音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2017年05月15日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ
密かな名演を聴く楽しみ


 ジャズを聴いていると、ロック/ポップス以上に“密かな名演”にたどり着けるという感覚が大きい。有名なアーティストや著名な盤ではないけれど、これはなかなかいいのではないかという“感動”に見舞われる確率は、ジャズの世界の方が高いように感じている。

 さて、本題に入ろう。今回の盤は、唯一のリーダー作となったドン・スリート(Don Sleet)の『オール・メンバーズ(All Members)』という、1961年の吹込み盤である。ドン・スリートは、1938年インディアナ州生まれのトランペット奏者で、マイルス・デイヴィスやケニー・ドーハムに影響を受けたという。あるいは、チェット・ベイカーやアート・ファーマーを思い起こさせる滑らかなプレイを身上とする。ある種、モダン・ジャズ的には“正統派”のトランペッターであるが、リーダー作はわずか1作で本盤のみで、ドラッグの影響からやがて演奏できなくなり、1986年の大晦日に悪性リンパ腫で48歳の生涯を閉じている。

 この盤は、リヴァーサイド傘下で数年間だけ続いたジャズランドというレーベルに吹き込まれた作品である。とはいえ、現在の目からすると、サイドマンの充実度から拾い上げてくれるリスナーも一定数存在すると思われる。テナー・サックスがジミー・ヒース、ピアノはウィントン・ケリー、ベースはロン・カーターで、ドラムスはジミー・コブというメンバー。これに加えてリーダーのドン・スリートがトランペットを演奏している。

 筆者の個人的なお気に入りを挙げてみたい。1.「ブルックリン・ブリッジ」は、軽快さ(この“軽快さ”には、ウィントン・ケリーのピアノとジミー・コブのドラム演奏の貢献が大きい)の中で王道的な各楽器のソロが繰り広げられ、モダン・ジャズの演奏としてトランペット+サックスのお手本のような演奏に仕上がっている。3.「朝日の如くさわやかに」は有名なスタンダード曲であるが、この“滑らかさ”は何とも手慣れたもの。リーダーであるドン・スリートのトランペットはもちろんのこと、ジミー・ヒースのテナーがいい味を出している。表題曲6.「オール・メンバーズ」は、本盤の中でも一押しの演奏の一つである。伸びやかで軽快なトランペット演奏は、何枚もアルバムを残していたならば、ドン・スリートの名はきっと今よりはるかに有名になっていただろうと思わせてくれる。ともあれ、決して有名な盤ではないものの、こういう盤に出会った時の望外の感動は忘れずにいたいと思う次第だったりする。


[収録曲]

1. Brooklyn Bridge
2. Secret Love
3. Softly, As in a Morning Sunrise

5. But Beautiful
6. All Members
7. The Hearing


[パーソネル、録音]

Don Sleet (tp), Jimmy Heath (ts), Wynton Kelly (p), Ron Carter (b), Jimmy Cobb (ds)
1961年3月16日録音。





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Last updated  2017年05月15日 21時46分08秒
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