音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年08月07日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ
明るいアルトの揺れ、流れる音色に垣間見られる切なさ


 1927年生まれのアルト奏者ソニー・クリス(1977年死去)は、直系の「パーカー派」と見られ、早い話がチャーリー・パーカー(1955年死去)のコピーのように考えられるため、あまり評価されてこなかったというわけだ。本作は1956年に吹き込まれたもので、パーカー死去の直後、パーカー直系のイメージを振り払おうとしているように思われる。むしろ、パーカーの死があったからこそ、この初リーダーアルバムを作る気になれたのかもしれない。

 個人的にはソニー・クリスのアルトは大好きだ。何より聴いていて心地いい。「心地いい」と表現したが、「爽快」というのは少し違う。確かに時としてソニー・クリスは脳天気にかん高く吹く。けれども、それがずっと単調に続くわけではなく、時に切なさが垣間見られるのがいいところだ。それに加えて、彼のアルト演奏は流れる中に「揺れ」が感じられる。この「揺れ」というのは、スイングという意味ではなく、音色そのものの揺れであり、それが時折感じさせる切なさにつながっているのだと思う。

 いま述べた部分をどう評価するかでソニー・クリスの好みは分かれることだろう。軽くて脳天気に聴こえるのがいやだという人もいるだろうし、そもそもパーカー色から脱していないという評価を下す人もいる。けれども、「心地いい」に焦点を合わせれば、基本がパーカー色であったって一向に構わない。コルトレーンをはじめ何人かのジャズの巨人のように新たな課題に向かって突き進んでいくのもよし。逆に、ソニー・クリスのように一定の枠組の中で、独自のニュアンスを求めながら吹き続けるのもよし。筆者は前者もいいと思うが、後者も潔くてよいと思う。

 さて、ソニー・クリスのリーダーアルバムには何度かのピークがある。本作『ゴー・マン(Go Man)』は、そのうち最初のピークに当たる1956年の録音。上で述べたように初リーダー作であるが、既に30歳手前。その意味では、若々しく吹くと言うよりは、やはりパーカーの追従者的評価との葛藤の上に考えてプレイされたものだろうと感じる。「揺れ」とそこから垣間見える「切なさ」の表現は、チャーリー・パーカーとの違い、言い換えれば、ソニー・クリスの独自性の第一歩として顕われ始めたものではないだろうか。



[収録曲]

1. Summertime
2. Memories of You
3. Walkin' With Joe

5. The Blues for Rose
6. The Man I Love
7. Until the Real Things Come Along
8. Blue Prelude
9. After You've Gone
10. Come Rain or Come Shine
11. How High the Moon
12. If I Had You

Sonny Criss (as), Sonny Clarke (p), LeRoy Vinnegar (b), Lawrence Marable (ds)
録音: 1956.2.24






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Re:ソニー・クリス 『ゴー・マン(Go Man)』(08/07)  
ようたん さん


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