが、ご冥福をお祈りしたい。[収録曲]1. I May Be Wrong, But I Won't Be Wrong Always2. Woodchopper's Ball3. Spider In My Web4. Summertime / Shantung Cabbage5. I'm Going Home1968年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】テン・イヤーズ・アフター Ten Years After / Undead (輸入盤CD)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月28日
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2013年06月26日
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前作からさらにステップアップの名作 “ポップ界の女王”マドンナは、1980年代前半にシーンに登場し、デビュー作『バーニング・アップ』(1983年リリース)、次作『ライク・ア・ヴァージン』(1984年)で着実に人気を集め、トップスターの仲間入りを果たした。第3作となる『トゥルー・ブルー』(1986年)は、ギネスブックに掲載されるほどの売れ行きを見せ、ベストセラーを記録した。 そこからおよそ3年の歳月(その間にはサントラやリミックス盤などはあったが、オリジナル・アルバムとしてはしばらく間が空いていた)を経て、1989年にリリースされた第4作が、この『ライク・ア・プレイヤー(Like A Prayer)』であった。アルバム表題は“祈りの如く”の意味。米ビルボードでは6週連続1位を記録し、ついでながら付け加えておくと、日本でも国内の作品に混じってオリコン初登場1位に輝いている。 前作ではティーンエージャーの妊娠というある種禁断のテーマに手を付けた「パパ・ドント・プリーチ」があったが、今作の第1弾シングルとなった表題曲の1.「ライク・ア・プレイヤー」でも十字架を燃やすシーンがプロモーションビデオに登場するなど物議をかもした。3.「ラブ・ソング」はプリンスとの共作だが、残りの曲は、いずれもマドンナ自身の曲(ほとんどが、前作から引き続きプロデューサーを務めたパトリック・レナードまたはステファン・ブレイとの共作)。詞の内容は私生活の変化(ショーン・ペンとの離婚)に根差した自己告白的内容を多く含む。 サウンド面では前作からの変化が窺える。80年代後半、音楽シーンはヒップホップが台頭し、HR/HMが全盛を迎える中、王道的なロック調やダンサブルなポップ・サウンド志向は、新たな要素を取り入れて進化していった。本作では、R&Bやゴスペルの要素が取り込まれ、マドンナの音楽的幅の広がりが見られる。 ヴァラエティーに富んだ曲が見事に配され、アルバム作品の出来としてのレベルが何より高いが、個別の曲としてのおすすめも挙げておきたい。前述の1.「ライク・ア・プレイヤー」と続くシングルとなった2.「エクスプレス・ユアセルフ」は、影と光がそれぞれにうまく出たダンス・ナンバー。一見、軽快に見える4.「デス・ドゥ・アス・アパート」は終わりに差し掛かった男女の関係を歌い、逆に、やや重めのダンス調の9.「キープ・イット・トゥゲザー」では家族の絆が題材となっている。あと意外に個人的お気に入りとなっているのが7.「ディア・ジェシー」。UKのみでシングルカットされたファンタジックなナンバーで、ストリングスの効果的な使用が印象的。こういう曲をやるのと同時に重い曲調でヴォーカルも素晴らしい8.「オー・ファーザー」もやれるというのは、本盤の聴きどころの一つになっているのかもしれないと感じる。マドンナのヴォーカルという点では、10.「スパニッシュ・アイズ」も捨て難い。 最後にもう1曲、決して忘れてはならないのは、マドンナ自身が本盤での最大のお気に入り曲と語っていた6.「チェリッシュ」。モータウン風のサウンドをベースに80年代的アレンジが施されたこの曲は第3弾シングルとしてもヒットしたものだが、マドンナの曲の中でもベストとの声が高い。[収録曲]1. Like a Prayer2. Express Yourself3. Love Song4. Till Death Do Us Part5. Promise to Try6. Cherish7. Dear Jessie8. Oh Father9. Keep It Together10. Spanish Eyes11. Act of Contrition1989年リリース。 【送料無料】Forever YOUNG::ライク・ア・プレイヤー [ マドンナ ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年06月25日
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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その7)~インパクトと実力が揃った英国ユニット 少々、通常の更新が続いて間が空きましたが、あらためまして。気まぐれ80sの第二弾の続きを更新したいと思います。 先回、最初に“気まぐれ80s”と題して10曲お届けした際、あれもこれもと収まりきらなかった曲が続出し、その名残惜しさ(?)から今回シリーズに至っているわけですが、先回シリーズで入れられずに後悔した1つがこの曲。ユーリズミックス(Eurythmics)の「ミッショナリー・マン(Missionary Man)」です。 ご存知の方には、いまさらかとは思いますが、ユーリズミックスは、アニー・レノックスとデイヴ・スチュワートから成るイギリスの2人組。1980年に結成され、翌年にデビュー。その後は当時の英国音楽(第2次ブリティッシュ・インヴェージョン)の勢いに乗って米国に進出し、世界的ヒットを連発しました。エレクトロ・ポップ系のサウンドとブルー・アイド・ソウル的な歌唱の組み合わせは、何とも新鮮だったと記憶しています。 ちなみに、その後、このユニットは1990年にいったん終止符を打ち、二人はそれぞれのソロ活動に専念していきましたが、後にも再結成をしたりして、良好な関係のように思われます。以下は1999年再結成時のライヴの模様です。 現在は再び各々のソロ活動に専念している状態ですが、昨年のあるインタヴューでデイヴ・スチュワートは“(ユーリズミックスとしてのアルバムは)今すぐは考えていないが、決してないと言うわけではない”と語っています。そんなわけなので、さらに活動が続いていくことが期待できそうです。[収録アルバム]Eurythmics / Revenge(1986年)↓こちらのリンクの商品はベスト盤です。↓ 【送料無料】【輸入盤】 EURYTHMICS / ULTIMATE COLLECTION [ ユーリズミックス ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月22日
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ナチュラルなスウィングを楽しむ、白人バッパーによる快盤 『ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア』(1955年)、『ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード』(1956年)のさらに翌年、つまりは1957年に吹き込まれた、ジョージ・ウォーリントン(George Wallington)のリーダー作(ザ・ジョージ・ウォーリントン・クインテット)がこの『ジャズ・アット・ホッチキス(Jazz At Hotchkiss)』である。 ドナルド・バード(トランペット)にフィル・ウッズ(アルト・サックス)という二管は前年の『~キャリッジ・トレード』と同一。その意味では、ベースとドラムが入れ替わってはいる(本盤ではそれぞれノビー・トータとニック・スタビュラス)ものの、『~キャリッジ・トレード』からの延長線上にある作品とも言える。 21世紀の今時、白人・黒人といった区別が相応しくないのは確かだし、別に差別的な(もしくは人種主義的な)意味ではないことをお断りするものの、ドナルド・バードを除き全員が白人系ミュージシャンというのは、本盤のメンバーの一つの特徴と言えるだろう。けれども、イースト・コーストのジャズのエッセンスを、クールに(といっても、無論クール・ジャズという意味ではない)、かつバランスよく示しているというのは、ウォーリントンの個性と湖のメンバーの組み合わせのなせる業なのだろう。エモーショナルで緊張感があるのに、暑苦しくないというのは、ウォーリントンがビバップ時代からジャズ界に身を投じて活動を続けつつも、どこかに彼独自の感性が生き続け、しかもそれがリーダーとしてうまく発揮され続けたということを示している。 さて、本盤の演奏は、ビ・バップ色の強いテーマが印象的な、バド・パウエル作の1.「異教人の踊り」で幕を開ける。2.「ストレンジ・ミュージック」は一転してクラシカルな曲のピアノ・トリオでの演奏。このあたりは聴き手によって好みの分かれるところかもしれないが、ウォーリントンの知性がさらりと披露されるこのタイプの演奏は、個人的には好みだったりする。バラード曲の3.「ビフォー・ドーン」を挟んで、4.「オウ」はふたたびビ・バップ的なD・ガレスピーの曲だが、この演奏こそが本盤の色をよく表しているように感じる。原曲に忠実ないかにもな演奏というのではなく、アレンジも全体の構成についても、上で述べたような“エモーショナルながらも暑苦しくならない”演奏の典型と言えそう。最後はいかにもハードバップな感じの5.「スメイクト」で締めくくりとなるが、冒頭から絶好調な作曲者ドナルド・バードのトランペットが聴きどころ。 以前に別項でも書いたことだけれど、“マクリーン抜きのウォーリントンは面白くない”という声も確かにある。でも、筆者はサックス奏者がフィル・ウッズに替わった後の『~キャリッジ・トレード』も、そして本盤も、結構気に入っているのだ。緊張感や“ハード”バップな部分をクールに知性で包み込んだ演奏と、その結果としての、ナチュラルなスウィング具合。聴き手が吸い込まれて演奏の只中に置かれるというよりは、少し離れた場所からその包み込まれた演奏を鑑賞するという楽しみ方ができそうな雰囲気。好き嫌いはあるかもしれないが、筆者はこちらの方も案外好きだったりする。[収録曲]1. Dance of the Infidels2. Strange Music3. Before Dawn4. Ow5. ’S Make ’T[パーソネル、録音]George Wallington (p)Donald Byrd (tp)Knobby Totah (b)Phil Woods (as)Nick Stabulas (ds)1957年11月14日録音。 【送料無料選択可!】【試聴できます!】ジャズ・アット・ホッチキス / ジョージ・ウォーリントン下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月21日
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お宝や希少価値と関係なしに名盤は名盤 アート・ペッパー(Art Pepper)の全盛期は1950年代にあった。このことはおそらく疑いようがない事実だろうと思う。1970年代の復帰後の作品についての個人的好みはさておき、演奏者として、テクニックにおいてもアドリブの閃きにおいても、50年代が絶頂というのは、大方の意見が一致することだろう。その時期の名盤としてとりわけ有名なのは、コンテンポラリー・レーベルに残した『ミーツ・ザ・リズム・セクション』である。この時期のアート・ペッパーは専属契約を結ぶことになったコンテンポラリーで録音をしたわけだが、実際には、これと前後していくつかのマイナーレーベルにも吹き込みを残している。そうした作品の一つがこの『モダン・アート(Modern Art)』というわけである。 イントロというマイナーレーベルの盤だけに、かつては“希少盤”、“幻の名盤”などともてはやされた。筆者自身は別にオリジナル盤がどうこうという聴き方をしているわけでもないし、“希少性”には何の価値も感じない。レアな音源で喜ぶのは、そのアーティストの全音源に触れたいと思うような、特別なファンだけでよいと思う。問題は、ときおりそうした希少性と内容の素晴らしさが合致してしまうことがある。ジャズのマイナーレーベル作品にそういうケースは多々あるし、ロックやポップスの大レーベルの作品でも、過去作でいいものがひょっこり廃盤になってしまうこともある。そのようなわけで、希少盤云々ということを抜きにして、名盤は名盤。そんなスタンスに立って、この『モダン・アート』の真価はどこにあるのだろうかを考えてみたい。 ひとことで言えば、本盤でのアート・ペッパーの演奏は切れ味が鋭い。“鋭い”といっても、音そのものがとがっている(という風に聞こえる曲もあるけれど)というのではなくて、演奏から感じ取られる雰囲気が“鋭利”だと言っていい。この喩えが適切なのかどうかわからないけれど、普通は柔らかくそして激しく竹刀を振り回すところを、真剣を持って立ち振る舞っているような感じがする。その真剣は相手を切り付けるために動いているのではなく、居合いの演武のように時に静かに時に鋭く動く。 ペッパーが麻薬中毒に悩まされたことはよく知られている。薬による刹那的な快楽と同様、放たれては消えていくアドリブの音もまた刹那的である。その瞬間的閃きや爆発力に魂を込め、精神を集中させている度合の高さが、上に書いた“鋭さ”につながっているのだろう。 演奏自体はピアノを含むカルテット(当時のアート・ペッパーのレギュラー・カルテット)による演奏で、各メンバーの演奏あってのペッパーのワンホーンなわけだが、その雰囲気を特に支えているのは、ベースのベン・タッカー。冒頭の1.「ブルース・イン」と、締めくくりの8.「ブルース・アウト」は、ベースとサックスのデュエット演奏になっていて、静かに曲が進む中で、居合いのごとき気合と緊張感がひしひしと伝わってくる。もう1曲、この流れで外せないのが2.「魅せられて」で、上記1.から続けて聴くと、この2曲で聴き手側はすっかり本盤の世界に引きずり込まれてしまう。 その一方で、スピードを伴った緊張感の代表例は、4.「クール・バニー」。チャック・フローレス(ドラム)による全体のペースと流れの持っていき方、その合間でのラス・フリーマン(ピアノ)のさりげない好演が光る。その他に筆者のお気に入りとしては、3.「君微笑めば」や6.「サヴォイでストンプ」も外せない。上で触れたベースの役割も、ドラムとピアノの持ち味も発揮されているうえに、ペッパーによる精神集中度の高い演奏が冴えている。さらりと流してしまわずに、じっくりとその密度を体感すればするほど、本盤は、希少性などと関係なく、やはり名盤というのがよくわかるように思う。[収録曲]1. Blues In2. Bewitched3. When You're Smiling4. Cool Bunny5. Diane's Dilemma6. Stompin' At The Savoy7. What Is This Thing Called Love8. Blues Out[パーソネル、録音]Art Pepper (as)Russ Freeman (p)Ben Tucker (b)Chuck Flores (ds)1956年12月28日(1., 2., 6., 7., 8.)、1957年1月14日(3., 4., 5.)録音。 Art Pepper アートペッパー / Modern Art 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月18日
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羊頭狗肉ではあるが、ハードバップのエッセンスがまったりと発揮される好盤 ハンク・モブレー(Hank Mobley)という人は、生きている間には十分に評価されず、その死後(1986年没)も正当な評価をなかなか受けなかった、不遇のジャズ・サックス奏者である。同じテナー奏者で喩えるなら、ジョン・コルトレーンのように先鋭的な演奏をするわけでもなく、かといって、スタン・ゲッツのような優しいプレイや世間受けする演奏スタイルを見せるわけでもない。別に悪意があってこのような悪口めいたことを書いているわけではないのだけれど、おまけに本盤のようなややこしいものがあると、つくべきファンもなかなかつかないということになってしまうのだろうか…。 本盤は『ザ・ジャズ・メッセージ・オブ・ハンク・モブレイVol. 1(The Jazz Message of Hank Mobley)』という。このタイトルを見れば、だれだってハンク・モブレーのリーダー作だと思うに違いない。でも、実際には、モブレーは半分(LP時代のA面の4曲)しか演奏していない。全編を通して演奏に加わっているのは、トランペットのドナルド・バード、あとドラムのケニー・クラークだけである。つまりは、何をもって“モブレーのジャズ・メッセージ”なのかよくわからない。 とまあ、そのような訳なので、アルバムの体裁としては“羊頭狗肉”と言われても仕方ないのだけれど、ハードバップのエッセンスがうまくつまった好作であることは間違いない。アルバム表題は半ば無視して、前半はハンク・モブレーとドナルド・バード中心のセッション、後半はドナルド・バードとジョン・ラ・ポータ(アルト・サックス)のセッションとして聴けばいいのだろう。前半4曲のうち最初の2曲(1.「ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー」、2.「キャッティン」)は、これぞハードバップの到達点と言っていい演奏に仕上がっている。対して続く2曲(3.「マドレーヌ」、4.「恋に落ちたら」)はまったりとした緩やかさの中で、モブレーのサックスに加えてドナルド・バードのトランペット演奏が映える。 続く後半は、ジョン・ラ・ポータの参加で良くも悪くももう少し明るい雰囲気になっている。これら3曲はヴァリエーションに富んでいるし、ドナルド・バードも冴えているのだけれど、前半のモブレーのテナーと比較するといくぶんあっさり味な感じがする。逆に、これがある分、前半4曲でのモブレーの濃さが際立っているとも言えるのかもしれない。冒頭のような表現をしてみたものの、結局のところ、筆者自身はモブレーのこの濃さに魅せられてしまっているということを再確認させられる1枚でもある。[収録曲]1. There Will Never Be Another You2. Cattin’3. Madeline4. When I Fall in Love5. Budo6. I Married an Angel7. The Jazz Message (Freedom for All)[パーソネル、録音]1.-4.: Hank Mobley (ts)Donald Byrd (tp)Ronnie Ball (p)Doug Watkins (b)Kenny Clarke (ds)1956年2月8日録音。5.-7.Donald Byrd (tp)John La Porta (as)Horace Silver (p)Wendell Marshall (b)Kenny Clarke (ds)1956年1月30日録音。 ザ・ジャズ・メッセージ・オブ・ハンク・モブレイ VOL.1/ハンク・モブレイ[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月17日
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つい先ほど、累積アクセス数が360000を超えました。あらためまして、ご覧いただいている皆様に感謝です。今後とも引き続きご愛顧いただければと思っております。 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年06月14日
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キャノンボールらしさ爆発の、白熱ライヴ盤 1928年、フロリダ州タンパ生まれのジュリアン・エドウィン・アダレイ(通称“キャノンボール”・アダレイ)は、1955年にニューヨークに姿を現し、ジャズ・シーンに登場する(その当時の録音に関しては、過去記事(1) や(2) をご覧いただきたい)。その後、キャノンボールは、マイルス・デイヴィスのグループに加わり、『カインド・オブ・ブルー』などのアルバムに参加。同時期には、キャノンボール自身の名義ながら実質的にはマイルスのリーダー作とされる『サムシン・エルス』(関連過去記事)も残している。 そして1959年9月、マイルスの元を離れた彼は自身の新たなレギュラー・クインテットを形成し、活動を展開し始める。アルト奏者である彼自身に加え、実弟のナット・アダレイ(コルネット)、同じフロリダ出身のサム・ジョーンズ(ベース)、A・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズの一員だったボビー・ティモンズ(ピアノ)、H・シルヴァーのグループから抜擢されたルイ・ヘイス(ドラム)という5人組。この新グループとしての活動開始後すぐに録音された実況盤がこの『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・サン・フランシスコ(The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco)』というわけである。 活動開始からわずか1か月ということもあり、発足当初の代表的レパートリー5曲(+CD追加曲1曲)が収められている。キャノンボール・アダレイの評価として、“やっぱファンキーじゃないと”という向きがあるが(といっても、筆者自身はそうでない彼のもう一つの顔も好きなのだが)、本作はその意味ではどんぴしゃりの白熱した演奏盤。美しさや情緒といった要素で聴かせるのではなく、勢いと迫力で聴かせる曲が並んでいる。 他方、ジャズ・ファンの間にある不思議な現象の一つに、“ジャズはライヴで聴かないと”という割に、実際のライヴ盤への評価が必ずしも高いわけではない(作品評価の際にはなぜかスタジオ盤が偏重されがち)という、ある意味で不可解な傾向がある。けれども、上で述べた“やっぱファンキーじゃないと”のノリは、ある意味、ライヴでこそ最大限に発揮されるのだろう。実際、キャノンボールがジャズ・シーンに登場した当初(1955年)の作品はあまり売れなかったが、本盤はセールス的にも成功を収め、ここから始まるリバーサイドでの多くの録音(さらには結果として多数のライヴ録音盤の制作)へと実を結んでいった。 最後に、個人的おすすめのポイントをいくつか挙げておきたい。1.「ジス・ヒア」の安定感とグル―ヴィーさのバランスがいい。単に二管(アダレイ兄弟)が絡むのではなく、そこに加わるピアノのボビー・ティモンズの重要さがよく分かる上、この曲はティモンズの作とういのも納得。同じような安定感とスリリング感の同居は、2.「スポンテニアス・コンバスション」にもよく表れていて、曲調の違い(こちらはキャノンボールのオリジナル)こそあれ、最初の2曲の演奏でこのグループのスタイルが見事に表現されていると感じる。それから聴き逃せないのは、5.「ボヘミア・アフター・ダーク」。完成度という意味では、初期のこちらの演奏の方が断然お気に入りなのだけれど、この勢いと盛り上がりは本盤ならでは。ある意味、この5.の演奏は本盤の特徴を体現しているようにすら思えてくる。[収録曲]1. This Here2. Spontaneous Combustion3. Hi-Fly4. You Got It!5. Bohemia After Dark6. Straight, No Chaser *CD追加曲[パーソネル、録音]Cannonball Adderley (as)Nat Adderley (cor)Bobby Timmons (p)Sam Jones (b)Louis Hayes (ds)1959年10月18・20日(サンフランシスコ、ジャズ・ワークショップでの実況録音)。 【after20130610】[枚数限定]イン・サン・フランシスコ ◇/キャノンボール・アダレイ[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月14日
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2013年06月12日
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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その6)~いろいろあったけど、名曲&名唱に変わりはなし 前回のデビー・ギブソンとくれば、そのライバルというスポットのあてられ方をすることも多かったこの人を外すわけにはいかないでしょう。ティファニー(Tiffany)の登場です。デビー・ギブソンがデビューした1986年にMCAとのレコード契約に至り、翌年にデビュー。年齢で言うとデビーよりも1歳年下ですが、可愛らしさも前面に出すことを厭わなかった彼女に対し、ティファニーの方は少しお姉さま風の売り出し方だったように記憶しています。まあ、こちらがすっかりおじさん目線(?)になった今からすれば、どちらも“可愛らしい”で済ませたくもなるのですが(笑) デビュー当初の彼女の勢いは凄まじいものでした。デビュー曲「ふたりの世界(I Think We're Alone Now)」がいきなりの全米1位、セカンド・シングルの「思い出に抱かれて(Could’ve Been)」も1位、さらにはビートルズのカバー曲「アイ・ソー・ヒム・スタンディング・ゼア」(原曲は「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」)も全米7位と快調にヒットを飛ばしました。ちなみに、デビューからシングルが連続1位というのは女性としては初めてで、他のアーティストでもスティーヴィー・ワンダーなどの大物しか成しえていない偉業だとか。 そのようなわけで、今回は、セカンド曲「思い出に抱かれて」をお聴きください。当時の日本でのTV出演時の映像です。 その後の彼女ですが、売り込みの失敗やスキャンダルなどが重なって、デビュー時の勢いと同じくらい急速な勢いで一線を退くことになってしまいました。2000年には音楽シーンに戻ってきたとのことですが、その後も派手な活動にはつながっていないようです。まあ、そうは言っても、名曲は名曲ということで、比較的最近(2011年、ということはちょうど40歳を迎えた年ですね)の様子もついでにご覧ください。 [収録アルバム]Tiffany / Tiffany(1987年) 【送料無料】ティファニー +1 [ ティファニー ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月11日
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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その5)~天才少女の大ヒット曲 前回シリーズで何人か女性シンガー(参考記事(1) ・(2)・(3))を取り上げましたが、今回もその続きをやってみたいと思います。80年代の天才少女と言えば、この人をおいて他にはいない(!)というのが、デビー・ギブソン(Debbie Gibson, 後に本名のデボラ・ギブソンDeborah Gibson)です。 今回取り上げる「ロスト・イン・ユア・アイズ」は全米1位となったヒット・シングル。1986年にわずか16歳にしてメジャー・レーベル(アトランティック)と契約しデビュー。作詞作曲も自分でする、まさしく“天才少女”として脚光を浴びました。ともあれ、1989年にセカンド作からのシングルとして発売され、彼女の代表曲となった同曲のビデオをどうぞ。 曲の内容、歌唱力ともに文句なしと思うのですが、これだけでは、まだまだ彼女の真価ではありません。以下の、その当時のライヴ映像からは、本当に天才少女ぶりが発揮されているように思います。1988年なので当時の彼女の年齢は18歳(恐るべき18歳ですね…)ということになります。 でもって、その後なぜ彼女がシンガーとしてトップを走っていかなかったのか(ミュージカル女優の活動がメインになってしまい、シンガーとして頂点を極め続けなかった)のかが気になります。思うに、実力が足りなかったからではなく、むしろ他を凌駕するほどだったからこそ、これだけをやっていることに飽き足らず、他にも活路をもとめたのではないかと考えたりします。 体よく言えば、“単なるシンガー”では満足しなかったのか。そう思わせてくれるほど、当時のパフォーマンスはずば抜けていたと言う気がするのですが、いかがなものでしょうか。“一発屋”ではなかったことは、同じ時期に吹き込んだもう1曲のお気に入り、「ノー・モア・ライム」からも窺えるのですが、こちらの曲は、また次の機会にでも映像を取り上げられればと思っています。[収録アルバム]Debbie Gibson / Electric Youth (1989年) 【after20130610】エレクトリック・ユース/デビー・ギブソン[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月09日
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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その4)~やり過ぎ感もあるけれど、おかしくも懐かしい曲 70年代後半から80年代に入る頃、かつてはマニア向け(と言っては失礼なのかもしれないけれど、実際のところ聴き手は広く一般ではなく特定の愛好者層や“通のリスナー”に限られていたのも事実)だったプログレッシヴ・ロックの大衆化みたいな流れがあったように思います。ある意味、ピンク・フロイドはその先駆けだったのかもしれませんが、もうちょっと具体的には、ピーター・ガブリエルの抜けた後のジェネシスなどは、その典型例と言えるかもしれません。 この流れは別にプログレに限ったことではなく、ハードロック(70年代のディープ・パープルから80年代のボン・ジョヴィへ)も、ブラスロック(シカゴという同一バンドの音楽的変遷)も、大きな流れとしては同じ文脈で捉えていいのかなと思ったりします。“産業ロック”として括られる動きはこういう大きな流れの中で進んでいったとも言えるんじゃなかろうかと思ったりするわけです。 さて、上記の流れの中で、人気を博すことになったバンドの一つがこのスティクス(Styx)だったという見方もできるかと思います。当初はプログレ的サウンドを目指していたこのバンドは、70年代後半にトミー・ショウの加入後、ロック色を強めたりバラード系の曲を流行らせたりしていきます。そして、その経緯が頂点に達したのが、1983年、「ミスター・ロボット」のヒットでした。 いきなりの日本語の詞で“どうもありがと、ミスター・ロボット/また逢う日まで”、“どうもありがと、ミスター・ロボット/秘密を知りたい”というインパクトもあり、本邦でも人気を博しました。これがスティクスのベストかと言われると、私自身も首をかしげたくなる部分もありますが、彼らのいちばん有名曲であることは確かです。 ともあれ、やり過ぎ(?)がたたったのか、この後バンドは空中分解状態に陥ります。90年代には再結成へと動きますが、ドラマー(ジョン・パノッツォ)の死やメンバー間の対立(デニス・デ・ヤング脱退)などから元には収まりませんでしたが、バンドは現在も存続中です。なお、デニス・デ・ヤングの方はというと、バンドと分離した後もスティクスの曲を取り上げています。そちらの様子もご覧ください。 ビデオの映像は7,8年ほど前のものみたいです(ということは年齢的には60歳目前の頃と思われます)が、何とも健在というか、往時の声は変わっていませんね。もちろん現在もこの曲をやり続けているとのことです。[収録アルバム]Styx / Kilroy Was Here(ミスター・ロボット)(1983年)その他、Styxの各種ベスト盤にも収録。↓こちらはオリジナルのアルバム↓ STYX スティックス / Kilroy Was Here 【SHM-CD】↓ベスト盤です↓ スティクス/アイコン~ベスト・オブ・スティクス下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月07日
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勢いに乗りつつ、バランスの取れたボブ・シーガー節 1945年、デトロイト出身のボブ・シーガー(Bob Seger)は、長い下積みの末に、70年代後半にシルバー・ブレット・バンド(The Silver Bullet Band)を率いて人気を集めていった。その結果、1980年の『奔馬の如く(アゲンスト・ザ・ウィンド)』でついに全米制覇(アルバムチャート1位)を実現する。 その勢いのまま、1982年にリリースされたのが、本盤『ザ・ディスタンス(The Distance)』である。ブルース・スプリングスティーンと双璧をなすアメリカン・ロックの雄で、“デトロイトの巨人”と呼ばれたりするが、同も本邦での人気・認知度はいま一つである。その理由はわからないでもない。そもそもボブ・シーガーは“我が道を行く”タイプのアーティストで、スプリングスティーンとの比較で言えば、派手に聴衆に訴えかける部分があまり強くない。そうとは言え、80年代にリリースされた本作とその次の『ライク・ア・ロック』の2枚は、この時代のアメリカン・ロック作品としてよくできた好作で、日本でももっと広まってもよかったように思う(どちらかと言うと後者はまだそれなりにプロモーションされた方だろうか)。 上で前作の勢いのまま、と書いたが、内容的には『奔馬の如く』からさらにスケールアップし、アメリカン・ロック然とした色が濃い作品に仕上がっている。B・スプリングスティーンのバンド・メンバーであるロイ・ビタンの参加、70年代にスプリングスティーンやジョン・レノンのレコーディング・エンジニアとしての経験を持ち売れっ子となったジミー・アイオヴァインのプロデュースというのが、そうした色の背景になっているのだろう。前作で出たスケールの大きさとそれ以前の作品での我が道を行くロック・スタイルがうまくミックスされ、一つの作品にうまく結実したという印象である。 出色は1.「イーヴン・ナウ」と6.「ロール・ミー・アウェイ」。前者はアルバムのオープニングにふさわしく、アメリカン・ロックの重さと軽妙さがマッチした好ナンバー(ちなみに以前に取り上げた『ライク・ア・ロック』のオープニング・ナンバーとも相通ずるものがあるように思う)。6.の方は、ボブ・シーガーらしいスケールの大きな展開の中で、上で述べたロイ・ビタンの持ち味が最大限に発揮されている。筆者的にはこういう粘っこい軽快さ(?)が自然と体に染み込んでくる。 ちなみに、上記2曲はシングルカットされているが、実はこれら2曲に先駆けてシングルとなり、全米2位のヒットを記録した曲がある。それが4.「月に吠える」である。本盤収録のなかでは、唯一の自作ではない曲で、ロドニー・クロウェルの作。5.および8.と並んで本盤中では落ち着いて聴かせるといった雰囲気のナンバーに仕上がっている。アルバム作品として評価する場合、これらの落ち着いたトーンも本盤全体の流れの中で重要な役割を占めていて、バランス感覚のよさにつながっているように思う。[収録曲]1. Even Now2. Makin' Thunderbirds3. Boomtown Blues4. Shame on the Moon5. Love's the Last to Know6. Roll Me Away7. House Behind a House8. Comin' Home9. Little Victories1982年リリース。 【送料無料】【輸入盤】Distance [ Bob Seger ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月05日
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気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その3)~ダンシング(?)なアメリカン・ロック・ヒーロー ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)は、70年代に登場したアメリカン・ロック界の雄。60歳を超えた現在も現役で、アメリカ音楽界の“ボス”として活躍しています。そんな彼がステージで踊りながら歌うというビデオクリップを披露したのが、この曲、「ダンシング・イン・ザ・ダーク(Dancing in the Dark)」でした。 今から思えば、“無理やり踊っている”ってな感じがしないでもないですが、この曲は、アルバム『ボーン・イン・ザ・USA』からの第1弾シングルとして全米2位を記録し、同アルバム(そこからのシングル曲の連続ヒット)の幕開けとなりました。 ちなみに、ビデオクリップの終盤でステージに上がってボスと一緒に踊っているのは、若き日のコートニー・コックス。このビデオ出演の後、80年代後半以降、テレビや映画で活躍していくことになった女優さんです。 その当時、上のビデオクリップさながらに、実際のライヴでも女の子をステージに引き上げるというパフォーマンスをやっていました。1988年のライヴからそんな様子もご覧ください。実際のところ、女性ファンとしては、抱き付きたくなる状況でしょうね。 おまけに今回はもう1本。時は流れて30年近くたった現在、62歳のボスが20歳になった娘(ジェシカ・スプリングスティーン)をステージに上げて踊るという何とも微笑ましい光景です。 [収録アルバム]Bruce Springsteen / Born In The U.S.A. (1984年) 【RCP】【送料無料】ボーン・イン・ザ・U.S.A./ブルース・スプリングスティーン[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年06月02日
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