音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2019年03月19日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ
小気味よいフリューゲルホーン+モンクの客演


 カウント・ベイシーやデューク・エリントンの楽団でトランぺッターとして名を馳せたクラーク・テリー(Clark Terry, 1920-2015)が、かのセロニアス・モンク(Thelonious Monk, 1917-1982)と組んでレコーディングしたのが、『イン・オービット(In Orbit)』という盤である。後年、C・テリーはフリューゲルホーンの先駆者としてこの楽器の演奏をしていくことになるが、1958年録音の本盤でもこの楽器を演奏している。

 異色の組み合わせとはいえ、C・テリーもT・モンクもこのリバーサイド・レーベルに所属していた。にもかかわらず、どこか共通性の見えない組み合わせというのは、当時の録音のことを考えると思い切った感じがするし、はるか後の現在となっては、よくもこういった組み合わせの録音が残されたものだと思う。やり方としては、あくまでC・テリーがリーダーという体裁を保ったことが、一つの成功要因だったのかもしれない。C・テリーのナンバーが5曲(CDボーナス曲も入れると6曲)に対し、T・モンクのナンバーは1曲のみである。つまりは、モンクの独自性が出過ぎないよううまくコントロールし、あくまでサイドマンとしての立場にとどめたのは、本盤の演奏の一つの軸になったのかもしれないと思う。

 結果、2人(そしてベースのサム・ジョーンズとドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズ)の組み合わせは、意外なほどスムーズな演奏を生み出した。もちろん、そこには、C・テリーがトランペットではなく、フリューゲルホーンを全面的に演奏するという英断もあった。

 演奏は、全体として、小気味よいC・テリーらしさが前面に出ている。上述の通り、T・モンクの個性的な面はある程度抑えられているので、それを期待する向きにはいくぶん不満なことだろう。むしろ、A・ファーマーらによってより叙情的な演奏のイメージへと進化していったフリューゲルホーンが、C・テリー節で小気味よく演奏されていく(そしてその立役者としてT・モンクがしっかり存在している)、というのが本盤の楽しみどころなのであろう。

 余談ながら、この盤はセロニアス・モンクとフィリー・ジョー・ジョーンズが共演している数少ない盤の一つである。それと同時に、T・モンクがサイドマンを務めたのもこれが最後で、C・テリーの希望ゆえだったという。



[収録曲]

1. In Orbit
2. One Foot in the Gutter

4. Let's Cool One
5. Pea-Eye
6. Argentia
7. Moonlight Fiesta
8. Buck's Business
9. Very Near Blue
10. Flugelin' the Blues *CDボーナス曲


[パーソネル、録音]

Clark Terry (flh), Thelonious Monk (p), Sam Jones (b), Philly Joe Jones (ds)

1958年5月7日・12日録音。



↓ジャケットイメージの参考です(リンク先はLP盤)↓

Clark Terry / Thelonious Monk / In Orbit 【LP】




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Last updated  2019年03月19日 07時04分44秒
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