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ソフトながら、ボブ・マーリーらしさに溢れた盤 ウェイラーズ時代も含めて、ボブ・マーリー(Bob Marley)にとって10枚目のアルバムとなったのが、1978年リリースの『カヤ(Kaya)』である。メジャーのアイランドからのリリースとしては、6枚目のアルバムであった。ジャマイカへの凱旋帰国(「ワン・ラブ・ピース・コンサート」への参加)のタイミングで発表され、世界各国で人気を獲得した。特に英チャートでは、ボブ・マーリーのアルバムとしては最高位の4位の記録を残した。 内容的には、前作である『エクソダス』と同時期に録音された楽曲から構成されている。音楽的にも、歌詞の面でも、“ソフト”、“リラックス”、“レイド・バック”といった形容がなされるが、それは決して悪い意味ではないように筆者には思われる。社会性が強く、その意味では“過激な”彼らの音楽も魅力的な一方、こうした柔らかめの傾向の作品もまた、彼らを代表するものと言っていいような気がしている。 収録曲の中で特に有名なのは、3.「イズ・ディス・ラヴ」。この曲はシングルとしてイギリスなどでヒットした(イギリス・チャートでの最高位は9位)。他に注目したい曲としては、表題曲の2.「カヤ」。このナンバーは、メジャー以前作の『ソウル・レヴォリューション』に収められていた曲の採録。個人的好みからこれら以外にあといくつか挙げるとすると、4.「サン・イズ・シャイニング」、6.「シーズ・ゴーン」、9.「ラニング・アウェイ」なんかがいい。全編にわたって、ゆったり、まったりめにボブ・マーリー節が広がっている。そんな部分が魅力のアルバム作品だと言える。[収録曲]1. Easy Skanking2. Kaya3. Is This Love4. Sun Is Shining5. Satisfy My Soul6. She's Gone7. Misty Morning8. Crisis9. Running Away10. Time Will Tell1978年リリース。 【輸入盤CD】Bob Marley & The Wailers / Kaya (Bonus Track) (リマスター盤) (ボブ・マーリー) カヤ<35周年記念 デラックス・エディション> [ ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年08月13日
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作曲家として、歌い手として、円熟の余裕盤 ビクトル・マヌエル(Víctor Manuel, 本名ビクトル・マヌエル・サン・ホセ・サンチェス)は、スペイン人のシンガーソングライター。1969年にデビューし、現在も活動を続けている。 そんな彼の代表曲ともいえるナンバーは1970年代にいくつも発表されているが、その一方で、1990年代後半から2000年代前半のいわば円熟期の諸作(それらは筆者がリアルタイムで経験した諸作でもあったりする)は、彼のキャリアの中でも好盤が相次いで作られた時期でもあると思う。 2001年リリースの『エル・イホ・デル・フェロビアリオ(El hijo del ferroviario)』(“鉄道員の息子”の意)は、ビクトル・マヌエルの生年が1947年なので、50歳代前半のときの作品ということになる。本盤の次作に当たる『ガレージの犬』のところでも述べたように、声と歌のよさだけでなく、アーティストとしての余裕のようなものが本盤からも滲み出ている。 筆者が特にお気に入りの曲は、まず冒頭の1.「ナダ・ヌエボ・バホ・エル・ソル」と表題曲の2.「エル・イホ・デル・フェロビアリオ」。いずれも詩的で懐古的で、以前にも書いたように、ヴォーカルが何よりも惚れ惚れとする魅力的な声なのである。同じように、4.「アイ・マス・デ・ドス・カラス」、7.「ポル・ミ・クルパ」なんかもいい。 アルバム全体を見渡した時、曲ごとのアレンジや演奏の工夫はあるものの、これといって派手な曲やアップテンポの曲があるわけでもなく、どちらかというと淡々と進んでいく感じである。そんな中で好曲が次々にさらりと流れていくと言えばいいだろうか。言い換えれば、繰り返して聴けば聴くほど、細部に気がつき、好きなところが増えていく。そんなタイプの作品と言っていいのかもしれない。 [収録曲]1. Nada nuevo bajo el sol2. El hijo del ferroviario3. Dueña y señora4. Hay más de dos caras5. A la mar fui por naranjas6. No es bueno que el hombre esté solo7. Por mi culpa8. María de las Mareas9. Veinticuatro horas10. Si nos llegaran los niños11. Las vidas de un pantalón12. El hombre sin recuerdos13. Eres una isla14. Ojalá tengas suerte2001年リリース。 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2022年07月03日
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突然思い出したこの歌…。 表題通り、突然思い出したのがこの歌。韓国の歌手カン・スジ(강수지、日本ではカン・スージーとも表記)の「시간속의 향기(時間の香り)」。1990年にデビューした韓国の女性アイドル・シンガーで、1990年代後半には日本でもTVなどで活躍した人物です。 1990年代初頭、韓国に行った際に露店で買った当時のカセットテープ(要は海賊版で、当時のヒット曲集が編集されていた)で耳にしたこの曲がなぜだか忘れられず、翌年(だったと思う)再訪した際にソウルの大手書店のレコード・コーナーで探し求めて買ったLP、それが彼女のセカンド作でした。韓国から苦労して持ち帰ったLPは、何度も聴きました。 それから四半世紀が流れ、そんな記憶はすっかり忘れ去っていたのですが、先日なぜだかふとこのシンガーのこの曲を思い出しました。とりあえず、お聴きください。 その後、1990年代後半には日本へやってきてTVなどでも活躍しました。2000年代に入り、結婚・出産をしたものの、その後には離婚し、本格復帰して現在も活動しているとのこと。 この話の流れだと、最近のライヴ映像が見たいところなのですが、韓国語での検索の仕方がいまいちなのか、どうもそれらしい映像が見当たりません。さしあたり、2002年のものらしい映像をどうぞ。 *リンク切れのため、1992年のライヴに差し替えました(2017年11月)。[収録アルバム]강수지 / 『2집 흩어진 나날들』(1991年) ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓
2016年10月03日
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30周年の名曲 閑話休題、といった感じで、唐突ではありますが、本ブログ初の韓国人シンガーによる1曲を取り上げてみたいと思います。 イ・ソニ(이선희、イ・ソンヒとも表記)は、1964年生まれの韓国の女性シンガー。1984年に大学の先輩とのユニットで出場した歌謡祭で大賞を受賞してソロ・デビュー。その時の曲がこの「Jへ(J에게)」で、同年に5週連続1位を記録しました。 “韓流”ブームも、“Kポップ”などという言葉も存在していなかった時代…。それどころか、韓国国内では、日本の大衆文化を公にすることすら、1990年代末に規制緩和が進み始めるまで、強く規制され、日本のポップスは露店で販売される海賊版のカセットテープで流通していたという、今からは信じられない頃でした。ソウルのレコード店でこの曲の入ったイ・ソニのアルバムを買い、日本に持って帰ったなどというのは、何とも懐かしい思い出です。 さて、そんなこの「Jへ(J에게)」ですが、今年、ヒットから30周年の節目の年を迎えました。記念の年という音であちこちで“2014年ヴァージョン”が披露されているようですが、そうしたものの一つ(オーケストラをバックにしたライヴ)をご覧ください。 決して凝った曲でもなく、元のアレンジは80年代臭がしますが、曲そのものはとっても名曲、そんな風に心に刻まれている1曲です。 ちなみに、イ・ソニは、デビュー以降、シンガーとしてコンスタントにアルバム(これまで14枚とのこと)を発表する一方、1991年にはソウル市議、2004年にはイ・スンギを見出してデビューさせたりと1シンガーとして以外の活躍もしています。↓ベスト盤です(もちろん「J에게」も収録)↓ 2枚組全32曲ベスト。JMCD-0055 イ・ソニ / 『GOLDEN』 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年07月09日
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ポップ色の強いヴォーカル作品 1974年スウェーデンはストックホルム出身のヴィクトリア・トルストイ(Victoria Tolstoy)。その名字からもわかるように、かのロシアの文豪トルストイの曾孫にあたるとういことでも知られる女性ジャズシンガーである。幼くして歌を始めた彼女はやがてジャズへと向かい、インディーズ系レーベルから1994年にデビュー作を発表。その2年後にはメジャーと契約し、本盤を発表することになる。そんな彼女のアルバムは、今のところまだ数枚しか聴いたことがないので、あくまで素人の感想にすぎないのだけれど、それらなん作化のアルバムはどれも魅力的である。 今回取り上げるのは、ヴィクトリアの作品の中でもとくにポップ色が強いとされる『ヴィクトリア・トルストイ(Too Loved,原題 För Älskad)』。スウェーデン語の原題はさっぱり意味不明だけれど、英語タイトルが“Too Loved”となっているので、おそらくは原題もそういう意味なのだろうか。それと外盤しかもっていなくてこれまた不明だけれど、日本でセルフタイトルで出されたのがどうやらこの盤の模様。 さて、上で“女性ジャズシンガー”とは書いたものの、実際にはこのアルバムはそんな感じがしない。悪く言えば、ジャズ・ファンからは“こんなのジャズじゃない”とそっぽを向かれそうなポップなノリである。1994年のデビュー盤はマイナー・レーベルからの作品だったが、第二作目となった1996年の本盤は大手(EMI)からのリリースで、意図的にポップ性を強く押し出して、商業的な成功を収めることになった。北欧からのこうしたメジャーなヒットも比較的珍しいが、さらに珍しい事例として、彼女はこの成功の後、ブルーノートからも作品をリリースすることになる。 ポップ寄りにふった作品がすべてだと思われるのは本人としては心外かもしれないけれど、なかなか好曲が多い(詞の意味はスウェーデン語でさっぱり不明だけれど)。ただ明るいというよりは少し陰を持ったポップ風な曲の出来上がりのレベルが高い。個人的好みとしては、1.「テル・ミー(Månen tur och retur )」、2.「サムハウ(Varken ängel eller gud)」、8.「ユー・アー・ザ・ベスト(Du är bäst)」、9.「セプテンバー・アゲイン(September igen)」、表題曲の11.「愛はどこへ行ってしまったの?」。とにかく歌唱力が見事で、純ジャズ風になろうともポップ色を強めようともやはりこの印象は変わらない。[収録曲]1. Månen tur och retur 2. Varken ängel eller gud 3. 3 dygn i rad 4. En bra dag5. Och om jag gav6. Lyckligt slut 7. Stanna här hos mig (Mama had to tell me)8. Du är bäst (i alla fall bra för mig)9. September igen10. Moln i din hand 11. För älskad 12. Det finaste som finns1996年リリース。 駿河屋なら各種キャンペーンにエントリーするとポイント5倍以上!【中古】輸入洋楽CD VIKTORIA TOLSTOY/for alskad[輸入版]【05P24Feb14】【画】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年03月08日
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亡き歌姫との出会い オフラ・ハザ(Ofra Haza)はイスラエルの女性シンガー。テルアビブのイエメン系難民家族の9人兄弟の末っ子として1957年に生まれた彼女は、12歳から7年間地元の劇団で活躍し、その後、18歳で歌手デビュー。1980年代に入ってイスラエルを代表するシンガーへと成長し、“東のマドンナ”とも称された。 1980年代後半、いわゆるワールド・ミュージックが一つの潮流として注目される中、オフラ・ハザもまた、国外マーケットへの進出を果たす。ヨーロッパ経由で火が付いた経緯のおかげで日本でも作品がリリースさるようになり、世界的な人気を博すに至ったのが1988年リリースの本盤『シャダイ(Shaday』というアルバムだった。 当時の筆者も、最初にラジオで1.「イム・ニン・アル(幸福の扉)」を耳にしたのが、オフラ・ハザを知ったきっかけだった。オリエンタルな歌姫のイメージそのままの民族舞踊風のナンバーであるが、プロ歌手だった母から受け継いだ曲にうまく現代的(というか西洋的?)なアレンジを交えて仕上げている。実はこのナンバーこそが国外進出の大きなきっかけとなった曲で、もともとそれ以前から彼女が歌っていたこのナンバーにリミックスを施してロンドンのクラブシーンで注目されたところが当時の人気の火種だったとか。 他にオリエンタル風味がベースになっている曲としては、6.「ガルビー(私の心)」、アルバム表題曲の9.「シャダイ(神聖)」がいい。その一方で西洋マーケットを明らかにターゲットにしたナンバーも組み合わされていて、イエメン/イスラエル系の楽曲の西洋風アレンジとともに、聴き手の評や好みが分かれる部分ではある。筆者の個人的な意見としては、4.「マイ・エイキング・ハート」や7.「フェイス・トゥ・フェイス」を聴く限り、あっさりし過ぎな感じはするものの(かといって8.「テイク・ミー・トゥ・パラダイス」はちょっとやり過ぎなアレンジという気もする)、英語曲でも歌唱力・表現力の高さは存分に発揮されていて、ディスコ/クラブ・シーンで終わらせてはもったいないという感じが十分に伝わってくる。 このように、オフラ・ハザは1980年代後半から90年代初頭にワールドワイドな成功を収め、その後も活動を続けた。1997年には結婚もしたが、世界的スターとしても、私生活においても、幸せは長く続かなかった。2000年、エイズ合併症によってオフラ・ハザは42歳の短かすぎる生涯を終えた。歌姫よ、永遠なれ。[収録曲]1. Im Nin'alu2. Eshal3. Da'ale Da'ale4. My Aching Heart5. Love Song6. Galbi7. Face to Face8. Take Me to Paradise9. Shaday1988年リリース。 Ofra Haza オフラハザ / Shaday 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年09月17日
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