音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2013年06月05日
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 1945年、デトロイト出身のボブ・シーガー(Bob Seger)は、長い下積みの末に、70年代後半にシルバー・ブレット・バンド(The Silver Bullet Band)を率いて人気を集めていった。その結果、1980年の 『奔馬の如く(アゲンスト・ザ・ウィンド)』 でついに全米制覇(アルバムチャート1位)を実現する。

 その勢いのまま、1982年にリリースされたのが、本盤『ザ・ディスタンス(The Distance)』である。ブルース・スプリングスティーンと双璧をなすアメリカン・ロックの雄で、“デトロイトの巨人”と呼ばれたりするが、同も本邦での人気・認知度はいま一つである。その理由はわからないでもない。そもそもボブ・シーガーは“我が道を行く”タイプのアーティストで、スプリングスティーンとの比較で言えば、派手に聴衆に訴えかける部分があまり強くない。そうとは言え、80年代にリリースされた本作とその次の 『ライク・ア・ロック』 の2枚は、この時代のアメリカン・ロック作品としてよくできた好作で、日本でももっと広まってもよかったように思う(どちらかと言うと後者はまだそれなりにプロモーションされた方だろうか)。

 上で前作の勢いのまま、と書いたが、内容的には『奔馬の如く』からさらにスケールアップし、アメリカン・ロック然とした色が濃い作品に仕上がっている。B・スプリングスティーンのバンド・メンバーであるロイ・ビタンの参加、70年代にスプリングスティーンやジョン・レノンのレコーディング・エンジニアとしての経験を持ち売れっ子となったジミー・アイオヴァインのプロデュースというのが、そうした色の背景になっているのだろう。前作で出たスケールの大きさとそれ以前の作品での我が道を行くロック・スタイルがうまくミックスされ、一つの作品にうまく結実したという印象である。

 出色は1.「イーヴン・ナウ」と6.「ロール・ミー・アウェイ」。前者はアルバムのオープニングにふさわしく、アメリカン・ロックの重さと軽妙さがマッチした好ナンバー(ちなみに以前に取り上げた『ライク・ア・ロック』のオープニング・ナンバーとも相通ずるものがあるように思う)。6.の方は、ボブ・シーガーらしいスケールの大きな展開の中で、上で述べたロイ・ビタンの持ち味が最大限に発揮されている。筆者的にはこういう粘っこい軽快さ(?)が自然と体に染み込んでくる。

 ちなみに、上記2曲はシングルカットされているが、実はこれら2曲に先駆けてシングルとなり、全米2位のヒットを記録した曲がある。それが4.「月に吠える」である。本盤収録のなかでは、唯一の自作ではない曲で、ロドニー・クロウェルの作。5.および8.と並んで本盤中では落ち着いて聴かせるといった雰囲気のナンバーに仕上がっている。アルバム作品として評価する場合、これらの落ち着いたトーンも本盤全体の流れの中で重要な役割を占めていて、バランス感覚のよさにつながっているように思う。



[収録曲]


2. Makin' Thunderbirds
3. Boomtown Blues
4. Shame on the Moon
5. Love's the Last to Know
6. Roll Me Away
7. House Behind a House
8. Comin' Home
9. Little Victories

1982年リリース。






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Last updated  2013年06月05日 08時20分09秒 コメントを書く
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