音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2019年05月31日
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テーマ: ラテン音楽(411)
1980年代終盤、タニアの好盤


 ペルー出身のタニア・リベルター(Tania Libertad)は、1980年にメキシコへ移住し、メキシコでシンガーとしてのまず評価を受けることになった。1980年代に立て続けにアルバムをリリースし、その実力が評価されていき、やがてスペイン語圏の他国(出身国のペルーも含む)へと支持が拡大していった。

 その後、現在に至るまで創作意欲は衰えておらず、新作も出し続けているのだけれど、1980年代後半から1990年代前半、大物シンガーとしてのタニアが確立されていく時期(ちょうどタニアが30歳代の時期から40歳代に入ったあたりに相当する)の諸作にいいものが結構多いように思う。そして、この時期に該当する私的愛聴盤の1つが、この『トロバディクシオン(Trovadicción)』というアルバムであったりする。

 本盤の収録曲で特に注目したいのは、まずは解釈の素晴らしさ。スペイン語圏を中心に様々な作曲家のナンバーを独特の揺らぎのある声を活かしながら、他人には決して真似のできないオリジナルな歌いっぷりで披露している。1.「テレシーニャ」は、ブラジルの有名シンガー、作曲家にして、小説家、演出家のシコ・ブアルキの「テレジーニャ」をスペイン語で歌ったもの(原曲はポルトガル語)である。7.「オハラー」はキューバのシンガーソングライター、シルビオ・ロドリゲスの代表的ナンバーの一つを完全に自分の世界に引き込んで歌い上げている。

 他の注目点としては、同じくキューバの有名シンガーであるパブロ・ミラネスの協力が挙げられる。3.「エル・プリメール・アモール(初恋)」と11.「サバド・コルト(短い土曜日)」で、パブロがヴォーカルで参加していて、特に前者は必聴のデュエットに仕上がっている。

 他に個人的に気に入っている曲をいくつか挙げておきたい。メキシコ出身のトローバ・シンガー、マルシアル・アレハンドロ作の2.「バスタ・イ・ソブラ」、同じくアレハンドロ作の5.「トロバディクシオン」を聴くと、この人の曲との相性がいいのだろうと想像される。キューバのアマウリー・ぺレスの4.「ノ・ロ・バン・ア・インペディール」は淡々とした調子が印象的で、次第に盛り上がっていく。8.「トゥ・ボカ・ウナ・ヌーべ・ブランカ」はスペインのビクトル・マヌエルの作で、原作者の叙情性を残しながらもまったく違う雰囲気の仕上がりというのがいい。

 現在の貫禄たっぷりの雰囲気からすると、幾分あっさりしたところもあるにはあるが、この当時のタニアの円熟ぶりの加速度には目を見張るものがあった。とか何とか言いながら、その良さがわかったタイミングというのは、自分自身が当時の彼女の年齢を超えるまで来なかったのだけれど(笑)。


[収録曲]

1. Terezinha

3. El primer amor (dueto con Pablo Milanés)
4. No lo van a impedir
5. Canciones y momentos
6. Trovadicción
7. Ojalá
8. Tu boca, una nube blanca
9. Veinte caballos (dueto con Manduka)
10. Por la vida y por la paz
11. Sábado corto (dueto con Pablo Milanés)

1989年リリース。



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Last updated  2019年05月31日 20時43分24秒
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