音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年12月22日
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テーマ: Jazz(1977)
カテゴリ: ジャズ




 リー・モーガンが18歳でデビューする直前の1956年6月26日、クリフォード・ブラウンは自動車事故で25歳の生涯の幕を閉じた。この早過ぎた死を悼み、彼の友人であったベニー・ゴルソンは追悼の曲を書く。そしてこの曲はバラードの名曲としてジャズ界に定着していく。

 作曲者ベニー・ゴルソンは1929年生まれのジャズ・ミュージシャンで、テナー奏者である。ジャズ界では作曲家および編曲家としてよく知られ、例えば、「ステイブルメイツ(Stablemates)」、「ウィスパー・ノット(Whisper Not)」、「ファイブ・スポット・アフター・ダーク(Five Spot After Dark)」などの名曲は彼によるものである。

 そうした名曲群の中でも、とりわけ「クリフォードの想い出(I Remember Clifford)」はよく知られた曲の一つである。それは冒頭で述べたような追悼のストーリーがあり、彼の悲報を聞いたゴルソンは3週間かけて悲しみを実感しながら作曲したというエピソードが伝えられているからかもしれない。原盤ライナーにはゴルソンのコメントが掲載されていて、一部を抜粋すると次のようなものだ。

 「彼(クリフォード・ブラウン)は私の最愛の友人で、ミュージシャン仲間の一人だった。このメロディは3週間かけて作ったもので、彼自身と彼の演奏を思い出させるようなメロディを目指したものだ。クリフォードほどの人物の特徴を表すメロディを作り出そうなんてほとんど不可能な話で、精一杯やったけれど、それが出来たかどうかはわからない。この曲を作曲している間、気分は沈んでいた。というのも、一つ一つの音符を書きながら、もうこの世にはいない人物のためのものだということを実感していたのだから。」

 この曲の初演は、ブラウニー(クリフォード・ブラウン)の死と入れ替わるようにしてジャズ界に登場した、同じくトランペット奏者のリー・モーガンによってなされ、それは彼のアルバム『リー・モーガン Vol. 3』に収録された。ゴルソンが親しい友人だったブラウニーの追悼曲を、デビューして間もないモーガンに託したとも言える。当時19歳のリー・モーガンは、見事に1テイクでこの曲を吹き込んだらしい。しかしまた、それから15年後にこのリー・モーガンも不帰の客となった。ライブ演奏のためにやって来たジャズ・クラブで、モーガンも愛人と口論の末、銃殺される。

 25歳で交通事故死したブラウニーと、33歳で痴情のもつれから命を落としたリー・モーガン。二人の接点は少ないわけだが、両天才トランペッターを強く結び付けているのがこの「クリフォードの想い出」ということになる。とりあえず聴いておいて損はない、美しい旋律の名曲である。



[収録アルバム]

Lee Morgan / Lee Morgan Vol. 3






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