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夫婦名義での最初のアルバム ジョン・マーティン(John Martyn)は、1948年イギリス生まれのシンガーソングライター。フォークやジャズなどジャンル横断的な間口の広い作風のアーティストで、多くの作品を残し、2009年に60歳で没している。 彼のデビュー盤は1967年で、本盤『ストームブリンガー!(Stormbringer!)』は1970年発表の3枚目のアルバムとなる。このアルバムと次作に当たる『ザ・ロード・トゥ・ルイン』(同じく1970年発表)は、彼個人ではなく、ジョン&ビヴァリー・マーティン(John & Beverley Martyn)の名義になっている。このビヴァリーというのは、当時のジョンの妻で、ヴォーカルはもちろんギターも演奏するアーティストである。 ジョン・マーティンのソロ作にはいい作品は多いのだけれど、筆者はこの二人のデュオも意外と気に入っている。そんなわけで、ジョンだけでなく、ビヴァリーの活躍も目立つのがこの盤とも言える。オリジナルの収録曲10曲中4曲がビヴァリーのもので、彼女の歌声も、途中やや単調な箇所もなくはないのだけれど、全体的に情感に富んでいてなかなかいい。 本盤の注目曲をいくつか挙げておきたい。1.「ゴー・アウト・アンド・ゲット・イット」は、アルバム冒頭から派手にならず、物悲しさを醸し出しながら淡々と歌いつつ、渋い曲展開になっているのがいい。アルバム表題曲の3.「ストームブリンガー」、アルバムを締めくくる10.「ウッド・ユー・ビリーヴ・ミー?」は、ジョン・マーティンらしさがよく表れた好ナンバー。あと、8.「トラフィック・ライト・レディ」は、地味ながら素材としての曲のよさが光る。 ビヴァリーが中心となった4曲(2., 4., 7., 9.)の中では、2.「キャント・ゲット・ザ・ワン・アイ・ウォント」が特にいい。これら以外の場面でも、ビヴァリーの存在感は見られ、なかでも6.「ジョン・ザ・バップティスト(洗礼者ヨハネ)」のメイン・ヴォーカルとコーラスの絡みはなかなか面白い。[収録曲]1. Go Out and Get It2. Can't Get the One I Want3. Stormbringer4. Sweet Honesty5. Woodstock6. John the Baptist7. The Ocean8. Traffic-Light Lady9. Tomorrow Time10. Would You Believe Me?~以下、リマスター版CDでのボーナストラック~11. One of Those Days (demo)12. I Don't Know (demo)13. John the Baptist (demo)14. Traffic-Light Lady (demo)1970年リリース。 ストームブリンガー! +4 [ ジョン&ビヴァリー・マーティン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年02月26日
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1978年発表のサード作 ジョン・ライオン(John Lyon)ことサウスサイド・ジョニー(Southside Johnny)率いるバンド、サウスサイド・ジョニー&アズベリー・ジュークス(Southside Johnny & the Asbury Jukes)。彼らが1978年に発表した3枚目となるスタジオ作品が、この『ハーツ・オブ・ストーン(Hearts of Stone)』というアルバムである。 ニュージャージー出身のサウスサイド・ジョニーは、ブルース・スプリングスティーンやリトル・スティーヴン(スティーヴ・ヴァン・ザント)らと交流し、地元ニュージャージーからメジャーへと躍り出たアーティストだった。実際、本作でも彼らとの絡みが顕著である。演奏面では、リトル・スティーヴン(ギター、ヴォーカル、さらにプロデュースも担当)、そして同じくスプリングスティーンのバンドのマックス・ウェインバーグ(ドラムス)が参加している。楽曲面では、2曲(4.と6.)がスプリングスティーン作、1曲(8.)がサウスサイド・ジョニー、スティーヴ・ヴァン・ザント、ブルース・スプリングスティーンの共作となっている。 注目曲というと、どうしてもスプリンスティーン作曲のものに衆目が集まってしまうが、6.「トーク・トゥ・ミー」はアルバム発表の翌年にシングルとしてもリリースされたナンバー。アルバム表題曲の4.「ハーツ・オブ・ストーン」も同じくスプリングスティーンの作で、サウスサイド・ジョニーのヴォーカルが本領発揮されている。 さらに、これら以外の注目曲もいくつか挙げておきたい。2.「ベイビーズ・ゴーン(ディス・タイム・ベイビーズ・ゴーン・フォー・グッド)」は、ホーン・セクションを生かしたこのバンドらしい曲調と演奏。実際、“マイアミ・ホーンズ”と名付けられたホーン・セクションは、このバンドの演奏の大きな特色で、他の曲でもホーンが大きくフィーチャーされているものが多い。このバンドらしい曲と演奏と言う意味では、5.「テイク・イット・インサイド」も外せない1曲で、ロック音楽の中でのホーンとギターの組み合わせがカッコよく決まることのお手本とも言えそう。他には、3.「道化役の恋(アイ・プレイド・ザ・フール)」はテンポよい好曲でシングル・カットもされた。最後に、共作曲の8.「騙されるのも悪くない(トラップト・アゲイン)」は、サウスサイド・ジョニーの曲の中で筆者的にはかなり上位の好みのナンバーだったりする。[収録曲]1. Got To Be a Better Way Home2. This Time Baby's Gone for Good3. I Played the Fool4. Hearts of Stone5. Take It Inside6. Talk To Me7. Next To You8. Trapped Again9. Light Don't Shine1978年リリース。 Southside Johnny & Asbury Jukes - Hearts of Stone CD アルバム 【輸入盤】 【中古】(CD)I Don't Want To Go Home/This Time It's For Real/Hearts Of Stone/Southside Johnny & Asbury Jukes 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年02月22日
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“ビッグ・オー”の名曲 続編(その5) ロイ・オービソン(Roy Orbison)の名曲集の続編と銘打って全5回を目指してきましたが、これで5回目の区切りとなります。彼の名曲と言うと、絶対に外せない1曲ということで、「クライング(Crying)」です。 同名のサード・アルバムに収録されており、1961年に発表されて全米2位のヒットを記録しました。ロイ・オービソンには、いくつもの有名曲やヒット曲がありますが、その中でも上位を争う美曲の一つだと思います。 次の映像は、1960年代当時のライヴのものです。美声による美曲を堪能ください。 今回は、彼の名曲選の最終回ということで、映像をもう一つ。アルバム化もされた晩年のライヴ(同ライヴ盤の過去記事はこちら)があります。この1987年のライヴの映像から、「クライング」をご覧ください。 [収録アルバム]Roy Orbison / Crying(1962年)Roy Orbison / A Black and White Night Live(1989年) Roy Orbison ロイオービソン / Crying 【CD】 【輸入盤】Ultimate Collection [ Roy Orbison ] 【輸入盤CD】Roy Orbison / Black & White Night 【K2017/5/5発売】(ロイ・オービソン) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年02月17日
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“ビッグ・オー”の名曲 続編(その4) 今回は、少しマイナーなところからということで、ロイ・オービソン(Roy Orbison)の曲をピックアップしたいと思います。「オー・プリティ・ウーマン」は、言わずと知れた彼の代表的ナンバーですが、元々1964年に発表されてナンバー1ヒットとなった際のシングルB面は?と訊かれて即答できるのは、よっぽどのファンだけではないかと思います。 でもって、その曲は、「ヨ・テ・アモ・マリア(Yo Te Amo Maria)」という、スペイン語の表題を持つナンバーです。直訳すれば、“I Love You Mary”(Maríaは英語のMaryに相当する女性名)です。アルバムとしては、「オー・プリティ・ウーマン」が収められているのと同じ1965年のLP盤に収録されています。 当時、共作を多く書いていたビル・ディーズとロイ・オービソンの共作で、要は「オー・プリティ・ウーマン」の作者と同じ2人のペンによる曲です。けれども、英語の歌詞ではあるものの、サウンドと曲調は、メキシカン・トラディショナルを多分に意識したものに仕上がっているあたりが面白く感じます。 さらに、この曲が面白いのは、米国アーティストによる“ラテン調”の曲だったのが、本当のラテンのアーティストによって演じられていった点です。そんなわけで、アントニオ・アギラール(Antonio Aguilar)によるもの、エリセオ・ロブレス(Eliseo Robles)によるものをお聴きください。 [収録アルバム]Roy Orbison / Orbisongs(1965年)この曲は含まれていませんが、以下、ベスト盤です(この曲の入ったCDを探すのはなかなか難しそうです…)。 ↓ 輸入盤 ROY ORBISON / ANTHOLOGY [3CD] 【輸入盤】Ultimate Collection [ Roy Orbison ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年02月15日
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“ビッグ・オー”の名曲 続編(その3) ロイ・オービソン(Roy Orbison)が亡くなったのは、1988年の末のことでした。52歳での急死は悲しみとともに報じられましたが、翌年の初めには遺作となるアルバム『ミステリー・ガール』がリリースされました。同作からのシングルとして、久々のヒット(アメリカで9位、イギリスで3位となり、いずれも20数年ぶりのトップ10入り)となったのが、この「ユー・ゴット・イット(You Got It)」という曲でした。 不測の死去を迎える直前の“ビッグ・オー”ことロイ・オービソンは、トラヴェリング・ウィルベリーズ(参考過去記事)での活動で見事な復活を遂げていました。この曲もそのメンバーだったジェフ・リンとトム・ペティとの共作です。なおかつ、プロデュースはジェフ・リンで、なるほどジェフ・リンっぽいサウンドがロイ・オービソンらしさとうまく溶け合っています。 さて、もう1本の映像は、生前のライヴのものをご覧いただきたいと思います。亡くなる年(1988年)のライヴの映像です。 [収録アルバム]Roy Orbison / Mystery Girl(1989年) 【輸入盤CD】Roy Orbison / Mystery Girl (w/DVD) (Deluxe Edition)(ロイ・オービソン) 【中古】(CD)Mystery Girl/Roy Orbison ロイオービソン ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年02月13日
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“ビッグ・オー”の名曲 続編(その2) ロイ・オービソン(Roy Orbison)の名曲選の続編、2回目は「ウォーク・オン(Walk On)」というナンバーです。 このナンバーは、1968年に発売されたシングル曲ではあるのですが、大きなヒットではないため、それほど有名な曲とは言えないかもしれません。けれども、雄大に大きく盛り上げていくこの演奏と歌唱が、個人的にはなかなかいいのではないかと思う次第です。 さて、この曲の“アカペラ・ヴァージョン”なるものもお聴きいただこうと思います。詳細は分からないのですが、おそらくは没後に作られたミックスではないかと思います。とはいえ、やはり彼の歌唱は圧倒的で、そのことがよくわかるのではないかと思います。 [収録アルバム]Roy Orbison / Roy Orbison's Many Moods(1969年) 輸入盤 ROY ORBISON / ROY ORBISON’S MANY MOODS [CD] 輸入盤 ROY ORBISON / ROY ORBISON’S MANY MOODS [LP] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年02月10日
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“ビッグ・オー”の名曲 続編(その1) 以前、ロイ・オービソン(Roy Orbison)のナンバーを3曲ほどこの表題で取り上げました(参考過去記事(1) ・(2) ・(3) )。その続編をやりたいと昨年末から考えつつも、なかなか実際にそのチャンスがなく、ようやく実現といったところです。今回はメジャーなものだけでない選曲もしながら、全5回ほど続けたいと考えています。 さて、続編の初回はこの曲です。デビューまもない1950年代後半の彼の有名曲で「アップタウン(Uptown)」です。 悠々とした貫禄ある歌いっぷりは、早い時期から完成されていたことがよくわかります。これが20歳代前半の、その当時の“若者”の声だったというのは、ある意味、驚きと言えるのではないでしょうか。 さて、もう一つ、映像をご覧いただきたいと思います。ロイ・オービソンといえば、サングラスがトレードマークというか、サングラスをかけていない姿は見たことがない、という人が多いのではないでしょうか。以下は、1960年、サングラスをかけていない姿で登場しているロイ・オービソンのビデオです。ある意味、“貴重映像”と言ってもいいのかもしれません(笑)。 [収録アルバム]Roy Orbison's Greatest Hits(1962年)など、ベスト盤類に収録。 【輸入盤CD】Roy Orbison / In Dreams (ロイ・オービソン) シングス・ロンリー&ブルー [ ロイ・オービソン ] 【中古】 【輸入盤】For The Lonely: 18 Greatest Hits (A Roy Orbison Anthology 1956−1965)/ロイ・オービソン 【中古】afb ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年02月08日
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2023年02月05日
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1978年発表の第4作 ハート(Heart)は1975年に第1作『ドリームボート・アニー』でデビューし、『マガジン』(この盤のリリースをめぐってはレコード会社とバンドの間に問題が生じた)、『リトル・クイーン』とアルバム作品を重ねていった。そうして、1978年秋に第4作としてリリースされたのが、本盤『ドッグ&バタフライ(Dog & Butterfly)』であった。 LP時代のA面(1.~4.)が“ドッグ・サイド”、B面(5.~8.)が“バタフライ・サイド”と名付けられていて、テイストが少し異なっている。大きくは、前者が“ロック・サイド”、後者が“バラード・サイド”といった趣である。全体としては、前後の他のアルバムと同様、1970年代後半のハートの勢いと彼ららしい音楽要素がバランスよく盛り込まれている。 特におすすめのナンバーをいくつか挙げておきたい。前半で注目したいのは、まず、1.「クック・ウィズ・ファイア」。スタジオ録音にライヴ観衆の音声を被せて疑似ライヴ風に仕上げたようで、アルバムのオープニングに相応しいハートらしいナンバー。4.「ストレイト・オン」は、シングルとして全米15位を記録したこの時期のハートの有名曲の一つ。 後半に目を向けると、5.「ドッグ&バタフライ」もシングルカットされた曲。大きなヒットにこそならなかったが、ハートのアコースティックやバラード系の楽曲としては、トップクラスの好曲だと思う。最後に、8.「ミストラル・ウィンド」は、本盤の中でベストといってよいかもしれないナンバー。静かな出だしから激しさを増していくドラマチックな曲調、その展開に合わせたアンのヴォーカルの盛り上がり(貫禄の出た後々の彼女ならともかく、当時はまだ20歳代!)は、一聴の価値ありと言える(ちなみに、6.もこの8.と同じような部分があっておすすめだったりする)。[収録曲]1. Cook with Fire2. High Time3. Hijinx4. Straight On5. Dog & Butterfly 6. Lighter Touch7. Nada One8. Mistral Wind1978年リリース。 【輸入盤CD】Heart / Dog & Butterfly (ハート) 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年02月01日
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