音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2020年03月25日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ
適度にラテンで歯切れのよいピアノ・トリオ推奨盤


 LTCとは、イタリアのピエトロ・ルッス (ピアノ)、ロレンツォ・トゥッチ (ドラムス)、ピエトロ・チアンカリーニ (ベース) によるユニット。これら三者の苗字の頭文字を並べて、L(Lussu)、T(Tucci)、C(Ciancaglini)という訳である。2005年にこのユニットとして最初のアルバムを出し、それに続いて2008年にリリースされたのが、本盤『ア・ディファレント・ヴュー(A Different View)』であった。

 とくに日本受けするピアノ・トリオというと、良くも悪くもリリカルな感じの盤に傾きがちだが、本盤は、歯切れがよく打鍵の強さが感じられるのがいい。世にいう“ラテン・ジャズ”というのとはいま一つ違うのだけれど、イタリアのトリオというせいか、このノリのよさは現代米国ジャズや一般的な現代欧州ジャズにはあまり見られない部分という気がする。

 本盤に収められたいくつかの曲についてコメントしておきたい。1.「ジャスト・ギヴ・ミー・タイム」の歯切れのよさは、上記のラテンのノリや間合いがうまく生かされた演奏と言える(同じことは、本盤収録曲中では5.「メニーノ・ダス・ラランジャス」にも実に当てはまるように思う)。3.「ザ・ホーリー・ゴースト」は、大きな展開や盛り上がりがあるわけではないが、この安定感が筆者は結構好きだったりする。

 7.「アンソニー・アンド・クレオパトラズ・ラヴ」は、日本語に訳すと“アントニウスとクレオパトラの愛”。ローマ皇帝マルクス・アントニヌスとエジプト・プトレマイオス朝のクレオパトラが出てくる美しい曲調のナンバーを含めるというのは、さすがローマ帝国の中心だったイタリアらしいという気がする。8.「シブヤ・クロッシング」は日本ではテレビでも散々目にする、あの東京・渋谷のスクランブル交差点をテーマにしたものの模様。同じく、ボーナス・トラックとして収録されている11.「ジャパニーズ・クラウズ」もどうやら日本からインスピレーションを受けた曲のようである(“クラウド=群衆、人ごみ”と言いながらどこか整然とした感じがするのは、日本の喧騒がそういう印象だったのかと勘繰りたくもなる)。

 ちなみに、ピエトロ・ルッス(Pietro Lussu)は、この後に彼自身の名義盤も出しているので、次の機会にはそれも取り上げたいと思っている。


[収録曲]

1. Just Give Me Time
2. A Different View

4. Magic Mirror
5. Menino das Laranjas
6. Easy Does It
7. Antony and Cleopatra's Love
8. Shibuya Crossing
9. Breakfast with Silvia
10. I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free
11. Japanese Crowd [bonus track]

[パーソネル、録音]

Pietro Lussu (p), Pietro Ciancaglini (b), Lorenzo Tucci (ds)

2007年(?)録音、2008年リリース。





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Last updated  2020年03月25日 20時17分14秒
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