哀愁と言えば、はずせないのが、本作いちばんの聴きどころ(と筆者が思う)7.「ネオンのまぶしさ」である。この曲の原題(Underneath the Neon Sign)は、直訳すれば「ネオン・サインの下で」の意。仕事を終えて飲みに行ったあとにふと自分が何者かを考える男の哀愁に満ちたナンバーで、個人的には、「セルロイドの英雄」(1972年の『この世はすべてショービジネス』に収録)と並ぶ、哀愁漂う名曲だと思う。同じ路線では、11.「群衆のなかの顔」もなかなかいい。パイ後期からRCA所属期にかけて、キンクスはコンセプト・アルバムをひたすら出し続けたわけだが、その時代のキンクスを好きになるか否かは、案外、この手のノスタルジックな曲の好き嫌いによるという気がしている。
最後に、アルバムを締めくくる12.「ロックよ永遠なれ」。原題は「You Can’t Stop the Music(君は音楽を止められない)」というものだが、アコースティックな出だしから始まって、次第にポップに盛り上げていき、キメのギター・ソロがカッコいい。余談ながら、80年代の映画『E.T.』を先取りしたようなジャケット
[収録曲]
1. Everybody’s a Star (Starmaker) 2. Ordinary People 3. Rush Hour Blues 4. Nine to Five 5. When Work Is Over 6. Have Another Drink 7. Underneath the Neon Sign 8. Holiday Romance 9. You Make It All Worthwhile 10. Ducks on the Hill
12. You Can’t Stop the Music
~以下、現行CD(『~+4』)所収のボーナス・トラック~ 13. Everybody’s a Star (Starmaker) [mono mix] 14. Ordinary People [live] 15. You Make It All Worthwhile [live]